DEATH GAME ー宝玉争奪戦

DP

文字の大きさ
上 下
47 / 81
3章

46話 交流1

しおりを挟む

(次がついに俺の番だね。)

ついに和歌太郎の席がライトアップされた。
声が解放される。

「えーと、名前は院財和歌太郎、です。えーと頑張ります。よろしくお願いします。」

そう言って和歌太郎は席に着いた。そして頭を抱える。

(うわぁ、何が頑張りますだよ!めちゃくちゃ恥ずかしい)

和歌太郎のあっさりとした自己紹介が終わり再び暗転
これで10人すべての自己紹介が終了した。

中央の画面の文字が切り替わる。

"20分後に第1ゲームを開始。。
"しばらくお待ち下さい"

画面がタイマー表示に切り替わり、部屋全体に灯りがついた。

(うわぁ~)

和歌太郎は口をあんぐり開けたまま固まる。

眼前の机には豪華絢爛な食事と飲み物が並べられていた。
また、部屋内には先ほど自己紹介を行った和歌太郎を含め10名のプレイヤー達

(久しぶりのちゃんとしたご飯だ。せっかくだし食べよう)

和歌太郎は目の前の豪華な食事にありつく。

(うわぁ、めっちゃ美味しい!!)

舌鼓を鳴らし料理を堪能する和歌太郎。
周囲のプレイヤー達も各々料理にありつく。
和歌太郎も無言で久しぶりの料理を堪能した。

(ふぅ……お腹がいっぱいだ。うん?)

和歌太郎が食後のコーヒーを飲んでいる時、隣から視線を感じ、横を振り向く。

「えーと、カワデンさんだっけ?」

和歌太郎が視線の主に話しかける。

「へへへへへ」

頭を掻き顔を真っ赤に照れる和歌太郎と同年代くらいの男
彼の名は"カワデン"参加プレイヤーの一人である。
見た目は赤のチェックにジーパンという至って普通の青年。
しかし極度のあがり症らしく、自己紹介の際も伏せ目がちで声も小刻みに震えていた。

「き、き、君強そうだね、へへへへへ」

周囲の雑音に消されるほどの声量でボソリと喋るカワデン。

「ありがとう……(なんか変に不気味だね。)」

和歌太郎は返答に困り愛想笑いを浮かべながらお礼を述べる。
すると、カワデンは再び頭を掻き、顔を真っ赤に照れ笑いを見せる。
そして、消え入る声で呟いた。

「へへへへ、殺しがいありそう……」

「えっ!?」

和歌太郎の聴覚はしっかりとカワデンの呟きが聞こえており、問いただそうとするが、カワデンは既に飲み物を手にその場をそそくさと去っていった。

(なんだったんだ……あれは明確な殺意だったよね。……うん?)

和歌太郎がカワデンの放った殺意について考えていると、和歌太郎と対面の席から争う声が聞こえた。

「はぁ……お前マジでええ加減にせぇよ」

右手にフォークを握りしめ、怒りの形相の男。
彼は最初に自己紹介をしていた関西弁の男"多古山"である。
その怒りの矛先は一人の女性に向いていた。

「別にいいじゃん。ケチくさいなぁーもう!」

そう言って、悪びれなくフライドチキンにかぶりつくギャルメイクの女性。彼女の名は"スイート"
ピンクの奇抜な髪をツインテールに結び、黒のロングTシャツにヒョウ柄のミニスカート、ブーツを身につけている。

「俺がそのチキンどんだけ楽しみにしてたか知っとんのか!」

 多古山は自身の目の前の皿にあるフライドチキンを最後に食べようと楽しみに取っていたのである。それを横からスイートが横取りしたのだ。大好物を直前で奪われた多古山は怒り心頭。
しかし

「知らなぁ~い」

スイートは一切悪びれる様子もなく、フライドチキンにガブリとかぶりつく。その様子に多古山はついに席から立ち上がり、女を睨み

「お前、ほんまええ加減にせぇよ……」

周囲が静かになる。
多古山の強烈な殺気のせいである。

しかし、その強烈な殺気を向けられてるスイートはというと

「まじ、シケるんですけどぉ~。」

食べかけのフライドチキンを後ろに捨て、ポケットからタバコを取り出し口に加え、多古山を下から睨み返す。

「ほっんま!お前ーー

多古山の怒りが頂点に達し、真の争いになりそうな時
一人の男が割って入った。

「まぁまぁまぁ、落ち着いてくださいな。多古山さんも僕のチキンあげるんで、、後スイートさんもここは押さえて押さえて」

「チッ、しゃあねぇ。兄ちゃんありがとうな。兄ちゃんのフライドチキンに免じてここは引き下がったるわ」

男からフライドチキンを受け、別の場所に移動していく多古山

「マジ意味不明なんですけどぉ~」

しかし、未だ納得いかなさそうなスイート
そんなスイートに男はさっと近づいていき

「あっ!火、どうぞ」

スイートのタバコの前にライターの火を差し出した。

「さーくん!マジ神!」

スイートは男が持っていたライターより火を貰い、タバコに火がつく。タバコを一吸いし一気に機嫌が良くなるスイート

2人の争いを一瞬で納め、さーくんと呼ばれた男の名は、"佐高"
さーくんとはスイートが勝手につけたあだ名である。
白のピットスーツを身に纏う佐高は、袖で額の汗を拭い、ふぅ~とひと息吐き、元の席へともどっていった。

(あの人すごいなぁ。一瞬で場を収めた)

和歌太郎は一連の出来事を見て素直に心から感心する。
そんな和歌太郎の左肩に誰かの手が置かれた。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

