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3章
49話 地震の主
しおりを挟む「へぇ、称号は持ってないけど、このクエストに参加しただけはあるみたいっすね!」
ポセイドンは剣を抜いた和歌太郎の雰囲気より認識を改めたようだ。
「でも残念……終わりっす」
言葉と共にポセイドンが鋭い突きを和歌太郎に放った。
しかし、和歌太郎は顔色一つ変えず悠然とした動きで、槍を避け、穂先にそっと触れた。
すると槍の穂先が簡単に折れ落ちた。
「なっ!!」
驚きの声を上げるポセイドン
和歌太郎はポセイドンの穂先を金属加工の切削を使用し、槍の穂先を切断したのである。
身体の身のこなしだけでなく、金属加工の発動速度や習熟度も格段に上がっていた。
「金属の武器は俺には効かないよ」
「チッ!生意気っすね!でも槍は他にもあるっすよ!
ポセイドンは穂が折れた槍を捨て去り、今度は違う石の槍を取り出し和歌太郎に再び突きを放つ
だが和歌太郎は上体だけを揺らし、まるで柳の如くポセイドンの鋭い突きを躱す。
(里石さんの攻撃に比べると、遅いし、殺意も薄い。まるで恐くない)
「どれだけやっても当たらないよ!」
和歌太郎は余裕の表情で避け続ける。
「うざいっす!うざいっす!俺の槍を避けるなんてガチでうざいっす」
怒りながら高速の連続突きを放つ。
だが当たらない。
ポセイドンが決して弱い事わけではない。
ポセイドンは和歌太郎、同様技術系のスキル"槍術"を持っている。
更に槍術については、和歌太郎より経歴は長い。
しかし、
「ぐはっ!」
和歌太郎は槍をかい潜り、剣の柄でポセイドンの腹部を殴打した。
ポセイドンがその場に崩れ落ちる。
「気絶でリタイアだったよね。」
和歌太郎は地面に倒れ込んだポセイドンを一目見て、L字の建物の方へ歩み出そうとする。
しかし
(殺気!!)
背後から放たれる強烈な殺意に振り返る和歌太郎。
そこには、腹を抑えながら血走った目で和歌太郎を睨むポセイドンの姿があった。
「しくじったね。……気絶してなかったんだ!」
和歌太郎は苦虫を噛み潰したような顔になる。
ポセイドンは和歌太郎の一撃を気絶せずに耐え切ったようだ。
「マジで……痛いっす!もうキレたっす!発動"地震の主"」
どうやらポセイドンが称号の力を発動させたようだ。
和歌太郎は再び剣を構えて警戒する。
「まずは防御っす!水魔法!水の甲羅。」
縄状の水がポセイドンの身体を網状に巻きついていく。
「加えて、10本の震撃槍。」
ポセイドンの周囲に水の槍が10本浮かび上がる。
「驚いて声も出ないみたいっすね!でも、見た目だけじゃないっすよ!!」
ポセイドンが右手を前に思い切り振り下ろした。
すると周囲の内一本の水の槍が猛スピードで和歌太郎に飛んできた。
(速いっ!)
和歌太郎は槍の速度に驚きながらも、横に大きく跳躍し躱す。
狙いを失った水の槍は和歌太郎の後ろの車に激突。
2.3台を貫通し、ようやく消失。
「俺の10本の震撃槍は、最強っすよ。称号""地震の王""の効果は魔力増大と物体を振動させる力。それを水魔法と組み合わせた最強の力っす」
ポセイドンは得意げに語る。
そして、その喋りは止まらず
「更にこの防御も最強っす!大量の魔力を含んだ水の糸による鎧は最強の鎧っす。お前にはもう死しかないっす」
「ふーん。もういいかな?。次は俺からいくよ!」
和歌太郎は剣を構え、前に倒れ込むように加速した。
「くっ!来るなっす!」
自身に迫る和歌太郎に対し、10本の水の槍が猛スピードで突き刺さる。
「殺したっす!」
ポセイドンの水の槍は完全に和歌太郎に直撃した。
そう思っていた。
「残念。君が狙ったのは俺の殺気が見せた幻影だよ!」
スルッと真横に現れた和歌太郎がポセイドンに呟く。
「なっ!だが俺にはまだ最強の防御がーーガハッ!」
ポセイドンの腹部に先程より強く深く剣の柄が刺さった。
口から血反吐を吐き出すポセイドン。
「そんな亀甲縛りじゃ防御にすらならないよ」
和歌太郎が崩れるポセイドンの耳元に呟く。
そして今度こそ完全に気絶したポセイドン。
和歌太郎 vs “地震の王"ポセイドン
終わってみれば和歌太郎の圧勝であった。
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