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そろそろ10歳

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「お姉さま、お誕生日おめでとうございます!」
「え?」

 朝、食堂の扉を開けると同時に、ルーカスが飛びついてきました。
 この世界では誕生日を祝う習慣はなく、皆一年の初めに一つ歳をとります。生まれた年を0歳とし、次の元旦から1歳ずつ数えるのです。
 ですから誕生日にケーキを食べたり、プレゼントを貰ったりといった習慣はありません。屋敷の空気がいつも通り過ぎて、すっかり忘れていましたが・・・そうか、今日は私の10歳の誕生日でしたか。

「ありがとう。ルーカス」

 しかし今日まで、ルーカスに誕生日その日を祝われたことはないのですが・・・最近、よく行動を共にするからでしょうか。

「お父様が今日の午後にいらっしゃるそうです。早く食べて、砂漠に行きましょう!」
「え、ええ」

 ぐいぐいと私の背を押して、私を席に着かせるルーカス。
死亡ルートな彼からは、なるべく距離を置いておきたいのですが、彼の退屈な毎日を払拭し得る、私というイレギュラーな存在に気づいてしまったようです。少し前まで午後の鍛錬で満足していたはずが、午前中も付いてくるようになってしまいました。
 というのも、午前中も私に張り付くようになったルーカスと、初めは読書などをして過ごしていたのですが・・・。私が飽きてしまいまして。

「ルーカス。お父様にも、秘密ですからね」
「はい! お姉さまと僕の、秘密です!」

 ほわーっと笑うルーカス。かわゆす。
 そんな彼を連れて、セバス族兄妹も一緒に国境まで転移しました。最近の日課は、一面に広がる雑草たちへの水やりです。

「恵みの雨!」

 傘をさしたルーカスが、空いている方の手のひらを上に呪文・・・というか、ルーカスの精霊に向けた合言葉を口にしました。
 ルーカスの半径5メートル前後の範囲に、雨のように水が降り始めます。そのまま歩き回って水を撒き始めました。それを確認して、オニキスを見ます。

「手分けを・・・」
『しない。離れない。』

 セバス族の村から帰ってから、オニキスはいつにもましてべったりになりました。
 私の影に入ることもなく、添い寝も復活しました。朝、何となく気恥ずかしいのは相変わらずなのですけど、おかげさまで、よく眠れております。

「今日はなるべく早く済ませて、帰りたいのですが」
『早く終わればいいのだな』

 ぞわっと身の毛がよだつ感覚と共に、空に暗雲が立ち込め、あっという間に広がりました。そして私たちがいる一部を除く、見渡す限りの範囲に雨が降り始めました。土砂降りです。この感じだと、砂漠どころか、エンディアの町にも降っているのでは。

『ひぃぃ』

 モリオンが怯えて、クラウドの影に隠れました。精霊にはオニキスがどう見えているのでしょうか。

『む。やり過ぎたか』

 圧迫感が消え、雨の勢いが弱まりました。ただ水を撒くのではなく、雨雲を作れるなんて、すごいですね。オニキス。
 ぴょこっとクラウドの影から、モリオンが顔だけ出しました。

『オニキス様・・・それ、加減しないと真白にばれるっす』
『あぁ。気を付ける』

 何をどうしているのかは知りませんが、あの圧迫感はオニキスの仕業のようです。おかげさまで、午前中に予定していたことが、終わってしまいました。

「お姉さまぁ」

 この後どうしようか考えていたところに、ルーカスが走ってきました。傘を捨てて、私に飛びつきます。これ好きですね、ルーカス。

「魔法が使えなくなりました。みぃちゃんが怖がってる感じがします」

 みぃちゃんというのは、ルーカスが勝手に付けた彼の精霊の呼び名です。水の精霊だから、みぃちゃん。幸いなことに、ルーカスと契約がなされたわけではありません。

『すまない。脅してしまったようだな』

 オニキスが耳を寝かせて、うなだれました。反省しているようです。

「雨雲を呼んだのに驚いただけですよ。しばらくすれば落ち着くでしょう」

 ぎゅうぎゅうと押し付けてくる藍色の頭を、なでなでします。しかし、こう派手なことをすると、たぶん・・・。

「来ましたね、ドードさん」

 雨に紛れてしまいそうなゴマ粒大の何かは、予想通りの人物だったようです。チェリを連れてきて、正解でした。

「久しぶりに、マンゴー畑を見に行きますか」

 くっついたままのルーカスと私に、クラウドと同じ年に見えるよう視覚阻害を付与します。そして雨に濡れないよう傘を差し、ドード君に向かって歩き始めました。
 もじもじしながらチェリに話しかけるドード君と合流し、その様子を観察しつつ、マンゴー畑へ向かいます。

「ドード君、何か困りごとはありませんか?」
「はっ? えぇぇ! お、俺のですか?!」

 面白いほど動揺するドード君。確かに個人的には、内容が気になるところではあります。

「必要でしたら、個人的な相談にも乗りますよ」
「あ。この集落の話ですよね。そうですよね。」

 うんうんと自分を納得させるように何度も頷いてから、ドード君が首をひねりました。

「とくにありませんね。・・・あぁ。テトラディル侯爵から、正式に亡命を申請すれば、帰化を認めるとの書状をいただきました」
「おや。モノクロード国籍が欲しいのですか?」
「この集落にカーライル村と名付けるには、税を納める必要がありますから」
「はい?」

 なんか今、聞き捨てならない事を聞いた気がしますよ。

「村と認めてもらうには、皆にこの国の国籍が必要なんです。そしてちゃんと税を納めるなら、好きに名付けていいとのお達しです」
「で?」
「カーライル村です!」
「なぜ?」
「カーライル様の村だからです!」

 頭痛がしてきました。助けを求めるようにチェリを見ても、当然という顔をしています。クラウドは何も考えてませんね。オニキスはふんすと鼻をならしました。

『死人に口無しだ。諦めろ』

 用法が違いますが、私に口を出す権利は無さそうです。なんか涙が出そう。死者に鞭を打つ気ですか。

「お姉さま、大丈夫ですか?」

 ルーカスが心配そうに覗きこんで来ました。慰めてくれるのは彼だけのようです。

「ええ。なんでもありませんよ」

 溜め息を堪えて歩き、マンゴー畑に到着する頃には雨が止みました。よかった。雨による混乱は起きていないようです。
 ドード君の方はチェリにお任せし、ルーカスはクラウドに任せて、私はダーブさんを探します。

「こんにちは、ダーブさん」
「こんにちは。ようこそおいでくださいました。カーラ様」

 敬称はいらないと言ったのですが、ダーブさんが固辞するので諦めました。どうやら私を、カーライルの血縁者だと思っているようなのです。

「来てくださってよかった。少し、お待ちいただけますか?」

 そう言うと、ダーブさんがマンゴーを積んだ荷台の鞄から、袋を3つ取り出しました。

「どうぞ、お納めください」

 まさか・・・お金?

「いえいえいえ! やめてください! 私はカーライルの・・・いえカーライル様の部下ではありましたが、あなたの上司ではありません。もうこのマンゴー畑もあなたのものです!」
「でも、血縁者でございましょう? あなたの身のこなしも、言動も、雰囲気さえも、カーライル様にそっくりでございますから」

 ええ。本人ですもの。
 押し付けてくる袋を拒否していると、私の後ろから、ドード君とチェリがやってきました。

「カーラ様、受け取ってください。他のみんなも、あなたが後継者だと認めております」

 どうしたものかとなんとなくチェリを見たら、満足げに頷いていました。
 あなたの仕業ですね?

「わかりました。しかし割合は下げましょう」

 袋をひとつだけ手にします。ダーブさんの目が潤みました。仕方ないので、もうひとつ手を伸ばしかけ・・・やっぱり気が咎めたのでやめました。

「では、ごきげんよう!」

 ダッシュでルーカスの方へ逃げます。

「カーラ様が逃げた!」
「南東班!」

 しかし考えが読まれていたようで、すぐ集落の方々に囲まれてしまいました。裏切りましたね、チェリ!

「カーラ様、どうぞ」

 結局、カーライルの時と同じ3割の取り分になりました。さすがチェリ。私の意図とは違いますが、仕えるものとしては優秀です。
 仕方がないので、報酬に見合う働きをしに、ときどきカーライル村(仮)へ来ることにしました。カーライルのように、治癒の領域へ手を出すつもりはないので、光教会から目をつけられることはないでしょう。



「カーラ。いい話と、悪い話がある。どちらから聞きたい?」

 父は社交シーズン中のため母を王都に置いて、テトラディル領都まで馬を飛ばしてきたようです。その顔には疲れと共に、乗り物酔いの影響がみえます。
 何も言わずともチェリが紅茶を直接テーブルに置かず、私に手渡してくれました。この優秀さが恐ろしい。
 父が紅茶を口にしてから、答えることにしました。ちなみに今回は、速効性の状態異常解除が付与してあります。

「では悪い方からお願いします」

 予想通りだったのか、父がソファにもたれかかって足を組んだ姿勢でため息をつきました。

「トリステン公爵はまだ、お前を諦めていない。御子息からお前の話を聞き、逆に執着を強めたようだ」

 いったい何を話したのですか、アレクシス様。
 父がなんかしただろうという目で、私を見ています。確かにちょっとありましたが、あれは巻き込まれた方です。しかも4年前ですよ。時効です、時効。
 私が何も言わないのをみて、再びため息をつく父。

「そこで、トリステン公爵と取引をして、王太子派であることを表明することにした。まあ、元より側妃派に縁はないから、立場を明らかにするだけだがな」
「お父様はそれでいいのですか?」
「ああ。問題ない」

 ゲームではアレクシス様と婚約していたわけですから、元々王太子派だったのでしょう。これでまたヘンリー王子たちと関りができてしまいましたが、仕方がありません。
 では、いい話とやらを聞きますか。

「お父様、もう一つのお話は何ですか?」
「喜べ! カーラの社交界デビューのパーティーをするぞ!」

 父。どちらも悪い話ではありませんか。
ルーカスはきっとこれを知っていて、私にお祝いの言葉をくれたのですね。

 この世界では、皆一年の初めに一つ歳をとります。ですから誕生日そのものを祝う習慣がありません。
 が、ひとつだけ例外があります。
 10歳になると、社交界デビューがあるのですが、元旦に一斉にデビューするのでは、パーティーが重なってしまいます。それに前世の成人式のように、まとめてパーティーするなんてこともありません。
 ですから誕生日を迎えた者から順に、お披露目パーティーをするのです。
 ちなみにヘンリー王子とアレクシス様は、私より先に済ませています。当然、デビュー前の私は呼ばれませんでした。後に生まれて、よかった!

 しかし私の名を出してしまえば、参加者が集まらないと思っていたのですが、そうではなかったのですね。

「主催は大公閣下だ」

 やはり私の名前では、パーティーができませんでしたか。私としては、デビューしないままフェードアウトで構わないのですが。
 でもなんでまた、私のお披露目に大公閣下が関わってくるのでしょうか。

「お父様は、大公閣下と繋がりをお持ちでしたか」
「いや。カーラ、それはお前の方だろう? 大公閣下に借りを返すと言われたぞ」

 父の眉間に皺が寄りました。
 えぇと・・・ヘンリー王子? 誰にどこまでお話になられたのですかね?

「お父様、私ではなくヘンリー王子殿下の仕業です」

 ここは悪魔のせいにしておこうとしましたが、父に信じられないという顔をされてしまいました。私が原因だと、あっさり認められているのが怖い。

「まあいい。おかげで大公閣下が王太子派になり、王位継承争いが小康状態になったからな」

 父が紅茶を飲み干して、立ち上がりました。

「カーラ、悪いが明日には出立するぞ。ドレスは王都で仕立てる」
「・・・はい」

 あー。また、そのパターンでございますね。了解いたしました。



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