57 / 81
3章
56話 決着
しおりを挟む「あれを再び使おうかな」
そう言って和歌太郎が取り出したのは"木槌"であった。
しかし以前の木槌と違い、ベッドの衝突部分は金属のコーディングがされており、全体的にパワーアップしたつくりになっている。
「大きなハンマーとかマジうけるんですけど!」
スイートが和歌太郎を指差し笑う
だが、その隙にも狂化状態のミシンが猛攻を仕掛ける。
「笑ってるのも今のうちだよ。だけど先に彼をどうにかしないとね」
和歌太郎は木槌を肩に構えたまま、ミシンの攻撃を避けていく。
(ミシンの攻撃は苛烈で不規則。読みづらいけど全ての動作に無駄が多いんだよ)
ミシンの動きは和歌太郎より速い。
しかし、和歌太郎はミシンの攻撃を余裕を持って躱す。
それは動作の違い。
ミシンの獣ような威力重視の動きと無駄を省いた武の動き。
(更に本能で動く君は殺意に反応しやすいんだよ)
和歌太郎は強烈な殺意を放つ。
ミシンの動きが明らかに止まる。
「それじゃ俺には勝てないよ」
その隙に和歌太郎は迫り、顎に強烈な飛び膝蹴りを喰らわした。
鈍い音が鳴り、ミシンはその場に倒れた。
白目を剥き、口からは泡を出している。
完全な気絶状態。
勝負は決まった。
ミシンのナンバープレート"4"が和歌太郎の胸に移り、ミシンは粒子と化し消えた。
「え~!マジ弱すぎじゃん!」
スイートはミシンが敗れたことに驚きを隠せない。
「次はお前だよ。」
和歌太郎が改良型木槌をまるで剣のように構える。
「いちいち腹立つんだよ!ガチで!……死ねよっ!」
スイートは砂鉄を巨大球体状に圧縮し、和歌太郎へと反発させた。
弾丸並の速度で放たれた砂鉄の球体が和歌太郎へと一直線に向かう。
(身体をバネのように捻り、力を溜め、一気に解放!)
和歌太郎は木槌を砂鉄の球体に向けて思い切りぶつけた。
"ヴァァァッーン!"
とてつも無い衝撃と轟音が響く。
ーー和歌太郎の木槌がバラバラに砕け散る。
ーー砂鉄の球体も砂と化し地面に散らばった。
「えっ!ありえない!動かないしっ!なんで!!」
焦るスイート
先程まで操作できた砂鉄が一切動かないのだ。
「ーーそれは衝撃によって磁化がバラけて磁性が無くなったからだよ」
いつの間にスイートの目前に迫っていた和歌太郎
和歌太郎は磁力を持った砂鉄に強烈な衝撃を与え、磁性を消したのである。
「次悪いことしたら許さないからね」
和歌太郎は一瞬にして接近、耳元に一言だけ呟き、スイートの後頭部に手刀で一撃を与え気絶させた。
「ふぅ~、めっちゃ疲れた。でもこれでクリアかな」
称号持ち2人を倒し、和歌太郎の胸に1と4のナンバープレートが揃った。
和歌太郎はマップ上で一番近いチェックポイントである棟の建物へと向かうことにした。
「ここはこの会社の受付的な棟っぽいね。」
入り口の自動ドアが開き、そこに和歌太郎が入ってくる。
「ここがチェックポイントらしいんだけど……」
地図上ではこの部屋がチェックポイントである。
和歌太郎がどうすればいいか困惑していると
その時視界にポップアウトが現れた。
"神経衰弱 クリア"
"転送を開始します"
和歌太郎の視界が白く染まった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始

<番外編>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
< 嫁ぎ先の王国を崩壊させたヒロインと仲間たちの始まりとその後の物語 >
前作のヒロイン、レベッカは大暴れして嫁ぎ先の国を崩壊させた後、結婚相手のクズ皇子に別れを告げた。そして生き別れとなった母を探す為の旅に出ることを決意する。そんな彼女のお供をするのが侍女でドラゴンのミラージュ。皇子でありながら国を捨ててレベッカたちについてきたサミュエル皇子。これはそんな3人の始まりと、その後の物語―。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる