DEATH GAME ー宝玉争奪戦

DP

文字の大きさ
上 下
42 / 81
2.5章

41話 修行開始

しおりを挟む


ヨーキとの別れから数日が経ち

和歌太郎は竹林ゾーンと山岳ゾーンの境にあるダンジョンに来ていた。ヨーキに教えられた例のダンジョンだ。

「前に来たダンジョンとは違う……。まるで大昔の遺跡のようだ」

和歌太郎は眼前にそびえ立つ巨大な白い建造物に感嘆の声を漏らす
以前和歌太郎が行った草原ゾーンのダンジョンとは異なり、苔が生えた灰色の石材が規則的に詰まれている。

「よし!とりあえず入ろう!」

和歌太郎は遺跡のダンジョンへと歩を進めた。
遺跡内の天井には均等に光源らしきものが埋め込まれている。

「うーん、この遺跡内は大丈夫みたいだね」

和歌太郎は遺跡内で聴覚と嗅覚が利くを事を確認する。

「それにしても本当に道が複雑だね。これならば宝玉を狙ってくるプレイヤーにも会う可能性もかなり低そうだ」

遺跡内の通路は2tトラックが横に2台入れるほど広さがあり、また不規則に広い小部屋がある。
加えて分岐路が非常に多く、来た道をマッピングしていかなければ迷い閉じ込められる可能性は十分にある。

「よーし、ようやくスキルを思い存分試せるね」

和歌太郎はこの遺跡ダンジョンに来るまでの間、宝玉を狙うプレイヤーから逃げながら移動してきたため、新しいスキルを試す間が無かったのだ。

「修行開始だね!」

和歌太郎の遺跡ダンジョンでの修行が開始された。
そして、その記念とすべき第1戦は二足歩行の犬、コボルトだった。
大きさは子供程度であるが、手には木製の棍棒を持っている。

「コボルトって言うのか。なんか俺と少し似てる?まぁいい、君達には何の罪もないけど倒させてもらうね。」

和歌太郎は眼前の同じ犬系のコボルトに一言呟くと、異次元boxより剣を取り出す。そして刀身部分に手を当て

表面処理サーフェイス。刃物の表面に熱処理を施し、鉄鋼の組織を入れ替える!そして仕上げに研磨グラインド。これで完成だね」

金属加工メタルワークで新たに増えた能力を使い、自身の剣を鍛えたのである。
剣の表面がまるで黒曜石のように輝く。

「"ワォーーン"」

眼前のコボルトが吠える。
遺跡内を遠吠えが反響する。

「うん?近づいてくる?」

和歌太郎の嗅覚は事前に察知した。
複数のコボルトが和歌太郎のいる小部屋に向かっている事に

コボルトという魔物の恐ろしさは、個の力ではなく群れでの連携力にある。
どこから来たのかコボルトが集まり続け
あっという間に和歌太郎の前には10体のコボルトが集結していた。

「うわぁ……すごい数だ。」

和歌太郎が数に関心していると、一体のコボルトが吠えた。
するとコボルト達は和歌太郎を囲むように移動。

「なるほどね。一体が狙われてもすぐにフォロー出来る体制。立派なフォーメーションだ。だけどね」

和歌太郎は一瞬にして右端のコボルトに近づき、その剣を振るう。

まさに一刀両断。
和歌太郎の剣はコボルトを容易く斬り裂いた。

「フォロー出来ないほどの速度には対応できない。」

一瞬の出来事に固まるコボルト達
現在の和歌太郎は、犬人族の身体能力に加え、新スキル"身体能力強化ストリングス"によって圧倒的な速度を誇る。

加えて新製された剣は名剣にも劣らない。

(抵抗がない。斬れ味がかなり上がったね。これならばそっとやちょっとで刃こぼれすることもなさそうだね)

和歌太郎は剣を振り、血を飛ばし残りコボルト達に視線を向ける。

このままでは一方的に負けると考えたコボルト達は残り9名での一斉攻撃に打って出た。

それに対し和歌太郎は圧倒的な機動力を活かし、コボルト達の真上を飛び越えた。

そしてコボルト達の背後に着地するや否や反転。
再び地面を強く蹴り加速、未だ反応できていないコボルト達を切り裂いていく。

ーー20秒

和歌太郎がコボルト達を全滅させるのにかかった時間である。

まさに電光石火の攻撃

スキルによる影響もあるが馬根やmadderとの命懸けの一戦は和歌太郎を確実に強くしていた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

<番外編>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
< 嫁ぎ先の王国を崩壊させたヒロインと仲間たちの始まりとその後の物語 > 前作のヒロイン、レベッカは大暴れして嫁ぎ先の国を崩壊させた後、結婚相手のクズ皇子に別れを告げた。そして生き別れとなった母を探す為の旅に出ることを決意する。そんな彼女のお供をするのが侍女でドラゴンのミラージュ。皇子でありながら国を捨ててレベッカたちについてきたサミュエル皇子。これはそんな3人の始まりと、その後の物語―。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

【書籍化進行中、完結】私だけが知らない

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...