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「兄様兄様!!」
「エル。落ち着いて。何があったの?」
「赤ちゃん生まれたの!!」
僕はエルのその言葉を聞いて一瞬思考回路が停止した。
「あのね。…えっと…あれ?誰だっけ?…あ、そうそう。水の精にね。新しい子が生まれたの」
「…妖精か。びっくりした…」
「どうして?妖精以外生まれるなんてないでしょ?」
エルにとってはね…でもエルが妊娠という可能性も…いや、エルでも妊娠は無理か。
「その子がね。兄様に会いたいって。…兄様はエルのだから契約しちゃだめだよ?」
「わかったよ。で?その子は?」
「この子!!」
うん、ごめんエル。
見えないな。
…エルの契約獣のソラはすぐに見えるんだけど妖精はかなり目を凝らさないと…。
「…ごめんねエル。兄様にはまだその子見えないな」
「あ!!そっか!!…ごめんね。生まれたばかりは力が小さいから人間には見えないんだよ?みんなにたくさん教えて貰ってね」
エルは手に乗っている何かにちゅっとキスを送るとその子を手放したようだ。
…本当にエルは何者?
天才なの?
生まれ持った才能?
「兄様。聖剣まで行くの楽しみだね」
「そうだね」
…そこに行けばエルが聖剣に執着する理由がわかるかな。
僕は…まあ知れればなんでもいいんだよ。
貴族社会も頭脳ゲームみたいだと思ってるだけだし。
…軽いよね、これでも父様の跡を次ぐ跡継ぎなんだけど。
「その前に。エルはもっと他の魔法も覚えよう?兄様と一緒に」
「うん!!」
エルを動かす魔法の言葉。
それが『兄様』。
つまり…僕のこと。
僕に執着する理由も知りたいよ。
エルが可愛いからこのままでもいいんだけど。
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