39 / 49
第6章 今年の学園祭は色々と忙しくなりそうだ
第38話 拓馬はさ、転生とか生まれ変わりって本当にあると思う?
しおりを挟む
昼休みが終わりいよいよ学園祭に関するホームルームの時間となった。予想していた通り今日はクラスリーダーと演劇の題材を決めるようだ。
まずはクラスリーダーから決めるとの事だが、ぶっちゃけ俺としては正直誰がなっても構わない。だから話し合いそっちのけで授業の予習に励んでいる。
しばらくしてクラスリーダーが陽キャグループのメンバーである男子に決まった。
「演劇の題材を決めようか、皆んなどんどん案を出していってくれ」
鳴神先生からバトンタッチしてホームルームを仕切り始めたクラスリーダーの呼びかけで皆んな次々に案を出し始める。
シンデレラや人魚姫のような童話や、異世界転生した勇者が魔王を倒す話のようなオリジナルストーリーまで数多くの案が出たため、一旦休憩を挟んだ後で投票する形になった。
「拓馬はどの題材に投票するの?」
「個人的には異世界転生がめちゃくちゃ気になってる」
「やっぱり男の子は異世界転生好きだよね」
「アリスはあんまり興味ないかもだけど、結構面白いんだぞ」
ネット小説投稿サイトで大流行している異世界転生物は結構好きなため、時間がある時によく読んでいたりする。
「実は私も興味あるんだよね。死ぬ前に遊んでた乙女ゲームの世界で悪役令嬢に転生する話とかは面白かったし」
「あっ、それってあのアニメ化した奴か。へー、アリスもそういうのに興味あるんだな」
アリスの口から悪役令嬢という単語が出てきたため、かなり意外だった。もしかしたら隠れオタクなのかもしれない。
そんな事を思いながらしばらく異世界転生について話していると、アリスは突然急に真剣そうな顔になって口を開く。
「拓馬は転生とか生まれ変わりって本当にあると思う?」
「どうしたんだ急にそんな事を聞いてきて? 本当にあるかどうかは分からないけど、あって欲しいとは思うな。報われない人生を過ごした人には救済がないと可哀想だしさ」
俺はぼっちな事以外は割と順調な人生を歩んでいるが、世の中にはそうでない人も多い。そんな報われなかった人には神様が手を差し伸べ、次は報われる人生にしてあげて欲しいと本気で思っている。
「……そっか、私も拓馬と同じ考えだよ。やっぱりハッピーエンドが一番だから」
「そうだな、俺も胸糞悪いバッドエンドは大嫌いだ」
「急に変な事を聞いちゃってごめんね。そろそろ休憩時間も終わるから席に戻るね」
「あっ、もうそんな時間か」
どうやら思ったよりも長く話していたらしい。それから再開したホームルームで投票を行ったわけだが、残念ながら異世界転生は僅差でシンデレラに負けてしまった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「アリスがシンデレラ役に選ばれるのは外見的にピッタリだから分かるんだけどさ、よりにもよって何で俺が王子様役なんだよ?」
「私がシンデレラになるんだったら王子様は拓馬しかあり得ないでしょ」
「いやいや、どういう理屈だよ……」
演劇の題材がシンデレラに決まった後配役も決め始めたわけだが、なんとアリスのゴリ押しにより俺が王子様役に選ばれてしまったのだ。
当然クラス内からは反対の声も出ていて多分俺が一番反対していたわけだが、アリスは言葉巧みな説得によって反対意見を完全に押さえ込んでしまった。
「もう決まった事だし、無駄な抵抗は辞めて私と一緒に頑張ろうよ」
「まあ、任された以上は勿論全力で頑張るつもりだけど」
アリスのシンデレラ役に対して俺の王子様役はどう考えても見劣りしそうな気しかしない。そもそもシンデレラと王子様の身長が同じというのはどうなのだろうか。
何ならガラスの靴を履けば抜かされてしまうと思うのだが。ひょっとしてシークレットブーツを着用しろとか言われないだろうな。
「それより今日の夕食は何が食べたい?」
「うーん、昨日魚だったから俺的には肉系がいいな」
「じゃあハンバーグにしようか。材料がないからスーパーに寄って帰ろうね」
「分かった」
完全に夫婦みたいな会話をしているが、慣れてしまった。もう完全に感覚が麻痺してきているのかもしれない。しばらく歩き続けてスーパーに到着した俺達が買い物をしていると後ろから誰かに話しかけられる。
「もしかしてシンデレラのお姉ちゃん……?」
後ろを振り向くとそこにはシャイニングサンシティの水族館で迷子になっていたところを助けた女の子、由真ちゃんとその母親が立っていた。
「あっ、由真ちゃんだ」
「元気そうだな」
「うん、由真お姉ちゃんとお兄ちゃんにまた会えて嬉しいな」
「あの時は由真を助けていただいてありがとうございました」
俺とアリスは立ち止まって由真ちゃん達と話し始めるわけだが、そこで衝撃の事実を知る事になる。
「えっ、由真ちゃんのお母さんって鳴神先生のお姉さんなんですか!?」
「はい、妹の美香がいつもお世話になってます」
「確かに言われてみれば由真ちゃんもお母さんも鳴神先生と少し似てる気がする」
どうやら由真ちゃんは鳴神先生の姪だったようだ。それから一緒に買い物を続け、この間のお礼としてハンバーグの材料を奢って貰ったりした後で由真ちゃん達と別れた。
まずはクラスリーダーから決めるとの事だが、ぶっちゃけ俺としては正直誰がなっても構わない。だから話し合いそっちのけで授業の予習に励んでいる。
しばらくしてクラスリーダーが陽キャグループのメンバーである男子に決まった。
「演劇の題材を決めようか、皆んなどんどん案を出していってくれ」
鳴神先生からバトンタッチしてホームルームを仕切り始めたクラスリーダーの呼びかけで皆んな次々に案を出し始める。
シンデレラや人魚姫のような童話や、異世界転生した勇者が魔王を倒す話のようなオリジナルストーリーまで数多くの案が出たため、一旦休憩を挟んだ後で投票する形になった。
「拓馬はどの題材に投票するの?」
「個人的には異世界転生がめちゃくちゃ気になってる」
「やっぱり男の子は異世界転生好きだよね」
「アリスはあんまり興味ないかもだけど、結構面白いんだぞ」
ネット小説投稿サイトで大流行している異世界転生物は結構好きなため、時間がある時によく読んでいたりする。
「実は私も興味あるんだよね。死ぬ前に遊んでた乙女ゲームの世界で悪役令嬢に転生する話とかは面白かったし」
「あっ、それってあのアニメ化した奴か。へー、アリスもそういうのに興味あるんだな」
アリスの口から悪役令嬢という単語が出てきたため、かなり意外だった。もしかしたら隠れオタクなのかもしれない。
そんな事を思いながらしばらく異世界転生について話していると、アリスは突然急に真剣そうな顔になって口を開く。
「拓馬は転生とか生まれ変わりって本当にあると思う?」
「どうしたんだ急にそんな事を聞いてきて? 本当にあるかどうかは分からないけど、あって欲しいとは思うな。報われない人生を過ごした人には救済がないと可哀想だしさ」
俺はぼっちな事以外は割と順調な人生を歩んでいるが、世の中にはそうでない人も多い。そんな報われなかった人には神様が手を差し伸べ、次は報われる人生にしてあげて欲しいと本気で思っている。
「……そっか、私も拓馬と同じ考えだよ。やっぱりハッピーエンドが一番だから」
「そうだな、俺も胸糞悪いバッドエンドは大嫌いだ」
「急に変な事を聞いちゃってごめんね。そろそろ休憩時間も終わるから席に戻るね」
「あっ、もうそんな時間か」
どうやら思ったよりも長く話していたらしい。それから再開したホームルームで投票を行ったわけだが、残念ながら異世界転生は僅差でシンデレラに負けてしまった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「アリスがシンデレラ役に選ばれるのは外見的にピッタリだから分かるんだけどさ、よりにもよって何で俺が王子様役なんだよ?」
「私がシンデレラになるんだったら王子様は拓馬しかあり得ないでしょ」
「いやいや、どういう理屈だよ……」
演劇の題材がシンデレラに決まった後配役も決め始めたわけだが、なんとアリスのゴリ押しにより俺が王子様役に選ばれてしまったのだ。
当然クラス内からは反対の声も出ていて多分俺が一番反対していたわけだが、アリスは言葉巧みな説得によって反対意見を完全に押さえ込んでしまった。
「もう決まった事だし、無駄な抵抗は辞めて私と一緒に頑張ろうよ」
「まあ、任された以上は勿論全力で頑張るつもりだけど」
アリスのシンデレラ役に対して俺の王子様役はどう考えても見劣りしそうな気しかしない。そもそもシンデレラと王子様の身長が同じというのはどうなのだろうか。
何ならガラスの靴を履けば抜かされてしまうと思うのだが。ひょっとしてシークレットブーツを着用しろとか言われないだろうな。
「それより今日の夕食は何が食べたい?」
「うーん、昨日魚だったから俺的には肉系がいいな」
「じゃあハンバーグにしようか。材料がないからスーパーに寄って帰ろうね」
「分かった」
完全に夫婦みたいな会話をしているが、慣れてしまった。もう完全に感覚が麻痺してきているのかもしれない。しばらく歩き続けてスーパーに到着した俺達が買い物をしていると後ろから誰かに話しかけられる。
「もしかしてシンデレラのお姉ちゃん……?」
後ろを振り向くとそこにはシャイニングサンシティの水族館で迷子になっていたところを助けた女の子、由真ちゃんとその母親が立っていた。
「あっ、由真ちゃんだ」
「元気そうだな」
「うん、由真お姉ちゃんとお兄ちゃんにまた会えて嬉しいな」
「あの時は由真を助けていただいてありがとうございました」
俺とアリスは立ち止まって由真ちゃん達と話し始めるわけだが、そこで衝撃の事実を知る事になる。
「えっ、由真ちゃんのお母さんって鳴神先生のお姉さんなんですか!?」
「はい、妹の美香がいつもお世話になってます」
「確かに言われてみれば由真ちゃんもお母さんも鳴神先生と少し似てる気がする」
どうやら由真ちゃんは鳴神先生の姪だったようだ。それから一緒に買い物を続け、この間のお礼としてハンバーグの材料を奢って貰ったりした後で由真ちゃん達と別れた。
10
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。
ながしょー
青春
ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。
このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる