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第2章・・・代償
27話・・・ティアマテッタ3・軍入隊
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ティアマテッタ軍隊試験締め切り後。
十九時。受験者の書類を整理していた事務員が一人ひとり確認していく。
「すごい!ブレイズ・ボールドウィン。彼、火属性ですよ!現在の火属性の方達ってもう上級階級ですし…彼が入ればかなりの戦力ですよ!」
「火属性の受験者は二十八年ぶりかな」
初老の事務員が懐かしそうに言う。
「…え、無属性?!名前は…リアム・ランドルフ。ランドルフって…」
「ほう。ランドルフ…ついに来たか」
「なんか、引き寄せられるものってあるんですかね」
「もしかしたらな」
こうして、入隊希望者の申込期間は終了した。
一か月後に開催される筆記試験、実地試験。そして最終試験のトーナメント戦。
リアム、ブレイズ、そして入隊を目指す猛者達がティアマテッタに集結していた。
そして過去稀に見ぬ波乱が巻き起こる。
翌日
午前六時。ミラはランニングウェアに着替え、ヘスティアと自宅前でストレッチをしていた。
「体力作りは基本です。ミラさんも頑張りましょう」
「はい!よろしくお願いします」
ミラとヘスティアがランニングに行くと、入れ違いでリアムがランニングから戻って来た。ミラ達の後姿を見送る。
「ミラも頑張ってるな…。っし!俺だって」
リアムはタオルで汗を拭くとトレーニングルームに向かう。朝食の時間まで体を追い込む。
リビングではエアルがボール皿を並べテーブルの真ん中にシリアルを置く。牛乳、オレンジジュースは食べる時に冷蔵庫から出せばいい。
「おし。朝ごはんの準備オーケー!」
料理担当のミラも戦えるようにと本格的に訓練が始まった。せめて早朝くらいはご飯当番を変わろうとエアルが名乗り出たが、ヘスティアからの信頼は薄く、作らなくていいから出せば済む物にしろと言われた。
「しばらくはシリアルやパンが多くなりそうだな…。あ、昨日寝落ちして風呂入ってないんだった。ヘスティア達が帰ってくる前にシャワー浴びるか」
ラットプルダウンを使用していたリアムの元に、ヘスティアが訪れる。
「リアムさん。今更ですが…なし崩しにお世話になることになってしまって、すみません」
「いえ、気にしないでください。大きい家だったし、ミラと二人っきりだと、まぁ…」
少し頬を染め、ぽりぽりと掻くリアムに、ヘスティアはクスリと微笑む。
「お礼とはいってはなんですが、リアムさんの特訓にお付き合いしたいのですが」
「え?」
「これでも、固有スキルは発動できます。リアムさんの家系のスキルは全属性のスキル使用可能。それなら、私にも教えられることがあるかもしれません。それに、実践も交えたほうが、もっといい練習になると思いませんか?」
「そうか…なら、お願いします。でもミラの練習は?」
「ミラさんとは午後に特訓をします。午前中は家事を片づけたいのとことなので」
五人となり、各々がリアムの入隊試験に向けてサポートをしている。ミラが家事を担当してくれることに感謝と、任せっぱなしにしてしまう事に少し罪悪感を覚えた。
ミラが一階のシャワー、ヘスティアが二階のシャワールームを使うというので、リアムはガレージにあった水道にホースを挿して水浴びで済ませた。
リビングに戻ろうとしたら、洗面所からミラが出てきて鉢合わせする。
「あ、おはよう!リアム。リアムも特訓?」
「…はよ。まぁ、そうだな」
リアムは視線をぎごちなく逸らすと、さっさと行ってしまう。
ブレイズとの一件があってから、リアムの様子が可笑しくなったのは、一目瞭然だった。ミラの事が嫌で避けているとかではなく、自分から自爆告白したことが恥ずかしいのか、兎に角ミラと二人でいることを避けようとして、気まずさをリアムは漂わせていた。
エアル達からはやし立て過ぎたと謝られたが、別にミラは怒っていなかった。寧ろ、一瞬でもブレイズの言葉を信じそうになった自分が嫌になった。
そりゃ、いつかリアムと恋人になれたらそれはとても嬉しい事だ。でも、冷静に考えれば自分だってリアムは私を選んでくれると高を括っていたかもしれない。自然と両想いで、告白しなかったのも自分で言わなかっただけだ。
(私はリアムの隣に立っていたい。何があっても味方でいたい、信じる。力になりたい)
そしていつか、自信を持って、胸を張ってリアムが好きだと伝えるんだ。
だからそれまでは。
ミラの芯になる正義と正しさが、ピンと糸を張る。
「リアム、どうしたの…?」
すぐに後を追いかけたミラが、硬直するリアムの後ろから見えた光景に激昂する。
「ちょっと!最低!エアル兄!!パンツ一丁のままソファで寝ないでよ!」
あまりの光景に言葉を失っていたリアムがミラの声に我に返り怒り出す。
「しかも髪乾かしてないし…ソファダメにしたら弁償させるぞ!てか服を着ろ!」
リアムとミラの声にエアルが目を覚ます。
「んあ?あぁスマン…」
エアルは謝ると、欠伸をしながらトボトボと自室に戻っていく。
「もぉ!エマ姉の弟のはずなのになんであぁなのかなぁ?!」
「あんま怒るなって」
リアムも心当たりがない訳でもないので、あまり強くは出られない。
「おはよ~」
「マノン、おはよ…て、マノン!なんて恰好で下りてきたの!」
「ふぁ?」
マノンの姿を見たリアムは、即座に背を向けた。
マノンはナイトブラとパンツスタイルで寝室から降りて来たらしい。しかも寝ぼけている。
「ほら、ルームウェア着ておいで?」
「はっは~ん、わらったぞぉ!タダ見はいひぇないよ~りあむぅ?いくらわたしが魅力的なからららとしてもだよ~?お金とるおぉ!」
マノン的には、妖艶に笑ったつもりなのだろうが、リアム達から見ると、魔女が悪巧みしたときの不気味な笑みだ。理想と現実は違う。残酷だ。
「それ言うなら、身体が寸動だけど金取るぞだろ…」リアムが呆れながら言う。
「ばぁああ???」
「寧ろ見せつけられてしまった俺に金を払え」
「なんだとぉ!」
「あ~あ~、もう!いいからいいから!部屋行こう!」
寝起きのマノンを押して、ミラは部屋へ向かう。寝ているマノンの寝言が不気味なのは知っていたが、慣れてくると寝ぼけていると酔っ払いみないな絡み方をするとは予想だにしていなかった。
「これはちゃんとルール作らないと…めちゃくちゃになる、崩壊する…!」
ミラは折角ランドルフ夫妻が残した家を、なるべく綺麗に使い住みたかった。
「へへぁ~」マノンがなんか嬉しそうに笑う。
「ヘスティアさんだけかな…しっかりしてる人」
ルールを決める時は、ヘスティアに相談しようと心に決めた。
ようやく目が冴えた五人が揃い、朝食を囲む。
「リアム。よかったら剣術と銃のトレーニング付き合おうか?実践で動いた方が体も鈍らないだろうし、これでも警察勤めで鍛えられた感覚を覚えてるんでね」
「助かる。是非お願いするよ」
それを見ていたマノンが、シリアルを頬張りながら、口の中を見せないようにしつつ、モゴモゴと言う。
「わたしも、てつだう」
「いらん」
「え~?きゅるん」猫の手にした両手で顎を隠しぶりっこのポーズをする。
「はは!そう言うなって、リアム。過去の入試試験を見たが、最終試験は毎年バトルロイヤル式だ。人数は多い方がいいし、色んな属性に対応と対抗する知識を付けておいたほうがいいだろう。ヘスティアも手伝ってくれ」
「わかりました」食べ終わったヘスティアがナプキンで口元を拭く。
エアルも食べ終わり、自分の食器を片づけるついでにヘスティアの食器も持っていく。
「試験までに固有スキルを発動させたい。それだけでもかなり有利だ。全属性のスキル使用可能…いいな。水属性のアイズなんか発動できたら、覗き放題だ」
女性陣(特にヘスティアからの)のゴミ虫を見るような視線が痛い程刺さる。
「じょ、冗談でっせ、レディ達…。水属性と言えば、マノンもそうだろ?リアムに付き合うついでにクラス上げも目指したらどうだ?スキル、発動するかもしれないぞ」
「アイズって…視力が強化されるんだよね?」
「あぁ。訓練次第では二キロ先まで見える。スナイパーライフルと一緒に使えば遠距離攻撃がかなり有利になるぞ」
「スナイパーライフルかぁ」
マノンはリアムとミラの食器も一緒に片づけると、エアルに渡す。全員の食器が揃うと、エアルは洗い出す。
「マノンはスナイパーライフル使ったことはあるのか?」
「ううん。孤児院にいた頃は小型銃と、剣術と体術の基本くらいしか…。私は伸びしろあったほうだったから、他の皆よりは目掛けてもらっていたけど。あ、でもヴェネトラでガトリングぶっ放したときはか・い・か・ん♡でしたぁ」
エアルから受け取った皿をマノンが拭いていく。
「ふむ。お前の快感は兎も角、ここなら銃の種類もある程度揃っているから、興味あるなら教えるぞ」
「あ、ありがとう」
エアルの急な申し出に、マノンはちょっとたじろいだ。
朝食を終え、公園に移動したリアムはヘスティアと対面し、マノンはブランコに座って小さく漕いでいた。
「よろしくお願いします」
「はい。では、固有スキルの発動条件…だと思われる現象といいますか。それはエアルからも聞いているでしょうが、極限に追い込まれた時です。これは私も同じです。一年程前ですかね…」
約一年前。まだエアルとヘスティアが黄昏の正義を追っていた頃だ。嗅ぎ回っていることがバレ、警官の皮を被った黄昏から逃げていた。警察という立場を利用し、無駄に騒ぎ住民達を不安に陥れ、二人を精神的にも追いつめる。捕まったら殺害される可能性、犯人と信じ軽蔑と差別意識が混じる住民の視線。
ヘスティアは追い詰められていく間に、過去のことを思い出す。愛する兄・エルドを罵倒する国民の声。長兄に腹を斬られ川へ捨てられたこと。そして信じていた妹が自分を憎んでいたことを。
気が付くと目の前が真っ白になり、意識がハッキリと戻った時には、エアルが心配そうに顔を覗き込んでいた。周りは住宅街ではなく人気の無い海沿いだった。黄昏の正義も、住民もいない。どうやって逃げたのか聞いても、お前のお陰だとエアルに言われた。最初こそ理解できなかったが、この時こそ、ヘスティアが火属性固有スキル・ブーストを使えるようになった瞬間だった。
「私個人の考えでは、エアルの言い分も合わせると、肉体的よりかは精神的に追い込まれた方が発動しやすいかもしれません。なので、今からリアムさんには私達が敵になってしまった、という設定で手合わせをしてもらいます」
「私達って」
「マノンにも手伝ってもらいます」
「え?!ヤだよ、私見学だし、帰りに駄菓子屋さん寄るつもりで来たんだよ」
コイツ精神年齢いくつだよ、と内心リアムが思う。
「マノン。手伝ってくれたら、貴女が憧れて行ってみたいと言っていた、高級エステに連れていくと約束しましょう」
「ティアお姉様、私は貴女の僕です。なんなりとご命令を」
マノンはヘスティアに片膝を尽き、手を差し伸べ忠誠を誓う。
「現金な奴だな…」
「なんとでも云え!私はティア姉様の忠実なる僕だぞ」
リアムは嫌そうな顔をしながらマノンを見た。
「試験を控える身。問題を起こしてはご法度。銃は厳禁。体術のみでいきます!」
「はい!」
リアムが構える数秒の間に、ヘスティアは一気に距離を詰め、顔面に蹴りを入れてくる。リアムは腕で防御するが、力が強い。
「くっ!」
「オラァ!」
後ろからマノンが追撃する。足蹴りをかわすと今度は右ストレートが飛んでくる。拳を叩き、マノンの左腕を捕まえると、リアムは思い切りぶん回し、マノンを放り投げた。
「ギャー!」
「甘い!」ヘスティアの連続攻撃がリアムを襲う。
(クソ!手も足も出ねぇ!)
「リアム!女だから、子供だから、さっきまで仲間だから。そんな心の隙と弱さが貴方を更に弱くさせる!これから貴方は、敵が女でも子供でも銃を向けることになる!常に仲間を疑い、何で味方に裏切られるか、いつ命を狙われるか解らない場所へと足を踏み入れるのです!それ相応の覚悟をなさい!貴方の正義を貫きなさい!軸をぶらすな!それが出来ないなら入隊など止めろ!ミラを守りたいなど、二度と生ぬるい事を考えるな!」
「覚悟の足りない男で、悪かったなぁ!!!」
リアムは防御を止め、ヘスティアのストレートパンチをかわし、逆にパンチを食らわせようとするが、ヘスティアに間一髪で避けられてしまった。だが、髪の毛一本は掠った。
そのまま出した拳を引かず、アッパーをヘスティアにかます。
「っう!」
咽かえるヘスティアを気にも留めず、リアムが殴りかかろうとしたとき、マノンが背後から蹴りかかり、リアムを押し倒すと首をガチで〆てくる。
「テメッ!」
「ティア姉のためだもんねぇ!」
リアムが立ち上がり、マノンの足を掴み逃げられないようにし、圧し掛かってやろうとした時だった。
「こら!君達!喧嘩は止めなさい!」
ティアマテッタ軍警察部の人間が二人現れリアム達の仲裁に入る。三人は思わず、ポカンとした。そして思い出す。ここが一般の公園だったという事を。
「すみません…。一市民の方達も利用する公園だとつい忘れていました…。本来、あそこは子供達の遊び場で憩いの場。朝とはいえ、私達の特訓は傍から見れば乱闘ですね」
ヘスティアは落ち込みながら、駄菓子屋の横にあるベンチに座り、ラムネソーダを飲む。
「いえ、うっかりしていたのは俺もです。でも、そのお蔭で利用できる施設教えてもらえてよかったじゃないですか」
警官から注意された後、世間話になりリアムが入隊試験者であることを知った警官の一人が、訓練できる施設をいくつか紹介してくれたのだ。
マノンは駄菓子を食べながら、もうすでに何人かの子供達を手下にしたのか、集めてシャボン玉を飛ばし、遊んでいる。子供達が嬉しそうにシャボン玉を追いかける。
「私達では、窮地に陥れることはできませんでしたね」
ヘスティアが冗談っぽく笑う。
「いえ…女性や子供を相手にするの、怖くて…でも、その覚悟も必要なんだって腹くくりました。あの、俺怖いんです。ティアマテッタ軍に入隊する理由は両親と、ミラの家族の仇を取る復讐のためだったのに、今じゃ皆と一緒に戦いたいとか、守りたいとか。本来の目的がブレブレで。絆されるというか、復讐心が薄れてくっつうか。両親を殺した犯人を殺したいくらい憎いはずなのに。皆といると、こんな日常が続けばいいなって。それが続くように軍へ入ろうかなって、考えが変りそうで、俺」
相当悩んでいたのだろう。険しい表情の中に複雑な感情が混ざっていた。それを、ヘスティアは微笑み、受け止めた。
「…リアムの本心が聞けてよかった。きっと、兄も追放された後、出会った人達がリアム達のような人だったら、復讐心も薄れていったのかしら」
「ヘスティアさん…?」
「生きていれば目標や夢が変わることなんて沢山ありますよ。傷が癒えていこうとするのを、わざと抉って深くする必要はないです。無理して傷跡を消そうとする必要もない。今、リアムが入隊したい理由がブレているのは良い兆候なのかも」
「そう、なんですかね」
そよ風が吹き、ヘスティアの髪を撫でていく。マノンが作った紙飛行機が高く上昇するのが見える。
「復讐や、守りたい人達の先に何があるのか。ジョンさんがアマルティアと言ったということは、ご両親はアマルティア関係に殺害された可能性が高い。道は違っても、それが解っていれば、いつかリアムの成し遂げたいことに辿り着くかも」
それを聞いたリアムは、快晴な空をぼんやりと眺めた。
復讐を成し遂げても、守りたい人達を守ろうとする先…どちらにも、必ずミラがいる。皆がいる。復讐も、守ることも、どっちを選んでも、必ずもう片方とぶつかるのは確かだ。
復讐すればもうミラやマノン達のように悲しむ人達を減らせるかもしれない。守ろうとすれば、いつか犯人と必ず戦うことになる。
ヘスティアの言うことは、確かに合っている気がした。
「俺、必ず入隊します」
「そのためなら、私も協力は惜しみません。明日は施設を借りて、より本格的な実践をしましょう」
「はい」リアムは穏やかに微笑んだ。
午前の長閑な時間がゆっくりと過ぎていく。
自宅に戻って来た三人は、汗だくだった。いくら駄菓子屋で涼んだといっても、汗のにおいは気になるし、流れるものは流れる。
「私シャワー浴びてくる!」
「では私も。リアムさんもシャワーを使うのでしたら、私はマノンと一緒に入りますが」
「いえ、俺は二人が終わった後で大丈夫です」
「ごめんなさい、先に使わせてもらって。すぐ済ませますから」
そう言うと、ヘスティアは二階のシャワールームへ向かった。
リビングでは、ミラが昼食作りの真っ最中だった。
「悪いな、ミラ。飯作りありがとう」
「気にしないで。リアムには一ヶ月間、集中してほしいからね!」
リビングがやけに静かなので見渡すと、エアルの姿が無かった。
「エアル兄は?」
「んー?なんか用があるとかなんとか、リアム達の後追うように出ていったよ」
「ティアマテッタで用事ってなんだろう…。もう知り合いでも出来たのかな。まぁ、いっか。なんか手伝うことあるか?」
その時、玄関から「ただいま」と呑気な声が聞こえてくる。噂をすれば、エアルが帰って来たのだ。
「お帰り、エアル兄。どこまで行ってたの?」ミラが訊く。
「マスタング商会ティアマテッタ店までな」
「ティアマテッタにもマスタング商会の支店があるんだな」
リアムが驚く。
「まぁな。だが、支店なだけあって取り寄せ注文だ。やっぱりヴェネトラの本社にはかなわんな」
「注文って?!新しい武器とかか?」リアムが食いつく。
「いや…車のパーツ?」
リアムとミラの、冷たい視線がエアルに刺さる。二人はそのまま無言でテーブルに着くと、ミラが淹れて持ってきたアイスティーを飲み始めた。
「あの、ミラ~?俺にもコーヒー…あ、はい。自分で淹れます」
もう、車関係の話題は秘密にしようと心に誓ったエアルであった。
十九時。受験者の書類を整理していた事務員が一人ひとり確認していく。
「すごい!ブレイズ・ボールドウィン。彼、火属性ですよ!現在の火属性の方達ってもう上級階級ですし…彼が入ればかなりの戦力ですよ!」
「火属性の受験者は二十八年ぶりかな」
初老の事務員が懐かしそうに言う。
「…え、無属性?!名前は…リアム・ランドルフ。ランドルフって…」
「ほう。ランドルフ…ついに来たか」
「なんか、引き寄せられるものってあるんですかね」
「もしかしたらな」
こうして、入隊希望者の申込期間は終了した。
一か月後に開催される筆記試験、実地試験。そして最終試験のトーナメント戦。
リアム、ブレイズ、そして入隊を目指す猛者達がティアマテッタに集結していた。
そして過去稀に見ぬ波乱が巻き起こる。
翌日
午前六時。ミラはランニングウェアに着替え、ヘスティアと自宅前でストレッチをしていた。
「体力作りは基本です。ミラさんも頑張りましょう」
「はい!よろしくお願いします」
ミラとヘスティアがランニングに行くと、入れ違いでリアムがランニングから戻って来た。ミラ達の後姿を見送る。
「ミラも頑張ってるな…。っし!俺だって」
リアムはタオルで汗を拭くとトレーニングルームに向かう。朝食の時間まで体を追い込む。
リビングではエアルがボール皿を並べテーブルの真ん中にシリアルを置く。牛乳、オレンジジュースは食べる時に冷蔵庫から出せばいい。
「おし。朝ごはんの準備オーケー!」
料理担当のミラも戦えるようにと本格的に訓練が始まった。せめて早朝くらいはご飯当番を変わろうとエアルが名乗り出たが、ヘスティアからの信頼は薄く、作らなくていいから出せば済む物にしろと言われた。
「しばらくはシリアルやパンが多くなりそうだな…。あ、昨日寝落ちして風呂入ってないんだった。ヘスティア達が帰ってくる前にシャワー浴びるか」
ラットプルダウンを使用していたリアムの元に、ヘスティアが訪れる。
「リアムさん。今更ですが…なし崩しにお世話になることになってしまって、すみません」
「いえ、気にしないでください。大きい家だったし、ミラと二人っきりだと、まぁ…」
少し頬を染め、ぽりぽりと掻くリアムに、ヘスティアはクスリと微笑む。
「お礼とはいってはなんですが、リアムさんの特訓にお付き合いしたいのですが」
「え?」
「これでも、固有スキルは発動できます。リアムさんの家系のスキルは全属性のスキル使用可能。それなら、私にも教えられることがあるかもしれません。それに、実践も交えたほうが、もっといい練習になると思いませんか?」
「そうか…なら、お願いします。でもミラの練習は?」
「ミラさんとは午後に特訓をします。午前中は家事を片づけたいのとことなので」
五人となり、各々がリアムの入隊試験に向けてサポートをしている。ミラが家事を担当してくれることに感謝と、任せっぱなしにしてしまう事に少し罪悪感を覚えた。
ミラが一階のシャワー、ヘスティアが二階のシャワールームを使うというので、リアムはガレージにあった水道にホースを挿して水浴びで済ませた。
リビングに戻ろうとしたら、洗面所からミラが出てきて鉢合わせする。
「あ、おはよう!リアム。リアムも特訓?」
「…はよ。まぁ、そうだな」
リアムは視線をぎごちなく逸らすと、さっさと行ってしまう。
ブレイズとの一件があってから、リアムの様子が可笑しくなったのは、一目瞭然だった。ミラの事が嫌で避けているとかではなく、自分から自爆告白したことが恥ずかしいのか、兎に角ミラと二人でいることを避けようとして、気まずさをリアムは漂わせていた。
エアル達からはやし立て過ぎたと謝られたが、別にミラは怒っていなかった。寧ろ、一瞬でもブレイズの言葉を信じそうになった自分が嫌になった。
そりゃ、いつかリアムと恋人になれたらそれはとても嬉しい事だ。でも、冷静に考えれば自分だってリアムは私を選んでくれると高を括っていたかもしれない。自然と両想いで、告白しなかったのも自分で言わなかっただけだ。
(私はリアムの隣に立っていたい。何があっても味方でいたい、信じる。力になりたい)
そしていつか、自信を持って、胸を張ってリアムが好きだと伝えるんだ。
だからそれまでは。
ミラの芯になる正義と正しさが、ピンと糸を張る。
「リアム、どうしたの…?」
