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3章
58話 宝玉探し
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『宝玉探し』
フィールド内にある宝箱のどれかに宝玉が入っている。
○クリア条件
制限時間終了時、緑の宝玉を保持している。
参加者が残り1名になる。
○リタイア条件
気絶、又は死亡
ゲーム終了時に未クリア
※死亡、又は気絶後
※宝箱は地図にて表示
※宝玉は宝箱解放後、地図にて確認可能
*******
"転送を開始します"
-------------------
「ここは外国?遊園地?」
和歌太郎の目の前には噴水があり、その周囲に地中海風の建物が立ち並んでいる。
また、その建物の奥の方には観覧車らしきものも見える。
和歌太郎はとりあえずフィールドを把握するため、地図を開く。
地図上の北側には建物が立ち並ぶゾーン、そして南側には観覧車メリーゴーランドなどのアトラクションのゾーンが広がっている
和歌太郎はマップを見て絶句していた。
それはフィールドが原因ではなく
「この宝玉って……」
地図上には5つの宝箱
そして、和歌太郎が居る位置に"宝玉"のマークが表示されていた。
これが意味するのは
「狙われる。このままじゃ位置が丸わかりだ。」
和歌太郎か気づいたと言う事は他のプレイヤーも気付くという事。
そして、早くも和歌太郎の近くにプレイヤーの反応があった。
「誰か来ている!!」
和歌太郎の嗅覚がプレイヤーの接近を捉えた。
「まさか貴方とは騙されましたね。既に宝玉を持っていたとは驚きです。」
和歌太郎の前に現れたのは、黒ジャージ姿のエルフ族の男性"イツカ"であった。
そして、更に
「へへへ、宝玉…奪う」
建物の影からヌルッとカワデンが現れた。
(くっ…!この距離まで接近に気付かなかった。2人もプレイヤーが来てるなんて)
開始して数分、2人のプレイヤーに挟まれる形になった和歌太郎。
一粒の汗が頬を伝う
(この2人は強い……正直2人同時はかなり厳しい、いや無理だ)
和歌太郎は冷静にイツカとカワデンを分析する。
両者の纏う雰囲気は和歌太郎が第一ステージで倒したミシン、スイートを遥かに上回る。
和歌太郎は強くなったとは言え、強大な力を持つ称号持ち相手2人は分が悪い。
(逃げる?でも、今一歩でも動けば戦闘がはじまりそうだ)
前方には、余裕の笑みを浮かべながらも和歌太郎から一切視線を外さないエルフ族の男"イツカ"
また斜め後方には、薄ら笑いを浮かべながら濃厚な殺意を撒き散らすカワデン
両者ともに和歌太郎が動けは即座に反応できるそのような雰囲気を纏っている。
「えーと、俺の宝玉を狙ってもクリアにはならないよ?」
和歌太郎は何とか話すことで隙を見つけようとする。
「ハハハハッ。面白い冗談ですね。目の前に宝玉があるんです。取らない訳には行かないでしょう。そーいやカワデンさん、貴方も宝玉狙いですか?」
イツカは和歌太郎の言葉を軽く受け流し、同じく和歌太郎に殺意を向けるカワデンに話を振る
「…へへへ…殺したい…」
「どうやらカワデンさんも貴方に執着していらっしゃるようです。このままでは私とカワデンさん2人を相手取ることになります。どうです。最後のチャンスです宝玉を渡すなら助けてあげますよ」
爽やかな笑顔を和歌太郎に向けるイツカ
「そうだね……でも断るよ」
和歌太郎はイツカの提案を断る。
そして、異次元BOXより剣を取り出し、後ろへと大きく距離を取る。
(これで2人は視界に入った。)
「交渉決裂ですか……誠残念です。」
「へへへ、……殺したい殺したい殺したい」
カワデンとイツカの殺気が膨らむ。
和歌太郎の手に汗が滲む。
(覚悟を決めるんだ……この戦いは逃げきれない。正直相手の手の内も分からない。だから"称号"の力を使わせる前に決める!)
和歌太郎は足に力を溜め、一気に駆けようとした……が
その足は止まった。
「おっ!なんか集まっとるやんけ!俺だけハミは悲しいわ!」
新たなプレイヤーの声によって
「それにしても宝玉追ってきたら兄さんがおるとわな!ほんま笑ってしまうわ!」
颯爽と現れた3人目のプレイヤー。それは浪速のスピード王多古山であった。
木製の正方形の板に車輪をつけた自作のパレットのようなものに乗っている。前回の佐高との闘いで鉄製の平台車が壊れたためである。
3人目の参加。
完全に他のプレイヤーに囲まれる形になった和歌太郎
(うわぁ…3人…。これは最悪の状況だ)
和歌太郎の背筋が凍る。
和歌太郎の宝玉に誘われ和歌太郎以外のプレイヤーが1箇所に集結してしまった。
(ほんと、どうしよう!)
和歌太郎の宝玉を狙い全てのプレイヤーが集結。
和歌太郎の運命は如何に……
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