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お母様視点

「エル、アルト。おやつ食べてきなさい」
「「はぁい!!」」
2人は嬉しそうに駆けていった。
「…ターコイル。最高位治癒エクストラヒールなんて知っている?」
「いえ。聞いたことがありません」
のターコイルが言うならあれはただの魔法ではないのね。
「…ですが」
「ん?」
「…長年の悩みだった腰痛が完全になくなりました」
「完全に!?」
治癒ヒールにそこまでの力はないはず。
治せても傷が限度。
腰痛や頭痛は薬師に頼まないと治らないもの。
それも長い間続けないといけないの。
それをあの子は…魔法で治した。
「これが精霊の魔力の力…?」
「では昔の部下に調べてもらいましょうか」
「いいの?もうターコイルは現役引退したのでしょう?」
「構いません。大切なお嬢様の今後に関わるかもしれないことですから」
「…本音は?」
「お嬢様が大変可愛らしく…助けになればと」
…エルの可愛さにやられたのね。
本当にあの子は不思議な子…。
精霊以外にも人間、動物にも好かれる。
「…はぁ」
「びぇぇん!!」
「エル!?」
「お嬢様!?」
私達はエルの泣き声を聞いて慌てて走った。

「びぇぇん!!」
「エル!!どうしたの!?」
私は慌てて泣いているエルをだっこした。
「エルいしゅからおっこちたの」
「大丈夫?エル。どこうったの?」
「…いちゃ。いちゃの!!」
「いたいって」
「もふ…もふいちゃ。ちゅかまえたってしたら…」
「そのままころん」
アルトが説明してくれた。
…うん。
アルトがいなかったら理解できないわ。
「…あれ…もふ…もふどこ」
「エルのえんえんでにげたよ?」
「ふぇ…」
エルは私の腕の中から抜け出すと部屋の中をちょこまかと動き出した。
「もふ…もふ…」
「エル。おかしいらないの?」
「いりゅ!!」
でもアルトが呼びかけるとすぐに戻っていった。
「…もふって…何かしら」
「かあさま。あれだよ」
アルトが指さした方向を見ると綿毛がふわふわと浮いていた。
「…エルの契約獣の抜け毛…よね」
「そうですね。お嬢様方が飲み込んでしまうと危険ですので片付けておきます」
ターコイル…多分片付けたらエルが泣くわよ?

「やらぁ!!ポイッしちゃメッ!!メッなの~!!」
「しかし…」
ターコイルが抜け毛を片付けようとするとエルが足にしがみついた。
「もふ!!エリュのもふかえして!!」
「ダメです」
「びぇぇん!!」
泣き出した。
それを見てターコイルはどうしたらいいのか分からなくなる。
アルトは涼し気な顔で紅茶を飲んでいる。
…何なの?
この状況…。
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