すぐに後を追いかけたミラが、硬直するリアムの後ろから見えた光景に激昂する。
「ちょっと!最低!エアル兄!!パンツ一丁のままソファで寝ないでよ!」
あまりの光景に言葉を失っていたリアムがミラの声に我に返り怒り出す。
「しかも髪乾かしてないし…ソファダメにしたら弁償させるぞ!てか服を着ろ!」
リアムとミラの声にエアルが目を覚ます。
「んあ?あぁスマン…」
エアルは謝ると、欠伸をしながらトボトボと自室に戻っていく。
「もぉ!エマ姉の弟のはずなのになんであぁなのかなぁ?!」
「あんま怒るなって」
リアムも心当たりがない訳でもないので、あまり強くは出られない。
「おはよ~」
「マノン、おはよ…て、マノン!なんて恰好で下りてきたの!」
「ふぁ?」
マノンの姿を見たリアムは、即座に背を向けた。
マノンはナイトブラとパンツスタイルで寝室から降りて来たらしい。しかも寝ぼけている。
「ほら、ルームウェア着ておいで?」
「はっは~ん、わらったぞぉ!タダ見はいひぇないよ~りあむぅ?いくらわたしが魅力的なからららとしてもだよ~?お金とるおぉ!」
マノン的には、妖艶に笑ったつもりなのだろうが、リアム達から見ると、魔女が悪巧みしたときの不気味な笑みだ。理想と現実は違う。残酷だ。
「それ言うなら、身体が寸動だけど金取るぞだろ…」リアムが呆れながら言う。
「ばぁああ???」
「寧ろ見せつけられてしまった俺に金を払え」
「なんだとぉ!」
「あ~あ~、もう!いいからいいから!部屋行こう!」
寝起きのマノンを押して、ミラは部屋へ向かう。寝ているマノンの寝言が不気味なのは知っていたが、慣れてくると寝ぼけていると酔っ払いみないな絡み方をするとは予想だにしていなかった。
「これはちゃんとルール作らないと…めちゃくちゃになる、崩壊する…!」
ミラは折角ランドルフ夫妻が残した家を、なるべく綺麗に使い住みたかった。
「へへぁ~」マノンがなんか嬉しそうに笑う。
「ヘスティアさんだけかな…しっかりしてる人」
ルールを決める時は、ヘスティアに相談しようと心に決めた。
ようやく目が冴えた五人が揃い、朝食を囲む。
「リアム。よかったら剣術と銃のトレーニング付き合おうか?実践で動いた方が体も鈍らないだろうし、これでも警察勤めで鍛えられた感覚を覚えてるんでね」
「助かる。是非お願いするよ」
それを見ていたマノンが、シリアルを頬張りながら、口の中を見せないようにしつつ、モゴモゴと言う。
「わたしも、てつだう」
「いらん」
「え~?きゅるん」猫の手にした両手で顎を隠しぶりっこのポーズをする。
「はは!そう言うなって、リアム。過去の入試試験を見たが、最終試験は毎年バトルロイヤル式だ。人数は多い方がいいし、色んな属性に対応と対抗する知識を付けておいたほうがいいだろう。ヘスティアも手伝ってくれ」
「わかりました」食べ終わったヘスティアがナプキンで口元を拭く。
エアルも食べ終わり、自分の食器を片づけるついでにヘスティアの食器も持っていく。
「試験までに固有スキルを発動させたい。それだけでもかなり有利だ。全属性のスキル使用可能…いいな。水属性のアイズなんか発動できたら、覗き放題だ」
女性陣(特にヘスティアからの)のゴミ虫を見るような視線が痛い程刺さる。
「じょ、冗談でっせ、レディ達…。水属性と言えば、マノンもそうだろ?リアムに付き合うついでにクラス上げも目指したらどうだ?スキル、発動するかもしれないぞ」
「アイズって…視力が強化されるんだよね?」
「あぁ。訓練次第では二キロ先まで見える。スナイパーライフルと一緒に使えば遠距離攻撃がかなり有利になるぞ」
「スナイパーライフルかぁ」
マノンはリアムとミラの食器も一緒に片づけると、エアルに渡す。全員の食器が揃うと、エアルは洗い出す。
「マノンはスナイパーライフル使ったことはあるのか?」
「ううん。孤児院にいた頃は小型銃と、剣術と体術の基本くらいしか…。私は伸びしろあったほうだったから、他の皆よりは目掛けてもらっていたけど。あ、でもヴェネトラでガトリングぶっ放したときはか・い・か・ん♡でしたぁ」
エアルから受け取った皿をマノンが拭いていく。
「ふむ。お前の快感は兎も角、ここなら銃の種類もある程度揃っているから、興味あるなら教えるぞ」
「あ、ありがとう」
エアルの急な申し出に、マノンはちょっとたじろいだ。
朝食を終え、公園に移動したリアムはヘスティアと対面し、マノンはブランコに座って小さく漕いでいた。
「よろしくお願いします」
