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3章
46話 交流1
しおりを挟む(次がついに俺の番だね。)
ついに和歌太郎の席がライトアップされた。
声が解放される。
「えーと、名前は院財和歌太郎、です。えーと頑張ります。よろしくお願いします。」
そう言って和歌太郎は席に着いた。そして頭を抱える。
(うわぁ、何が頑張りますだよ!めちゃくちゃ恥ずかしい)
和歌太郎のあっさりとした自己紹介が終わり再び暗転
これで10人すべての自己紹介が終了した。
中央の画面の文字が切り替わる。
"20分後に第1ゲームを開始。。
"しばらくお待ち下さい"
画面がタイマー表示に切り替わり、部屋全体に灯りがついた。
(うわぁ~)
和歌太郎は口をあんぐり開けたまま固まる。
眼前の机には豪華絢爛な食事と飲み物が並べられていた。
また、部屋内には先ほど自己紹介を行った和歌太郎を含め10名のプレイヤー達
(久しぶりのちゃんとしたご飯だ。せっかくだし食べよう)
和歌太郎は目の前の豪華な食事にありつく。
(うわぁ、めっちゃ美味しい!!)
舌鼓を鳴らし料理を堪能する和歌太郎。
周囲のプレイヤー達も各々料理にありつく。
和歌太郎も無言で久しぶりの料理を堪能した。
(ふぅ……お腹がいっぱいだ。うん?)
和歌太郎が食後のコーヒーを飲んでいる時、隣から視線を感じ、横を振り向く。
「えーと、カワデンさんだっけ?」
和歌太郎が視線の主に話しかける。
「へへへへへ」
頭を掻き顔を真っ赤に照れる和歌太郎と同年代くらいの男
彼の名は"カワデン"参加プレイヤーの一人である。
見た目は赤のチェックにジーパンという至って普通の青年。
しかし極度のあがり症らしく、自己紹介の際も伏せ目がちで声も小刻みに震えていた。
「き、き、君強そうだね、へへへへへ」
周囲の雑音に消されるほどの声量でボソリと喋るカワデン。
「ありがとう……(なんか変に不気味だね。)」
和歌太郎は返答に困り愛想笑いを浮かべながらお礼を述べる。
すると、カワデンは再び頭を掻き、顔を真っ赤に照れ笑いを見せる。
そして、消え入る声で呟いた。
「へへへへ、殺しがいありそう……」
「えっ!?」
和歌太郎の聴覚はしっかりとカワデンの呟きが聞こえており、問いただそうとするが、カワデンは既に飲み物を手にその場をそそくさと去っていった。
(なんだったんだ……あれは明確な殺意だったよね。……うん?)
和歌太郎がカワデンの放った殺意について考えていると、和歌太郎と対面の席から争う声が聞こえた。
「はぁ……お前マジでええ加減にせぇよ」
右手にフォークを握りしめ、怒りの形相の男。
彼は最初に自己紹介をしていた関西弁の男"多古山"である。
その怒りの矛先は一人の女性に向いていた。
「別にいいじゃん。ケチくさいなぁーもう!」
そう言って、悪びれなくフライドチキンにかぶりつくギャルメイクの女性。彼女の名は"スイート"
ピンクの奇抜な髪をツインテールに結び、黒のロングTシャツにヒョウ柄のミニスカート、ブーツを身につけている。
「俺がそのチキンどんだけ楽しみにしてたか知っとんのか!」
多古山は自身の目の前の皿にあるフライドチキンを最後に食べようと楽しみに取っていたのである。それを横からスイートが横取りしたのだ。大好物を直前で奪われた多古山は怒り心頭。
しかし
「知らなぁ~い」
スイートは一切悪びれる様子もなく、フライドチキンにガブリとかぶりつく。その様子に多古山はついに席から立ち上がり、女を睨み
「お前、ほんまええ加減にせぇよ……」
周囲が静かになる。
多古山の強烈な殺気のせいである。
しかし、その強烈な殺気を向けられてるスイートはというと
「まじ、シケるんですけどぉ~。」
食べかけのフライドチキンを後ろに捨て、ポケットからタバコを取り出し口に加え、多古山を下から睨み返す。
「ほっんま!お前ーー
多古山の怒りが頂点に達し、真の争いになりそうな時
一人の男が割って入った。
「まぁまぁまぁ、落ち着いてくださいな。多古山さんも僕のチキンあげるんで、、後スイートさんもここは押さえて押さえて」
「チッ、しゃあねぇ。兄ちゃんありがとうな。兄ちゃんのフライドチキンに免じてここは引き下がったるわ」
男からフライドチキンを受け、別の場所に移動していく多古山
「マジ意味不明なんですけどぉ~」
しかし、未だ納得いかなさそうなスイート
そんなスイートに男はさっと近づいていき
「あっ!火、どうぞ」
スイートのタバコの前にライターの火を差し出した。
「さーくん!マジ神!」
スイートは男が持っていたライターより火を貰い、タバコに火がつく。タバコを一吸いし一気に機嫌が良くなるスイート
2人の争いを一瞬で納め、さーくんと呼ばれた男の名は、"佐高"
さーくんとはスイートが勝手につけたあだ名である。
白のピットスーツを身に纏う佐高は、袖で額の汗を拭い、ふぅ~とひと息吐き、元の席へともどっていった。
(あの人すごいなぁ。一瞬で場を収めた)
和歌太郎は一連の出来事を見て素直に心から感心する。
そんな和歌太郎の左肩に誰かの手が置かれた。
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