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Day 7 【ハートブレイク太陽族】

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「ヒャッハー!」

「ここは通さねえぜ! じゃないわよ! どこぞの世紀末よ」

 透と桜のいつもの掛け合いが始まっていた。

「トーーール!、はやいいい、こわいいいいい」
「ん? くっころさん、そんなに速くないぞ? 60キロくらいしか出してないんだけど?」
「いやいや! こんな速い乗り物ワイバーンくらいしかないわ!」

 ペギーは車のスピードに慣れずに座席にしがみついていた。あとの二人はというと、この4WDはバックドアのウインドウが下がるのだが、その下げたドアから顔を出し犬のようにしっぽをふって喜ぶユイとサンルーフから顔を出すだけでは飽き足らずついにはルーフによじ登り屋根の上であぐらをかいて座っているアリエルの姿があった。

「他の二人、落ちんなよ!、段差で飛び上がっても知らねーぞ」
「心配ないでござるよ」
「ダイジョウブイ!」
「シュワちゃんいた! って教えたの桜かよ、そこはかとなく古いな」
「何言ってんのよ最新のギャグよ」
「はいはい、桜、納得行かない顔しない。アリス次の街まであとどのくらいだ?」

 透の左肩で、アリスは座って足をブラブラさせながら

『あと、25キロほどです。』

「疲れたから少し休むかな」
「本来は次のヘイジョーで一泊するのだが、2時間ほどで着くとは恐ろしいぞ、トールよ」
「お、くっころさん、慣れたか?」
「何とか気にしないように努力している」
「ホントはもっと飛ばせるんだけどね」
「やめてくれ!」

 そんなことを言っているとかサンルーフからひょこっとアリエルが顔を出した。

「トール殿、何かこの先の方に砂煙が見えるでござるよ?」
「なんだろう?アリス頼む」

 アリスは衛星画像を透質にリンクする。と同時に透と桜の目の前にARで1キロ先の映像が左炭に表示される。

『何者かが隊商の馬車を襲っているようですね?』

「確かにそう見えるな」
「そうね」
「よし一旦、ストップ」

 透は車を止め街道の脇に寄せる。

「ござるさん、ライフルで狙えるかい?」
「狙えるでござるが、全員は難しいでござるな」
「ある程度牽制になればいいよ。ていうか勝手に助けていいのかな?くっころさん」
「討伐依頼が出ていれば問題ないが、ガイアスに聞いてみよう」

 通信機をガイアスに合わせ連絡を取るペギー。

「わかったぞ、このあたりで最近出始めた盗賊のようだ。ギルドで依頼を出そうとしていたらしい。捕まえてアジトを聞き出そう」
「よし。ござるさん、桜、スタンモードで銃を準備な。ござるさんは今から出発するから撃てるときはどんどん撃って敵を減らしてくれ」
「わかったでござる」
「俺達は敵とキャラバンの間に入ってキャラバンを守ろう」
「わかったわ」
「了解だ」
「なのです!」
「では、出発」

 透は車を走らせ、スピードを上げた。ペギーも緊張からか怖がってはいないようだった。少し行くとアリエルがタンタンタンとライフルを撃つ音が聞こえた。

「三人倒れたでござる」




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「おい! 馬車を置いて行けば、命は助けてやる!」
「そんな訳にはいかない、これは我々の研究成果なのだ。なんとしても王都に持っていかねばならないのだ!」
「じゃあ、ここで死ね!」

 そう言って賊は剣を振りかぶる。そこに、

「うぎゃあ」「ぎゃあ」「ぎゃ」

「なんだ? どうした? おいお前ら!」
「隊長! 向こうから変な馬車がすごい勢いでやって来ます。上に乗ってるやつが魔導銃を撃ってきてるようです!」
「なに?」 

 隊長と呼ばれた男はキャラバン隊の後ろの方に目を凝らす。

「何だありゃ?王国の新しい兵器か?まずいな捕まるわけにもいかん、あれを出せ」
「はっ!」

 そう答えた賊の一人が一台の荷車を持ってくる。何やら布に包まれた大きいものを積んでいる。

「よし起動せよ、俺が着る」

 そう言って布を外すとそこには黒い鎧が横たわっていた。手下が何やら呟くと、鎧が青白く光りだし立ち上がった。

「よし入るぜ」

 隊長は鎧に手をかけると自身が青白く光ったかと思うと鎧に吸い込まれるように消えた。

【よし行くぜ、へへへ】

 鎧はウオーミングアップのように腕を回しながら、透たちの車の方に歩いていった。



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「おかしいでござる! なんか黒いものがこっちに向かっているでござるよ」
「なんだあれ?」
「モビルスーツかしら? いや太陽の牙かしらね?」
「ちょいちょい懐かしいなおい! ダ○ラムかよ!」

