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「エル…エルよかった」
「穢されてないよな?…よし、まだ元に戻せる」
ジルにいは私の体を調べるとすぐにいつも通りの抱っこに変えてくれた。
「ジルにいリュウにい!!」
「エル…ごめんね。僕らの力では足りないから世界中を回ってきたんだよ…」
「…そのかいあってエルを元に戻すだけの力を得られた。ごめんな、人間の体なんて嫌だよな」
「…嫌じゃないよ?兄様もできたし」
兄様はエルに優しくしてくれる数少ない人間だよ?
私はジルにいに下ろしてもらうと兄様の手を握った。
「エルの兄様!!」
「…は?」
「エルの…兄だと?」
「…エル。なんかやばい気がするよ」
…へ?
私はみんなの方を振り返ってみた。
「…固まってる?リュウにい達って人間に見えるの?」
「あ~…うん。妖精が見える人には見える…かな。僕達は妖精よりも上で神様より下…って位置かな」
「エルはその中でも位が高いんじゃないか?」
…そうなんだ~。
「あ…これ聖剣抜かないといけないんだよね」
兄様はいきなり柄に手を当てるとずいっと引き抜いた。
…引き抜いた?
「…抜けた」
「ぃん!!兄様!!撫でないで!!くすぐったい!!」
「…まさか」
「エルが認めた…?」
リュウにいとジルにいは兄様に向かって跪いた。
「ふぇ!?え!?」
エルもやらなきゃダメだよね!!
ぴしっと真似をしてみたが…数秒でぷるぷるしてきた。
「…エル。とりあえず座ってろ」
ジルにいは魔力で椅子を作り出すと私をそこに座らせた。
「「聖剣の主様」」
「…ふぅん。本当に聖剣なんだ。ありがちな展開だね…テンプレだっけ。エルの存在も不思議だったけどそれなら辻褄が合う。…主人公につくヘルパー的な存在?」
「しゅじんこー?」
「物語の中心人物のことだよ」
兄様は私の疑問にすぐに答えてくれた。
「しゅじんこー!!兄様がしゅじんこー!!」
「…エル。少し黙っていようか」
「…ひゃい」
怒られた…兄様に怒られた…。
「…エルのことを叱った…人間ごときが」
「…リュウ。とりあえず落ち着け。相手は俺らの主だ。傷つけることなんて出来ないんだよ」
「…ちっ」
にいが舌打ちした!!
初めて見た!!
「兄様兄様!!リュウにいが怒るのは珍しいんだよ!?」
「あー…もういいや。…エル、おいで」
「わぁい!!」
私は椅子から降りて兄様に引っ付いた。
「…エルも認めてるし仕方ないか」
「このままあと5000年は誰も来ないと思ってたんだけどな。…はぁ。まだ迷宮の再築も出来てねぇのに」
「まぁまぁ。もういらなくなるんだし」
にい達は兄様の手を取った。
「「我ら聖剣に宿る精霊一同、主様にお仕えしよう。どんな時でも貴方様にこの身この力全て捧げよう」」
「ささげよー!!」
「はいはい。…お決まりの従属か」
じゅーぞくってなぁに?
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