へぇ｡美的感覚が違うんですか｡なら私は結婚しなくてすみそうですね｡え？求婚ですか？ご遠慮します

本編

16

後日と言われたから私は『ティアラリースに婚約を申し込むため王家から届く手紙』をうちまで送れないようにした｡
魔法で｡
…風で飛ばしたり川に落として流したり｡
嫌です
私はリュゼリオ殿下と婚約したくありません
｢…変ねぇ｣
｢母様｡どうせ社交辞令でしょ｡ティアはリュゼリオ殿下と婚約を結ぶことを望んでいないみたいだし｣
私はさっきからずっと首を横に振っていたのだ｡
｢…そろそろ私達は帰らないとね｣
…え？
私お兄様と一緒にいる…
私はお兄様に抱きついてイヤイヤと首を横に振った｡
｢ティア…ここにいたいの？｣
私はこくんと頷いた｡
｢…ティアが望むのならそうしてあげたいのだけど…向こうにどうやって連絡しようかしら｣
｢そっか…魔術籠は置いてなかったんだ｡早馬を出すしかないね｣
｢そうね…シュウが帰ってきたら頼んでおきましょう｣
｢奥様｡でしたら私共はお嬢様と奥様のお部屋を今一度確認してまいります｣
｢よろしくね｣
…そっか
ドレスとか必要なものもあるのか
…正直着るものと部屋があるだけ幸せだと思うけどな
でもあの殿下だけは嫌だ!!
早くここを出れるように準備しなくては!!
私はメイドのあとを追っかけていった｡

｢お嬢様？見ているんですか？｣
私はこくんと頷いた｡
｢いいですけれど…でしたらお茶を入れましょうか？｣
横に首を振った｡
｢そうですか｡何か御用があればお呼びください｣
メイドは部屋を掃除し始めた｡
私はというとソファーの上で体育座りをしていた｡
う～む
資金を貯めないとな…
お小遣いってどこに置いてあるんだっけ…
私は近くにおいてあった紙とペンを取って文を書いた｡

やることメモ
□お小遣いを探す
□お金を貯める
□自分で買い物に行く
□自分で着替えが出来るようにする
□長距離を歩けるようにする
□料理を作れるようにする
□掃除を出来るようにする
□魔法の腕を磨く
□ギルドを探す
□雇ってもらえるところを探す
□寝泊まりできる場所を探す
□読み書き計算を人に教えられるくらいに上手くなる

…これぐらい？
やること多いなぁ
｢お嬢様？何を書いているんですか？｣
メイドが近寄ってきたためすぐさま紙を隠した｡
｢秘密のお手紙ですか？｣
私は激しく頷いた｡
｢でしたら鍵のかけられる箱がいりますね｣
メイドはそう言ってくすくす笑った｡
私はそれを見て首を傾げた。
｢いえ…私も昔やったなと思い出しただけです｣
…秘密の手紙じゃないんだけどなぁ