DEATH GAME ー宝玉争奪戦

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3章

63話 vs イツカ

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「調子こいてんじゃねぇ!!」

最初に攻撃を仕掛けたのはイツカであった。
エルフとは思えない瞬発力で和歌太郎に迫り、拳を振るう。

(動きが荒いね)

和歌太郎は冷静にイツカの動きを見極め、最小限の動きで避ける。

「避けてんじゃねぇよ!!」

しかし、イツカは避ける和歌太郎を追撃する。
目は血走り、鬼ような表情で避ける和歌太郎に対してパンチや蹴りを放つ。

まるで嵐のような攻撃だ。

だが和歌太郎は避け続ける。
そこにはまだ余裕さえある。

(この程度ならば……)

和歌太郎の動きが加速する。
イツカのパンチを潜るように避けながら腹部へカウンターのボディブローを放った。

イツカの速度に和歌太郎の身体能力が相まって、鈍い大きな音が鳴った。

「…言ってぇ!」

その場に片膝をつくイツカ

「マジで痛ぇ、痛ぇ、ちっ……なんか腹立ってきた。マジムカつくわ。絶対殺す!解放"理不尽なる暴力ランペイジ

怒りにより称号を発動させたイツカ
イツカが纏う雰囲気が激変する。
和歌太郎は危険を感じ取り距離をとって様子を伺う。

(称号を発動されちゃった。一体どういう効果なんだ……)

警戒する和歌太郎に対し、すっと立ち上がるイツカ
手にはナイフ程度の大きさのアイスピックのようなものを持っている。

「絶対泣かせてから殺してやる!"発電ジェネレーション"」

イツカの手にビリリと稲妻が走り、自身のアイスピックに電気が伝う。
すると、アイスピックの先端が赤く発光、熱を持っているのか周囲の景色が歪んでいる。

(あれは……"ハンダコテ"。加熱部は金属っぽいけど触れるのは厳しそうだ)

"ハンダコテ"
ハンダと呼ばれる針金状の金属を溶かし、はんだ、および接合部分加熱するために用いられる工具
イツカの使用するハンダコテの先端温度は500度を容易に超える。

「さっきのお返しだ!!」

イツカが動いた。
しかし、速度はさっきと変わらない。
和歌太郎はイツカの動きに合わせて避けようとしたが

(……え…身体が重い)「う゛ぐッ!!」

何故が身体が自分の思い通りに動かず、イツカのハンダコテを腹部に喰らってしまう。
超高温の一撃に和歌太郎の腹部が炭化している。
なんとか転がるようにして距離を取る和歌太郎

突き刺すような激痛を歯を食いしばって耐える和歌太郎

「ははっ!面白ぇ!腹が黒くなってやがる。」

苦しむ和歌太郎を見て楽しげに笑うイツカ

「"理不尽なる暴力ランペイジ"が使えるのは俺の人格の時だけ。効果は俺の周囲500メートル以内に入る存在の身体能力、スキルの効果を半減させる。要するにお前もあの関西人もこの称号を発動させた瞬間、雑魚に成り下がるわけだ!はっ!」

(俺の身体が思い通りに動かないのは…)

和歌太郎はイツカの称号の効果を聞いて今の状態に合点がいった。

「強力な能力だね。でも、まだ勝負はここからだよ」

和歌太郎は異次元boxから回復薬を取り出し自身のお腹にかける。
炭化していた腹部が正常な肌色に戻る。

「ちっ…無駄なのによ!今度は3か所程度炭化させてやっからよ!」

ハンダコテに再び電気を流し、さらに高温に加熱させギラつく笑みを見せるイツカ

を前に和歌太郎は小さく笑い

「それはどうかな。発動……"物質の支配者ソリッド・ワークス"」

称号を発動させた。

「なっ!称号だと!?」

和歌太郎が称号を持っていない事は確認していたため、驚きを露わにするイツカ

「この称号を得たのは君がカワデンを殺した瞬間。どうやらトドメはお前だけど俺が倒した事になっていたようだよ。称号持ち4人を倒す。称号を得るための条件がお前のおかげで揃ったんだ!」

カワデンがイツカに倒された瞬間
和歌太郎の視界に称号の獲得という文字が現れ、称号を獲得したのだ。

「ふっ!それがどうした?称号を得たくらいで勝てるのは甘すぎるんだよ!このカス!死ねぇぇ!」

イツカがハンダコテを持って和歌太郎へと向かう。

和歌太郎は手を前に出し

「スケッチ!」

和歌太郎の目の前の空中に白い線が引かれていき、人程度の大きい長方形が描かれる。

「押し出し!」

次の瞬間、その長方形の線から灰色の物質が飛び出した。
和歌太郎とイツカを隔てるが如く、巨大な直方体が宙に出現。

「そんなのぶっ壊す!!」

イツカはその直方体に向けて、ハンダコテを突き出す。
高圧の電流を流しているハンダゴテの先の温度は2000℃に至る

しかし、ハンダコテは表面を溶かしたのみですぐに止まってしまった。

「どうなって……」

「残念。材質設定"タンタル"タングステンについて融点の高い金属だよ。その程度の温度じゃ溶かすなど不可能だよ。"曲げベンド

直方体が曲がり、イツカの身体を包み込み拘束した。

「うっ!!くっ!!チクショっ!!」

暴れて抜け出そうとするがタんタル楚材の巨大板金の拘束はびくともしない。

「もう終わりだよ。」

和歌太郎は暴れるイツカに対し剣先を突きつける。

「くそっ!お前にやられるくらいならなぁ!!うぉーーーーーー!」

するとイツカの魔力がどんどん高まっていく。

(これはヤバイ……)

和歌太郎は大きく後ろへと下がり距離を取る。
イツカの魔力の高まりはまだまだ治らず、限界なく高まっていき

ー-爆発が起きた…

周囲の遊具は消し飛び、離れていた和歌太郎も爆風で吹き飛ばされる。

(--っ!!)

宙に投げ出され吹き飛ぶ和歌太郎にメリーゴーランドの馬が飛んでくる。

「ヤバイ……スケッっ…うっ!」

手を前に出し、称号を発動させようとするが…

「……時間制限が…」

発動時間が過ぎており不発
そのまま頭にメリーゴーランドの馬が直撃し、和歌太郎は気を失った。
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