家に住み着いている妖精に愚痴ったら、国が滅びました

猿喰 森繁
ファンタジー
【書籍化決定しました!】 11月中旬刊行予定です。 これも多くの方が、お気に入り登録してくださったおかげです ありがとうございます。 【あらすじ】 精霊の加護なくして魔法は使えない。 私は、生まれながらにして、加護を受けることが出来なかった。 加護なしは、周りに不幸をもたらすと言われ、家族だけでなく、使用人たちからも虐げられていた。 王子からも婚約を破棄されてしまい、これからどうしたらいいのか、友人の屋敷妖精に愚痴ったら、隣の国に知り合いがいるということで、私は夜逃げをすることにした。 まさか、屋敷妖精の一声で、精霊の信頼がなくなり、国が滅ぶことになるとは、思いもしなかった。

せっかく転生したのに得たスキルは「料理」と「空間厨房」。どちらも外れだそうですが、私は今も生きています。

リーゼロッタ
ファンタジー
享年、30歳。どこにでもいるしがないOLのミライは、学校の成績も平凡、社内成績も平凡。 そんな彼女は、予告なしに突っ込んできた車によって死亡。 そして予告なしに転生。 ついた先は、料理レベルが低すぎるルネイモンド大陸にある「光の森」。 そしてやって来た謎の獣人によってわけの分からん事を言われ、、、 赤い鳥を仲間にし、、、 冒険系ゲームの世界につきもののスキルは外れだった!? スキルが何でも料理に没頭します! 超・謎の世界観とイタリア語由来の名前・品名が特徴です。 合成語多いかも 話の単位は「食」 3月18日 投稿(一食目、二食目) 3月19日 え?なんかこっちのほうが24h.ポイントが多い、、、まあ嬉しいです!

外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~

名無し
ファンタジー
 突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。

そして、アドレーヌは眠る。

緋島礼桜
ファンタジー
長く続いた大戦、それにより腐りきった大地と生命を『奇跡の力』で蘇らせ終戦へと導いた女王――アドレーヌ・エナ・リンクス。 彼女はその偉業と引き換えに長い眠りについてしまいました。彼女を称え、崇め、祀った人々は彼女の名が付けられた新たな王国を創りました。 眠り続けるアドレーヌ。そこに生きる者たちによって受け継がれていく物語―――そして、辿りつく真実と結末。 これは、およそ千年続いたアドレーヌ王国の、始まりと終わりの物語です。 *あらすじ* ~第一篇~ かつての大戦により鉄くずと化し投棄された負の遺産『兵器』を回収する者たち―――狩人(ハンター)。 それを生業とし、娘と共に旅をするアーサガ・トルトはその活躍ぶりから『漆黒の弾丸』と呼ばれていた。 そんな彼はとある噂を切っ掛けに、想い人と娘の絆が揺れ動くことになる―――。 ~第二篇~ アドレーヌ女王の血を継ぐ王族エミレス・ノト・リンクス王女は王国東方の街ノーテルの屋敷で暮らしていた。 中肉中背、そばかすに見た目も地味…そんな引け目から人前を避けてきた彼女はある日、とある男性と出会う。 それが、彼女の過去と未来に関わる大切な恋愛となっていく―――。 ~第三篇~ かつての反乱により一斉排除の対象とされ、長い年月虐げられ続けているイニム…ネフ族。 『ネフ狩り』と呼ばれる駆逐行為は隠れ里にて暮らしていた青年キ・シエの全てを奪っていった。 愛する者、腕、両目を失った彼は名も一族の誇りすらも捨て、復讐に呑まれていく―――。 ~第四篇~ 最南端の村で暮らすソラはいつものように兄のお使いに王都へ行った帰り、謎の男二人組に襲われる。 辛くも通りすがりの旅人に助けられるが、その男もまた全身黒尽くめに口紅を塗った奇抜な出で立ちで…。 この出会いをきっかけに彼女の日常は一変し歴史を覆すような大事件へと巻き込まれていく―――。 * *2020年まで某サイトで投稿していたものですがサイト閉鎖に伴い、加筆修正して完結を目標に再投稿したいと思います。 *他小説家になろう、アルファポリスでも投稿しています。 *毎週、火曜日に更新を予定しています。

ブチ切れ世界樹さんと、のんびり迷宮主さん

月猫
ファンタジー
異世界へ拉致された主人公。目が覚めた先はボロボロの世界樹の中だった?! 迷宮の主となった主人公は、ダンジョンの能力【創造】により全く新しい”モノ”を世界に作り出し、現状の打破に挑む。 新しい魔物を創ったり、予想外な成長に困惑したり。 世界樹の愚痴を聞いたり、なだめたり。 世界樹のため、世界のため、世界樹の治療と環境改善を目指し、迷宮はどんどん大きくなる。そんなお話。 始めは少々危険な場面がありますが、ダンジョンが成長してからはその様な場面は少なくなり、周りの生物の方がダンジョンに抗う感じになります。 俺TUEEEならぬ、ダンジョンTUEEEもの。チート能力ならぬ、チートダンジョンの予定。 (チート能力者が居無いとは言っていない) 初投稿です。山なし谷なし作品ですが、暖かい目でみてください。 異世界なのだから、元の世界の常識が当てはまらなくても、おかしくないのでは? をコンセプトに、スキルやら魔法やらの仕組みを表現できたらと思っています。 ※「小説家になろう」にも掲載 ※ストックが切れたら、更新が遅くなると思います、ご容赦下さい

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

処理中です...