32 / 49
第5章 ぼっちの俺がリア充みたいな夏休みを過ごしてるのは気のせいか?
第31話 あっ、ひょっとして私がチョコバナナ食べてる姿を見てエッチな想像でもしちゃった?
しおりを挟む
浴衣を買いに行ったりカラオケをして遊んでからあっという間に一夜が明け、ついに花火大会の当日となった。
「やっぱりお祭りとか花火大会って言ったら屋台だよな」
「うん、半分はそれ目的みたいなところはあるよね」
開始時間よりも前に会場に到着した俺達はあちこち屋台で食べ歩きをしながら花火が始まるのを待っている。
「次は何が食べたい?」
「うーん、さっきたこ焼きを食べたから私的に次は甘いものがいいかな」
「甘いものか、色々あるから正直悩む」
そんな事を話しながらしばらく歩いているとチョコバナナの屋台が目に入ってきた。近づくにつれて甘い匂いが漂ってくるため思いっきり食欲をそそられてしまう。
「美味しそうだね、チョコバナナが食べたくなってきたな」
「ちょうど俺も同じ事を思ってた」
「じゃあ次はチョコバナナにしよう」
早速屋台でチョコバナナを購入した俺達は芝生に座って食べ始める。普通に食べる俺に対してアリスはバナナを舐めわますように口に入れていた。その姿が妙に色っぽくて変な気分になりそうだ。
「なんかちょっと顔が赤い気がするけど一体どうしたの?」
「……何でもないから気にするな」
「あっ、ひょっとして私がチョコバナナ食べてる姿を見てエッチな想像でもしちゃった?」
「ち、違うから」
俺はそう言って慌てて誤魔化そうとする。だがアリスにはバレバレだったらしい。
「やっぱり拓馬も男の子だもんね、エッチな想像くらい普通だよ。こういうシチュエーションのエロ漫画も持ってたくらいだし」
「頼むからもう許してくれ」
アリスが容赦なく傷口に塩を塗ってくるせいで、俺は恥ずかし過ぎて消えてなくなりたい気持ちにさせられていた。
「あんまり虐めすぎるのも可哀想だからこのくらいにしといてあげるよ。それよりそろそろお腹も結構膨れてきたし次は何かして遊ばない?」
「……そうだな、花火までもう少し時間もあるしそうするか」
金魚すくいやヨーヨー釣り、射的の屋台も見かけたため、時間をつぶすにはちょうどいいはずだ。それから少ししてヨーヨー釣りの屋台を見つけた俺達は二人でやり始める。
俺は昔からお祭りなどでヨーヨー釣りをよくやっていたので問題無く釣れていたが、意外な事にアリスはかなり苦戦してる様子だった。海外暮らしが長いと言っていたためもしかしたら初めてなのかもしれない。
「ねえ拓馬、どうやったら上手く釣れるの……?」
「こよりを短めに持って水に濡らさないようにしながら風船とゴムの接続部を狙えば上手く行くと思うぞ」
「そうなんだ、それでやってみるね」
俺からコツを聞いたアリスは再びヨーヨーを釣り始めるが、今度は上手く釣れていた。
「やった、拓馬取れたよ」
「良かったな」
アリスは満面の笑みを浮かべてまるで子供のように喜んでいる。同い年とは思えないくらいハイスペックなアリスだが、やっぱり普通の女の子らしい一面もあるようだ。
そろそろ花火が始まる時間になるため移動をしようとしていると突然後ろから誰かに声をかけられる。
「もしかしてアリス?」
後ろを振り返るとそこにはクラスの陽キャグループのメンバーがいた。偶然彼らも板橋区の花火大会に来ていたらしい。
「あっ、やっぱりアリスだ」
「久しぶり、元気だった?」
「こんなところで会うなんてめちゃくちゃ奇遇じゃん」
「なんかテンション上がってくるわ」
教室にいる時と変わらないハイテンションでそう話しかけてきた。
「こんばんは、私と拓馬は見ての通りデート中だからまた今度話そう」
「えー、せっかくだし俺達と一緒に行こうぜ」
「うんうん、大勢の方が絶対楽しいよ」
「黒月君も一緒でいいからさ」
以前カラオケに誘ってきた時と同様相変わらず強引な彼らだったが、その中の一人がとある事に気づいて口を開く。
「アリスちゃんその左手に着けてる指輪どうしたの?」
どうやらアリスが左手薬指に着けていた金色のペアリングが気になったらしい。するとアリスはニヤッとした表情を浮かべてとんでもない事を口にする。
「ああこれは拓馬から私への婚約指輪だよ、先日プロポーズされたから」
「えっ!?」
陽キャグループのメンバー達は次々に驚きの声をあげ始めているが、一番驚いているのは多分俺に違いない。一体俺がいつアリスにプロポーズしたというのだろうか。
「大阪にあるハルカス60の展望台でプロポーズされたんだよね。夜景よりアリスの方がずっと綺麗だ、他の誰のものにもしたくないって言われてさ」
いやいや、実質アリスに言わされて口にしただけでプロポーズする気なんて全く無かったぞ。てか、そもそもその指輪はペアリングで婚約指輪ではないだろ。
「そっか、じゃあ二人を邪魔するのも悪いし私達はいくね」
「式には呼んでくれよ」
「アリスちゃん、また学校で会おうね」
そう言い残すと陽キャグループのメンバー達は俺達の前から立ち去って行った。
「これで一件落着だね」
「どこがだよ、絶対変な誤解されただろ」
「別に今更でしょ、クラス内でも既に拓馬の妻ってキャラクターが定着してるし」
「それはそうかもしれないけどさ……」
あいつらは口が軽そうだから絶対言いふらしまくるに違いない。俺がアリスにプロポーズしたという事実無根の噂が学校中に広まるのは時間の問題だ。
「それよりそろそろ花火始まるみたいだよ」
「……ああ」
ただでさえ休み明け学校へ行くのが憂鬱だったと言うのに、ますます行きたくなくなってしまった。
「やっぱりお祭りとか花火大会って言ったら屋台だよな」
「うん、半分はそれ目的みたいなところはあるよね」
開始時間よりも前に会場に到着した俺達はあちこち屋台で食べ歩きをしながら花火が始まるのを待っている。
「次は何が食べたい?」
「うーん、さっきたこ焼きを食べたから私的に次は甘いものがいいかな」
「甘いものか、色々あるから正直悩む」
そんな事を話しながらしばらく歩いているとチョコバナナの屋台が目に入ってきた。近づくにつれて甘い匂いが漂ってくるため思いっきり食欲をそそられてしまう。
「美味しそうだね、チョコバナナが食べたくなってきたな」
「ちょうど俺も同じ事を思ってた」
「じゃあ次はチョコバナナにしよう」
早速屋台でチョコバナナを購入した俺達は芝生に座って食べ始める。普通に食べる俺に対してアリスはバナナを舐めわますように口に入れていた。その姿が妙に色っぽくて変な気分になりそうだ。
「なんかちょっと顔が赤い気がするけど一体どうしたの?」
「……何でもないから気にするな」
「あっ、ひょっとして私がチョコバナナ食べてる姿を見てエッチな想像でもしちゃった?」
「ち、違うから」
俺はそう言って慌てて誤魔化そうとする。だがアリスにはバレバレだったらしい。
「やっぱり拓馬も男の子だもんね、エッチな想像くらい普通だよ。こういうシチュエーションのエロ漫画も持ってたくらいだし」
「頼むからもう許してくれ」
アリスが容赦なく傷口に塩を塗ってくるせいで、俺は恥ずかし過ぎて消えてなくなりたい気持ちにさせられていた。
「あんまり虐めすぎるのも可哀想だからこのくらいにしといてあげるよ。それよりそろそろお腹も結構膨れてきたし次は何かして遊ばない?」
「……そうだな、花火までもう少し時間もあるしそうするか」
金魚すくいやヨーヨー釣り、射的の屋台も見かけたため、時間をつぶすにはちょうどいいはずだ。それから少ししてヨーヨー釣りの屋台を見つけた俺達は二人でやり始める。
俺は昔からお祭りなどでヨーヨー釣りをよくやっていたので問題無く釣れていたが、意外な事にアリスはかなり苦戦してる様子だった。海外暮らしが長いと言っていたためもしかしたら初めてなのかもしれない。
「ねえ拓馬、どうやったら上手く釣れるの……?」
「こよりを短めに持って水に濡らさないようにしながら風船とゴムの接続部を狙えば上手く行くと思うぞ」
「そうなんだ、それでやってみるね」
俺からコツを聞いたアリスは再びヨーヨーを釣り始めるが、今度は上手く釣れていた。
「やった、拓馬取れたよ」
「良かったな」
アリスは満面の笑みを浮かべてまるで子供のように喜んでいる。同い年とは思えないくらいハイスペックなアリスだが、やっぱり普通の女の子らしい一面もあるようだ。
そろそろ花火が始まる時間になるため移動をしようとしていると突然後ろから誰かに声をかけられる。
「もしかしてアリス?」
後ろを振り返るとそこにはクラスの陽キャグループのメンバーがいた。偶然彼らも板橋区の花火大会に来ていたらしい。
「あっ、やっぱりアリスだ」
「久しぶり、元気だった?」
「こんなところで会うなんてめちゃくちゃ奇遇じゃん」
「なんかテンション上がってくるわ」
教室にいる時と変わらないハイテンションでそう話しかけてきた。
「こんばんは、私と拓馬は見ての通りデート中だからまた今度話そう」
「えー、せっかくだし俺達と一緒に行こうぜ」
「うんうん、大勢の方が絶対楽しいよ」
「黒月君も一緒でいいからさ」
以前カラオケに誘ってきた時と同様相変わらず強引な彼らだったが、その中の一人がとある事に気づいて口を開く。
「アリスちゃんその左手に着けてる指輪どうしたの?」
どうやらアリスが左手薬指に着けていた金色のペアリングが気になったらしい。するとアリスはニヤッとした表情を浮かべてとんでもない事を口にする。
「ああこれは拓馬から私への婚約指輪だよ、先日プロポーズされたから」
「えっ!?」
陽キャグループのメンバー達は次々に驚きの声をあげ始めているが、一番驚いているのは多分俺に違いない。一体俺がいつアリスにプロポーズしたというのだろうか。
「大阪にあるハルカス60の展望台でプロポーズされたんだよね。夜景よりアリスの方がずっと綺麗だ、他の誰のものにもしたくないって言われてさ」
いやいや、実質アリスに言わされて口にしただけでプロポーズする気なんて全く無かったぞ。てか、そもそもその指輪はペアリングで婚約指輪ではないだろ。
「そっか、じゃあ二人を邪魔するのも悪いし私達はいくね」
「式には呼んでくれよ」
「アリスちゃん、また学校で会おうね」
そう言い残すと陽キャグループのメンバー達は俺達の前から立ち去って行った。
「これで一件落着だね」
「どこがだよ、絶対変な誤解されただろ」
「別に今更でしょ、クラス内でも既に拓馬の妻ってキャラクターが定着してるし」
「それはそうかもしれないけどさ……」
あいつらは口が軽そうだから絶対言いふらしまくるに違いない。俺がアリスにプロポーズしたという事実無根の噂が学校中に広まるのは時間の問題だ。
「それよりそろそろ花火始まるみたいだよ」
「……ああ」
ただでさえ休み明け学校へ行くのが憂鬱だったと言うのに、ますます行きたくなくなってしまった。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?
おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。
『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』
※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
機械娘の機ぐるみを着せないで!
ジャン・幸田
青春
二十世紀末のOVA(オリジナルビデオアニメ)作品の「ガーディアンガールズ」に憧れていたアラフィフ親父はとんでもない事をしでかした! その作品に登場するパワードスーツを本当に開発してしまった!
そのスーツを娘ばかりでなく友人にも着せ始めた! そのとき、トラブルの幕が上がるのであった。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる