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Day 7 【ごはんができたよ】そのまんまかよ!
しおりを挟む「おし、みんな乗ったか?」
「オー!」
返事を聞いて車を発進させると、透はまわりを確認する。
「ユイとござるさんは定位置だな、ん? なんで隣お前なの?」
助手席にはホムンクルスの少女が座っていた。
「気付いたら代わっていたのよ、忍術よ忍術!」
桜がそう言うと当のホムンクルスは気にせず珍しそうに車の中を見まわしていた。
〈これが車というものですね。なかなか興味ぶかいのでありんす〉
「なんか変な言葉遣いキター! て言うかしゃべるのうまくなってね?」
〈皆の言葉を解析したでありんす。この言葉はご主人様の記憶力どらま?というもので話していた言葉でありんす〉
「それはもしかして医者が江戸時代にタイムスリップしちゃうやつか?」
〈そうでありんす。ずんとかぜんとか言うのでありんす〉
「惜しいんだけどな!あのドラマ好きだったけど確かに」
「何それ観たことないよ! 透」
「まあまあ、今度な。でだえっと……面倒だから、お前は今日から“ナイン”な、9番目だし」
〈わかったでありんす、わちきはナインでありんす〉
「なんかいちいち面倒な気がする。でもしかして俺の記憶都リンクしてんの今?」
〈ご主人様の記憶で学習してるでありんす。近くにいないとだめでありんす、ちなみに今はナノマシンズについて学習しているでありんす、もうすぐあちきはこの世界の魔素を自由に使える様になるでありんす〉
「すげえな? じゃあナインは何でも造れる様になんのか?」
〈そこは、何でもはできないわよ、できることだけ。と答えるでありんす〉
「うわっ! 言ってる事が透そっくり! なんかまずいわ、ナインちゃん透から離れないとキモくなるわよ!」
「キモいっておい!」
『でもナインちゃんは魔素を使って創造できるんですね、私とは違ってやはりこの世界の生命なのですね』
「でも俺とリンクしてるんだったら同じ事できそうだよな」
〈はいでありんす。今、ご主人様と同じ服を作るでやんす〉
そう言ってナインはA型装備を自分に合わせワンピースに変えて創り出した。
「あ! すごいのです。私も同じのが来たいのです!」
〈良いでありんす。今作るでやんす〉
ユイも黒い装備に変わる。
「かっこいい! トールさんと同じパーティーみたいです!」
しっぽを振って喜ぶユイ。それをルーフの上から顔をのぞかせて見ていたアリエルが、物欲しそうな目をしながら、
「拙者も同じ装備が良いでござる!」
と言うと、すぐにナインが装備を変える。
「おお! 良いでござる!」
すごく気に入ったようである。
「くっころさんはどうする? まあその鎧カッコいいけどね」
「わたしはこれで構わんぞ、この鎧も魔法が付与されているからな」
「やっぱりそうなんだ。そんな感じがしたわ」
そうこうしているうちに、ヘイジョーを過ぎ、一行は次の野営地で休憩をとることになった。
「野営地ってどんなとこ?」
「ヘイジョーとモモヤの間にある湖の辺りだな、水もきれいで中に魔物もいないのだ」
「お? んじゃ泳げんの?」
「ん? まあ泳げるけどな、泳ぐのか?」
「ああ、この服実は、内部的に身体の汚れをきれいにする仕様になってて風呂に入らなくてもいいようにはなっているんだけど。日本人的には水でも頭からかぶりたいんだよね」
(ご主人様、お風呂つくるでありんす)
『魔素ならばたくさんありますから、作っちゃいましょう!公衆浴場』
「いきなりだな、それもいいな!」
透たちを乗せた車が野営地のそばまで来ると、湖が見えてきた。
「うわっ! 猪苗代湖みたいじゃない! おっきい!」
