9 / 49
第2章 カップルみたいな事をしてるけどまだ付き合ってすらいないんだぜ
第8話 あっ、ひょっとしてまさか拓馬は口移しの方が良かったりする?
しおりを挟む
ショッピングモールで家具や家電などを見て回る俺達だったが、いつの間にかかなり長い時間が経過していた事に気付く。
「なあ、そろそろ疲れてきたから一旦この辺で休憩にしないか? さっきからだいぶ歩きっぱなしだし」
「実はちょうど私も提案しようと思ってたんだよね。クラスの友達からこのモール内にあるおすすめのカフェを教えて貰ったんだけどさ、せっかくだからそこで休憩しない?」
「ああ、そうしよう」
特に反対する理由も無かった俺は賛成した。スマホでカフェの場所がどこにあるのかを確認した俺達は飲食店街に向かって歩き始める。
「あっ、そうだ。さっき教室で助けてくれたお礼にカフェで何か奢ってあげるよ、その代わり私も好きなものを注文しても良いよね?」
「別に代金はアリスが払うんだから好きなものを注文するのは全然自由だと思うけど」
「ありがとう、じゃあ好きなものを注文するから」
質問の意図がよく分からなかったが俺がとりあえずそう答えるとアリスは何故かめちゃくちゃ嬉しそうな表情になった。
なぜそこまで嬉しそうな顔をしているのか少し不思議だったが、いくら考えても理由は分かりそうにない。少しして目的地のカフェに到着した俺達だったが、店内はカップルらしき若い男女達で溢れかえっていた。
周りがリア充だらけでとにかく落ち着かないため、入店したばかりだったがもう出たい気持ちになっている。
「俺はホットコーヒーでいいや」
「オッケー、なら店員呼ぶね」
アリスは既に注文が決まっていたらしく机の上に設置されていた店員呼び出し用のベルを押す。そしてテーブルにやってきた店員に向かって注文を伝え始める。
「すみません、ホットコーヒー二つ……それからカップル限定特大パフェを一つ」
カップル限定という言葉を聞いた俺がめちゃくちゃ驚いたような顔をしていると、アリスはまるでいたずらが成功した子供のような顔をしていた。
「おい、カップル限定って一体どういう事だよ!?」
「さっき好きな物を頼んでも良いか聞いた時に拓馬は注文は私の自由だって言ってたよね? だからお言葉に甘えて私の好きな物を頼ませて貰っただけだよ」
その言葉を聞いてさっきのあの質問の後にアリスが嬉しそうにしていた理由がようやく分かった。はっきり言って完全に嵌められた気分になっている。
しばらくして机にカップル限定特大パフェが運ばれてきたが、その名の通りかなりの巨大サイズだった。一人では完食できるか怪しいと思えるほどのボリュームだ。
少食同士で付き合っているカップルなら完食できないのではないだろうか。現実逃避がてらそんな事を考えていた俺だったが更なる悲劇に襲われる事になる。
「ではお二人のツーショット写真の撮影を始めますね」
「はい、よろしくお願いします」
「えっ!?」
店員の言葉を聞いて状況が全く理解できなかった俺は思わずそう声をあげてしまった。俺が目線でアリスにどういう事だと訴えかけると、彼女はニコニコしながらメニュー表のカップル限定特大パフェのページを指差す。
「えっと……」
その内容を見る俺だったが、内容を理解した瞬間完全に言葉を失う。なんとカップル限定メニューを頼むとツーショット写真を撮られるようで、その上しばらくの間店内に飾られるらしいのだ。
こうなる事が初めから分かっていれば好きな物を注文するのは自由なんて事は口が裂けても絶対に言わなかった。だがもはや手遅れであり全てが後の祭りでしかない。
だから俺はノリノリなアリスとともにツーショット写真を撮られる羽目になってしまった。写真撮影が終わった後、満足そうな表情を浮かべていたアリスに俺は問いかける。
「……まさかとは思うけど、今日ショッピングモールに来たのって買い物がおまけで実はこっちが本命だったんじゃないだろうな?」
「あらら、やっぱりバレちゃってたか」
途中から何となくそんな予感はしていたが、やはりその通りだったらしい。どうやら全てアリスの目論見通りだったようだ。
「この量は一人だとちょっと食べきれそうにないから拓馬も一緒に食べようよ」
「そうだな、せっかくだし貰う事にするよ」
疲れ過ぎて何か甘い物が食べたい気分になっていたためアリスからの提案は正直助かった。まあ、俺がここまで疲れてしまった原因は言うまでもなく全部アリスのせいなわけだが。
「はい、あーん」
「いや、俺一人で食べられるから大丈夫だ」
俺にパフェを食べさせようとしてくるアリスに俺はそう言って断った。するとアリスはとんでもない事を言い始める。
「あっ、ひょっとしてまさか拓馬は口移しの方が良かったりする?」
「待て待て、本気か!?」
「拓馬がやって欲しいなら私は全然やるけど」
アリスなら本当にやりかねない。流石に公衆の面前で口移しされるという羞恥プレイを受け入れるような勇気は無かった。
結局両方断る事は出来そうになかったため、俺はアリスにパフェを食べさせて貰うという選択肢を選んだ。恥ずかし過ぎて味なんて全く分からなかった事は言うまでもない。
「なあ、そろそろ疲れてきたから一旦この辺で休憩にしないか? さっきからだいぶ歩きっぱなしだし」
「実はちょうど私も提案しようと思ってたんだよね。クラスの友達からこのモール内にあるおすすめのカフェを教えて貰ったんだけどさ、せっかくだからそこで休憩しない?」
「ああ、そうしよう」
特に反対する理由も無かった俺は賛成した。スマホでカフェの場所がどこにあるのかを確認した俺達は飲食店街に向かって歩き始める。
「あっ、そうだ。さっき教室で助けてくれたお礼にカフェで何か奢ってあげるよ、その代わり私も好きなものを注文しても良いよね?」