「はい。では、固有スキルの発動条件…だと思われる現象といいますか。それはエアルからも聞いているでしょうが、極限に追い込まれた時です。これは私も同じです。一年程前ですかね…」
約一年前。まだエアルとヘスティアが黄昏の正義を追っていた頃だ。嗅ぎ回っていることがバレ、警官の皮を被った黄昏から逃げていた。警察という立場を利用し、無駄に騒ぎ住民達を不安に陥れ、二人を精神的にも追いつめる。捕まったら殺害される可能性、犯人と信じ軽蔑と差別意識が混じる住民の視線。
ヘスティアは追い詰められていく間に、過去のことを思い出す。愛する兄・エルドを罵倒する国民の声。長兄に腹を斬られ川へ捨てられたこと。そして信じていた妹が自分を憎んでいたことを。
気が付くと目の前が真っ白になり、意識がハッキリと戻った時には、エアルが心配そうに顔を覗き込んでいた。周りは住宅街ではなく人気の無い海沿いだった。黄昏の正義も、住民もいない。どうやって逃げたのか聞いても、お前のお陰だとエアルに言われた。最初こそ理解できなかったが、この時こそ、ヘスティアが火属性固有スキル・ブーストを使えるようになった瞬間だった。
「私個人の考えでは、エアルの言い分も合わせると、肉体的よりかは精神的に追い込まれた方が発動しやすいかもしれません。なので、今からリアムさんには私達が敵になってしまった、という設定で手合わせをしてもらいます」
「私達って」
「マノンにも手伝ってもらいます」
「え?!ヤだよ、私見学だし、帰りに駄菓子屋さん寄るつもりで来たんだよ」
コイツ精神年齢いくつだよ、と内心リアムが思う。
「マノン。手伝ってくれたら、貴女が憧れて行ってみたいと言っていた、高級エステに連れていくと約束しましょう」
「ティアお姉様、私は貴女の僕です。なんなりとご命令を」
マノンはヘスティアに片膝を尽き、手を差し伸べ忠誠を誓う。
「現金な奴だな…」
「なんとでも云え!私はティア姉様の忠実なる僕だぞ」
リアムは嫌そうな顔をしながらマノンを見た。
「試験を控える身。問題を起こしてはご法度。銃は厳禁。体術のみでいきます!」
「はい!」
リアムが構える数秒の間に、ヘスティアは一気に距離を詰め、顔面に蹴りを入れてくる。リアムは腕で防御するが、力が強い。
「くっ!」
「オラァ!」
後ろからマノンが追撃する。足蹴りをかわすと今度は右ストレートが飛んでくる。拳を叩き、マノンの左腕を捕まえると、リアムは思い切りぶん回し、マノンを放り投げた。
「ギャー!」
「甘い!」ヘスティアの連続攻撃がリアムを襲う。
(クソ!手も足も出ねぇ!)
「リアム!女だから、子供だから、さっきまで仲間だから。そんな心の隙と弱さが貴方を更に弱くさせる!これから貴方は、敵が女でも子供でも銃を向けることになる!常に仲間を疑い、何で味方に裏切られるか、いつ命を狙われるか解らない場所へと足を踏み入れるのです!それ相応の覚悟をなさい!貴方の正義を貫きなさい!軸をぶらすな!それが出来ないなら入隊など止めろ!ミラを守りたいなど、二度と生ぬるい事を考えるな!」
「覚悟の足りない男で、悪かったなぁ!!!」
リアムは防御を止め、ヘスティアのストレートパンチをかわし、逆にパンチを食らわせようとするが、ヘスティアに間一髪で避けられてしまった。だが、髪の毛一本は掠った。
そのまま出した拳を引かず、アッパーをヘスティアにかます。
「っう!」
咽かえるヘスティアを気にも留めず、リアムが殴りかかろうとしたとき、マノンが背後から蹴りかかり、リアムを押し倒すと首をガチで〆てくる。
「テメッ!」
「ティア姉のためだもんねぇ!」
リアムが立ち上がり、マノンの足を掴み逃げられないようにし、圧し掛かってやろうとした時だった。
「こら!君達!喧嘩は止めなさい!」
ティアマテッタ軍警察部の人間が二人現れリアム達の仲裁に入る。三人は思わず、ポカンとした。そして思い出す。ここが一般の公園だったという事を。
「すみません…。一市民の方達も利用する公園だとつい忘れていました…。本来、あそこは子供達の遊び場で憩いの場。朝とはいえ、私達の特訓は傍から見れば乱闘ですね」
ヘスティアは落ち込みながら、駄菓子屋の横にあるベンチに座り、ラムネソーダを飲む。
「いえ、うっかりしていたのは俺もです。でも、そのお蔭で利用できる施設教えてもらえてよかったじゃないですか」
警官から注意された後、世間話になりリアムが入隊試験者であることを知った警官の一人が、訓練できる施設をいくつか紹介してくれたのだ。
