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4章
72話 別れの一閃
しおりを挟む隙を付いて正確に遅い来る水の矢
全ての攻撃を防ぐ氷の壁
そして、あらゆる攻撃を跳ね返し、和歌太郎へと迫る粘土鼠。
「くっ……」
和歌太郎は防戦一方でひたすらに逃げていた。
(まさか剣ですら斬れないなんて……しかも、魔力に至っては尽きる気配が無い)
和歌太郎は鼠に対して、空間を切り裂く剣技を使用したが斬ることが出来なかった。
加えて、ヨーキの魔力切れを狙い、避け続けているがヨーキの魔法の勢いは未だに弱まる気配が見えない。
まさに絶対絶命
尽くせる手がない
和歌太郎はそう思った。
(うん?)
しかし、和歌太郎はもう一度自身に試せる手が無いか考える。
ありとあらゆる武器は試した。
ハンマー……穿孔……チクチク玉…
本当に手は無いのか?と己に問いかける。
「……あ!…ある!唯一試していない。試せなかった手が」
和歌太郎は何か可能性を見つけたらしく、瞳に光が灯った。
だが、ヨーキは和歌太郎にその手を試させる隙を与えてはくれない。
頭上から降り注ぐ氷柱
前から粘土鼠が迫る。
更に水の龍が氷柱の合間から和歌太郎を喰らおうと迫る。
更に後ろは壁
(ヤバイ…避け切れない!?もう賭けるしかない!)
"スダダダダダッ"
全ての攻撃が和歌太郎へ激突
和歌太郎の姿が煙で隠れる。
オーバーキル気味の攻撃
ーー和歌太郎が助かる見込みは無いはずだった。
だが、
「ふぅ……あっぶなぁ!ギリギリだった!」
煙の中から声が聞こえた。
それを間違いなく和歌太郎の者。
徐々に煙がおさまり姿が見えてくると
和歌太郎の周囲だけ不自然な程に攻撃の跡が無く、粘土鼠が真っ二つに割れていた。
そして、和歌太郎の手には一振りの剣が握られていた。
赤紫色に染まるまるで血のような刀身
刀身からは赤黒いオーラが漂い、見る者に恐怖を感じさせる。
「伝説の剣……いや、全然違うね。罪の業剣…。持った今なら分かる。この剣の業の深さが……。」
和歌太郎が手に持つ剣
それはエニ村で授かった"伝説の剣"であった。
(この剣はエニ村の村人達が作り上げた剣。製法はこの件で人の命を奪う。長い年月の間、村人達は地下の奴隷をこの剣の生贄にしてきたのだ。持つだけで分かる剣に刻まれた深い怨念が……でも、そのままだったら持つことは出来なかった。)
以前、剣を持った際、和歌太郎は剣を持ち続ける事が出来なかった。それはこの剣が深く呪われていたから。
和歌太郎は山川の持ち物を継承した際、あるアイテムの存在に目をつけていた。
『龍の涙』
あらゆる罪を浄化する聖なる液体
和歌太郎は命を賭けた一瞬、迷う事なく呪われた剣に龍の涙を振りかけたのだ。
すると、持ち主の生命力を奪う魔剣が全てを切り裂く伝説級の剣に変貌したのだ。
「この剣で全ての悲しみを切り裂く」
和歌太郎は罪の業剣を構える。
「ヨーキ。君とはもっと全力で戦いたかったよ。俺は今でも何故君ほどの力を持つ者が操られたのかが分からない。でも操られた事で君の力は制限されている。正直、本来の全力の君には勝てなかったかもしれないよ。でも、でも……お別れだーー」
和歌太郎は地面を全力で蹴り、ヨーキの元へ接近
ヨーキは粘土と氷の複合の壁を創り上げる。
だが和歌太郎は止まらない。
そして
壁手前で剣を振るった…
音は無かった。
時間差で壁がズレ落ち、ヨーキの口から大量の血が噴き出る。
和歌太郎は壁ごとヨーキを斬ったのだ。
和歌太郎の一閃は全てを断ち切る剣
その一閃は確実にヨーキの急所を捕らえていた。
膝から崩れ落ちるヨーキ
何故か安堵の表情を浮かべている。
操る能力すらも切り裂く一閃により、操りから解放されたヨーキは既に死人。
口元など動く筈が無かった… しかし
「……ありがとう…だぜ。俺の…友。絶対……勝てよ…」
何の奇跡か、ヨーキが搾り出すような声で喋ったのだ。
「え…ヨーキ!!」
和歌太郎は急いでヨーキの元へ駆けつける。
しかし、ヨーキは既に息を引き取っていた。
あの声は現実だったのか?自分の想いが聴かせた幻聴だったのでは無いか?不思議な感覚に包まれる。
「うん、そうだよね……あれはヨーキの声だった。幻聴でも聴き間違いでも無い、間違いなくヨーキの声だった…。ヨーキ、俺絶対勝つから!だから……バイバイ」
和歌太郎はヨーキに別れを告げ、立ち上がる。
その瞳には悲しみと決意の強い光を灯らせて
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"隠れクエスト達成"
【友から贈り物】
報酬:全回復、ステータス強化
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