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1章 妖を祓え
6話
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『 強いのは我 』
とある町、空は太陽が強く照り付ける。
歩く人々は手で仰いだり軽装になったり冷たいものを飲む。
さらには日陰で休んだり自転車を漕ぐ男性はアイスや飲み物を売る。
ビーチではバカンスをする人々の姿。
華南もあまりの暑さに服を手に持ってワイシャツ姿。
市場を歩くと露店でフローズンを注文する。
「そんな格好で大変でしょ、このへんは初めて?」
華南「はい、ずっとこんな感じですか?」
「半年前ではこうじゃなかったんだけど。」
大きな水鉄砲を持って遊ぶ子ども達。
再び歩く華南によそ見をしていた水鉄砲を持った男の子がぶつかる。
「ゴメンなさい・・・」
華南「ケガしないように気をつけて遊べ。」
華南は仕切りの中にいる水やりをする男の子を見る。
華南「ねえ、あの子は誘わなくていいの?」
「別にいいんだよ、こういうことには興味ないんだから。」
「いつも一人であんなことして楽しいのかな?」
花壇に水をあげる男の子(ソウ)。
水鉄砲の水が散る。
ソウ「なにするの!?」
「花になんか見とれて、女の子か?」
「悔しかったらやり返してみろ。」
ソウは蛇口をひねってホースで勢いよく飛ばす。
子ども達に散るが離れていく。
「ほら、ここまで来たら届かないだろ!」
ソウは水を止めて断念する。
子ども達は笑いながら走り、華南を通り過ぎる。
「?」
町から歩いてすぐに小さな山脈があり、華南は登る。
てっぺんまで来るとなにかを見つける。
その姿は水色の衣装とオレンジの衣装を来た宙に浮く少年達。
「!」
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
〔 風来坊、日向坊 〕
風と日の光をそれぞれ操ることができる妖
互いに力を競い合うのが趣味であり直接人が襲われた件はない
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
華南は構える。
日向坊「ねえ、あの人見えてるんじゃない。」
風来坊「そうだね、ちょうどいいや。」
華南は刀を抜く。
風来坊「君に問題だ。」
日向坊「オイラ達。 」
「「 どっちが強い? 」」
華南「なに? そんなの知るか!!」
日向坊「残念。」
風来坊「愚か者!!」
強い風が吹くと華南は飛ばされる。
態勢を直して向かおうとするが炎の壁が邪魔をして足止めされる。
山脈を下りて反対側に来る華南。
そこでは日が照らず、風が吹いている。
華南は風を遮ろうとする。
「なんだこれ、さっきのところと正反対だ。」
行き交う人々も厚着をしている。
華南は歩いていると民家で板を打ちつける男性を見る。
打つ途中でよろけて板を落としてしまい、華南は支える。
華南「無理しないで。」
「こうでもしないとすき間風が入って眠れないんだ。」
華南「ここに打てばいいの?」
板と金槌を持って壁のすき間を確認する。
ぎょろり
「わあ!!」
すき間から誰かが覗くと年老いた女性。
「寒いのは苦手じゃ・・・・・・」
作業を終えて民家をあとにすると突然 雨が降る。
行き交う人々も傘をさすが、飛ばされたり捲れたりしそうになる。
「やっぱり、ただの風じゃなさそうだな。」
人々に紛れて目の前を通り過ぎるレインコートを着た子。
手には植木鉢。
山脈の頂上に華南は来る。
風来坊「君に問題だ。」
日向坊「オイラ達。 」
「「 どっちが強い? 」」
華南「そんなもの競ってる場合か! 人が病気やケガをしたらどうする!」
日向坊「残念。」
風来坊「愚か者!!」
強い風が吹き、華南は飛ばされる。
再び向かおうとすると炎の壁に遮られる。
山脈を下りて再び暑い町に向かう。
「やつらの言ってる強さとは気候のことか?
ほとんど互角くらいだしどうすれば。」
歩いてる途中で倒れてる人を見かける。
近くにはリヤカーがあり、厚着をしている。
「大丈夫か!? もしかして隣の町から?」
華南は服のチャックを外して楽にさせる。
男性は診療所に運ばれ、ベッドに寝かされる。
華南「熱中症と診断されたわ。」
「すまん、見ず知らずのやつにこんな・・・」
華南「仕事も大事だけど、体調が優れないことにはどうもならないから。
まあ、ゆっくり治せば。」
華南は道を歩き、暑そうにしている。
例の家でソウを見かける。
華南「ねえ君。」
ソウ「?」
華南「向こうの町にもいたよね。」
華南「ソウくん。 君に頼みたいことがある。」
山脈の頂上に華南は来る。 その後ろにソウ。
日向坊「今回は違う子なんだね。」
風来坊「まあいいや、それじゃあ君に問題だ。」
日向坊「オイラ達 」
「「 どっちが強い? 」」
ソウ「どっちも強いよ。 理由だってある。
こんな、見たこともない花を咲かせたんだから。」
植木鉢を持って色鮮やかな花を出す。
小回想。
華南「向こうの町まで鉢を持って何してたのかな?」
ソウ「実はね、これなんだ。」
華南「珍しい花ね。」
ソウ「そうでしょ。 前までこんな花咲かなかったんだけど。
暑すぎず、寒すぎずにこことあっちの町みたいな場所に交互に行ってたら成長していったの。」
華南「(前まで、こんな環境じゃなかったら咲かなかったってことか?)」
「ソウくん、君に頼みたいことがある。」
華南は手を合わせる。
「この通りだ、この極端な気候のせいで苦しんでいる人達がいるんだ。」
風来坊と日向坊はこらえる。
日向坊「おめでとう!!」
風来坊「しかも、納得できる答えだ。」
日向坊「それじゃあオイラ達はこれで 」
「「 さようなら!! 」」
二人は消滅する。
華南「ソウくん、ありがとう。」
ソウ「お姉ちゃん。 」
数日後、両方の町は気温もちょうどいいくらいになり、人々は活気づく。
小回想。
ソウ「でも、もとの気候に戻ったら、花はこれ以上育たなくなるんだよね?」
華南「まあそれもなくはないかもしれない。」
ソウ「それじゃボクからもお願い。
この種をあげるから、お姉ちゃんが育ててくれない?」
華南「・・・分かった。」
華南は道を歩きながら謎の種を持って町を後にする。
[報告書]
怪異調査協会本部宛
_____の町の異なる環境の調査、妖を討伐
溝口 華南
とある町、空は太陽が強く照り付ける。
歩く人々は手で仰いだり軽装になったり冷たいものを飲む。
さらには日陰で休んだり自転車を漕ぐ男性はアイスや飲み物を売る。
ビーチではバカンスをする人々の姿。
華南もあまりの暑さに服を手に持ってワイシャツ姿。
市場を歩くと露店でフローズンを注文する。
「そんな格好で大変でしょ、このへんは初めて?」
華南「はい、ずっとこんな感じですか?」
「半年前ではこうじゃなかったんだけど。」
大きな水鉄砲を持って遊ぶ子ども達。
再び歩く華南によそ見をしていた水鉄砲を持った男の子がぶつかる。
「ゴメンなさい・・・」
華南「ケガしないように気をつけて遊べ。」
華南は仕切りの中にいる水やりをする男の子を見る。
華南「ねえ、あの子は誘わなくていいの?」
「別にいいんだよ、こういうことには興味ないんだから。」
「いつも一人であんなことして楽しいのかな?」
花壇に水をあげる男の子(ソウ)。
水鉄砲の水が散る。
ソウ「なにするの!?」
「花になんか見とれて、女の子か?」
「悔しかったらやり返してみろ。」
ソウは蛇口をひねってホースで勢いよく飛ばす。
子ども達に散るが離れていく。
「ほら、ここまで来たら届かないだろ!」
ソウは水を止めて断念する。
子ども達は笑いながら走り、華南を通り過ぎる。
「?」
町から歩いてすぐに小さな山脈があり、華南は登る。
てっぺんまで来るとなにかを見つける。
その姿は水色の衣装とオレンジの衣装を来た宙に浮く少年達。
「!」
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〔 風来坊、日向坊 〕
風と日の光をそれぞれ操ることができる妖
互いに力を競い合うのが趣味であり直接人が襲われた件はない
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華南は構える。
日向坊「ねえ、あの人見えてるんじゃない。」
風来坊「そうだね、ちょうどいいや。」
華南は刀を抜く。
風来坊「君に問題だ。」
日向坊「オイラ達。 」
「「 どっちが強い? 」」
華南「なに? そんなの知るか!!」
日向坊「残念。」
風来坊「愚か者!!」
強い風が吹くと華南は飛ばされる。
態勢を直して向かおうとするが炎の壁が邪魔をして足止めされる。
山脈を下りて反対側に来る華南。
そこでは日が照らず、風が吹いている。
華南は風を遮ろうとする。
「なんだこれ、さっきのところと正反対だ。」
行き交う人々も厚着をしている。
華南は歩いていると民家で板を打ちつける男性を見る。
打つ途中でよろけて板を落としてしまい、華南は支える。
華南「無理しないで。」
「こうでもしないとすき間風が入って眠れないんだ。」
華南「ここに打てばいいの?」
板と金槌を持って壁のすき間を確認する。
ぎょろり
「わあ!!」
すき間から誰かが覗くと年老いた女性。
「寒いのは苦手じゃ・・・・・・」
作業を終えて民家をあとにすると突然 雨が降る。
行き交う人々も傘をさすが、飛ばされたり捲れたりしそうになる。
「やっぱり、ただの風じゃなさそうだな。」
人々に紛れて目の前を通り過ぎるレインコートを着た子。
手には植木鉢。
山脈の頂上に華南は来る。
風来坊「君に問題だ。」
日向坊「オイラ達。 」
「「 どっちが強い? 」」
華南「そんなもの競ってる場合か! 人が病気やケガをしたらどうする!」
日向坊「残念。」
風来坊「愚か者!!」
強い風が吹き、華南は飛ばされる。
再び向かおうとすると炎の壁に遮られる。
山脈を下りて再び暑い町に向かう。
「やつらの言ってる強さとは気候のことか?
ほとんど互角くらいだしどうすれば。」
歩いてる途中で倒れてる人を見かける。
近くにはリヤカーがあり、厚着をしている。
「大丈夫か!? もしかして隣の町から?」
華南は服のチャックを外して楽にさせる。
男性は診療所に運ばれ、ベッドに寝かされる。
華南「熱中症と診断されたわ。」
「すまん、見ず知らずのやつにこんな・・・」
華南「仕事も大事だけど、体調が優れないことにはどうもならないから。
まあ、ゆっくり治せば。」
華南は道を歩き、暑そうにしている。
例の家でソウを見かける。
華南「ねえ君。」
ソウ「?」
華南「向こうの町にもいたよね。」
華南「ソウくん。 君に頼みたいことがある。」
山脈の頂上に華南は来る。 その後ろにソウ。
日向坊「今回は違う子なんだね。」
風来坊「まあいいや、それじゃあ君に問題だ。」
日向坊「オイラ達 」
「「 どっちが強い? 」」
ソウ「どっちも強いよ。 理由だってある。
こんな、見たこともない花を咲かせたんだから。」
植木鉢を持って色鮮やかな花を出す。
小回想。
華南「向こうの町まで鉢を持って何してたのかな?」
ソウ「実はね、これなんだ。」
華南「珍しい花ね。」
ソウ「そうでしょ。 前までこんな花咲かなかったんだけど。
暑すぎず、寒すぎずにこことあっちの町みたいな場所に交互に行ってたら成長していったの。」
華南「(前まで、こんな環境じゃなかったら咲かなかったってことか?)」
「ソウくん、君に頼みたいことがある。」
華南は手を合わせる。
「この通りだ、この極端な気候のせいで苦しんでいる人達がいるんだ。」
風来坊と日向坊はこらえる。
日向坊「おめでとう!!」
風来坊「しかも、納得できる答えだ。」
日向坊「それじゃあオイラ達はこれで 」
「「 さようなら!! 」」
二人は消滅する。
華南「ソウくん、ありがとう。」
ソウ「お姉ちゃん。 」
数日後、両方の町は気温もちょうどいいくらいになり、人々は活気づく。
小回想。
ソウ「でも、もとの気候に戻ったら、花はこれ以上育たなくなるんだよね?」
華南「まあそれもなくはないかもしれない。」
ソウ「それじゃボクからもお願い。
この種をあげるから、お姉ちゃんが育ててくれない?」
華南「・・・分かった。」
華南は道を歩きながら謎の種を持って町を後にする。
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溝口 華南
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