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1章
13話 最奥地
しおりを挟むオークとの戦闘から数十分が経過した。
しかし、オーク以来、敵との遭遇はなし。
ダンジョンもかなり進んでいるはずだが、特に何も起きず和歌太郎のテンションは下がっていた。
「危険は無いに越した事は無いけど、お宝とかも全然無いし。
本当に村を苦しめた原因のダンジョンなのかな?」
あまりにも魔物がいないダンジョンに懸念を感じていた。
「ほんと変だ。魔物とかの残り香みたいなのはするのに。とりあえず、行けるところまで行ってみようかな」
和歌太郎はダンジョンを奥に奥に進んでいった。
そして、何も無いまま最奥にまで辿り着いた。
「な、なに、これ……?」
驚愕の表情を浮かべる和歌太郎
ダンジョンの最奥にあったのは大きなドーム状の広間。
その中央には真っ赤に燃え盛る炎
加えて
「ドラゴン……」
大きな1対の翼
鈍く輝く紅の鱗
鋭い爪と牙
大きさはプライベートジェット並み
最強の魔物で有名なドラゴン
「…の死体」
ダンジョンの最奥地にいたのは息絶えたドラゴンであった。
それも体中が炎に焼かれ、今もなお燃えている。
(なんで!?)
混乱する和歌太郎
ドラゴンは死んでなお圧倒的な存在感を放っている。
和歌太郎が戦ったオークやホブゴブリンなどとは比べ物にならない。
(一体誰が…。ってかドラゴン倒すってどんな化け物だよ!)
困惑しつつも辺りを全力で警戒する和歌太郎
もし、ドラゴンを倒す程の存在がいた場合、和歌太郎に勝ち目は無いからである。
(それにしても初ダンジョンのボスがラスボス並みで、しかも既に倒され済みってどういう事なんだよ)
幸運なのか不幸なのか分からなくなる和歌太郎。
警戒してから数分、、、
和歌太郎は地面に座り込んでいた。
既に倒した者がいない事が分かったからだ。
「はぁ~何もしてないけど村は救われたって事か。それにしてもドラゴンを倒したのっておそらくプレイヤーだよな。若干残香もあるし……」
そして、何故倒した人物と自分が遭遇しなかったかを考える。
その答えはすぐに出た。
(入れ違いだろうね)
ダンジョン最奥地の広間には6つの小道への穴がある。そのうちの一つが和歌太郎が来た道なのだが、それ以外の5つの道を通ってボスを倒したプレイヤーがいると考えたのだ。
加えてダンジョンに魔物が途中から全く無かったのは、ダンジョンのボスであるドラゴンが倒されたからだろうと考えていた。
「それにしてもこの凄い炎、炎系のスキルか火魔法とかかな。はぁ…ほんと羨ましいかぎりだ」
和歌太郎のスキルは、触れた金属を加工するスキルと剣を扱うスキル。至って悪いスキルでは無いのだが、ドラゴンを倒せる程の威力、火力は無い。
「それにしても強いプレイヤー多すぎるだろ。ドラゴン倒す奴とかゴブリン100体を瞬殺する奴とか、はぁ……生き残れるんだろうか」
森で出会った黒衣の男、ダンジョンのドラゴンを倒した謎のプレイヤー。両者とも和歌太郎では勝ち得ない強力なプレイヤーにこれからの不安を感じるのであった。
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