56 / 81
3章
55話 結託
しおりを挟む和歌太郎とスイートの戦いに突如乱入したきた男"ミシン"
「あ、あなたは和歌太郎さんじゃないですか~。女性を殴るなんてぇ見損ないましたよぉ」
何故か和歌太郎を非難するミシン
相変わらずのほほんとした表情ではあるが、若干目が怒っている。
おそらく和歌太郎がスイートの番傘を折っているとこを見たのだろう。
「違うんだ!この女性は戦闘に乱入し、瀕死のプレイヤーを痛ぶった悪い奴なんだよ」
和歌太郎はまず誤解を解くことにした。
「えぇ~!そうなんですかぁ~」
驚愕の表情を浮かべるミシン
(よし、これは信じてくれそうだ)
和歌太郎はこの反応に手応えた。
しかし、そこでスイートが間に入ってくる。
「えーと、ミシン?アンタさぁ。あの男の事信じちゃう系?」
「だって和歌太郎さんが~「あたしの傘折られたちゃったんだよ?」
「もし、あたしの傘の仇うってくるんならご褒美あげちゃうぞー」
スイートがミニスカートをひらりとさせ、ミシンに艶美な笑みを向ける。
「や、やりますぅー。和歌太郎さんにスイートさんはあげないですぅ~」
ミシンはスイートの見え見えのお色気トラップに見事にひっかかったようである。
「お、おいっ!」
思わず突っ込む和歌太郎
「さぁ、あのマジムカつく奴を死ぬまでボコるよ!ダーリン」
「ぶっ殺してやりますよぉ~。和歌太郎さん死んでくださぁい」
ミシンとスイートが和歌太郎を倒すために協力関係になったようだ。
だが和歌太郎は
「はぁーかかっておいでよ。正直君たちに負けるはしないよ。」
一切焦りを感じていなかった。
(こんな人達に負ければ里石さんにどやされるよ)
「ダーリン!最初から本気で行くし!"解放!"磁場大臣"」
スイートの周囲に黒い微小な粒子が現れた。
「わかりましたぁ~。行くぞぉ~"獣の王"」
スイートに続いてミシンも称号を発動。
和歌太郎は未だ謎の存在であるミシンに警戒する。
ミシンの称号の発動による変化は劇的であった。
ひ弱そうな見た目が激変したのだ。
「ヤバイんですけどぉ。マジ獣じゃん!」
その変化にスイートも驚く。
ミシンの肉体は、ほぼ獣と化していた。
全身は2メートル近く大きくなり、全身に獣のような体毛が生え、顔はほぼ百獣の王ライオンのように変化。
爪や牙も鋭くなり、まさに獣人のような見た目になった。
「ちょっと恥ずかしいですぅ~。この称号の効果は、単純に五感、身体能力、狩猟本能を高めるんです~。で僕のスキルは《狂乱》と《興奮剤》。使用すると理性が無くなって標的を倒すまで解けないので気をつけてくださいよぉ~」
「なんかヤバタニエン。でも任しな。私の称号はどちらかというと遠距離の方が向いてるし、あいつをぜってぇぶっ殺すよ。」
「りょかぁいです~。狂乱、興奮剤…………ヴォオォォオォォォォ」
スキルを使用したミシンが吠える。
狂乱は理性を無くし本能で戦う獣と化すスキル
興奮剤は、自身の本能を最大限に高め、あらゆるリミッターを解放するスキル
今のミシンに理性は皆無、標的を殺す事に全てを集中させた。
獣の狂戦士と化したのだ。
ミシンが一気に和歌太郎に迫る。
その速度は和歌太郎より速い
鋭い爪が和歌太郎の身体を切り裂こうと襲い掛かる。
和歌太郎は何とか上半身を反らし、避ける。
(速い、そして鋭い。そして本能なのか全てが致命傷を与える場所を的確に狙ってくる。これは……ヤバイ)
ミシンの猛攻に和歌太郎は先読みの技術など里石から学んだ全てを使い、避けていく。しかし、ミシンの攻撃は苛烈を極める。
野生の本能による攻撃
加えて
"ドンッ"
和歌太郎は上から突如落ちてきた黒い何かを横に大きくステップを踏むことで避ける。
避けた地面には大きなひびと凹みが発生している。
「チッ!避けられたしぃ!」
スイートの悔しそうな声が響く。
先程の頭上からの攻撃はスイートものであった。
今のスイートは称号の力により、自身から半径50メートル以内であれば、磁力を自在に扱う事が可能。スイートはその力を応用し大量の砂鉄を変幻自在に扱い、和歌太郎を攻撃したのである。
遠近自在のスイートと超接近タイプのミシンの連携が和歌太郎を襲う。
圧倒的な劣勢に陥っている和歌太郎だが
「あれを再び使おうかな」
そう言ってニヤリと笑った。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
<番外編>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
< 嫁ぎ先の王国を崩壊させたヒロインと仲間たちの始まりとその後の物語 >
前作のヒロイン、レベッカは大暴れして嫁ぎ先の国を崩壊させた後、結婚相手のクズ皇子に別れを告げた。そして生き別れとなった母を探す為の旅に出ることを決意する。そんな彼女のお供をするのが侍女でドラゴンのミラージュ。皇子でありながら国を捨ててレベッカたちについてきたサミュエル皇子。これはそんな3人の始まりと、その後の物語―。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる