へぇ｡美的感覚が違うんですか｡なら私は結婚しなくてすみそうですね｡え？求婚ですか？ご遠慮します

本編

8

｢あ｡シュウ？聞いて｡ティアが魔法銃を勝手に撃ったのよ｣
お母様は何か箱のようなものに話しかけていた｡
電話…？
でも受話器がないよ？
｢えぇ…でも庭の木に当たって弾けたわ｡どうしてかしら｡メイドに確認させたら少し木の皮が無くなっていたの…そうね｡ティアがやったのよね｣
…いや
何を？
私はてとてとと歩いてお母様の足に抱きついた。
何してるの？という目で見てみた｡
｢…っ!!シュウ!!ティアが歩いたわ!!…えぇ!!立つところまではいってもそれから先に進まなかったティアが!!｣
…あ
やっちまった
…1人の時は普通に歩いてたからなぁ
もうお母様達にも見せたものだと思ってたわ
｢…そろそろ切ってもいいかしら｡ティアを愛でたいわ｣
…待って
愛でないで
恥ずい
私は首を激しく振った｡
｢また嫌なの？…あ｡話してなかったわね｡ティアがどうやらイヤイヤ期に入ったようなの｡……もう大変よ｡何をしたいのか分からないんだもの｣
お母様は話しながら私を撫でた｡
いや…だから愛でないでってば
私はお母様から離れてソファーの後ろに隠れた｡
｢ふふ｡……え？あぁ｡ティアがソファーの後ろに隠れたのよ｡……何が面白いかって？ティアったら腰のリボンが見えていることに気づいていないの｣
なんですと！？
私はすぐにリボンを自分の元へ手繰り寄せた｡
｢あら｡リボンも隠れちゃったわ｡でもまだ見えているのよね｡……ふふ｡シュウやネイサンは見られなくて残念ね｡とっても可愛いのに｡……え？帰ってくる？ダメよ｡仕事があるでしょう？あなたは国王陛下の側近でしょう？｣
わぁお
重要ポジション
…というかどこが出てるの？
お尻？
私はもぞもぞと動いてさらに前に進んだ｡
｢見えなくなっちゃったわ｣
…お尻だったんだ
頭隠して尻隠さずとはこのこと…
私は頭を抱えた｡
ふむむむ
どうしたら…どうしたら私は…
誰にも構ってもらえなくなるんだ！？
正直言ってね！？
前世はほとんど相手にされてなかったよ！？
だけどね！？
ここまで構われたかったわけじゃないんだよ！？
神様！？
何か勘違いしてません！？
｢…ティアが震えてるわ｡どうしたのかしら｡シュウ｡切るわよ｣
…え？
まだ見えてる？
お母様は私に近づいてきた｡
｢おしっこ？しーしたの？｣
私は首を横に振った｡
違うから!!
｢…ん｡出てないわね｡…あら｡もうこんな時間｡ティア｡ご飯にしましょう｣
ご飯!!
美味しいご飯!!
美味しいけどちょっと味濃いご飯!!