77 / 81
4章
76話 最後の戦いへ
しおりを挟む邪竜D・Cの放った漆黒の球体が地面へと炸裂。
地面は火山噴火の如き大爆発を起こし、灰と煙が辺りに漂う。
煙のせいで見えないが火山の大半が消し飛んだ。
邪竜は翼をはためかせながら立ち込める煙をじっと見つめ、何かに気づいたかのように上を見上げた。
すると邪竜より高い位置に太陽を遮るが如く、浮かぶ存在があった。
「危なかったぁー!」
その声は和歌太郎であった。
和歌太郎は上空へと避難していたのだ。
一体どうやってか?
それは
「ほんま気をつけや。」
聴き馴染みのある関西弁
「ナイスタイミングすぎて驚いたよ。ほんと死んだとばかり…」
「まぁな。逃げ際の見極めには自信あんねん。」
そう和歌太郎を助けたのは、イツカとの闘いで死んだと思われていた"多古山"であった。
和歌太郎は今多古山のスキルによって浮かぶボードに乗っている。
多古山はイツカとの戦いでトドメを刺されそうになった際、自ら気絶し先にリタイアし、逃げ延びたのだ。
「でも、よくここが分かったね」
「まぁな。7つが同じ場所に集まっているのに気づいてな。後、来たのは俺一人やないんや」
多古山はそう言って邪竜の方へと視線を向ける。
和歌太郎も釣られてそっちの方へ視線を向けると
何かが猛スピードで邪竜の前を横切った。
「やぁ、久しぶりだね」
木製の簡易的な自転車のようなものに乗って現れたのは"佐高"であった。
そして、その木製の自転車にはもう一人乗っており
「久しぶりだ」
和歌太郎の師匠の里石であった。
「佐高さん!そして、師匠も!!」
「あの時はたすけてくれてありがとう。その借りを返しに来ました。」
佐高はスイートにトドメを刺されそうな所を和歌太郎に助けられた。その恩を彼は未だに感じ続けていたのだ。
「ふむ、強くなった。今すぐにでもそなたと試合ってみたいくらいだ。じゃが、まずは奴を倒せばな」
「うん、ほんと皆来てくれてありがと!正直、空中戦というのが唯一の不安点だったけど、多古山くんのおかげでその不安点も無くなったよ。」
「おぅ!空は任せとき!」
胸を叩いて微笑む多古山
「僕と里石さんも出来る限りフォローはします。皆で倒しましょう!」
「ふむ、我の武がどこまで通用するか楽しみだ」
頼もしい仲間に和歌太郎は心躍るのを感じていた。
「うん、隠し球は無し最初から全力で行くよ!物質の支配者ー"Professional"」
和歌太郎の全身から黄金の光が溢れ出す。
あまりの眩しさに和歌太郎以外の3人は目を瞑る。
(ヨーキ……君から貰った力で俺はあいつを倒すよ!)
「-ー開発」
黄金の光が線となり、複雑な設計図に変化していき一瞬でものが完成した。
「なんや……これは戦闘機?と」
「レーシングカー!?」
多古山と佐高が驚きの声をあげる。
なんと一瞬で二人の目の前に、ステルス戦闘機と真っ赤なF1レーシングカーが出現した。
「これでサポートよろしく!」
和歌太郎は唖然とする2人に声をかける。
「コレは"スピリット"……B-2やないか。うん?材質が違う?なんやこの材質!」
多古山はステルス戦闘機Bー2に興奮気味に乗り込む
「こらの材質はオリハルコン。鉄よりも硬く、アルミより軽い。この世界に存在する伝説の物質だよ!。あと、そっちのF1も同じ材質だよ。」
「ヤベェな…」
「はい、正直震えます。ですが」
「燃えますね」
「燃えるわな」
2人は心に熱い炎を滾らせていた。
「ふははははははは、良い闘志じゃ。我の心も高鳴ってくるわ」
豪快に笑う里石
「これで準備は整ったね!邪竜の準備も整ったみたいだし」
邪竜の方へ目を向けるとそこには、メラメラと燃え上がる巨大な漆黒の太陽が浮かび上がっていた。
だが和歌太郎は笑って言葉を紡ぐ
「さぁ、最後の戦いを始めよう!」
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始

<番外編>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
< 嫁ぎ先の王国を崩壊させたヒロインと仲間たちの始まりとその後の物語 >
前作のヒロイン、レベッカは大暴れして嫁ぎ先の国を崩壊させた後、結婚相手のクズ皇子に別れを告げた。そして生き別れとなった母を探す為の旅に出ることを決意する。そんな彼女のお供をするのが侍女でドラゴンのミラージュ。皇子でありながら国を捨ててレベッカたちについてきたサミュエル皇子。これはそんな3人の始まりと、その後の物語―。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる