DEATH GAME ー宝玉争奪戦

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都市部から少し外れた所にある古びたビル

「えーと、ここであってるんだよね?」

 青年が1人ビル前に立ち止まり、不安そうにスマホとビルに何度も目を移ろわせている。

彼は院材 和歌太郎(いんざい わかたろう)
24歳の機械メーカー勤務の社会人だ。

「やっぱり合ってるし入ってみるかな」

 和歌太郎のスマホには地図アプリが開かれており、目的地のピンは前方の古びたビルを指している。
しかし、ビルの入り口に人の出入りは見られず、外から見える窓にも人影は見られない。

「はぁ……もしかして騙されたのか?」

 ため息をこぼしつつ、1週間前に送られてきたメールをもう一度見直す。
 そのメールには「新技術VRMMOシステムのクローズドβテストの当選」というタイトルがあり、15歳から70歳までの100名を対象にVRMMOの実験を行うと書かれている。

 これだけを見れば、迷惑メールの類だと思われるが、送付先が国立研究所であり、送り先のメールアドレス、住所も同一であった。
 そのため和歌太郎は信用し、記載された場所まで来たのだ。

「うーん、とりあえず入ってみよう」

和歌太郎は数秒黙り込み考えた後、ビルの指定の場所まで向かって見ることにした。

 ビル内のシステムは生きているようで自動ドアは開き、エレベーターも起動した。しかし、人の気配は全くしない。
 和歌太郎は僅かばかりの不穏さを感じつつも指示された場所に歩みを進めた。

「あっ貼り紙がある。この部屋だな。」

和歌太郎は身だしなみを軽く整えて、ノックを3回行った。
しかし、返事はない。

もう一回ノックをしてみても返事はない。

(うーん、いないのかなぁ。とりあえず入るか)

「失礼します!」

その言葉と共にドアノブを回し、ドアを引く。

「うっ!!」

中から真っ白の光が溢れ出し、和歌太郎の全身を呑み込んだ。

光が収まり、露わになった部屋はただの空き部屋であった。

……そこに和歌太郎の姿はなかった。


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