69 / 81
4章
68話 新たなる敵
しおりを挟む「……お前らはだれだ…」
山川が血が吹き出す胸を押さえながら立ち上がり、新たに現れた謎の6人組に強い敵意を露わにする。
「……え?」
和歌太郎は事態に混乱しながらも立ち上がり6人組に目を向ける。
6人組はそれぞれ白いローブに身を包み、僅かに見える素顔は仮面によって隠されている。
不気味なままに隊列が組まれた6人組
「「「「「「宝玉を渡せ……」」」」」」
6人が声を合わせて言う。
声には感情が一切感じられない。
「……消えろ…」
その時、6人のうち1人が燃え上がった。
山川による攻撃だ。
瀕死の身体、残りカスともいえる魔力にて火炎魔法を放ったのだ。
6人の中の1人が燃え上がり、そのまま灰と化した。
だが残りの5人には一切反応がない。
「…え…なんで」
この場で和歌太郎のみが状況が理解できず戸惑い狼狽えている。
「……"炎の聖域"…」
もう一度、山川が火炎魔法を放った。
炎は山川と和歌太郎を囲むように燃え、2人の周囲をドーム状に取り囲んだ。
「どう言う……」
意図がわからず戸惑う和歌太郎
「短めに言う……あいつらは敵だ。しかも既に死んでいる」
「死んでいるって!?」
「…グハっ…スキルか魔法によって操られている。おそらく黒幕がいる。俺には…もう」
血を吐き出し片膝をつく山川
地面に血が流れ落ち、血溜まりができている。
おそらく、その血の量は致死量…
既に死に至っていてもおかしくはない。
「大丈夫!?…ゔぅっ…」
和歌太郎も山川を心配して駆け寄るが、自身も重症なためその場でうずくまる。
「……お前も相当キてるようだ。最後に一つ俺からプレゼントをやろう」
そう言って山川は異次元boxから一枚の紙を取り出し、目の前でそれを破った。
すると和歌太郎の視界に文字が現れた。
--------------------------
【決闘クエスト】
山川が貴方に決闘を挑んでいます。
承諾しますか? YES or NO
---------------------------
「…え?」
「承諾しろ!」
有無を言わさない山川の気迫に和歌太郎はYESを選択する。
すると
----------------------------
【決闘クエスト】
山川 弐句 vs 院財 和歌太郎
勝利条件 片方のプレイヤーの撃破
勝利報酬 完全回復、ステータスアップ
----------------------------
山川が使用したのは"決闘クエスト"を発動する特殊アイテム。
数あるダンジョンを制覇した報酬の一つだ。
「これって…」
突然の決闘クエストの発動に和歌太郎は困惑し固まる。
だが山川はそんな和歌太郎など気に留めず、異次元boxから一振りのナイフを取り出した
「戦うって事…」
「いや勝敗はついた。俺の負けだ……」
そういうと山川は自分の胸にナイフを躊躇なく突き刺した。
「……後は頼んだ。俺はもう戦いに疲れた…。不治の病の妹を救うためとは言え、俺は殺し過ぎた…。お前がこのふざけた闘いを終わらせてくれ…」
それだけ良い、山川は息を引き取った。
「何で……この俺が生き残ってお前が死ぬんだよ……俺は俺はどうしたら」
村の仇を討つため、村の皆を生き返らすという目的のため宝玉を集めることを決意した。
しかし、仇は仇ではなく、村の皆にはドス黒い真実があった。
「どうすれば………」
和歌太郎は地面に横たわる山川に目を向ける。
そして、思い出す、今まで闘ってきたプレイヤー達。
皆方向は違えどそれぞれ願いがあり信念があった。
そして、その信念は
「そうだよね……もう引き下がれないよね」
和歌太郎の心の奥底に消えない炎となり燃えていた。
「俺が全てを救う……このデスゲームを終わらせるんだ!」
和歌太郎は決意を瞳に宿し、消えゆく炎の壁の向こうのプレイヤーを睨みつけた。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始

<番外編>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
< 嫁ぎ先の王国を崩壊させたヒロインと仲間たちの始まりとその後の物語 >
前作のヒロイン、レベッカは大暴れして嫁ぎ先の国を崩壊させた後、結婚相手のクズ皇子に別れを告げた。そして生き別れとなった母を探す為の旅に出ることを決意する。そんな彼女のお供をするのが侍女でドラゴンのミラージュ。皇子でありながら国を捨ててレベッカたちについてきたサミュエル皇子。これはそんな3人の始まりと、その後の物語―。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる