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第3章 絶対に負けられない勝負を挑まれた結果
第20話 あっ、義父様と義母様には私から伝えてあげるから安心してね
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アリスとお泊まりした日から気付けば三週間が経過していた。この三週間は期末テスト関係で俺もアリスもかなりバタバタしていたような気がする。
アリスと期末テストの成績で勝負をしており負けてしまったら命令を何でも一つ聞かなければならないため、お互いにかなりガチで勉強をしていた。だからこの三週間は特に変わった事は起きていない。
そして今日、ついに全教科の答案用紙が返却されたためいよいよ勝敗が明らかになる。放課後の教室で俺とアリスは机の前で向かい合って座っていた。机の上には期末テストの合計点を記載した用紙を裏返しにして置いてある。
「拓馬、負けを認める覚悟はできた?」
「それはこっちの台詞だ。アリスこそ覚悟しておけ、勝つのは絶対に俺だから」
アリスに煽られた俺はそう煽り返した。期末テストは中間テストには無かった保健体育や家庭科などの副教科もあったため勉強がかなり大変だったが、毎日死ぬ気で勉強していたのだからきっと勝っているはずだ。
「せーので、結果を見せ合おうか」
「分かった」
「じゃあ行くよ、せーの」
アリスの掛け声で俺達は同時に用紙をひっくり返す。そして俺はアリスの点数を見た瞬間、思わず声をあげてしまう。
「う、嘘だろ!?」
なんとアリスは十五教科で1485点という凄まじい点数を叩き出していたのだ。1500点満点でたったの15点しか失点しておらず、十五教科の平均点は99点という驚異的な数字だった。
念の為に答案用紙を全部確認させて貰ったが、何度計算しても点数は間違っていない。答案用紙の大半が満点であり、一部の科目が一問か二問間違えているだけだ。
「拓馬の1421点も結構良い点数だと思うけどな」
「アリスに言われても完全に嫌味にしか聞こえない件」
どうやらアリスの実力を完全に見誤っていたらしい。俺がそんな事を思っているとアリスは鞄の中から透明なクリアファイルに入ったA4くらいの用紙を取り出した。
二つ折りになっていたそれをアリスはゆっくり広げると俺の目の前に差し出してくる。何か嫌な予感を覚える俺だったが、アリスはそのまま口を開く。
「じゃあ早速命令でこれにサインと判子を押してもらおうか」
「……なあ、婚姻届って書いてある気がするんだけど」
用紙の左上に書かれた文字を見た俺はそうツッコミを入れた。するとアリスは頬を赤らめつ、不敵な笑みを浮かべる。
「後は拓馬がサインと判子をくれたらすぐに提出できるようになってるから。どう、嬉しいでしょ?」
「いやいや、嬉しいとか以前にそもそも年齢的に結婚ってまだ無理だろ」
今の日本で結婚可能年齢は男女ともに十八歳となっているため、十七歳の俺とアリスはどんなに頑張っても結婚する事は絶対にできない。
「今サインと判子をくれたら十八歳になった瞬間にすぐ提出しに行けるけど?」
「おいおい、もうその辺で勘弁してくれよ……」
相変わらず不敵な笑みを浮かべているアリスに対して俺はそう声を漏らした。まさか本気でサインと判子を押させる気じゃないだろうな。
「拓馬を揶揄うのはこのくらいにしておいて、そろそろ本題に入ろうか」
どうやら今までの話は冗談だったらしい。全然冗談には聞こえず、むしろ本気にしか見えなかった事はここだけの秘密だ。
「……本題って?」
「今から話す事を今回の勝負で私が勝った命令にしようと思ってるんだよね」
アリスが一体どんな命令を俺にする気なのかは全く分からないが、婚姻届への署名押印と比べたらマシに違いない。
「それで一体どんな命令をするつもりなんだよ?」
「拓馬への命令……それは私と同棲する事だよ」
「同棲!?」
前言撤回だ、この命令も十分ハード過ぎる。流石に高校二年生で同棲するのはいくらなんでも無茶ではないだろうか。
「あっ、義父様と義母様には私からしっかりと伝えてあげるから安心してね」
「どう考えても安心できる要素が全く見当たらないんだよな……」
合鍵を渡している事からも分かるように母さんはとっくの昔に陥落済みだし、父さんもかなりちょろいため簡単に説得される事は目に見えている。そうなると同棲する事は恐らく避けられないだろう。
「同棲は夏休みに入った最初の週からする予定だから、そのつもりでよろしく」
「えっ、もうすぐじゃん」
来週の木曜日に終業式がありその翌日から夏休みに突入するため、同棲するまでたった一週間ちょっとくらいしか期間が無い。
「分かってるとは思うけど敗者の拓馬には拒否権なんて無いから」
「……分かってるよ、一応ちゃんと約束したしな」
「拓馬ならそう言ってくれると思ったよ」
完全にアリスから挑発される形で引き受けた勝負とは言え約束は約束だ。約束を反故にする事は俺の信念に反する。
それにこうなったアリスを止められない事はここ一ヶ月一緒に過ごしてよく分かっていたため、はっきり言って抵抗は全く意味をなさない。
今年の夏休みは今までの人生の中で一番波瀾万丈になりそうな気がする。特に根拠は無いがとにかくそんな予感がした。
アリスと期末テストの成績で勝負をしており負けてしまったら命令を何でも一つ聞かなければならないため、お互いにかなりガチで勉強をしていた。だからこの三週間は特に変わった事は起きていない。
そして今日、ついに全教科の答案用紙が返却されたためいよいよ勝敗が明らかになる。放課後の教室で俺とアリスは机の前で向かい合って座っていた。机の上には期末テストの合計点を記載した用紙を裏返しにして置いてある。
「拓馬、負けを認める覚悟はできた?」
「それはこっちの台詞だ。アリスこそ覚悟しておけ、勝つのは絶対に俺だから」
アリスに煽られた俺はそう煽り返した。期末テストは中間テストには無かった保健体育や家庭科などの副教科もあったため勉強がかなり大変だったが、毎日死ぬ気で勉強していたのだからきっと勝っているはずだ。
「せーので、結果を見せ合おうか」
「分かった」
「じゃあ行くよ、せーの」
アリスの掛け声で俺達は同時に用紙をひっくり返す。そして俺はアリスの点数を見た瞬間、思わず声をあげてしまう。
「う、嘘だろ!?」
なんとアリスは十五教科で1485点という凄まじい点数を叩き出していたのだ。1500点満点でたったの15点しか失点しておらず、十五教科の平均点は99点という驚異的な数字だった。
念の為に答案用紙を全部確認させて貰ったが、何度計算しても点数は間違っていない。答案用紙の大半が満点であり、一部の科目が一問か二問間違えているだけだ。
「拓馬の1421点も結構良い点数だと思うけどな」
「アリスに言われても完全に嫌味にしか聞こえない件」
どうやらアリスの実力を完全に見誤っていたらしい。俺がそんな事を思っているとアリスは鞄の中から透明なクリアファイルに入ったA4くらいの用紙を取り出した。
二つ折りになっていたそれをアリスはゆっくり広げると俺の目の前に差し出してくる。何か嫌な予感を覚える俺だったが、アリスはそのまま口を開く。
「じゃあ早速命令でこれにサインと判子を押してもらおうか」
「……なあ、婚姻届って書いてある気がするんだけど」
用紙の左上に書かれた文字を見た俺はそうツッコミを入れた。するとアリスは頬を赤らめつ、不敵な笑みを浮かべる。
「後は拓馬がサインと判子をくれたらすぐに提出できるようになってるから。どう、嬉しいでしょ?」
「いやいや、嬉しいとか以前にそもそも年齢的に結婚ってまだ無理だろ」
今の日本で結婚可能年齢は男女ともに十八歳となっているため、十七歳の俺とアリスはどんなに頑張っても結婚する事は絶対にできない。
「今サインと判子をくれたら十八歳になった瞬間にすぐ提出しに行けるけど?」
「おいおい、もうその辺で勘弁してくれよ……」
相変わらず不敵な笑みを浮かべているアリスに対して俺はそう声を漏らした。まさか本気でサインと判子を押させる気じゃないだろうな。
「拓馬を揶揄うのはこのくらいにしておいて、そろそろ本題に入ろうか」
どうやら今までの話は冗談だったらしい。全然冗談には聞こえず、むしろ本気にしか見えなかった事はここだけの秘密だ。
「……本題って?」
「今から話す事を今回の勝負で私が勝った命令にしようと思ってるんだよね」
アリスが一体どんな命令を俺にする気なのかは全く分からないが、婚姻届への署名押印と比べたらマシに違いない。
「それで一体どんな命令をするつもりなんだよ?」
「拓馬への命令……それは私と同棲する事だよ」
「同棲!?」
前言撤回だ、この命令も十分ハード過ぎる。流石に高校二年生で同棲するのはいくらなんでも無茶ではないだろうか。
「あっ、義父様と義母様には私からしっかりと伝えてあげるから安心してね」
「どう考えても安心できる要素が全く見当たらないんだよな……」
合鍵を渡している事からも分かるように母さんはとっくの昔に陥落済みだし、父さんもかなりちょろいため簡単に説得される事は目に見えている。そうなると同棲する事は恐らく避けられないだろう。
「同棲は夏休みに入った最初の週からする予定だから、そのつもりでよろしく」
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完全にアリスから挑発される形で引き受けた勝負とは言え約束は約束だ。約束を反故にする事は俺の信念に反する。
それにこうなったアリスを止められない事はここ一ヶ月一緒に過ごしてよく分かっていたため、はっきり言って抵抗は全く意味をなさない。
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