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第3章 絶対に負けられない勝負を挑まれた結果
第19話 ねえ、拓馬怖いからぎゅーっとして
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お泊まりした日から一週間が経過し、いよいよ期末テストの一週間前となっていた。俺達は俺の部屋で一緒に勉強をしている。
俺もアリスも基本問題は特に困る事なく解けているため、勉強しているのはどの教科も難易度の高い応用問題が中心だ。
ちなみに母さんは夜までパートでいないためアリスと二人きりだが、当たり前の事になりつつあるためもはや何とも思わなくなってきた。
「……流石に二時間くらいぶっ通しでやり続けると疲れてくるね」
「ああ、そろそろ休憩にしようか」
俺達はテーブルの上に広げていた教科書や問題集を一旦閉じるとその場に立ち上がって背伸びやストレッチをする。
「そう言えば拓馬って副教科の勉強はもうしてる?」
「実はその辺はまだそんなにやってないんだよな」
保健体育や家庭科などいわゆる副教科と呼ばれる科目は基本的に暗記が中心になってくるためとりあえず後回しにしていた。
「副教科も同じ100点な事には変わりないからしっかり勉強しないと後悔する事になるかもよ」
「確かにそれは間違いない」
そこをサボって点数が取れないと間違いなくアリスには勝てないため手を抜くつもりは一切無い。そんな事を思っていると窓の外から突然ザーっという音がし始める。
カーテンを開けて窓の外を見ると激しい雨が降り始めていた。
「やっぱり雨か」
「夕方から雨の予報だったから予想通りだけどね」
「学校にいる時に降り始めなくて良かったよな」
確か明日の夜までずっと雨が降り続く予報になっていた気がするのでちょっとだけ憂鬱だ。まあ、今は梅雨の時期なため仕方ないが。
しばらく休憩を挟んだ俺達は勉強を再開したわけだが、窓の外の雨はどんどん強さを増していき次第に雷まで鳴るようになっていた。
「なあ、さっきから手が全く動いてないように見えるけど大丈夫か?」
「……大丈夫」
勉強を再開した直後はいつも通りのアリスだったが、時間が経つにつれてどんどん挙動不審になっていったのだ。
一体何が原因でこうなっているのか最初は分からなかった俺だが、アリスの様子を観察しているうちにその答えが分かってしまった。
「もしかして雷が怖いのか?」
「そ、そんな事ないよ」
アリスの反応を見た感じほぼ間違いないだろう。今のまま勉強を続けても絶対集中できないし頭にも入らないだろうから今日はお開きにした方がいいな。
そう提案しようとした瞬間、どこかに雷が落ちるような音とともに家中の電気が消えて真っ暗になった。
「きゃあぁぁぁぁ!」
アリスは悲鳴をあげると俺に思いっきり抱きついてきた。
「落ち着けって、多分ブレーカーが落ちただけだから」
そう言ってアリスを安心させようとするが、パニックになっているらしく俺から離れようとしない。いつものアリスからは考えられない凄まじいキャラ崩壊ぶりだった。
「とりあえずブレーカーを確認してくるから離してくれないか?」
「無理、私を一人にしないで!?」
「じゃあ一緒に見に行こう、それならいいだろ?」
「……分かった」
俺はスマホのライトで廊下照らしながらアリスとともにブレーカーが設置してある洗面所を目指す。そしてブレーカーを確認するがどこも落ちていなかった。
「って事は停電してるのか、まだ復旧してない事を考えるとしばらく時間がかかりそうだな」
落雷で送電線に何らかの問題が起きた時でも通常は一分後には復旧する仕組みになっていたはずだ。それが一分以上経っても復旧していないという事は何か大きなトラブルが起きたに違いない。
「ここにいても仕方が無いし、とりあえず俺の部屋に戻ろうか」
「……うん」
アリスは相変わらず弱々しい声であり、まるで今にも消えてなくなりそうな雰囲気だった。よほど今の状況が怖いのだろう。
部屋に戻った俺達だが電気が使えない関係で出来そうな事は特に無かった。停電すると現代人が普段からどれだけ電気に依存しているかよく思い知らされてしまう。
「ねえ、拓馬怖いからぎゅーっとして」
「こんな感じでいいか?」
「……ありがとう」
普段なら絶対に断るようなお願いだが今日だけは特別だ。とにかく恐怖で震えているアリスの助けになりたかった。
俺が抱きしめてからは雷の音を聞いてもあまり震えなくなったため効果は抜群だったらしい。気付けばアリスは俺に抱きしめられたまま眠っていた。
「とりあえず俺のベッドに寝かせよう」
俺はアリスを持ち上げてベッドに寝かせようとするが、ここで大きな問題が発生する。なんとアリスは眠ったまま俺の体をガッチリとホールドしていたのだ。
無理矢理引き離すとアリスを起こしてしまう可能性があったためそれは出来なかった。
「このまま一緒に寝転ぶしかないか」
付き合っていない男女が同じベッドに寝転ぶのは問題しかない気はするが、どうせ先週のお泊まりの時に同じベッドで寝ていたため一回増えたところで正直あまり変わりはしないだろう。
