DEATH GAME ー宝玉争奪戦

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3章

47話 交流2

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左肩にふと置かれた手
和歌太郎は左へと振り向く。

「えーと……何でしょうか?」

振り向くとそこにいたのは眼鏡を掛けた30代程度のエルフ族の男性であった。男は和歌太郎の肩に置いた手に徐々に力を入れる。

「少し痛いんですけど…」

和歌太郎がそれとなく抗議する
すると男は、シャープな形状の眼鏡の端を人差し指でくいっと押し上げ

「この力程度は干渉の範囲に入らないみたいですね。あっ失礼しました。私、疑問が湧くと解決しなければ気が済まないタチでして」

独り言を呟いたと思えば、和歌太郎へ頭を下げ謝罪を行う。

「いえいえ。(なんか変わった人だなぁ。それにしてもエルフ族ってやっぱりイケメンなんだね)」

まじまじと男の容姿を観察する。
男の名は"イツカ"
金色の長髪に尖った耳、眉目秀麗の容姿。
エルフ族のプレイヤーである。

(日本人の面影はあるけど、エルフ族を選択するとこんなにも変わるんだ。でも服が上下ジャージだから違和感はあるけど、)

まるで海外のファンタジー映画のキャラクターのような容姿に上下黒のジャージを完全にミスマッチであり、勿体ない感じる和歌太郎。

すると、イツカが急に頭を抱え出した。

「ゔぅ……切り替わります…先に謝り…」

途切れ途切れの言葉を和歌太郎に伝えるイツカだが、声が突然止まり、動きも止まった

「え!?大丈夫!」

心配した和歌太郎はすぐに駆け寄る。

「うっせぇよ。どけろ!」

だが次の瞬間イツカの雰囲気が豹変した。
和歌太郎を睨みつけ暴言を吐く。 

「え!?」

驚き固まる和歌太郎。

「何見てんだよ!ぶっ殺すぞ!オラっ!」

そう言って中指を立てるイツカ
先程までの丁寧な口調から急に荒々しくなったのだ。
更にイツカな暴言は止まらず

「おい、何か喋ろや。殺すぞ」

「いやでもさっきはうるせぇって……」

「あぁ……生意気に揚げ足とろうって言うんか?生意気にお前如きが…?あぁ?」

正論を述べる和歌太郎を睨んで黙らすイツカ
そのシンプルな怖さに思わず黙ってしまう和歌太郎

と、そこに

「うわぁー、やめてください~」

両手をバタバタさせながら必死に割って入ってきた新たな人物

「もぅ~2人とも仲良くしてくださぁいよ~」

どこか気が抜けるような間の抜けたトーンで和歌太郎とイツカに必死に注意する男。
頭に猫耳を生やしたその男は急いだせいか眼鏡がズレ落ちている。
和歌太郎とイツカの喧嘩を止めようと入ってきたのだろうが、完全に空回り+早とちりである。

「ぼくわぁですねぇ~ダメだとぉ思うんです~。喧嘩は何も産まないれすよぉ」

もはや和歌太郎とイツカの事など見ておらず、喋ることに必死のようだ。ちなみにイツカは舌打ちをしてどこかに離れていったため既にいない。

(ずっと何か言ってるけど、、うーん、どがつく天然ってこの人みたいな人のことを言うのかな?)

身振り手振りで必至に熱弁する猫耳男を見て和歌太郎は軽くため息を吐く。
このゆるりとしたど天然猫耳男の名は、ミシン。
年齢は和歌太郎より少し下くらいで、気弱そうな印象を受ける青年だ。

「えーと、もう大丈夫だよ」

和歌太郎は流石に可愛そうになってきたため、未だにわぁわぁと叫んでいるミシンに声をかける

「ほぇ?はぁわ~!?片方いないじゃないですかぁ~」

ようやくイツカが消えたことに気付いたようだ。

「今頃気づいの?まぁ落ち着きなよ。はい、飲み物」

和歌太郎は手近にあった飲み物をミシンに渡す。

「はぁ~、ありがとうございます~」

そう言ってミシンは両手でコップを持って飲む。
和歌太郎が入れたオレンジジュースが気に入ったのかニコニコと飲んでいる。

「そーいや、ミシン君だっけ?君はどうやって招待状を得たの?」

 和歌太郎は一番話しやすいと考えたミシンにこの特別クエストについて聞くことを決めたようである。

「ほぁ!知らないんですかぁ~。それって招待状を入手した時に説明出てましたよぉ~。」

「説明?えーと、その時の記憶がちょっと曖昧でね。教えてくれないかな?」

和歌太郎は苦しい言い訳だとは思いながらもなんとか誤魔化す。

「確かにプレイヤーを10名以上倒せば、場合によってはぁ説明どころじゃないですもんね~。説明は先に称号を得たプレイヤー先着12名に招待状が与えられるそうですよぉ~」

「へぇ……って事はここにいるプレイヤーは称号持ちって事?」

和歌太郎は動揺する心を隠し、話を続ける。

「はいー、そうですよぉ~。称号はプレイヤー10人倒すか、特殊なクエストを達成しないと貰えないんですよぉ~。僕の場合は自分のスキルを試してたらいつの間にかプレイヤー10人殺してたみたいでもらえちゃったってわけです~。和歌太郎さんは?」

「まぁ、俺も一緒かな(ここは適当に言っておこう。確かmadderも村に襲いきたプレイヤーを10名以上返り討ちにしたらしいし、その時にこの招待状を得たっぽいね。それにしても、ここはmadderクラスのプレイヤーが集まっているんだ。気を引き締めないと)」

和歌太郎はこのエキストラクエストの参加者が全員"称号持ち"という事を知り、改めて気持ちを引き締め直した。

「ほぁぁ~そうですかぁ。それにしても2名はこのクエストには参加してないみたいです」

「確かに先着12名だもんね。来なかったかこれなかったかかな。それにしてもこのー」

"ビィィィィィィィ"

和歌太郎がこのエキストラクエストについて情報を聞こうとした時、部屋内にブザー音が鳴り響き、室内は再び暗転になり、騒音もパタリと止んだ。

そして、中央のホログラムの画面に文字が表示された。



第1ゲーム "神経衰弱" 開始します。



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