DEATH GAME ー宝玉争奪戦

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3章

50話 窓の外

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"地震の主バイブレーション・マスター"のポセイドンに完勝した和歌太郎は、駐車場から最も近い大きな建物に入り、1階の左側のフロアに来ていた。

(ここは工場のラインかな?)

仕切りもない一間の大きな部屋
どうやら工場の組み立て場のようで、様々な鉄材や部品、工具が置かれていた。
和歌太郎は辺りを警戒しながらも、鉄剤や部品を手に取り、気に入ったものを異次元BOXに入れていく。

(それにしてもあちこちで激しい音がする。けっこう戦闘が始まってるのかも。うん?)

和歌太郎の聴覚が一つの反応を捉えた。
気配、足音を消し、南側の窓に移動し外を覗き見る。
その窓から見えるは建物の南側。広めのロータリーである。

(プレイヤー2人?)

その庭かロータリーでは2人のプレイヤーが見合っていた。
和歌太郎は窓を僅かに開け、音が聞こえるようにして様子を眺める。

2人のプレイヤーの胸につけている番号は3番と3番。
これが意味するは、

(戦闘が始まるね。ちなみにあの人達は確か…関西の人と喧嘩仲裁の人だよね)

和歌太郎が待合室での記憶を辿り思い出す。
ちなみに関西の人とは、多古山。
仲裁の人とは、佐高である。

待合室では、フライドチキンを奪われ、怒る多古山に対し、自身のチキンをスッと差出し見事その場を収めた佐高。
その2人が今、胸のナンバープレートを賭け、見合っていた。

「さっきはありがとうな。兄ちゃん。フライドチキンめっちゃ美味かったわ。本当感謝やわ!やから、兄ちゃんのナンバープレートをもらう事はめっちゃ気が引けるんやけど堪忍してな」

「いえいえ、先ほどの勝負とこの勝負は別物ですよ。私も全力でナンバープレートを取りに行かせてもらいます!」

「あぁ~。やっぱええ奴やな。もし大阪で出会ってたら酒でも一緒に飲みに行きたいレベルやわ。やけどしゃあない。しゃあないよな」

「はい……残念ですが。」

2人の纏う空気が変化した。
どうやら戦闘態勢に入ったようだ。

「先に自己紹介や!まぁ鑑定で知っとるかもしれへんけど。俺は《疾風の鴉レイヴン・ウィング》の多古山。浪速のスピード王とは俺の事や!」  
 
多古山は自身の称号と名を名乗った。
これは多古山の戦闘前のルーティンとも言えるべきものだ。

対して、佐高も

「では私も、少し恥ずかしくはありますが……《栄光の紳士ミスターグローリー》佐高。奇遇ですが私もスピードにおいては誰にも負けませんよ」

和歌太郎が窓から見守る中、多古山と佐高の闘いが勃発した。


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