だから俺は電気が復旧するまでアリスを抱きしめたままベッドに寝転んでいた。
俺もアリスも基本問題は特に困る事なく解けているため、勉強しているのはどの教科も難易度の高い応用問題が中心だ。
ちなみに母さんは夜までパートでいないためアリスと二人きりだが、当たり前の事になりつつあるためもはや何とも思わなくなってきた。
「……流石に二時間くらいぶっ通しでやり続けると疲れてくるね」
「ああ、そろそろ休憩にしようか」
俺達はテーブルの上に広げていた教科書や問題集を一旦閉じるとその場に立ち上がって背伸びやストレッチをする。
「そう言えば拓馬って副教科の勉強はもうしてる?」
「実はその辺はまだそんなにやってないんだよな」
保健体育や家庭科などいわゆる副教科と呼ばれる科目は基本的に暗記が中心になってくるためとりあえず後回しにしていた。
「副教科も同じ100点な事には変わりないからしっかり勉強しないと後悔する事になるかもよ」
「確かにそれは間違いない」
そこをサボって点数が取れないと間違いなくアリスには勝てないため手を抜くつもりは一切無い。そんな事を思っていると窓の外から突然ザーっという音がし始める。
カーテンを開けて窓の外を見ると激しい雨が降り始めていた。
「やっぱり雨か」
「夕方から雨の予報だったから予想通りだけどね」
「学校にいる時に降り始めなくて良かったよな」
確か明日の夜までずっと雨が降り続く予報になっていた気がするのでちょっとだけ憂鬱だ。まあ、今は梅雨の時期なため仕方ないが。
しばらく休憩を挟んだ俺達は勉強を再開したわけだが、窓の外の雨はどんどん強さを増していき次第に雷まで鳴るようになっていた。
「なあ、さっきから手が全く動いてないように見えるけど大丈夫か?」
「……大丈夫」
勉強を再開した直後はいつも通りのアリスだったが、時間が経つにつれてどんどん挙動不審になっていったのだ。
一体何が原因でこうなっているのか最初は分からなかった俺だが、アリスの様子を観察しているうちにその答えが分かってしまった。
「もしかして雷が怖いのか?」
「そ、そんな事ないよ」
アリスの反応を見た感じほぼ間違いないだろう。今のまま勉強を続けても絶対集中できないし頭にも入らないだろうから今日はお開きにした方がいいな。
そう提案しようとした瞬間、どこかに雷が落ちるような音とともに家中の電気が消えて真っ暗になった。
「きゃあぁぁぁぁ!」
アリスは悲鳴をあげると俺に思いっきり抱きついてきた。
「落ち着けって、多分ブレーカーが落ちただけだから」
そう言ってアリスを安心させようとするが、パニックになっているらしく俺から離れようとしない。いつものアリスからは考えられない凄まじいキャラ崩壊ぶりだった。
「とりあえずブレーカーを確認してくるから離してくれないか?」
「無理、私を一人にしないで!?」
「じゃあ一緒に見に行こう、それならいいだろ?」
「……分かった」
俺はスマホのライトで廊下照らしながらアリスとともにブレーカーが設置してある洗面所を目指す。そしてブレーカーを確認するがどこも落ちていなかった。
「って事は停電してるのか、まだ復旧してない事を考えるとしばらく時間がかかりそうだな」
落雷で送電線に何らかの問題が起きた時でも通常は一分後には復旧する仕組みになっていたはずだ。それが一分以上経っても復旧していないという事は何か大きなトラブルが起きたに違いない。
「ここにいても仕方が無いし、とりあえず俺の部屋に戻ろうか」
「……うん」
アリスは相変わらず弱々しい声であり、まるで今にも消えてなくなりそうな雰囲気だった。よほど今の状況が怖いのだろう。
部屋に戻った俺達だが電気が使えない関係で出来そうな事は特に無かった。停電すると現代人が普段からどれだけ電気に依存しているかよく思い知らされてしまう。
「ねえ、拓馬怖いからぎゅーっとして」
「こんな感じでいいか?」
「……ありがとう」
普段なら絶対に断るようなお願いだが今日だけは特別だ。とにかく恐怖で震えているアリスの助けになりたかった。
俺が抱きしめてからは雷の音を聞いてもあまり震えなくなったため効果は抜群だったらしい。気付けばアリスは俺に抱きしめられたまま眠っていた。
「とりあえず俺のベッドに寝かせよう」
俺はアリスを持ち上げてベッドに寝かせようとするが、ここで大きな問題が発生する。なんとアリスは眠ったまま俺の体をガッチリとホールドしていたのだ。
無理矢理引き離すとアリスを起こしてしまう可能性があったためそれは出来なかった。
「このまま一緒に寝転ぶしかないか」
付き合っていない男女が同じベッドに寝転ぶのは問題しかない気はするが、どうせ先週のお泊まりの時に同じベッドで寝ていたため一回増えたところで正直あまり変わりはしないだろう。
だから俺は電気が復旧するまでアリスを抱きしめたままベッドに寝転んでいた。
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