「別に代金はアリスが払うんだから好きなものを注文するのは全然自由だと思うけど」
「ありがとう、じゃあ好きなものを注文するから」
質問の意図がよく分からなかったが俺がとりあえずそう答えるとアリスは何故かめちゃくちゃ嬉しそうな表情になった。
なぜそこまで嬉しそうな顔をしているのか少し不思議だったが、いくら考えても理由は分かりそうにない。少しして目的地のカフェに到着した俺達だったが、店内はカップルらしき若い男女達で溢れかえっていた。
周りがリア充だらけでとにかく落ち着かないため、入店したばかりだったがもう出たい気持ちになっている。
「俺はホットコーヒーでいいや」
「オッケー、なら店員呼ぶね」
アリスは既に注文が決まっていたらしく机の上に設置されていた店員呼び出し用のベルを押す。そしてテーブルにやってきた店員に向かって注文を伝え始める。
「すみません、ホットコーヒー二つ……それからカップル限定特大パフェを一つ」
カップル限定という言葉を聞いた俺がめちゃくちゃ驚いたような顔をしていると、アリスはまるでいたずらが成功した子供のような顔をしていた。
「おい、カップル限定って一体どういう事だよ!?」
「さっき好きな物を頼んでも良いか聞いた時に拓馬は注文は私の自由だって言ってたよね? だからお言葉に甘えて私の好きな物を頼ませて貰っただけだよ」
その言葉を聞いてさっきのあの質問の後にアリスが嬉しそうにしていた理由がようやく分かった。はっきり言って完全に嵌められた気分になっている。
しばらくして机にカップル限定特大パフェが運ばれてきたが、その名の通りかなりの巨大サイズだった。一人では完食できるか怪しいと思えるほどのボリュームだ。
少食同士で付き合っているカップルなら完食できないのではないだろうか。現実逃避がてらそんな事を考えていた俺だったが更なる悲劇に襲われる事になる。
「ではお二人のツーショット写真の撮影を始めますね」
「はい、よろしくお願いします」
「えっ!?」
店員の言葉を聞いて状況が全く理解できなかった俺は思わずそう声をあげてしまった。俺が目線でアリスにどういう事だと訴えかけると、彼女はニコニコしながらメニュー表のカップル限定特大パフェのページを指差す。
「えっと……」
その内容を見る俺だったが、内容を理解した瞬間完全に言葉を失う。なんとカップル限定メニューを頼むとツーショット写真を撮られるようで、その上しばらくの間店内に飾られるらしいのだ。
こうなる事が初めから分かっていれば好きな物を注文するのは自由なんて事は口が裂けても絶対に言わなかった。だがもはや手遅れであり全てが後の祭りでしかない。
だから俺はノリノリなアリスとともにツーショット写真を撮られる羽目になってしまった。写真撮影が終わった後、満足そうな表情を浮かべていたアリスに俺は問いかける。
「……まさかとは思うけど、今日ショッピングモールに来たのって買い物がおまけで実はこっちが本命だったんじゃないだろうな?」
「あらら、やっぱりバレちゃってたか」
途中から何となくそんな予感はしていたが、やはりその通りだったらしい。どうやら全てアリスの目論見通りだったようだ。
「この量は一人だとちょっと食べきれそうにないから拓馬も一緒に食べようよ」
「そうだな、せっかくだし貰う事にするよ」
疲れ過ぎて何か甘い物が食べたい気分になっていたためアリスからの提案は正直助かった。まあ、俺がここまで疲れてしまった原因は言うまでもなく全部アリスのせいなわけだが。
「はい、あーん」
「いや、俺一人で食べられるから大丈夫だ」
俺にパフェを食べさせようとしてくるアリスに俺はそう言って断った。するとアリスはとんでもない事を言い始める。
「あっ、ひょっとしてまさか拓馬は口移しの方が良かったりする?」
「待て待て、本気か!?」
「拓馬がやって欲しいなら私は全然やるけど」
アリスなら本当にやりかねない。流石に公衆の面前で口移しされるという羞恥プレイを受け入れるような勇気は無かった。
結局両方断る事は出来そうになかったため、俺はアリスにパフェを食べさせて貰うという選択肢を選んだ。恥ずかし過ぎて味なんて全く分からなかった事は言うまでもない。
0
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。
ながしょー
青春
ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。
このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件
マサタカ
青春
俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。
あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。
そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。
「久しぶりですね、兄さん」
義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。
ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。
「矯正します」
「それがなにか関係あります? 今のあなたと」
冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。
今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人?
ノベルアッププラスでも公開。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる