DEATH GAME ー宝玉争奪戦

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2.5章

41話 修行開始

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ヨーキとの別れから数日が経ち

和歌太郎は竹林ゾーンと山岳ゾーンの境にあるダンジョンに来ていた。ヨーキに教えられた例のダンジョンだ。

「前に来たダンジョンとは違う……。まるで大昔の遺跡のようだ」

和歌太郎は眼前にそびえ立つ巨大な白い建造物に感嘆の声を漏らす
以前和歌太郎が行った草原ゾーンのダンジョンとは異なり、苔が生えた灰色の石材が規則的に詰まれている。

「よし!とりあえず入ろう!」

和歌太郎は遺跡のダンジョンへと歩を進めた。
遺跡内の天井には均等に光源らしきものが埋め込まれている。

「うーん、この遺跡内は大丈夫みたいだね」

和歌太郎は遺跡内で聴覚と嗅覚が利くを事を確認する。

「それにしても本当に道が複雑だね。これならば宝玉を狙ってくるプレイヤーにも会う可能性もかなり低そうだ」

遺跡内の通路は2tトラックが横に2台入れるほど広さがあり、また不規則に広い小部屋がある。
加えて分岐路が非常に多く、来た道をマッピングしていかなければ迷い閉じ込められる可能性は十分にある。

「よーし、ようやくスキルを思い存分試せるね」

和歌太郎はこの遺跡ダンジョンに来るまでの間、宝玉を狙うプレイヤーから逃げながら移動してきたため、新しいスキルを試す間が無かったのだ。

「修行開始だね!」

和歌太郎の遺跡ダンジョンでの修行が開始された。
そして、その記念とすべき第1戦は二足歩行の犬、コボルトだった。
大きさは子供程度であるが、手には木製の棍棒を持っている。

「コボルトって言うのか。なんか俺と少し似てる?まぁいい、君達には何の罪もないけど倒させてもらうね。」

和歌太郎は眼前の同じ犬系のコボルトに一言呟くと、異次元boxより剣を取り出す。そして刀身部分に手を当て

表面処理サーフェイス。刃物の表面に熱処理を施し、鉄鋼の組織を入れ替える!そして仕上げに研磨グラインド。これで完成だね」

金属加工メタルワークで新たに増えた能力を使い、自身の剣を鍛えたのである。
剣の表面がまるで黒曜石のように輝く。

「"ワォーーン"」

眼前のコボルトが吠える。
遺跡内を遠吠えが反響する。

「うん?近づいてくる?」

和歌太郎の嗅覚は事前に察知した。
複数のコボルトが和歌太郎のいる小部屋に向かっている事に

コボルトという魔物の恐ろしさは、個の力ではなく群れでの連携力にある。
どこから来たのかコボルトが集まり続け
あっという間に和歌太郎の前には10体のコボルトが集結していた。

「うわぁ……すごい数だ。」

和歌太郎が数に関心していると、一体のコボルトが吠えた。
するとコボルト達は和歌太郎を囲むように移動。

「なるほどね。一体が狙われてもすぐにフォロー出来る体制。立派なフォーメーションだ。だけどね」

和歌太郎は一瞬にして右端のコボルトに近づき、その剣を振るう。

まさに一刀両断。
和歌太郎の剣はコボルトを容易く斬り裂いた。

「フォロー出来ないほどの速度には対応できない。」

一瞬の出来事に固まるコボルト達
現在の和歌太郎は、犬人族の身体能力に加え、新スキル"身体能力強化ストリングス"によって圧倒的な速度を誇る。

加えて新製された剣は名剣にも劣らない。

(抵抗がない。斬れ味がかなり上がったね。これならばそっとやちょっとで刃こぼれすることもなさそうだね)

和歌太郎は剣を振り、血を飛ばし残りコボルト達に視線を向ける。

このままでは一方的に負けると考えたコボルト達は残り9名での一斉攻撃に打って出た。

それに対し和歌太郎は圧倒的な機動力を活かし、コボルト達の真上を飛び越えた。

そしてコボルト達の背後に着地するや否や反転。
再び地面を強く蹴り加速、未だ反応できていないコボルト達を切り裂いていく。

ーー20秒

和歌太郎がコボルト達を全滅させるのにかかった時間である。

まさに電光石火の攻撃

スキルによる影響もあるが馬根やmadderとの命懸けの一戦は和歌太郎を確実に強くしていた。
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