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「タール様。何をなさるおつもりで?」
「…なんで急に敬語になった。まぁそんなことはどうでもいい。」
どうでもいいのかよ…
なら言うな
そうツッコミたいのは私だけなのか?
「シュルク。これ読んでみろ。」
そう言ってタール様は私に1冊の分厚い本を渡した。
失礼ですねこの王子
私が読み書き出来ないと思っているの?
天才を見くびらないでほしいわ
私はその本を開いて黙々と読んだ。
「やっぱ…読めるよね。」
「えぇ。読み書きはできますのよ?」
「……え?」
「読み書きは出来ますのよ?」
「…シュルク。その本の題名読んでみて。」
「えっと~"超級魔法大百科~上級者向け~"…え?」
私はその本の題名を読んで思わず固まった。
「それは上級者向けの本。大体の人は読めないんだけど…」
「私は…読めた。」
「これがどういう意味が分かる?」
「分かんない!!」
私は子供らしく無邪気に笑った。
「…シュルクは本当に天才だったんだよ。僕だって3年かけてやっと読めるようになったのに…」
そうだった
私とタール様は3歳しか違わない
すっかりお兄ちゃんだと思い込んでいた
「シュルクは魔法について何も勉強してないんだよね?」
「うん!!魔法の存在すら知らなかった!!馬車って何?お城って?」
「そっから!?」
「…お父様何も教えてくれないんだもん。お家から森までしか行っちゃいけないし…絶対に森には入っちゃいけない。入るとしたら騎士が5人ぐらい付いていないとダメだって…」
「わー過保護ー(棒)」
タール様…それは同感ですわ
「…お花摘みたかったのに…」
「今度行こっか。森。多分…ムーブの森だろうから。」
「いいの!?」
私はタール様に抱きついた。
「嬉しい!!」
「…そういえばシュルク。お昼寝は?疲れたでしょ?」
「…疲れた…けど寝たくない。遊びたい…」
「…起きたら遊んであげるから。ほら寝よう?」
「ふぁい…」
タール様は私を抱き上げベットに寝かせた。
「タール様の匂いがする~」
「…僕のベットだもんね。」
「タール様の…フカフカ…いい匂い…」
私は枕をギュッと抱きしめた。
「…軽く枕に嫉妬した。」
「タール様…」
私はタール様を手招きした。
「ぎゅー…」
私はベットについたタール様の手を抱きしめた。
「…ふぁ。天国…」
「タール様も…おやすみするの~」
私はグイグイと引っ張ってタール様をベットに乗せようとした。
「僕も!?」
「…ぎゅー…おねむ~」
私が諦めず引っ張っていると…遂にタール様が折れた。
「ちょっとだけだよ?」
「わーい。」
私はベットに入ってきたタール様に抱きついた。
「おやすみなさいぃ…」
「おやすみ。」
タール様は丸くなった私のおでこにキスをした。
うん
この王子キス魔だ
私も眠たいので寝ま~す
おやすみなさい~
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