へぇ｡美的感覚が違うんですか｡なら私は結婚しなくてすみそうですね｡え？求婚ですか？ご遠慮します

本編

28

｢よっと｣
私はまだ誰も起きていない真夜中にリュックを背負った｡
…レンとリズには上級までの治癒魔法を教えた
マナは…
うん
おいていこう
…なんか…恋の予感みたいなのあったし
(最近…見てしまったのだ｡マナ宛の恋文を)
私は外へ出て治癒場を振り返った｡
…お世話になりました
あとはあの2人とマナが経営していけるよ
私が持っていくのは旅をするのに充分なお金と元々の自分の荷物だけ
技術やらは紙に書いて残してきた
…頼んだよ
私は逃げるから!!
私はにっこり微笑んだあと全力で走った｡
だって!!
留まってたらリュゼリオ殿下に居場所特定されそうなんだもん!!
魔術籠は破壊したからあそこに何かしら仕掛けても追いかけてこれないし…
…あとは私自身に魔法をかけられていた場合？
…まぁそれはおいおい考えるとして…
とりあえず…宿探すか
なるべく離れた場所で国境近くの宿…
そんな簡単には見つからないか
｢まぁ…転移で行けるところまで行けばあとは歩けるよね｣
私は事前に買っておいた地図を開きながら転移魔法を使った｡

着いた場所は前に1度だけ来たことのあるスミタからほど近い草原だった｡
｢すご…馬車で通っただけなのに…｣
それでも行ったとカウントされるんだねぇ
｢くぁぁ…かなり魔力使ったなぁ…ポーションはレン達のために置いてきたし…寝て回復するしかないかぁ…｣
私は近くの木の木陰で丸くなった｡
風が気持ちいい…
よく眠れそう…
宿は起きた後にするぅ…
おやすみぃ…

ゴン
｢ふぇ！？な…なに！？｣
｢…なんだ生きてたのか｣
｢ふぇぇ…？｣
見上げると…男の人がいた｡
｢だれぇ…？｣
｢…お前こそ誰だよ｣
｢…ティア～…Zzz…｣
｢寝るな｡ティア…か｣
…ふぇ…？
私今なんて言った…？
ティア…？
｢ち…違う…私はサナ…ティアは…お姉ちゃん｣
｢なんだ｡治癒師サナかよ｣
｢ふぇ…？おにーさん知ってるの…？｣
｢まぁな｡仲間を治癒して貰ったんだが…覚えてないよな｣
…いつ？
治癒ってことは治癒場だよね
…冒険者は多いからなぁ…
｢でもなんでこんなところにいるんだ？スミタから離れてるだろ｣
｢私旅に出るの…くぁぁ…魔力は…よし｡回復したね｣
私は荷物をインベントリから取り出した｡
｢旅に？治癒師が？｣
｢…悪い？｣
｢…防衛出来んのか？｣
…防衛？
魔法…じゃダメなの？
私は首を傾げた｡
｢…やっぱりな｡ついてこい｡宿まで送る｣
｢宿決まってないよ？｣
｢はぁ！？…じゃあ紹介してやる｣
やった!!
自分で探す手間が省けた!!