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1章
14話 決意
しおりを挟む「まぁ得たものあったし、村長に報告するかな」
攻略済みであったダンジョンで一夜を明かした和歌太郎はもう一度村に戻ることに
行きは黒衣の男のせいでかなり遠回りをした和歌太郎だが、帰りは魔物との遭遇も少なく1時間も掛からず村の近くまで来た。
「後、少しかな」
現在地を地図を見て、村までの距離を確認する。
しかし、そこで微かな臭いを和歌太郎の嗅覚が感じ取った。
「うん??」
「この臭い!?煙…そしてこの方向は……」
和歌太郎の額に汗の粒が浮かぶ。
空を見上げれば、立ち上がる黒い煙
異変を感じ取った和歌太郎は全力で村の方へと駆ける
(間に合ってくれよ)
途中出会う魔物は無視し、一直線に村を目指す
(燃えている臭いが強くなってきた!)
村が近づくにつれ強くなる煙の臭い
煙の臭いが強すぎて、細かな臭いは分からない。
そして、辿り着いた村
「なっ……」
言葉を失う和歌太郎
村は悲惨な状態であった。
「何で……」
村があった場所は焦土と化していた。
あったはずの建物も全てが炭化している。
そして、未だなお燃え続ける炎
脳裏に浮かぶ村の人達の優しい笑顔
「誰がっこんな酷いことを!せっかくダンジョンが攻略されて村も平和になるはずだったのに!」
気づけば流れる涙。
胸に込み上げる悔しさ
「あんなに良くしてもらったのに俺は何も返せなかった。俺がすぐに帰っていれば!こんなに……ーー!」
ふと思い出すダンジョン奥地の強力な炎
村の焦土とその光景が重なる。
両方に共通する強力な炎系のスキルか魔法を使われている事。
更に微かに残ったプレイヤーの匂いが一致していた。
(……同じ人物)
胸の内側から焼けつくような復讐心が込み上げる。
「……絶対許さねぇ…俺が仇を絶対に打つ」
温厚な和歌太郎の瞳に強い殺意と決意が宿る。
そして思い出すこのゲームクリアの報酬
《何でも一つ願いを叶える権利》
「ゲームをクリアできれば、この村の人達も救うこともできるかもしれない。今までは正直生き残れさえすればいいと思ってたけど、俺はこのゲームをクリアする。絶対に!」
和歌太郎は半日かけて村の中心に土を盛り、金属加工で十字架を作成し、盛り土に刺して墓標を作る。
「みんな待ってて。俺がこんなバッドエンド変えてやるから」
和歌太郎は強い決意と共に村に背を向け歩き出す。
新たな目的を胸に
そう、この《デスゲーム》をクリアするために
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