マノンは駄菓子を食べながら、もうすでに何人かの子供達を手下にしたのか、集めてシャボン玉を飛ばし、遊んでいる。子供達が嬉しそうにシャボン玉を追いかける。
「私達では、窮地に陥れることはできませんでしたね」
ヘスティアが冗談っぽく笑う。
「いえ…女性や子供を相手にするの、怖くて…でも、その覚悟も必要なんだって腹くくりました。あの、俺怖いんです。ティアマテッタ軍に入隊する理由は両親と、ミラの家族の仇を取る復讐のためだったのに、今じゃ皆と一緒に戦いたいとか、守りたいとか。本来の目的がブレブレで。絆されるというか、復讐心が薄れてくっつうか。両親を殺した犯人を殺したいくらい憎いはずなのに。皆といると、こんな日常が続けばいいなって。それが続くように軍へ入ろうかなって、考えが変りそうで、俺」
相当悩んでいたのだろう。険しい表情の中に複雑な感情が混ざっていた。それを、ヘスティアは微笑み、受け止めた。
「…リアムの本心が聞けてよかった。きっと、兄も追放された後、出会った人達がリアム達のような人だったら、復讐心も薄れていったのかしら」
「ヘスティアさん…?」
「生きていれば目標や夢が変わることなんて沢山ありますよ。傷が癒えていこうとするのを、わざと抉って深くする必要はないです。無理して傷跡を消そうとする必要もない。今、リアムが入隊したい理由がブレているのは良い兆候なのかも」
「そう、なんですかね」
そよ風が吹き、ヘスティアの髪を撫でていく。マノンが作った紙飛行機が高く上昇するのが見える。
「復讐や、守りたい人達の先に何があるのか。ジョンさんがアマルティアと言ったということは、ご両親はアマルティア関係に殺害された可能性が高い。道は違っても、それが解っていれば、いつかリアムの成し遂げたいことに辿り着くかも」
それを聞いたリアムは、快晴な空をぼんやりと眺めた。
復讐を成し遂げても、守りたい人達を守ろうとする先…どちらにも、必ずミラがいる。皆がいる。復讐も、守ることも、どっちを選んでも、必ずもう片方とぶつかるのは確かだ。
復讐すればもうミラやマノン達のように悲しむ人達を減らせるかもしれない。守ろうとすれば、いつか犯人と必ず戦うことになる。
ヘスティアの言うことは、確かに合っている気がした。
「俺、必ず入隊します」
「そのためなら、私も協力は惜しみません。明日は施設を借りて、より本格的な実践をしましょう」
「はい」リアムは穏やかに微笑んだ。
午前の長閑な時間がゆっくりと過ぎていく。
自宅に戻って来た三人は、汗だくだった。いくら駄菓子屋で涼んだといっても、汗のにおいは気になるし、流れるものは流れる。
「私シャワー浴びてくる!」
「では私も。リアムさんもシャワーを使うのでしたら、私はマノンと一緒に入りますが」
「いえ、俺は二人が終わった後で大丈夫です」
「ごめんなさい、先に使わせてもらって。すぐ済ませますから」
そう言うと、ヘスティアは二階のシャワールームへ向かった。
リビングでは、ミラが昼食作りの真っ最中だった。
「悪いな、ミラ。飯作りありがとう」
「気にしないで。リアムには一ヶ月間、集中してほしいからね!」
リビングがやけに静かなので見渡すと、エアルの姿が無かった。
「エアル兄は?」
「んー?なんか用があるとかなんとか、リアム達の後追うように出ていったよ」
「ティアマテッタで用事ってなんだろう…。もう知り合いでも出来たのかな。まぁ、いっか。なんか手伝うことあるか?」
その時、玄関から「ただいま」と呑気な声が聞こえてくる。噂をすれば、エアルが帰って来たのだ。
「お帰り、エアル兄。どこまで行ってたの?」ミラが訊く。
「マスタング商会ティアマテッタ店までな」
「ティアマテッタにもマスタング商会の支店があるんだな」
リアムが驚く。
「まぁな。だが、支店なだけあって取り寄せ注文だ。やっぱりヴェネトラの本社にはかなわんな」
「注文って?!新しい武器とかか?」リアムが食いつく。
「いや…車のパーツ?」
リアムとミラの、冷たい視線がエアルに刺さる。二人はそのまま無言でテーブルに着くと、ミラが淹れて持ってきたアイスティーを飲み始めた。
「あの、ミラ~?俺にもコーヒー…あ、はい。自分で淹れます」
もう、車関係の話題は秘密にしようと心に誓ったエアルであった。
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