空は青いか?

乱川 カナト

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スカイフリューゲル

#3

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 「エアロエンジン搭載型スニーカー。それはスカイフリューゲルをやる者にとっては最も重要な道具であり、身体の一部でもある。スニーカーの靴底にエンジンが付いているため靴底や爪先の部分は金属で造られている。その上から靴生地を付けているのだが、人によってエンジンの種類が変わってくる為、見た目も重さも異なってくる」
 饒舌に語るのは銀髪の少年で秋月 奏あきづき かなでと同級生であり、スカフリ部副部長の川峰 四阿かわみね あづまだった。
 メガネのレンズ越しから見える空には、秋月の姿が映っていた。
「へぇ~。じゃあじゃあ、秋月先輩の靴にはどんなエアロエンジンが付いてるんすか?!」
 無邪気に川峰に質問しているのは2年の藤蔵 慧ふじくら けいである。
「奏の靴に付いてるエアロエンジンは比較的噴出力が強くないものなんだ」
 そう語る四阿の顔はどこか羨ましそうに空を見ている様なそんな風に慧には見えたが、あえて何も言わずに空を見上げる。
 エアロエンジンは、空気を噴出する為飛行機等のように炎などは出ない。最新の科学力をもって開発された人類が空を歩ける夢の道具のような物だ。

「それでは、吹奏楽部の皆さん発表をお願いします!」
 アナウンスされるとぞろぞろと舞台袖から吹奏楽部員が出てきてそれぞれの定位置に椅子を置くと、楽器を準備し演奏を始めた。
「えー、あたし吹部に入ろっかな~」
「やった事あるの?」
「あれ?かなに言ってなかったっけ?あたし小学校の頃から吹部一筋だよ!」
 得意げに話す遥の目はキラキラしていて本当に楽器が好きなんだなぁと新しい発見が出来た。
 私もそれに釣られてスカイフリューゲル部について話そうとした時、タイミング良く吹部の演奏が始まってしまい遥に言いかけて口を閉ざしてしまった。
 演奏中に横目で遥の顔を見ると食い入るように吹部を見ていて膝の上に乗っている拳には無意識に力が入っていた。
 照明に照らされ、金楽器がキラキラと輝いている。
「ありがとうございました!私達吹奏楽部は今年こそ全国で1位を取るのを目標に頑張っています!是非、経験者の方や興味のある方は吹奏楽部まで来てください!」
 体育館中に拍手が響き渡る。遥の話によると去年は全国大会までいったものの4位という結果で金は取れなかったらしい。
「あたし絶ッ対吹部に入るわ!」
 そう言って一人ガッツポーズをしている遥に周りの視線が突き刺さる。ギャルっぽい見た目に大きい声で言ったものだから周りの注目を集めてしまったらしい。
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