DEATH GAME ー宝玉争奪戦

DP

文字の大きさ
上 下
25 / 81
2章

24話 奇策

しおりを挟む


和歌太郎が逃げ込んだ家屋に踏み入ったアレクサンダーは眉をひそめる。

「いない……隠れているというわけでありますか」

家屋は中は一部屋のみの小さな家、隠れる場所は限られている。
自然とアレクサンダーの口元が吊り上がる。

「どこに隠れているのでありますかね~」

分からない風を装いながらも視線は一点。
唯一隠れる事が出来そうな衣装タンスに向いていた。

そのまま静かに剣を引き抜き、スキル感電スタンを発動しタンスを貫いた。

ーーしかし

「いないですと!?」

タンスの中は服のみ。
アレキサンダーの狙いは完全に外れた。

では、和歌太郎はどこにいる?
そんな疑問がアレクサンダーの脳内に浮かんだ時

背中に衝撃と激痛が疾る。

「--ゔぅっ……」

その場でうずくまるアレクサンダー
あまりの痛みに声も出ない。

痛みを耐えて、背中に手を回すと手にべっとりと血がつく、

「血っ!?血……、痛い、痛い」

アレクサンダーは大量に溢れ出る血と痛みでパニックに陥る。

「……油断したね」

そこに聞こえる和歌太郎の声
あれくさんたの背後、家屋の入り口からである

「君の負けは俺を逃げたと勘違いし、勝利を確信したところにある」

「……何を…言ってるんで…あり…ます」

「スピードで負けている。剣は触れるだけで痺れさせられる。正直勝ちめは無いと思った。だから俺は考えたよ。速度を殺すためには…攻撃を当てるためにはと」

 そして、考えついたのが室内におびき寄せる事で瞬加速アクセルを封じ、室内に隠れたと思わせる事で背後を取り、ナイフの投擲を行ったのだ。

「くそっ……madder様……すみ…ません」

アレキサンダーは悔し涙を流し、この場所にいないmadderに謝る。

そんなアレクサンダーに和歌太郎はゆっくりと近づいていく。

「くっ……殺せ!殺すであります。お前らみたいなのにmadder様は……負け--」

そこでアレクサンダーの言葉は止まった。
突然、口から泡を出し倒れたのだ。

「うーん、死んで無いはずだけど……投げたのナイフ1本だけだし、高濃度のシビル草のエキスは塗ってるけど」

 和歌太郎はナイフに村人達を無効化したシビル草のエキス、それもプレイヤーにも多少は効果があるほどの高濃度のエキスをナイフに塗り、アレクサンダーの背中に投げ刺した。

「傷口に入ってるのもあるし、恐らく数時間は意識を失っているかな」

和歌太郎は泡を吹き気絶しているアレクサンダーに簡単に止血を行います、その場を後にした。
出来る限り無駄な殺しはしないと和歌太郎は決めたのだ。

目指すは……村の中央部

"鮮血の姫王"madderの元へ
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

戦力より戦略。

haruhi8128
ファンタジー
【毎日更新!】 引きこもりニートが異世界に飛ばされてしまった!? とりあえず周りを見学していると自分に不都合なことばかり判明! 知識をもってどうにかしなきゃ!! ゲームの世界にとばされてしまった主人公は、周りを見学しているうちにある子と出会う。なしくずし的にパーティーを組むのだが、その正体は…!? 感想頂けると嬉しいです!   横書きのほうが見やすいかもです!(結構数字使ってるので…) 「ツギクル」のバナーになります。良ければ是非。 <a href="https://www.tugikuru.jp/colink/link?cid=40118" target="_blank"><img src="https://www.tugikuru.jp/colink?cid=40118&size=l" alt="ツギクルバナー"></a>

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。 コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。 ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。 実際の所、そこは異世界だった。 勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。 奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。 特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。 実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。 主人公 高校2年     高遠 奏    呼び名 カナデっち。奏。 クラスメイトのギャル   水木 紗耶香  呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。  主人公の幼馴染      片桐 浩太   呼び名 コウタ コータ君 (なろうでも別名義で公開) タイトル微妙に変更しました。

こちら異世界観光タクシー ~SSSSパーティーから追放されたマッパーのオッサンは辺境で観光ガイドを開業してみた~

釈 余白(しやく)
ファンタジー
「お前みたいな役立たず、俺たちSSSSパーティーにはふさわしくない! もういらねえ、追放だ!」  ナロパ王国で長らくマッパーとして冒険者稼業をしているエンタクは、王国有数の冒険者パーティー『回廊の冥王』から突然の追放を冷酷に告げられ王都を去った。  失意の底に沈んだエンタクは、馬車に揺られ辺境の村へと流れ付いた。そんな田舎の村で心機一転、隠居生活のようなスローライフを始めたのである。  そんなある日、村人が持ちかけてきた話をきっかけに、かつての冒険者経験を生かした観光案内業を始めることにしたのだが、時を同じくして、かつての仲間である『回廊の冥王』の美人魔法使いハイヤーン(三十路)がやってきた。  落ち込んでいた彼女の話では、エンタクを追放してからと言うもの冒険がうまくいかなくなってしまい、パーティーはなんと解散寸前になっているという。  当然のようにハイヤーンはエンタクに戻ってくるよう頼むが、エンタクは自分を追放したパーティーリーダーを良く思っておらず、ざまぁ見ろと言って相手にしない。  だがエンタクは、とぼとぼと帰路につく彼女をそのまま放っておくことなどできるはずなかった。そうは言ってもパーティーへ戻ることは不可能だと言い切ったエンタクは、逆にハイヤーンをスローライフへと誘うのだった。 ※各話サブタイトルの四字熟語は下記を参考にし、引用させていただいています goo辞書-四字熟語 https://dictionary.goo.ne.jp/idiom/

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

追放幼女の領地開拓記~シナリオ開始前に追放された悪役令嬢が民のためにやりたい放題した結果がこちらです~

一色孝太郎
ファンタジー
【小説家になろう日間1位!】 悪役令嬢オリヴィア。それはスマホ向け乙女ゲーム「魔法学園のイケメン王子様」のラスボスにして冥界の神をその身に降臨させ、アンデッドを操って世界を滅ぼそうとした屍(かばね)の女王。そんなオリヴィアに転生したのは生まれついての重い病気でずっと入院生活を送り、必死に生きたものの天国へと旅立った高校生の少女だった。念願の「健康で丈夫な体」に生まれ変わった彼女だったが、黒目黒髪という自分自身ではどうしようもないことで父親に疎まれ、八歳のときに魔の森の中にある見放された開拓村へと追放されてしまう。だが彼女はへこたれず、領民たちのために闇の神聖魔法を駆使してスケルトンを作り、領地を発展させていく。そんな彼女のスケルトンは産業革命とも称されるようになり、その評判は内外に轟いていく。だが、一方で彼女を追放した実家は徐々にその評判を落とし……? 小説家になろう様にて日間ハイファンタジーランキング1位! ※本作品は他サイトでも連載中です。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

神々に育てられた人の子は最強です

Solar
ファンタジー
突如現れた赤ん坊は多くの神様に育てられた。 その神様たちは自分たちの力を受け継ぐようその赤ん 坊に修行をつけ、世界の常識を教えた。 何故なら神様たちは人の闇を知っていたから、この子にはその闇で死んで欲しくないと思い、普通に生きてほしいと思い育てた。 その赤ん坊はすくすく育ち地上の学校に行った。 そして十八歳になった時、高校生の修学旅行に行く際異世界に召喚された。 その世界で主人公が楽しく冒険し、異種族達と仲良くし、無双するお話です 初めてですので余り期待しないでください。 小説家になろう、にも登録しています。そちらもよろしくお願いします。

処理中です...