DEATH GAME ー宝玉争奪戦

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3章

53話 急展開

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多古山と佐高の戦いは地上から空へ

空を舞う平台車と空を走るフォークリフト
地上時より速度は増し、速度はMAX200キロを超える。

もはや2人の姿は残像でしか見えない。

飛び交うスリリングショットの鉄玉と回転する鉄の輪
空に火花が散る。

多古山が平台車をまるでスケボーの如く扱いエアートリックを決めれば、佐高はフォークリフトで光の道にてドリフトを行う。

速度も恐るべきだがテクニックも凄い、見るものを魅了する闘いであった。

和歌太郎もずっと無言で見ている。
もはやショーを見ている感覚だ。

しかし、そのショーにも終わりが近づいていた。

「はぁ…はぁ…そろそろやな。俺の翼もあと持って数分やわ」

息を切らしながらしゃべる多古山
どうやら称号による体力の消耗が激しいようだ。

それはまた佐高も同じようで

「奇遇ですね。私もです。本当に何から何まで同じですね」

そう言ってクスッと笑う佐高

「あぁ、ほんまにな」

多古山もニッと笑みを浮かべる。

「決めますか!」

「あぁ、そうやな」

2人は次の一撃に全てをかけるようだ。

多古山の平台車の翼が倍近くに大きくなる。
佐高のタイヤの回転がどんどん速くなり回転音が高くなる。

お互いの最後で最高の一撃

"ついに勝負が決まる"

だがその時、佐高の上空に影が落ちた。

ーードンッ!!

その影に衝突した佐高は弾かれるように地面に落下。
フォークリフトは無残に破壊。

突然の出来事に言葉をなくし、立ちすくむ多古山

そして、その影の主が佐高に遅れて地面に降り立つ。

「あっ……間違った。てへっ!」

地面に倒れ伏す佐高を見て、驚いた表情を浮かべ、自身の頭をコツンと殴る女。

「お、お前はっ……何してくれたんや。泥棒女!!」

佐高を撃墜したのは、ギャル風の女"スイート"であった。
闘いに横槍を入れたスイートに怒り心頭の多古山。

だがスイートは、そんな多古山など知らんとばかりにその場にしゃがみ佐高の顔を覗き込む。

「あれれ?まだ気絶してないじゃん。ってか死にかけ?うけるんですけどぉー。ツンツン」

スイートは壊れたフォークリフトに押しつぶされ、重症の佐高を指でツンツン突いて笑う。

「……おい、お前何やってんねん…」

地面に降り立った多古山が眉間にシワを寄せ怒る。
声はあまりの怒りに震えている。

「何って?そりゃあ、もちろん殺すに決まってんじゃん。え?馬鹿なの??」

佐高の顔を片足で踏みつけ、多古山を煽るスイート

「お前ええ加減にせぇよ。それ以上やったらーー「えーい!」

多古山の言葉を遮り、佐高の頭を思いっきり蹴飛ばした。
重症の佐高が痛みのあまり唸り声を上げる

「まーだ気絶しちゃダメだよー」

その非道な行いを見た多古山はスイートに飛びかかろうとするが

「お前……うっ!」

多古山に称号使用の反動が襲い掛かり、膝をつく多古山

「あれれ?立ってるのも精一杯じゃん。だからさぁ、見ときなよ」

そう言って再び佐高に向き直るスイート
佐高は既に重症。あと一撃で死に至るだろう。

スイートが足を高く振り上げる。

しかし、スイートの足が佐高に蹴り下ろされる事はなかった。

「それ以上は許さないよ」

和歌太郎の手がスイートの足を止めていた。

「何、アンタ?」

蹴りを止めた和歌太郎にドスのきいた声を出し怒りを露わにするスイート。

「そっちこそやりすぎだよ…」

和歌太郎は言葉に殺気を乗せる。

「ーーっ!!」

スイートは和歌太郎の殺気に即座に反応し、掴まれた足を強引に解き、後ろへと飛び退く。

和歌太郎はその隙に佐高に遺跡ダンジョンで手に入れた回復薬を飲ませ、気絶させる。

佐高の苦しそうな表情が和らぎ、そのまま粒子と化した。
ゲームからリタイアしたのだ。

「アンタさぁ、何やってくれてんの?マジで」

佐高を逃したことでスイートの怒りが更に積もる。
しかし、和歌太郎は無視して

一瞬で多古山の元へと移動。

「これ俺と違うナンバーだからあげるよ。」

立ち尽くす多古山に佐高から得たナンバープレート"3"を渡す。

「くれてええんか?」

多古山は少し困惑気味で尋ねる。

「うん、いいよ。速く持って行って!後ろに待たせている人もいるし……」

「ありがとうな。恩に着るわ。あと気を付けろよ。あの女が兄ちゃんに当たった瞬間まるで弾かれるように吹き飛んだ。」

「うん、情報ありがとう!では、またね」

多古山は"3"を持ってチェックポイントへ向かった。
和歌太郎はそれを見守り、遠くに行ったことを確認し、スイートに向き直る。

「待っててくれたんだね。少しだけ見直したよ」

和歌太郎がスイートに笑顔を向ける。

しかし、スイートは

「マジでキレた…爪を全部外して、骨を全て折ってから殺してやっから」

まるで般若のような形相で和歌太郎を睨んでいた。

そして、スイートの胸には1番のナンバープレートが取り付いていた。








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