上 下
136 / 147
ついに16歳

22

しおりを挟む
「逃げるなんてダメよ! カーラを見張っていないといけないの!!」

 ・・・・・・・・・何ですと?

 私は巨石の上から飛び降り、おそらく右手を彼女の精霊に捕まれ、そのまま引きずられているのだろうレイチェル様の方へと近づいていきます。

「レオンは殿下たちとそこにいてください」

 私の後を追って巨石から呼び降りたレオンへ、ちょうどそこにいたヘンリー殿下とツヴァイク様の御2人と待つように指示をしました。
 彼らが付いて来ないことを確認してレイチェル様の方へ進み、薙刀の間合いよりも外、会話をするには少し遠い距離で、私をかばうように斜め前へ出たクラウドと共に歩あゆみを止めます。

 ここは月明かりしかない、砂漠のど真ん中です。レイチェル様は見えない何か・・・たぶん彼女の精霊に引っ張られて、オアシスの巨石の影がかろうじてわかるところまで、ずるずると砂の上へ2本線を描きながら「ダメ!」を連呼しています。
 そんなレイチェル様と私の間へ、毛を逆立てて唸り声を上げているオニキスが割り込みました。

鴻大こうだい。お前、奴らに我を売ったな? いつから我が深淵しんえんだと気付いていた?』

 そういえばそのような事を、襲ってきた真白がちらっと言っていましたね。
 やはり「鴻大」というのはレイチェル様の精霊メディオディアをさす名前の1つなのでしょう。どうやら彼にも「深淵」と呼ばれたオニキスのように、あちらでの呼び名があるようです。

 私が耳にしたこれまでの彼らの会話から推察するに、精霊たちはお互いを色の名前で呼び合うのが一般的なはずです。と、いうことはこの、中二病的「二つ名」を持つ精霊には一般的でない何かがあるのでしょうか。例えばオニキスのように大きさが規格外であるとか・・・。

『見逃してもらおうと適当に言ったら本当だった、だと? 挙句、宿主に拒否されて、逃げきれずに始末されそうになるとか・・・馬鹿か』

 返答に毒気を抜かれたらしいオニキスが、一回り大きく見せていた毛を萎ませて大きなため息をつきました。そして私の足元へと転移してきます。
 すると動きを止めていたレイチェル様がまた、引きずられ始めました。

「ヤダヤダ! 「狂乱」って誰よ?! 「深淵」を迎えに来たっていいじゃない! 私たちには関係ないんでしょ? やめてったら! 逃げたらダメなの! カーラが絶望しないようにしないと! みんな死んじゃう! 私は貴方を死なせたくないの!!」

 ついにレイチェル様がメディオディアの手を振りほどいたようで、砂に足を取られて転びかけながらも私の方へと走ってきます。その勢いのままズシャッと滑り込むようにして私の足へ縋りつき、いつもの明るさが無い、不安で曇った碧眼で見上げてきました。

「カーラ・・・カム。お願い。世界に絶望しないで。カムを受け入れない奴らなんか憎んで、呪う価値なんてないわ。ね? そうでしょう?」

 そう懇願してくる声はところどころ聞き取りにくいくらいに震え、私のドレスを掴む指は可愛そうなほどに血の気が失せています。
 その様子に「ああ。これか」と、唐突に腑に落ちました。
 私を試すかのような、私の反応を観察するかのような彼女の態度の理由。私・・・と言うか「カーラ」のこの先を断じ案じるような言い方からしてきっと、私の知らないゲームの隠しルートに彼女が怖れる何かがあるのだと思います。

 私は暗闇に浮かぶ殿下の白い軍服をちらりと見やりました。その近くにいるはずの、軍服が臙脂えんじ色のレオンと、黒のツヴァイク様は目を凝らさないと輪郭がわからない程度の距離です。これだけ離れていれば、先程のように叫ばない限り殿下たちには聞こえないかな。
 地獄耳レオンには聞こえてしまうかもしれませんが・・・まあ、私に関することですし、彼にかけてある口外できない呪いが発動するでしょうから問題なしとみなします。

「・・・どういう意味ですか? いったい、私の何を心配してみえるのですか? レイチェル様」

 すぐさま問いただしたくなる気持ちを抑え、できるだけゆっくりと言葉を吐き、レイチェル様を見下ろします。彼女は震える唇を一度、強く噛んでから口を開きました。

「ゲームのね、隠しルートの話をしたよね。あれには続きがあるの」

 縋りつく姿勢のままレイチェル様が話し出したのは、やはり私の知らない隠しルートについてでした。



 逆ハーを捨て、隠しキャラである精霊メディオディアを選びストーリーを進めていった場合であっても、悪役令嬢カーラはやはり意地悪・・・と言うか、毒を盛ったり暗殺を企てたり、ほぼ犯罪を繰り返してくるのだそうな。
 さすが悪役令嬢カーラ。隠しルートでも大活躍のようでございます。

 悪役の名に恥じないゲームのカーラに、共感はできなくても、その理由はなんとなくわかりますが、ね。
 だってゲームのカーラはオニキスと契約していませんが、精霊の声が聞こえるために彼の囁きで、人の悪意を知ってしまうんですよ。明らかに怯えている人は勿論、笑みを浮かべて接してきた人の悪意までも。当たり前のように、人を信じられなくなるでしょうね。
 そして怯えてはいても優しい母はいない。その母の死で家族を顧みなくなった父と、母の死の一端である弟という家庭環境。当然ですが現在、私の強力な味方であるクラウドとチェリのセバス族兄妹もいません。
 きっと愛し愛され、リア充を謳歌する主人公を妬むあまりなのだと思います。

 ラストはゲームの展開上・・・というか、かなり不味いことをやりまくりなので、仕方がないことでもありますが、カーラは断罪されます。

 カーラは侯爵令嬢ですが、それよりもかなり身分の高い、王族に次ぐ位である大公閣下のご令嬢に危害を加えたり、暗殺を企てたりして、無事であるはずがないのです。
 罪が明らかにされたカーラに下された罰は、処刑。

 その力を怖れたのでしょう。砂漠の真ん中で処刑される間際、カーラは叫びました。

「呪われろ! お前も、お前の愛する国も、お前が立つこの大陸もすべて!! みんなみんな、呪われてしまえばいい!!」

 狂ったように嗤うカーラの処刑が終わり、後はラブラブハッピーエンド・・・ではなく。
 ストーリーはここで終わりではないのです。



「カーラの死後、その呪いでね。パンデミックが起こるの。そして私・・・癒しの力をもつ主人公は選択を迫られる」

 そこで言葉を詰まらせたレイチェル様が、背後をふり返ります。じっと同じところを見つめているところからして、きっとそこに彼女の精霊がいるのでしょう。
 レイチェル様は何度も言葉を飲み込み、その度にますます私のドレスを掴む手を固くしていきます。ついに布が破れてしまいそうな不穏な音がし始めて、やっとその手の力を緩めてくれました。

「メディオディア・・・自分の精霊を犠牲にして世界を救うか、人々を見殺しにして自分達だけ幸せになるか、を・・・選ばされるの」

 え・・・それって・・・どちらもメリーバッドエンドってやつなのでは?
 やだ。そんな鬱展開。

 成る程。レイチェル様が私を警戒するわけです。
 私自身を怖がっているわけではないと思いますが、能力としてはゲームのカーラのように呪うことが可能だろうから監視していた、ということのようですね。
 まぁ、でももし私が世界を呪う気になったなら・・・パンデミックなんて起こさず、人が生きるのに苦労する、この嘆きの砂漠のようにするか、人の侵入を拒む深い森にして―――ん?

「パンデミックなのですか? アウトブレイクではなくて?」
「?」

 質問の意味が解らなかったようで、レイチェル様が首を傾げます。私は彼女を見下ろしながら、私の疑問に繋がる「パンデミック」について説明することにしました。

「パンデミックとは感染症の世界的な流行をさします。飛行機などの交通手段が発達していた前世ならともかく、馬や馬車が主な移動手段であるこの世界では起こりえないと思うのですが・・・。あぁ。アウトブレイクというのは限定された領域の中で流行った感染症のことですよ」

 オニキスの・・・と言うか精霊たちの力の性質上、辺りを満遍まんべんなく染色する、つまり自分の付近へ疫病をまき散らすことは精霊と契約していなかったとしても、呪文さえ正確に構築できていれば可能でしょう。ですからアウトブレイクでしたらあり得ます。

 しかしパンデミックを起こす。他国で、自分が訪れたこともない遠方でも同じようにできるかと言うと・・・うーん。今の、この大陸を覆えるサイズだというオニキスならできるかもしれませんが、その前のオオカミ犬サイズのオニキスには無理だと思います。契約前の黒い毛玉にも。
 それに契約もなしにそんな複雑なことを起こす呪文を構築するなんて、精霊の助言もない状態でできるとは思えません。

 だいたい、オニキスが巨大化してしまったのは真白たちに襲われたからであって、その真白たちの目的は彼をあちらの世界へ帰すことでした。契約していないゲームのカーラが処刑されれば、自然とあちらへ帰るしかないオニキスを、襲いに来る意味などありません。よってゲームのオニキスは今のように大きくはなかったと思います。

 さらにレイチェル様は「カーラの死後」って言いましたよね。
 処刑が決まっていて、呪文の構築がすんでいるのなら、処刑の瞬間まで呪いの発動を待つ理由って何なのでしょうか。大勢の面前で呪文を唱えようものなら、処刑の前に切り捨てられるでしょうし。
 まさかあの最期の言葉が呪文だとでも? それとも偶然にそのように呪いが発動したとか? オニキスがゲームのカーラの意思をくんだとか? だとしても、だいぶ無理があるような気がするのですが・・・。

「あ・・・えっと・・・そう言われると自信がなくなるんだけど・・・でも、たぶんセリフ枠にはパンデミックって書いてあったと思う。アウト・・・なんとかって初めて聞く言葉だし」

 二人で頭をひねり合っていると、ものすごく焦った様子のメディオディアが姿を現しました。その視線はレイチェル様にのみ向けられており、私へ全く注意を払っていない感じからして、意図せず実体化しているようです。つまり、かなり興奮しているのでしょうね。

 よろよろとレイチェル様へ近づこうとする彼の前に、オニキスが立ちはだかり、息苦しいほどの威圧を放ち始めます。それを受けたメディオディアは、白い顔を恐怖に引きつらせながら言いました。

『それをするのはこの女じゃない! だから逃げよう! エル!』

 まるで真犯人を知っているような断じ方に、レイチェル様がピクリと反応しました。そしてゆっくりとメディオディアの方をふり返ります。

「ディア? どういう事? ・・・何を隠しているの?」

 とても静かな、震えの消えた声音に、今度はメディオディアが大きく震えます。じっと見つめ続けるレイチェル様の視線に堪えかねたのか、夜闇でも存在を主張する銀の瞳をそらし、顔ごと俯いて瞼を伏せ。ついにはぎゅっと目を閉じて、そこから絞り出すようにして口を開きました。

『・・・そのような事を、こちらへ来る前に「狂乱の華」どもが計画していたのだ。戦争が上手く起こせなかった時の保険だと』 
「・・・何のために?」

 聞き慣れない名に眉根を寄せたレイチェル様に代わり、私が質問を重ねました。
 会話に私が加わるとは思っていなかったのでしょう。メディオディアがはっと息を飲んで顔をあげます。そして険しい表情のレイチェル様の、睨み付けるような視線に捕まり、苦悶の表情を浮かべて言葉を吐き出しました。

『あいつらは人の数を減らすつもりだ』

 今度はこちらが息を飲む番で・・・同時に呼吸を止めた私とレイチェル様を真っ直ぐ見返して、メディオディアが続けました。

『色彩・・・精霊たちを守るために』


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

死にかけて全部思い出しました!!

家具付
恋愛
本編完結しました。時折気が向いたら外伝が現れます。 森の中で怪物に襲われたその時、あたし……バーティミウスは思い出した。自分の前世を。そして気づいた。この世界が、前世で最後にプレイした乙女ゲームの世界だという事に。 自分はどうやらその乙女ゲームの中で一番嫌われ役の、主人公の双子の妹だ。それも王道ルートをたどっている現在、自分がこのまま怪物に殺されてしまうのだ。そんなのは絶対に嫌だ、まだ生きていたい。敵わない怪物に啖呵を切ったその時、救いの手は差し伸べられた。でも彼は、髭のおっさん、イケメンな乙女ゲームの攻略対象じゃなかった……。 王道ルート……つまりトゥルーエンドを捻じ曲げてしまった、死ぬはずだった少女の奮闘記、幕開け! ……たぶん。

【完結】気づいたら異世界に転生。読んでいた小説の脇役令嬢に。原作通りの人生は歩まないと決めたら隣国の王子様に愛されました

hikari
恋愛
気がついたら自分は異世界に転生していた事に気づく。 そこは以前読んだことのある異世界小説の中だった……。転生をしたのは『山紫水明の中庭』の脇役令嬢のアレクサンドラ。アレクサンドラはしつこくつきまとってくる迷惑平民男、チャールズに根負けして結婚してしまう。 「そんな人生は嫌だ!」という事で、宿命を変えてしまう。アレクサンドラには物語上でも片思いしていた相手がいた。 王太子の浮気で婚約破棄。ここまでは原作通り。 ところが、アレクサンドラは本来の物語に無い登場人物から言い寄られる。しかも、その人物の正体は実は隣国の王子だった……。 チャールズと仕向けようとした、王太子を奪ったディアドラとヒロインとヒロインの恋人の3人が最後に仲違い。 きわめつけは王太子がギャンブルをやっている事が発覚し王太子は国外追放にあう。 ※ざまぁの回には★印があります。

転生不憫令嬢は自重しない~愛を知らない令嬢の異世界生活

リョンコ
恋愛
シュタイザー侯爵家の長女『ストロベリー・ディ・シュタイザー』の人生は幼少期から波乱万丈であった。 銀髪&碧眼色の父、金髪&翠眼色の母、両親の色彩を受け継いだ、金髪&碧眼色の実兄。 そんな侯爵家に産まれた待望の長女は、ミルキーピンクの髪の毛にパープルゴールドの眼。 両親どちらにもない色彩だった為、母は不貞を疑われるのを恐れ、産まれたばかりの娘を敷地内の旧侯爵邸へ隔離し、下働きメイドの娘(ハニーブロンドヘア&ヘーゼルアイ)を実娘として育てる事にした。 一方、本当の実娘『ストロベリー』は、産まれたばかりなのに泣きもせず、暴れたりもせず、無表情で一点を見詰めたまま微動だにしなかった……。 そんな赤ん坊の胸中は(クッソババアだな。あれが実母とかやばくね?パパンは何処よ?家庭を顧みないダメ親父か?ヘイゴッド、転生先が悪魔の住処ってこれ如何に?私に恨みでもあるんですか!?)だった。 そして泣きもせず、暴れたりもせず、ずっと無表情だった『ストロベリー』の第一声は、「おぎゃー」でも「うにゃー」でもなく、「くっそはりゃへった……」だった。 その声は、空が茜色に染まってきた頃に薄暗い部屋の中で静かに木霊した……。 ※この小説は剣と魔法の世界&乙女ゲームを模した世界なので、バトル有り恋愛有りのファンタジー小説になります。 ※ギリギリR15を攻めます。 ※残酷描写有りなので苦手な方は注意して下さい。 ※主人公は気が強く喧嘩っ早いし口が悪いです。 ※色々な加護持ちだけど、平凡なチートです。 ※他転生者も登場します。 ※毎日1話ずつ更新する予定です。ゆるゆると進みます。 皆様のお気に入り登録やエールをお待ちしております。 ※なろう小説でも掲載しています☆

わたくし、異世界で婚約破棄されました!?

星宮歌
恋愛
けたたましいクラクションの音と、トラックの前面が目の前に迫っていたのを見たのが最後の記憶。 そうして私(わたくし)は、リリス・シャルティーという一人の少女として転生を果たして……第一王子の婚約者? 過酷な王妃教育? でも、王子の性格が悪すぎるんですけど!? そんなこんなで、ひねくれたわたくしは、結果的に婚約を破棄されて、念願のお一人様生活へ! そして、ある日、わたくしは一人の魔族と出会うのだった。 片翼シリーズ第二弾。 『私、異世界で監禁されました!?』の続編です。 夕夏ちゃん達は……どこかでちょろっと出てくるかも? 前作を読まなくても、この作品だけで読めるようになっています。

乙女ゲームの悪役令嬢は生れかわる

レラン
恋愛
 前世でプレーした。乙女ゲーム内に召喚転生させられた主人公。  すでに危機的状況の悪役令嬢に転生してしまい、ゲームに関わらないようにしていると、まさかのチート発覚!?  私は平穏な暮らしを求めただけだっだのに‥‥ふふふ‥‥‥チートがあるなら最大限活用してやる!!  そう意気込みのやりたい放題の、元悪役令嬢の日常。 ⚠︎語彙力崩壊してます⚠︎ ⚠︎誤字多発です⚠︎ ⚠︎話の内容が薄っぺらです⚠︎ ⚠︎ざまぁは、結構後になってしまいます⚠︎

【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした

果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。 そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、 あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。 じゃあ、気楽にいきますか。 *『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

処理中です...