43 / 49
第6章 今年の学園祭は色々と忙しくなりそうだ
第42話 皆さん初めまして、隣にいる黒月拓馬の妻の黒月アリスです
しおりを挟む
ベストカップルコンテストに出場する事になってしまった俺はアリスとともに校庭に特設されたステージの裏に来ていた。
「頑張って優勝しようね」
「何するか全く知らないけど、とりあえず頑張るわ」
ノリノリなアリスに対して俺は適当にそう答えた。ちなみに今回のコンテストには俺達を含めて十組が参加するらしい。
こんな目立つコンテストに参加しているだけあって他の参加者は美男美女ばかりとなっている。自分で言ってて悲しくなるが男性参加者の中で一番俺が地味だ。
その代わり女性参加者の中ではアリスが一番美人なのである意味釣り合いは取れているのかもしれない。そんな事を思っているうちに開始時間となり、司会がコンテストの流れを説明し始める。
恋人についてどれだけ理解しているかのクイズと二人の相性を審査する二人三脚、実際にした告白の再現という三点から審査されるようだ。
「クイズと二人三脚はともかく告白の再現って絶対無理だろ。そもそも告白なんてしてないんだから」
「そこは私に良い考えがあるから心配しないで」
「……分かった、任せるぞ」
色々不安しか無かったが、他に良い方法が思いつかなかったためアリスに丸投げする事にした。それから俺達は司会の指示に従ってステージに上がってそれぞれ自己紹介する。
「皆さん初めまして、隣にいる黒月拓馬の妻の黒月アリスです」
アリスの自己紹介は相変わらずだった。そのぶっとんだ発言に会場がざわついていた事は言うまでもない。
全員の自己紹介が済んだところで早速クイズが始まる。一問目から十問目は彼氏に関するクイズであり、十一問目から二十問目は彼女に関するクイズになるとの事だ。
第一問は彼氏の身長を答えるという非常に簡単なものだった。俺とアリスの身長はほぼ同じなため間違える可能性は低いだろう。
一分間のシンキングタイムを挟んだのちに女性陣が順番に回答をしていくわけだが、アリスの口から出てきた答えは予想外のものだった。
「拓馬の身長は一歳が七十九センチで二歳が八十九センチ、三歳が九十五センチ、四歳が……」
なんと俺の現在の身長ではなく一歳の時からの身長を順番に答え始めたのだ。適当に答えているのかと思いきや、俺のスマホに保存してあった生まれた時から現在までの健康診断記録の身長と全て完全に一致していた。
「な、なんでそんな事まで知ってるんだよ!?」
「えっ、普通はそのくらい知ってるでしょ」
「いやいや、普通は絶対知らないだろ」
なるほど、どうやらアリスの思っている普通と俺の思っている普通は違うらしい。そんな俺達のやり取りを見ていた他のカップル達と観客は完全にドン引きしている様子だ。
その後のクイズに関してもアリスは普通のカップルなら絶対知らないような内容まで完璧に答えて全問正解してしまった。俺が小学生の頃の将来の夢や生まれた病院の名前まで知ってるなんて誰が想像出来ただろうか。
ちなみに彼女に関するクイズは十問中七問正解というまずまずの結果だったが、アリスは不満そうな表情を浮かべていた。普通は全問正解できないような難易度だから勘弁して欲しい。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「絶対途中で転びそうな気がするんだけど……」
「私と拓馬なら大丈夫だよ」
二人三脚のスタートラインに立った俺とアリスはそんな会話をしていた。ちなみにベストカップルコンテストで二人三脚をする事は開始直前に伝えられたため、参加者しているカップル全員がぶっつけ本番となる。
カップルなら例え練習ゼロでも息のあった走りが出来て当然だろという趣旨らしいが、悲惨な事になりそうな未来しか見えないのは俺だけだろうか。
「じゃあ紐を足首に結ぶぞ」
「うん、遠慮なく私を縛って」
「おい、周りから誤解されそうな言い方をするのは辞めろ」
「えっ、何のこと?」
アリスは今日も平常運転な様子だ。俺に女の子を縛って興奮するような趣味はないぞ。気を取り直して俺はアリスと軽く打ち合わせをする。
「スタートは俺が左足を出すからアリスは右足を出してくれ」
「オッケー、頑張ろうね」
それから俺達はスタートラインに並ぶ。そしてピストルの音と同時に走り始める。他のカップルは転けそうになったり紐がほどけそうになったりしていたが、俺達は驚くほど普通に走れていた。
「俺達めちゃくちゃ息ぴったりじゃん」
「だから言ったでしょ、大丈夫だって」
「正直疑ってたわ」
初めて二人三脚したとは思えないほどに俺達は一体化した走りをしている。今の状態はまさにシンクロ率百パーセントといったところだろうか。だから俺達は周りを大きく引き離しダントツでゴールする事が出来た。
「なんでこんなに上手く行ったのか不思議なんだけど」
「それだけ私達の相性が良いって事だよ」
俺のつぶやきにアリスはそう答えた。確かに俺達の相性は良いのかもしれない。そうでなければいきなりあんな走りは出来ないはずだ。
「……それにしてもあっちの方は酷い事になってるな」
「色々あったみたいだしね」
俺達のように順調にゴールできたカップルは少なく、必ず何かしらのトラブルが起こっていた。その結果ギスギスした空気が流れておりまさに地獄絵図だ。
ベストカップルを決めるコンテストに参加して関係が悪化するとか最悪過ぎるだろ。実はカップルを別れさせるためのコンテストなんじゃないだろうな。
「頑張って優勝しようね」
「何するか全く知らないけど、とりあえず頑張るわ」
ノリノリなアリスに対して俺は適当にそう答えた。ちなみに今回のコンテストには俺達を含めて十組が参加するらしい。
こんな目立つコンテストに参加しているだけあって他の参加者は美男美女ばかりとなっている。自分で言ってて悲しくなるが男性参加者の中で一番俺が地味だ。
その代わり女性参加者の中ではアリスが一番美人なのである意味釣り合いは取れているのかもしれない。そんな事を思っているうちに開始時間となり、司会がコンテストの流れを説明し始める。
恋人についてどれだけ理解しているかのクイズと二人の相性を審査する二人三脚、実際にした告白の再現という三点から審査されるようだ。
「クイズと二人三脚はともかく告白の再現って絶対無理だろ。そもそも告白なんてしてないんだから」
「そこは私に良い考えがあるから心配しないで」
「……分かった、任せるぞ」
色々不安しか無かったが、他に良い方法が思いつかなかったためアリスに丸投げする事にした。それから俺達は司会の指示に従ってステージに上がってそれぞれ自己紹介する。
「皆さん初めまして、隣にいる黒月拓馬の妻の黒月アリスです」
アリスの自己紹介は相変わらずだった。そのぶっとんだ発言に会場がざわついていた事は言うまでもない。
全員の自己紹介が済んだところで早速クイズが始まる。一問目から十問目は彼氏に関するクイズであり、十一問目から二十問目は彼女に関するクイズになるとの事だ。
第一問は彼氏の身長を答えるという非常に簡単なものだった。俺とアリスの身長はほぼ同じなため間違える可能性は低いだろう。
一分間のシンキングタイムを挟んだのちに女性陣が順番に回答をしていくわけだが、アリスの口から出てきた答えは予想外のものだった。
「拓馬の身長は一歳が七十九センチで二歳が八十九センチ、三歳が九十五センチ、四歳が……」
なんと俺の現在の身長ではなく一歳の時からの身長を順番に答え始めたのだ。適当に答えているのかと思いきや、俺のスマホに保存してあった生まれた時から現在までの健康診断記録の身長と全て完全に一致していた。
「な、なんでそんな事まで知ってるんだよ!?」
「えっ、普通はそのくらい知ってるでしょ」
「いやいや、普通は絶対知らないだろ」
なるほど、どうやらアリスの思っている普通と俺の思っている普通は違うらしい。そんな俺達のやり取りを見ていた他のカップル達と観客は完全にドン引きしている様子だ。
その後のクイズに関してもアリスは普通のカップルなら絶対知らないような内容まで完璧に答えて全問正解してしまった。俺が小学生の頃の将来の夢や生まれた病院の名前まで知ってるなんて誰が想像出来ただろうか。
ちなみに彼女に関するクイズは十問中七問正解というまずまずの結果だったが、アリスは不満そうな表情を浮かべていた。普通は全問正解できないような難易度だから勘弁して欲しい。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「絶対途中で転びそうな気がするんだけど……」
「私と拓馬なら大丈夫だよ」
二人三脚のスタートラインに立った俺とアリスはそんな会話をしていた。ちなみにベストカップルコンテストで二人三脚をする事は開始直前に伝えられたため、参加者しているカップル全員がぶっつけ本番となる。
カップルなら例え練習ゼロでも息のあった走りが出来て当然だろという趣旨らしいが、悲惨な事になりそうな未来しか見えないのは俺だけだろうか。
「じゃあ紐を足首に結ぶぞ」
「うん、遠慮なく私を縛って」
「おい、周りから誤解されそうな言い方をするのは辞めろ」
「えっ、何のこと?」
アリスは今日も平常運転な様子だ。俺に女の子を縛って興奮するような趣味はないぞ。気を取り直して俺はアリスと軽く打ち合わせをする。
「スタートは俺が左足を出すからアリスは右足を出してくれ」
「オッケー、頑張ろうね」
それから俺達はスタートラインに並ぶ。そしてピストルの音と同時に走り始める。他のカップルは転けそうになったり紐がほどけそうになったりしていたが、俺達は驚くほど普通に走れていた。
「俺達めちゃくちゃ息ぴったりじゃん」
「だから言ったでしょ、大丈夫だって」
「正直疑ってたわ」
初めて二人三脚したとは思えないほどに俺達は一体化した走りをしている。今の状態はまさにシンクロ率百パーセントといったところだろうか。だから俺達は周りを大きく引き離しダントツでゴールする事が出来た。
「なんでこんなに上手く行ったのか不思議なんだけど」
「それだけ私達の相性が良いって事だよ」
俺のつぶやきにアリスはそう答えた。確かに俺達の相性は良いのかもしれない。そうでなければいきなりあんな走りは出来ないはずだ。
「……それにしてもあっちの方は酷い事になってるな」
「色々あったみたいだしね」
俺達のように順調にゴールできたカップルは少なく、必ず何かしらのトラブルが起こっていた。その結果ギスギスした空気が流れておりまさに地獄絵図だ。
ベストカップルを決めるコンテストに参加して関係が悪化するとか最悪過ぎるだろ。実はカップルを別れさせるためのコンテストなんじゃないだろうな。
0
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件
マサタカ
青春
俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。
あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。
そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。
「久しぶりですね、兄さん」
義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。
ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。
「矯正します」
「それがなにか関係あります? 今のあなたと」
冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。
今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人?
ノベルアッププラスでも公開。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。
ながしょー
青春
ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。
このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる