DEATH GAME ー宝玉争奪戦

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2章

32話 戦略的撤退

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和歌太郎のピンチを救ったのは、颯爽と現れたヨーキであった。

パインはヨーキの粘土創造クレイメイカーによって身体を拘束されていた。

「時間はあまり持たないぜ!速く」

「う、うん!!」

和歌太郎は、すぐ様起き上がりその場を脱出する。
そして、ヨーキに改めて礼を言おうと近づくが、ヨーキは礼は後だと言わんばかりに和歌太郎の口が開くのを人差し指で押さえた。

(えっ!どう言うこと!?)

困惑する和歌太郎。
しかし、ヨーキからはタダならぬ緊張感が漂っている。

「おい、鮮血!こっちに来るんだぜ!」

「なっ!いきなりーー「速く!」」

いきなり呼ばれ反感を示すmadderの言葉を遮り、行動を急かすヨーキ

「よし、撤退だぜ!」

ヨーキはパインの足元に何かを投げだ。
パインの足元から白い煙が溢れ出す。

(煙玉!?ーーえっ!!)

いきなり引かれる手
ヨーキが和歌太郎とmadderの手を引き、移動する。

手を引かれ、辿り着いたのは家屋の一室であった。

「いきなり何なの?」

到着し、最初に口を開いたのはmadderである。
声は抑えているが、かなり怒りが窺える。

「見捨てても良かった所を助けてやったのに、それは無いぜ」

呆れた感を醸し出す和歌太郎
両者の間で静かに散る火花

この空気はよくないと和歌太郎が割って入る

「えーと、とりあえず助けてくれてありがとう。で、何で逃げたのか?後、何があったのか聞いてもいいかな?」

「確かに時間は限られているし、見つかるのも時間の問題だしな。まずは何があったかというと奴は俺とマネキンの戦闘中に突如乱入してきた。」

「マネキンじゃなくて"アロン'よ」

ボソリと訂正するmadder
一瞬2人の間に再び火花がーー

「で、どうなったの??」

すかさずフォローを入れる和歌太郎

「一瞬だったぜ。奴はマネ…アロンの身体を破壊した。しかし、アロンも破壊されながらも応戦し、正直アロンの方が押していたくらいだぜ。」

「ヨーキは大丈夫だったの?」

「俺はその隙に隠れさせてもらったぜ。正直、魔力も尽きて、体力もかなりヤバかったからな」

「……チキン」

ポツリとmadderが呟く

「おい、もう一回言って「まぁまぁ……で」」

一発触発を再び和歌太郎が防ぐ。

「そこから2人の戦いは激化して、お前達の戦いに乱入していったってわけだぜ。で、俺も魔力と体力もそこそこ回復したからお前らの援軍に来た訳だぜ」

「でも何で来て早々煙玉で逃げたの?」

和歌太郎の疑問はそこにあった。
何故、パインの身体を拘束できた絶好のチャンスで逃げたのかと言う点だ。

「それはあのまま戦っても勝てないからだぜ。奴は神族。最も謎多き種族だが分かった事もある」

「それって?」

「……簡潔に言って。」

madderの一言にムッとなるヨーキだが、状況が状況だけに黒衣の男"パイン"の情報を話し始めた。

ヨーキの話をまとめると

黒衣の男"パイン"には2つの能力があると言う。

一つ目の能力は、触れたものを防御無視で破壊する能力
2つ目の能力は、攻撃の無効化

ヨーキ曰く、アロンの攻撃の斬撃が当たっていたにも関わらず、一切ダメージを与えれていなかったそうだ。

「それって……」

出そうになった言葉を何とか言わずに思いとどまる和歌太郎。
最強の矛と盾を持つ相手
和歌太郎の脳裏に撤退という選択肢が浮かび上がる。

だが、その選択肢も次のヨーキの言葉により消される事になる。

「後、奴は宝玉を持ってるぜ」

「「!!!」」

madderと和歌太郎が目を見開く

(いづれにしろあのパインって奴は倒さないといけないってこと。でも、どうやったら……)

頭を抱えて項垂れる和歌太郎

「私は行くわよ」

madderが口を開いた。
一切迷いのない口調で言い切った。

「私は宝玉を集めないといけないのよ。貴方達は自由にするといいわ。宝玉を持ってない貴方達に興味はないし、見逃してあげる」

その言葉は見栄や虚勢などではなく、madderの本心である事が2人にはなんとなく伝わった。

「おいおいおい……ここで逃げるのは男じゃねぇぜ。そうだろ?」

ヨーキが聞き捨てならないとばかりに言い放ち、和歌太郎に手を差し出す。

(はぁ~この流れ)
「やるしかないよね」

和歌太郎は胃がキリキリと痛むのを感じながらも、ヨーキの手を握り返す。

「とりあえずは一時休戦。奴を、パインを倒そう!」

和歌太郎は最凶の相手"パイン"と戦うことを決意した。
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