「そうだな王国最大の湖だ この湖から流れ出る川がいろいろな街を潤しているのだ」
「なるほどね、王国のダムみたいなものか」
「だむと言うのはわからないがな」
そして目的の場所に到着する。他の宿営の人たちに配慮し、少し離れた位置に車を止める。
「うあああ、疲れた!」
透は運転席を降りて伸びをしながら呻く。
「確かに一人じゃ大変だわね」「まあな、後で練習しようぜ!」
一同各々、思い思いに体をほぐしながら車を降りる。
「良し、とりあえずナインは風呂作って!男女別に分けて風呂釜は薪で焚くようにしてくれ銭湯のイメージでお願い」
〈ご主人様の記憶にある銭湯の感じでいいでありんすか?富士山が描かれてるのでありんすな〉
「そんな感じ、この辺に作ってくれ、であとは薪拾い班とおかず狩ってくる班、米炊く班かな」
そう言って透はバッグからアウトドア用のテーブル、折りたたみチェア、カセットコンロ、土鍋などをを出す。
「米もあるぜ」
「いろいろ入れてたわね?」
「米はヤヨイ村でもらってきたやつで、ほかはずっと使ってるやつだなアウトドア好きなんだよ俺」
「では拙者が鳥でも狩ってくるでござる」
そう言ってアリエルは森の方に消えていく。ユイと桜は薪拾いへとやはり森へ入っていく。ペギーはナインと一緒に銭湯造りを始めている。
「あれ? 俺が飯か、じゃあ土鍋でやっていくか」
そう言って米を袋から出し土鍋にあけペットボトルの水を使い洗い始める。5人分ともなると結構な量になったがカセットコンロに火を入れなんとか炊き始める。
「はじめチョロチョロ中パッパってね」
炊飯がいい具合になってきていると、アリエルが戻ってきた。
「なんかいい匂いでござるな、鳥をとってきたでござる」
「ありがとさんと、下処理して来てくれたのかありがてえ、んじゃももと胸は唐揚げにすっか。手羽は手羽焼きだな」
透はそう言いながら手早く鳥を捌き下味をつけ始める。
「味付けにいろいろするのでござるな?」
「ござるさんとこはあまりしないのかい? ヤヨイ村でもらってきた醤油とか味噌とかだぜ? コショウは自前のだけどな、あと豆腐ももらってきてる。」
ツーバーナーとバーベキューコンロを横に出し、味噌汁と油を熱しはじめ、コンロで手羽先を焼き始める。
そこに他のみんなが戻ってきた。
「美味しそうな匂いがしてきてるわ! 味噌汁ね! 豆腐なのね!」
「うちのおとうふなのです」
「ほう、こっちは油で揚げるのか?」
「そうだよ。もうすぐ出来るから座って待ってなよ、桜、ご飯蒸らし終わったら混ぜといて」
「ご飯なのね! わかったわ」
そうこうしてるうちに唐揚げを揚げ終わり、味噌汁を分け、手羽先を皿にのせテーブルに持っていく透。
「よしできたぜ!ご飯よそってくれ、桜かユイ」
「はいよ」
「なのです」
山盛りの唐揚げと豆腐とねぎの味噌汁、それに手羽先焼き。そしてご飯と日本の家ご飯のような昼食が出来上がった。
「家のご飯だわほんとに」
「だな、普通の飯しか作れないしな」
「からあげ美味しいのです。外はカリカリで中はふっくらジューシーなのです」
「味噌汁とご飯なんて一週間ぶりよね、まさか食べれるとは思わなかったわ」
「まあヤヨイ村ではつくってるみたいだったからもらってきたよ」
「この手羽も塩胡椒が効いててうまいな、胡椒は贅沢品だな」
「その手の香辛料とかはバッグに入れっぱなしだからな国のやつだな」
あっという間にテーブルの上の料理はなくなり、お腹を上にして寝転んでいるユイと、ござるさんがいた。
「食いすぎだっつうの、で次は風呂だな、ナイン!っと、うわすげえ」
透はナインが造っていた方を見て驚く。そこには瓦屋根の昔ながらの銭湯があった。
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