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3章
51話 2人のスピード王
しおりを挟む和歌太郎は、周囲を確認しながらも窓から多古山と佐高の闘いを観ていた。
(時間制限は無いし、少しだけ見ていこう。正直、称号持ちの力は侮れないし、情報は命だしね)
和歌太郎は自身に言い訳をするが、実際は2人の闘いが見たいからと言うのが本音である。
(おっ!あれが武器かな?)
多古山と佐高に動きがあったようだ。
2人はお互いに異次元BOXより武器を取り出すようだ。
「俺の相棒はやっぱりスケボーや。」
多古山が異次元BOXより取り出したのは、"スケボー"であった。
自作したのであろう"スケボー"は、長方形の木の板にタイヤのようなものをつけた非常に簡易なものだ。
スケボーというより工業用のパレットである。
「いいですね!私も今まで使用していた手製の子を出そうと思っていましたが、先程良いのを見つけましたね」
そう言って悪戯っぽい笑みを浮かべる佐高。
「なんや!なにを見つけたんや!はよ言えや!ワクワクするやんか」
「それは、この子です!」
異次元BOXより佐高が取り出したのは、2本の荷役用のフォークを前面に備えた1人用の荷役自動車"フォークリフト"であった。
「それどないしたねん!」
多古山は目を見開いて驚く
「私の開始位置にありましてね。ガソリンとかエンジンが抜かれているので動きませんけどね」
フォークリフトの見た目はそのものだが、心臓部とも言えるエンジンが抜き取られており、機械としては欠陥品であった。
その事を知り多古山のテンションは一気に下がったようで
「なんや……見掛け倒しか。」
小さい声でボソリと呟く多古山
「それはどうでしょうね。普通は動きませんが、私は動かす事が出来るんですよ」
そう言って笑みを浮かべる佐高
「へぇ、はったりじゃなさそうやな。おもろいわ。でも兄ちゃんばっかりセコいな。って事で俺も相棒を変更や」
そう言い多古山は、手製のスケボーを異次元BOXに収納し、取り出したのは、1メートル正方の"鉄製の平台車"であった。
「平台車ですか……失礼ですが本気ですか?」
佐高は多古山の正気を疑う。
鉄製の平台車は丈夫な分、重量も重く、スピードが出ると思えないからだ。
しかし多古山は自信あり気に平台車に足を乗せる。
「本気に決まってるわ。今から浪速のスピード王の力見せたるわ。そんなフォークリフトでついてこられるかな?」
多古山はニットを目ギリギリまで深く被り、挑発的な笑みを浮かべる。
「いいですね!そちらこそ、その鉄の板で私の機体についてこれるか見ものですよ」
佐高もピットスーツの腕の袖を巻くし上げ、フォークリフトの運転席に着いた。
「準備はええか!?」
「もちろんですよ」
「「READY~」」
「GOや!」
「GOです!」
2人が同時に動き出した。
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