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Prologue Side/透 前編
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時は変わって2018年(平成30年)3月、ここは東北では一番大きい都市某ケヤキの多い都である。
「まずいな…マジで何とかしないと…。」
羽村 透 50歳 彼は従業員3名ほどの会社を経営していたが、震災を境にどんどん仕事が減り、ついに倒産の憂き目にあってしまったのだった。今現状無職なのだがこの歳で就職活動は思っていたより辛く、今日も断られて帰るところだった。
「か~!どっかに金塊でも落ちてないかあ…。」
言い忘れたが、彼はあまりにも倒産のショックが大きくこの歳で厨二病が発症してしまい、ネット小説やラノベが心の友になりつつあった。
そんなことを考えながらトボトボと道を歩いてるとガラスが割れるようなパキっという音が目の前でなった。
「なんだ? ガラス?」
「うわ! 空間が変だぞ? 割れてるみたいだ? これってもしかして、例のあれか?あれなのか?」
普通だったら、そんな奇妙な状態のところに近寄るおっさんはいないのだが、彼は厨二病だった。
ラノベなどでよくある異世界転移はテンプレなのだ。
「うは! やっぱりどこかにつながっているようだ、男は度胸!行ってみるか?!」
あくまでも言い回しがおっさんな厨二病であった。
透は空間の亀裂に足を踏み出すと意気揚々と入っていった。
が、次の瞬間、彼の目の前は光の爆発が起こっていた。逃げるスキもなく彼は光に飲み込まれ、その光が収まった頃には彼の体は胸から下が蒸発していた…。
「マジか、こんなところで死ぬのかよ……もう少し生きていたかったんだけどなあ……」
薄れ行く意識の中で彼の瞳には周りで右往左往している人影だけが見えていた……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『あれ? 生きてる?』
何故か違和感がありながらも意識が戻った透は、周りを確認しようとするのであった。しかし、透には何も見えず、ただ暗闇が広がるだけであった。
『目が動かない!しかもなんか口が動いてる気もしない? なんだこれ?どうなって……』
【目が覚めたようですね、貴方は世界旅行者トラベラーのようです。我々のせいで世界線を超えたらしく、実験兵器の前に出てしまったようなのです。】
『トラベラー? 何それ召喚じゃないの?』
あくまでも厨二病な透である。
【召喚? ではありませんが、私達のせいで貴方は体を無くしてしまいました。今は辛うじて生命維持装置につないで脳の部分だけが生きている状態です。】
『違和感はそれか! チャットで話しているみたいに感じてたのはそういうことなのか?』
【そうですね、今私達は機械を通して会話している状態です。貴方の体をクローニングするにあたって、今の貴方の脳が生きている時間がそう長くないため、途中まで育っている実験筐体に貴方のDNAを転写し、復元させています。申し訳ありませんがそれで許していただけますでしょうか?】
『許すも何も生き返るのならそれで構わないけど、とりあえず、気持ち悪いから早く人間になりたい……。』
あくまでもおっさんである。
【では、これから記憶を筐体に転写します。すぐに馴染んで動けるようになると思いますので、お待ちください。】
その言葉を聞いてすぐ、透は意識を失うのであった。
どのくらい経ったのか定かではないが、透は目を開けた。
「うえッ、きもちわる!」
[覚醒できたようですね、安心しました。いい遅れました、私地球連邦軍立中央研究所 ライアンと申します。]
そう言った彼は、ヨレヨレの白衣を着て、金髪にメガネをかけた、ちゃんとすれば見た目がいいのに、残念な青年だった。
「ライアンさん、はじめまして、羽村です。ここはどこなんですか? 地球連邦?スタトレ? 艦長ドコ?」
[艦長はいませんが、一応私が所長です。ここは世界000 地球暦0125年です。貴方はその格好とDNAを調査したところ世界R0347 だいたい西暦2000年くらいからいらしたのではないでしょうか?]
「律儀にボケに応えていただきましてすいません。その世界なんちゃらっていうのはわからないけど、2018年からは来ましたよ、世界が違うって事はパラレルワールドってこと?これって?」
[そうですね、今現在、こちらで把握できている世界は754あります。世界線を越える技術も確立されています。]
「よかった帰れるのか。うれしい…のか?まあいいか、生きてりゃ。」
[実はそれについて問題が…鏡をご覧になりますか?]
そう言われて、透は起き上がり手術台のようなところから、鏡の前まで来て驚愕する。
「なんじゃこりゃあ!?」
某太陽に吠えちゃうやつの、デニムを履いた刑事のような言葉を吐く透はどこまでいってもおっさんである。
鏡に映った透の姿は筋肉隆々、所謂細マッチョで、身長は175cmほど、そこに中学くらいの透の顔がのっていた。
全然自慢ではないが透は身長167cm、ちょい中年ぶとりのいわゆる小さいおっさんだったのでこの変わり様に驚きを隠せなかった。
「体つきはものすごくありがたいが、なぜ中坊の俺?」
ずり下がったメガネを上げながらライアンは答える。
[転写前にお話しましたが、脳の生存に急を要したため、途中までの体に転写せざるを得なかったのです。]
「なるほど、それはしかたないですよね…して、この体は?」
[ここは軍の研究所でして、使える筐体が軍事用の、しかも実験用のものしかありませんでした。その体は軍事用に筋肉と骨格を強化してあり、通常の人間の5倍づつ、骨と筋肉で5×5で25倍の能力が出せます。そして、最大の特徴は…]
「ええ? すごいな! 25倍ってことはマッハ超えるのか? すご!」
[そうですね、その程度で走ることは可能です。しかし、最大の特徴はそこではありません。今から起動します、左手を出して下さい。]
透は左手をライアンの方へ差し出すと、見慣れない銀色のブレスレットの様なものが左手首についているのに気付いた。
「何これ? あれ? 取りようがないなこれくっついてる!」
[これは各種制御装置です。貴方の羽村さんの全機能を制御します。今から起動しますが、これは貴方の生体エネルギーで動きます。体と同化しているため外せません。そして死なない限り止まりません。]
「なんかこわっ!」
[いえいえ、大丈夫ですよ、あなたをサポートしてくれますから、では起動!]
何やらタッチペンのようなものでそのブレスレットをなぞると数回LEDのような光が点滅した。
ふと透の視界がぶれたように視えたが次の瞬間目の前に一人の少女が現れた、だがよく見ると実像ではなくホログラフィのように視界に浮かんでいるその少女はゆっくりと目を開けた。
『自立学習型戦略補助コミュニケーションデバイス、起動開始。……起動完了、問題ありません、マスター。』
「マスターって? 俺のこと? ていうか何これ? ARってやつか?ヘッドアップディスプレイみたいだな。」
[羽村さんの脳の後ろに有機AIプロセッサーが埋め込まれています。貴方の脳の情報とリンクし解析など自立的に支援します。そして、もう一つ、ナノマシンズ展開!]
『ナノマシンズを確認しました制御します。自動増殖開始。』
通常の人にはわからないが透の視界には極小な光の粒があたり一面に散開していくのがわかった。そして、それは透の体内にも流れていっているようだった。
「何これ?」
『ナノマシンズはこの世界のすべての物質のもとになるものです、何にでも変化することができるエネルギー体です。』
「ん? Machineなのに機械ではないのか?」
『この世界で発見されたエネルギー体なのですが、機械のように我々の技術で制御可能なのでナノマシンズと呼ばれます。』
『ではマスター、いつまでも裸では何なので、服を作ります。A型装備展開!』
「げっ! 確かにそうだ、恥ずかしい! うわっ!」
透の体の周りをナノマシンズの光の渦が取り巻いたかと思った瞬間、透は黒いシングルライダースのような上着とこれもまた黒い革パンのようなパンツそして黒いハーフブーツを着て立っていた。
「びっくりだな、服きちゃったよ! ん? 何だこれ?」
透の腰にホルスターのようなものが回っておりオートマチックの拳銃のグリップとトリガーの部分だけのものが刺さっていた、気になって抜いてみると、やはりバレルやスライド部分が無かった。海外ドラマフリークな透はその銃のようなものを某ジャックさんよろしく両手で構えた瞬間、いきなり銃がカタカタと積み木を重ねていくように形を作り完全な拳銃の形に変わったのだった。
「うわっ! これ何? 撃てんのこれ?」
『スタンモード、貫通モード、エクスプロージョン、の三種類でエネルギー弾を射出します。通常は安全装置により打てませんが、マスターの生体反応を登録していますので、マスターは使うことができます。』
「なんだかSFだなこれ、えっとなんだっけ自立学習なんちゃら、面倒だから、君、今日からアリスね! アリスって呼ぶから反応してね。で、アリス、このナノマシンズはどこでも作ることは可能ですかね?」
