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2章
24話 奇策
しおりを挟む和歌太郎が逃げ込んだ家屋に踏み入ったアレクサンダーは眉をひそめる。
「いない……隠れているというわけでありますか」
家屋は中は一部屋のみの小さな家、隠れる場所は限られている。
自然とアレクサンダーの口元が吊り上がる。
「どこに隠れているのでありますかね~」
分からない風を装いながらも視線は一点。
唯一隠れる事が出来そうな衣装タンスに向いていた。
そのまま静かに剣を引き抜き、スキル感電を発動しタンスを貫いた。
ーーしかし
「いないですと!?」
タンスの中は服のみ。
アレキサンダーの狙いは完全に外れた。
では、奴はどこにいる?
そんな疑問がアレクサンダーの脳内に浮かんだ時
背中に衝撃と激痛が疾る。
「--ゔぅっ……」
その場でうずくまるアレクサンダー
あまりの痛みに声も出ない。
痛みを耐えて、背中に手を回すと手にべっとりと血がつく、
「血っ!?血……、痛い、痛い」
アレクサンダーは大量に溢れ出る血と痛みでパニックに陥る。
「……油断したね」
そこに聞こえる和歌太郎の声
あれくさんたの背後、家屋の入り口からである
「君の負けは俺を逃げたと勘違いし、勝利を確信したところにある」
「……何を…言ってるんで…あり…ます」
「スピードで負けている。剣は触れるだけで痺れさせられる。正直勝ちめは無いと思った。だから俺は考えたよ。速度を殺すためには…攻撃を当てるためにはと」
そして、考えついたのが室内におびき寄せる事で瞬加速を封じ、室内に隠れたと思わせる事で背後を取り、ナイフの投擲を行ったのだ。
「くそっ……madder様……すみ…ません」
アレキサンダーは悔し涙を流し、この場所にいないmadderに謝る。
そんなアレクサンダーに和歌太郎はゆっくりと近づいていく。
「くっ……殺せ!殺すであります。お前らみたいなのにmadder様は……負け--」
そこでアレクサンダーの言葉は止まった。
突然、口から泡を出し倒れたのだ。
「うーん、死んで無いはずだけど……投げたのナイフ1本だけだし、高濃度のシビル草のエキスは塗ってるけど」
和歌太郎はナイフに村人達を無効化したシビル草のエキス、それもプレイヤーにも多少は効果があるほどの高濃度のエキスをナイフに塗り、アレクサンダーの背中に投げ刺した。
「傷口に入ってるのもあるし、恐らく数時間は意識を失っているかな」
和歌太郎は泡を吹き気絶しているアレクサンダーに簡単に止血を行います、その場を後にした。
出来る限り無駄な殺しはしないと和歌太郎は決めたのだ。
目指すは……村の中央部
"鮮血の姫王"madderの元へ
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