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3章
59話 決裂
しおりを挟む「多古山さん、貴方も宝玉狙いというわけですか」
イツカが眼鏡を中指で押し上げて口もとを笑みを浮かべる。
「へへへへ…賑やか」
相変わらず和歌太郎のみを見つめ、不気味に笑うカワデン
「まぁな。そういうことになるわな」
「では、この場は和歌太郎さん対私達3人という事になるわけですかね」
「へへへへ…」
イツカが異次元boxより杖のようなものを取り出す。
加えてカワデンもナイフを構える。
「くっ…!(多古山さんには速度がある。2人の能力はわからない。どうすれば」
和歌太郎は若干後退りながらも剣を構え、いつでも攻撃に反応できるように態勢を整える。
「まぁ、しゃあないわな」
多古山もパレットに両足を乗せる。
(仕方ない!これなれば闘うしかないね!)
和歌太郎は3人と闘うことを決断する。
前方にはイツカ
左方向にカワデン
右方向に多古山
最初の動いたのはイツカであった!
イツカが杖を和歌太郎に向ける。
濃厚な黄色の魔力がイツカに集まる。
「では先に消えてください!和歌太郎さん!!サンダーボルッーーなっ!」
しかし、イツカの攻撃は放たれる事は無かった。
何故なら
「……何をしているんですか?多古山さん」
イツカの眉間にシワが寄る。
攻撃途中に多古山の鉄玉が飛んできたため、攻撃を中断せざるを得なかったのだ。
怒りのせいか黄色の魔力が荒々しく溢れ出ている。
「すまへんなぁ。俺は最初から兄さん側に着くつもりや。助けられた恩は返すのが浪速の男。人情っちゅうもんや!」
パレットを動かし和歌太郎の側へと移動する多古山。
「えっ……どういう事?」
和歌太郎は状況を掴み切れていない。
「俺は確かに金が必要や。俺の夢であるラーメン屋のためにな。でもな人情を捨てて目指す夢になんの意味があんねん。俺は兄さんに救われた。やから俺は兄さんを助けるんや!」
多古山は自身の大きな夢を諦めてまで和歌太郎の味方についた。
まさに義理人情に生きる熱い男であった。
「そ、そんな。本当にいいの?」
「あぁ男に二言はあらへんで!」
親指を立て笑顔を和歌太郎に見せる。
「分かった。ではありがたく助けてもらうよ。よろしく多古山くん!」
「あぁ、まかせとき!」
和歌太郎と多古山はイツカとカワデンの方に向き直る。
「そうですか……愚かですね。自らチャンスを棒に振るとは。私は貴方のような愚かな人間が大嫌いですよ」
イツカが眼鏡の中央を指で押し上げ、地面に唾を吐いた。
「へへへへ…エルフ…お前に協力してもいい」
ぼそっとカワデンが呟いた。
「どういうことです?」
カワデンの呟きに即反応するイツカ
「…俺は…人が殺したい…血が見たい…だから宝玉はどうでもいい」
「フフフフフッ。貴方面白いですね!ならいいでしょう!和歌太郎さんは君に譲りますよ。私はあのイラつく関西人を始末するとしましょう」
どうやらイツカもカワデンの間にも協力関係がなってしまったようだ。
「2対2っちゅうわけやな」
「みたいだね!どうやら俺の相手はカワデン君みたいだ。だから多古山さんはイツカさんを頼むよ」
「あぁ、やったるわ!」
多古山がニット帽を深く被る。
「じゃあ、後で!」
そう言うと和歌太郎は、右側の方へと駆け出した。
すぐさま反応を見せるイツカとカワデン
「カワデンさん、頼みますよ…」
「へへへへ、どこまでも追ってから殺す…フヘッ」
和歌太郎が建物の間の道に消えたとほぼ同時に、カワデンも建物の闇へと姿を消した。
そして噴水広場に残ったのは2人
「貴方とは反りが合わないみたいですね…」
「そうみたいやなぁ。でも、まぁ俺は嫌いやないけどな。でもしゃあないわな。ちょっと痛い目あってもらうで」
多古山が目が鋭く光る。
「面白いですね。私は関西のお笑いは好きですよ」
笑いながらも大量の黄色の魔力を放出するイツカ
あまりの魔力に周囲の景色が歪む。
和歌太郎 vs カワデン
多古山は vs イツカ
の闘いが始まった。
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