『マスターの体内のナノマシンズを使って増殖させることが可能です。しかし、この世界ではすでにナノマシンズは至るところに存在しています。』
「ああ、うん。俺の世界に戻った時の事を考えていたんだけどね。」
と、ここでライアンが口を開いた。
[それなんだが、君のいた世界へ戻すことは可能なのだが、君の見た目を戻すことは難しいんだよ。]
「と言うと?年取るのは普通にということ?なんかここまで成長させたやつでできないの?」
[申し訳ない、記憶を転写したあとに成長加速をさせると記憶に影響を与えてしまうのだ、もう君の本体は亡くなってしまったので君の記憶はその頭にしかないのだ。]
「て言うことは、ここで30年以上過ごせと?」
[それはないよ、実はこの平行世界の時間の流れはみな同じ方向を向いているわけではないのだ、進む速さも違うしね、そこで色々な世界を経由して、君の若い頃の時間軸へ戻そうと思う。]
「その時代の俺はどうなるのかな?」
[問題ない、同位体を見つけたら入れ替わってしまえばいい。入れ替わった方は亜空間で消滅するようにする。]
「うわっ、なんか倫理的にあれだが、まあ俺は俺だからいいのかな?と言うことは、そこからはまた違う世界が生まれるって事になるね。」
[厳密に言えばそうなるがその世界自体は同じものだから未来が変わっただけになるけどね。]
本当は色々な問題があるのだが、厨二病な透はファンタジーの一言ですべてを了承するのであった。
[それで、時間軸と世界移動の調整で半年ほど待っていただけるかな?]
「いいですよ、この体になれたいし、そうだ訓練とか参加させてもらえると嬉しいです!」
[いいですよ、では我々の軍に参加してください。]
そこから彼は軍の新兵訓練に参加し、この世界のすべての格闘術、兵器の使い方をマスターし、正規軍に同行し本物の戦闘も経験したのであった。
ちなみに、アリスは透の体にしかいない、透の体は実験用筐体なので、普通の兵士にはAIは埋め込まれていないのだ。したがって、彼はどの兵士よりも強く確実に戦果を挙げることが出来た。帰る頃には帰らないでくれと懇願されるほどであった。
「まずいな…マジで何とかしないと…。」
羽村 透 50歳 彼は従業員3名ほどの会社を経営していたが、震災を境にどんどん仕事が減り、ついに倒産の憂き目にあってしまったのだった。今現状無職なのだがこの歳で就職活動は思っていたより辛く、今日も断られて帰るところだった。
「か~!どっかに金塊でも落ちてないかあ…。」
言い忘れたが、彼はあまりにも倒産のショックが大きくこの歳で厨二病が発症してしまい、ネット小説やラノベが心の友になりつつあった。
そんなことを考えながらトボトボと道を歩いてるとガラスが割れるようなパキっという音が目の前でなった。
「なんだ? ガラス?」
「うわ! 空間が変だぞ? 割れてるみたいだ? これってもしかして、例のあれか?あれなのか?」
普通だったら、そんな奇妙な状態のところに近寄るおっさんはいないのだが、彼は厨二病だった。
ラノベなどでよくある異世界転移はテンプレなのだ。
「うは! やっぱりどこかにつながっているようだ、男は度胸!行ってみるか?!」
あくまでも言い回しがおっさんな厨二病であった。
透は空間の亀裂に足を踏み出すと意気揚々と入っていった。
が、次の瞬間、彼の目の前は光の爆発が起こっていた。逃げるスキもなく彼は光に飲み込まれ、その光が収まった頃には彼の体は胸から下が蒸発していた…。
「マジか、こんなところで死ぬのかよ……もう少し生きていたかったんだけどなあ……」
薄れ行く意識の中で彼の瞳には周りで右往左往している人影だけが見えていた……。
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『あれ? 生きてる?』
何故か違和感がありながらも意識が戻った透は、周りを確認しようとするのであった。しかし、透には何も見えず、ただ暗闇が広がるだけであった。
『目が動かない!しかもなんか口が動いてる気もしない? なんだこれ?どうなって……』
【目が覚めたようですね、貴方は世界旅行者トラベラーのようです。我々のせいで世界線を超えたらしく、実験兵器の前に出てしまったようなのです。】
『トラベラー? 何それ召喚じゃないの?』
あくまでも厨二病な透である。
【召喚? ではありませんが、私達のせいで貴方は体を無くしてしまいました。今は辛うじて生命維持装置につないで脳の部分だけが生きている状態です。】
『違和感はそれか! チャットで話しているみたいに感じてたのはそういうことなのか?』
【そうですね、今私達は機械を通して会話している状態です。貴方の体をクローニングするにあたって、今の貴方の脳が生きている時間がそう長くないため、途中まで育っている実験筐体に貴方のDNAを転写し、復元させています。申し訳ありませんがそれで許していただけますでしょうか?】
『許すも何も生き返るのならそれで構わないけど、とりあえず、気持ち悪いから早く人間になりたい……。』
あくまでもおっさんである。
【では、これから記憶を筐体に転写します。すぐに馴染んで動けるようになると思いますので、お待ちください。】
その言葉を聞いてすぐ、透は意識を失うのであった。
どのくらい経ったのか定かではないが、透は目を開けた。
「うえッ、きもちわる!」
[覚醒できたようですね、安心しました。いい遅れました、私地球連邦軍立中央研究所 ライアンと申します。]
そう言った彼は、ヨレヨレの白衣を着て、金髪にメガネをかけた、ちゃんとすれば見た目がいいのに、残念な青年だった。
「ライアンさん、はじめまして、羽村です。ここはどこなんですか? 地球連邦?スタトレ? 艦長ドコ?」
[艦長はいませんが、一応私が所長です。ここは世界000 地球暦0125年です。貴方はその格好とDNAを調査したところ世界R0347 だいたい西暦2000年くらいからいらしたのではないでしょうか?]
「律儀にボケに応えていただきましてすいません。その世界なんちゃらっていうのはわからないけど、2018年からは来ましたよ、世界が違うって事はパラレルワールドってこと?これって?」
[そうですね、今現在、こちらで把握できている世界は754あります。世界線を越える技術も確立されています。]
「よかった帰れるのか。うれしい…のか?まあいいか、生きてりゃ。」
[実はそれについて問題が…鏡をご覧になりますか?]
そう言われて、透は起き上がり手術台のようなところから、鏡の前まで来て驚愕する。
「なんじゃこりゃあ!?」
某太陽に吠えちゃうやつの、デニムを履いた刑事のような言葉を吐く透はどこまでいってもおっさんである。
鏡に映った透の姿は筋肉隆々、所謂細マッチョで、身長は175cmほど、そこに中学くらいの透の顔がのっていた。
全然自慢ではないが透は身長167cm、ちょい中年ぶとりのいわゆる小さいおっさんだったのでこの変わり様に驚きを隠せなかった。
「体つきはものすごくありがたいが、なぜ中坊の俺?」
ずり下がったメガネを上げながらライアンは答える。
[転写前にお話しましたが、脳の生存に急を要したため、途中までの体に転写せざるを得なかったのです。]
「なるほど、それはしかたないですよね…して、この体は?」
[ここは軍の研究所でして、使える筐体が軍事用の、しかも実験用のものしかありませんでした。その体は軍事用に筋肉と骨格を強化してあり、通常の人間の5倍づつ、骨と筋肉で5×5で25倍の能力が出せます。そして、最大の特徴は…]
「ええ? すごいな! 25倍ってことはマッハ超えるのか? すご!」
[そうですね、その程度で走ることは可能です。しかし、最大の特徴はそこではありません。今から起動します、左手を出して下さい。]
透は左手をライアンの方へ差し出すと、見慣れない銀色のブレスレットの様なものが左手首についているのに気付いた。
「何これ? あれ? 取りようがないなこれくっついてる!」
[これは各種制御装置です。貴方の羽村さんの全機能を制御します。今から起動しますが、これは貴方の生体エネルギーで動きます。体と同化しているため外せません。そして死なない限り止まりません。]
「なんかこわっ!」
[いえいえ、大丈夫ですよ、あなたをサポートしてくれますから、では起動!]
何やらタッチペンのようなものでそのブレスレットをなぞると数回LEDのような光が点滅した。
ふと透の視界がぶれたように視えたが次の瞬間目の前に一人の少女が現れた、だがよく見ると実像ではなくホログラフィのように視界に浮かんでいるその少女はゆっくりと目を開けた。
『自立学習型戦略補助コミュニケーションデバイス、起動開始。……起動完了、問題ありません、マスター。』
「マスターって? 俺のこと? ていうか何これ? ARってやつか?ヘッドアップディスプレイみたいだな。」
[羽村さんの脳の後ろに有機AIプロセッサーが埋め込まれています。貴方の脳の情報とリンクし解析など自立的に支援します。そして、もう一つ、ナノマシンズ展開!]
『ナノマシンズを確認しました制御します。自動増殖開始。』
通常の人にはわからないが透の視界には極小な光の粒があたり一面に散開していくのがわかった。そして、それは透の体内にも流れていっているようだった。
「何これ?」
『ナノマシンズはこの世界のすべての物質のもとになるものです、何にでも変化することができるエネルギー体です。』
「ん? Machineなのに機械ではないのか?」
『この世界で発見されたエネルギー体なのですが、機械のように我々の技術で制御可能なのでナノマシンズと呼ばれます。』
『ではマスター、いつまでも裸では何なので、服を作ります。A型装備展開!』
「げっ! 確かにそうだ、恥ずかしい! うわっ!」
透の体の周りをナノマシンズの光の渦が取り巻いたかと思った瞬間、透は黒いシングルライダースのような上着とこれもまた黒い革パンのようなパンツそして黒いハーフブーツを着て立っていた。
「びっくりだな、服きちゃったよ! ん? 何だこれ?」
透の腰にホルスターのようなものが回っておりオートマチックの拳銃のグリップとトリガーの部分だけのものが刺さっていた、気になって抜いてみると、やはりバレルやスライド部分が無かった。海外ドラマフリークな透はその銃のようなものを某ジャックさんよろしく両手で構えた瞬間、いきなり銃がカタカタと積み木を重ねていくように形を作り完全な拳銃の形に変わったのだった。
「うわっ! これ何? 撃てんのこれ?」
『スタンモード、貫通モード、エクスプロージョン、の三種類でエネルギー弾を射出します。通常は安全装置により打てませんが、マスターの生体反応を登録していますので、マスターは使うことができます。』
「なんだかSFだなこれ、えっとなんだっけ自立学習なんちゃら、面倒だから、君、今日からアリスね! アリスって呼ぶから反応してね。で、アリス、このナノマシンズはどこでも作ることは可能ですかね?」
『マスターの体内のナノマシンズを使って増殖させることが可能です。しかし、この世界ではすでにナノマシンズは至るところに存在しています。』
「ああ、うん。俺の世界に戻った時の事を考えていたんだけどね。」
と、ここでライアンが口を開いた。
[それなんだが、君のいた世界へ戻すことは可能なのだが、君の見た目を戻すことは難しいんだよ。]
「と言うと?年取るのは普通にということ?なんかここまで成長させたやつでできないの?」
[申し訳ない、記憶を転写したあとに成長加速をさせると記憶に影響を与えてしまうのだ、もう君の本体は亡くなってしまったので君の記憶はその頭にしかないのだ。]
「て言うことは、ここで30年以上過ごせと?」
[それはないよ、実はこの平行世界の時間の流れはみな同じ方向を向いているわけではないのだ、進む速さも違うしね、そこで色々な世界を経由して、君の若い頃の時間軸へ戻そうと思う。]
「その時代の俺はどうなるのかな?」
[問題ない、同位体を見つけたら入れ替わってしまえばいい。入れ替わった方は亜空間で消滅するようにする。]
「うわっ、なんか倫理的にあれだが、まあ俺は俺だからいいのかな?と言うことは、そこからはまた違う世界が生まれるって事になるね。」
[厳密に言えばそうなるがその世界自体は同じものだから未来が変わっただけになるけどね。]
本当は色々な問題があるのだが、厨二病な透はファンタジーの一言ですべてを了承するのであった。
[それで、時間軸と世界移動の調整で半年ほど待っていただけるかな?]
「いいですよ、この体になれたいし、そうだ訓練とか参加させてもらえると嬉しいです!」
[いいですよ、では我々の軍に参加してください。]
そこから彼は軍の新兵訓練に参加し、この世界のすべての格闘術、兵器の使い方をマスターし、正規軍に同行し本物の戦闘も経験したのであった。
ちなみに、アリスは透の体にしかいない、透の体は実験用筐体なので、普通の兵士にはAIは埋め込まれていないのだ。したがって、彼はどの兵士よりも強く確実に戦果を挙げることが出来た。帰る頃には帰らないでくれと懇願されるほどであった。
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