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4章
73話 諸悪の根源 1
しおりを挟むヨーキと最後の別れを遂げた和歌太郎は、火山内の洞窟の最深部まで遂に辿り着いた。
途中、ヨーキのように操られたプレイヤーが居たが、ヨーキ程の強さを持つ者はおらず、難なく撃破した。
(ここが最深部……周囲がマグマに囲まれた島のようななっている。うん、人?)
中央に人らしき影がある。
和歌太郎は警戒しながらも慎重に近づいていく。
すると、徐々に姿が明らかになった。
そこに立っていたのは、1人の男性プレイヤー
「ここまでよく来たね。君はなかなかヤベェ奴のようだ」
男性プレイヤーが言葉を発する。
男はこのマグマ煮えたぎる灼熱の中、白のタートルネックにジーンズを履いている。
(なんだ……この男は)
スキンヘッドにギラつく目をした男に和歌太郎は何とも言えぬ気持ち悪さを感じた。
「だんまりと本当にヤッベェ奴だね。まぁいい、君は僕を倒しに来たんだろ。だが闘う前に少し話をしよう」
「お前と話す事なんてないよ……」
和歌太郎は男の提案を突っぱねる。
それと同時に男に鑑定をかける。
表示されたのは、種族は人族 名はナディル
称号は《殺戮の鳥》
「いいのかな?君のライバルだっけ?彼の事知りたくないのかい?」
嫌らしい笑みを浮かべるナディル
「…くっ…話せよ!」
和歌太郎は今すぐにでも殺したい思いを抑えて、耳を傾ける。
するとナディルは嬉しそうに話し始めた。
「まず君と僕の因縁は結構深いんだよ。例えば、君と《鮮血の姫王》、そしてライバル君が協力して倒した神族の彼も実は僕の作品だったんだよ。黒い感情を軽く暴走させてあげたら、殺人鬼の完成って感じでね。でも、まさか覚醒して僕の加護を解くとは思わなかっけど、でも《鮮血の姫王》は宝玉を集めるための1番の障害と思ってたから共倒れになってくれて良かったよ……」
ナディルの口から話されたのは、神族の男"山根"がナディルによって暴走状態にさせられていたという驚きの事実であった。
「お前のせいで……」
和歌太郎の身体から殺気が溢れ出す
「話しはまだあるからね。後は僕の配下のイツカ。加えて僕の大切な仲間をたくさん倒してくれたからね。君のライバル君も含めてね」
「何でお前なんかにヨーキが!」
「言っちゃうけど、僕は精神系の魔法を持っててね。黒い感情が大きい奴、要するにヤッベェ奴の方が簡単に操れちゃうんだ。まぁ、神族以外は副作用で死んじゃうみたいだけど、ハハハハ」
「この…聞いていればふざけやがって!!」
和歌太郎は手を剣にかける。
もはや爆発寸前である。
だがナディルは
「後少しだけだから、まぁ落ち着きなよ」
手を挙げて戯けた表情を浮かべる。
「君のライバル君が何故宝玉を集めるのか?君もさらりとは知っているだろうけど、詳細は知らないだろ?まぁ、かなりディープでヤッベェからね」
(こいつ何を言って……確かヨーキは病気の彼女を救うためだと)
「彼には将来を誓い合った彼女がいたのさ。でも彼女はある日彼に"別れましょ"という一通の置き手紙を置いて姿を消した。だが彼は信じられなかったんだろう。探偵、警察、SNS、情報屋、ありとあらゆる術を駆使して彼女を探した。そして、彼は彼女の居場所を見つけ出した。そこは社会の闇、暗黙の社会"人身売買オークション"だったんだよ。彼女はそのオークションの出品予定の品として挙げられていた。彼は警察にこの事を伝えた。だが警察は彼を相手にしなかった。当たり前だ……それこそが暗黙なのだから」
「そんな、そんなことが許されていいのかよ!」
「良いんだよ。金と権力こそが全ての世界なのだからね。で、彼は彼女を買い求めようとした。しかし、金額は最低でも数億、到底買えるはずもなく。手段を見つけれなかったら彼は、オークション当日に会場を爆発させ、その混乱の隙に彼女を連れ去ろうと考えた。
だが、それは叶わなかった。その瞬間、このデスゲームに招待された事によって…」
(そんな過去があったなんて……そんな悲しい素振り一切見せなかったじゃないか!)
「で、話は更に続いて……実はね」
終わったかに思えた話にはまだ続きがあった。
ナディルは狂気の笑みを浮かべた。
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