へぇ｡美的感覚が違うんですか｡なら私は結婚しなくてすみそうですね｡え？求婚ですか？ご遠慮します

本編

18

私はリュゼリオ殿下から逃げて家にいた｡
もうやだ…
王宮怖い…
私はベッドに入って布団を頭まで被った｡
すると誰かがノックした｡
｢ティア｡大丈夫？あの殿下には兄様とレオンから話を通すから心配しなくていいよ｣
…そう言われても
ガチャ…ガチャガチャガチャ
｢ティア…鍵までかけて…｣
いや…単に誰にも邪魔されたくなかっただけ
よし
準備するかの
私はクローゼットからリュックを引っ張り出した｡
これに…服は…うん
お忍び用のワンピース
庶民風になってるから…
でも…治癒師だからなぁ
あの…こう布みたいなひらひら～ってしてるやつ欲しいんだけど…
フード付いてる…えっと…ローブ？
あの白い薄いやつ
｢ティア！？倒れてないよね！？｣
…うるさいなぁ
黙っててくれない？
私は無言で荷物を詰めた｡
…あ
お金お金～
私はずっと貯めておいたお小遣いをビンごとリュックに入れお財布も放り込んだ｡
ん～やっぱりインベントリ効果付与はいいね～
いくらでも入る
｢ティア！？さっきから衣擦れの音しか聞こえてないんだけど!!寝てる！？｣
…よし
寝てることにしよう
私は小さく寝息をたててみた｡
｢…寝てるのか｡まぁ疲れただろうし仕方ないか…｣
…よし
騙せた
私は黙々と荷物の準備をして全て詰め終わったリュックをインベントリにしまった｡
…インベントリって普通の人は持ってないんだよね
だからバレないようにリュックから出すように見せかけるんだ～
そのためにインベントリを習得したんだから!!
ーーもし
ん？
誰かいる？
…気のせいか
ーーもし
…いや誰かいる
誰？
ーー私は女神…ウィルス神
…女神？
ウィルス神ってずっと男の人だと思ってた…
だって教会に行く日に風邪ひいちゃって…結局行けなかったんだもん
ーーティアラリース…そなたに頼みがあるのです
ウィルス神様
敬語はやめてください
ーー…そう？ならティアラリースも敬語はやめてちょうだい
…なんか貴婦人みたいな喋り方になった
うん
まぁいっか
…それで？
ウィルス神様は何のよう？
ーーごめんなさい
なんで謝るの？
ーーあなた…治癒師になりたいのよね？
うん
表向きはね
ーーティアラリースにはスミタという街に行ってほしいの
スミタ？
どこそれ
ーーそれなりに大きな街でギルドも教会もあるの
ギルド！？
ギルドがあるの！？
ーーえ？えぇ…スミタのギルドは冒険者ギルドよ？
…っしゃ!!
じゃあ私も登録しなければ!!
ーー…話を元に戻しても？
あ
どぞ
ーーそこの周りはレベルの高い敵が多く出現しているの
…ん？
普通街の近くってレベル低いやつらだよね？
スライムとか
ーーそうなの｡昔はきちんと奥まで行かないとレベルの高いウルフ達は出てこなかったのだけど…最近おかしくなってしまったの
ふぅん
誰かがいじってるとか？
ーーその可能性が高いの｡あなたにはそれを調べてほしいのよ
…治癒師に？
ーーえぇ｡治癒師は貴重なの｡だからギルドでも保護されると思うの｡それに誰かが故意にそんなことをしてるならあなたに接触すると思うわ
…分かった
じゃあ…こっちも頼んでいい？
ーーいいわ
ステータスをください!!
お願いします!!
ーー…え？それだけでいいの？
うん
HPバーとか自分で見れるようにしたけど…タイムラグが発生しちゃうことがあって…
もう少し便利にしたいなって
ーーじゃあティアラリースが前世で読んでいたラノベみたいなものでいいのね？
…待って
どれ？
ーー視界の中に相手の名前､レベル､HP､MP､称号､スキル､身分が表示されるやつよ
あぁ!!
それほしい!!
それで左斜め上か右斜め上に自分のHP､MP､レベルを表示してほしい!!
ーー分かったわ｡やっておくわね
やったね!!
…というかなんで今になって交信してきたん？