 アリスからゴーグルをもらって着けているペギーが、

「いや? アレは魔導鎧だ! 帝国の戦闘兵器だぞ、ナンで我が王国にあれがあるのだ!」
「なるほどね、帝国さんやらかし始めてるってことかよ、えっと一旦ストップ。みんな降りて、110式出すわ」

 透たちは車を止め、みんなで降りて車を分解する。そして110式戦車を創り出す。

『ミドリ参上にゃし!』

「あ、みどりちゃんなのです」
「あれ? レッドじゃないのね?」

『ミドリじゃ不満にゃしか?』

「そんなことないけど隊長機じゃないとは」

『いいから乗るにゃし』

 そう言ってミドリはハッチを開け乗り込ませる、アリエルは砲台から体を出し的に狙いをつけている。

「よし行け!」

 ミドリはガタガタとキャタピラを動かしキャラバンに近づいていく。

『来たにゃし! 接敵するにゃし!』

「よし、とりあえず炸裂弾撃ってみるか? ミドリ、てー!」

 ダンと言う衝撃共に、炸裂弾が発射される。

『だんちゃーーく、いまにゃし』

 合図と共に爆発音が響き渡る。砂煙が晴れると、そこにはあの鎧が立っていた、かなりダメージはありそうだが致命的ではないらしい。

「うひゃ、かてーな。ぬー」
「ねえ透、転送って私達にもできるかしら? 隊商を守らないと」
「転送って、スター・ト○ックか! アリス、どうだ?」

 アリスが肩から飛び上がり、宙に浮かび体を輝かせる。

『この距離ならば、2名なら亜空間転移できます』

「じゃあ私とユイちゃんお願いできるかしら?」

『解りました、では行きましょう』

「ではこちら桜、ユイ。ラフォージ転送しろ!」
「ピカードとライカーかよ!ちょいちょい懐かしいの入れて来るけど、普通にいけ! ラフォージいないし、データも居ないぞ」

 ツッコミとともに桜たちはキャラバンと賊の間に転移する。空間の亀裂が広がると共に、ユイが獸化形態で飛び出す。一人ふたりと殴り倒す間に桜はスタン銃をリズミカルに撃っていく。
 またアリエルが遠距離からの支援で敵を一人二人とたおしていく。属の何人かはよろいとともに戦車の方に向かっておりキャラバンの前は数人を残すのみとなった。

「よしこっちも出よう!くっころさんは手下の方を頼んます、俺は鎧をなんとかしてみる!」
「わかった、こっちは任せてもらおう」

 二人を転移させようとアリスが準備していると、戦車に衝撃が走る。

『鎧がエネルギー弾撃ってくるにゃし、この!にゃし!』

 ミドリが炸裂弾撃つ。その隙きに二人は敵のそばに転移する。亀裂が広がると共にペギーが身体強化しながら躍り出る。

「賊よ、我が赤迅の塵となり消えよ!魔導剣技、赤迅雷風!」

 そう叫ぶとペギーは抜刀した剣を横凪の振り払う。すると赤い光を放つ突風が吹き荒れる。賊の手下たちは耐えきれず、風に吹き飛ばされ、鎧だけが微動だにしていなかった。

「くそ、やはりだめか」
「まあ、任せな!」

 亀裂から飛び出た透は宙に浮かんだ格好からライダーキックの姿勢で鎧にぶち当たる。

「超トールキィーーック!」

 なんとも微妙なネーミングである。あたった瞬間衝撃が走る。
 ドガーーーーンと爆発音が起きると鎧が横に吹っ飛んでいた。
 鎧には亀裂が入り、青白い液が流れ出ていたがまだ立ち上がって来ていた。

【クソお、一旦退却だ! 緊急転移魔法陣起動せよ!】

 鎧がそう叫ぶと、賊の腕が全員光りだし、魔法陣が輝き出すかすると気を失っている賊までもが徐々に消えていった。

【覚えてろよ!王国のクソ共めが!】

 そう捨て台詞を残し全員が転移していったのだった。

「ありゃ? いなくなっちまったぞ?」
「やはり帝国のものだったようだ。いったい何の目的だったのだ?」
「あのキャラバンが運んでるのが何なのかだな」

 二人は、戦車と共に、桜たちのもとへと歩いていくのだった。

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