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第1章
第5話 普通に考えて放課後デートか何かのお誘いとかと思うじゃないですか
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五時間目の授業も終わり六時間目である世界史の時間がやってきていた。今日は七時間目の授業がない日のため世界史の授業が終われば帰りのホームルームとなる。
「ローマ帝国は西暦395年に西と東に分裂した事は前の授業で説明していたと思うが、何で分裂したのかはちゃんと覚えているか?」
「はい、皇帝が絶倫過ぎて国民がついていけなくなったからです」
雨宮先生の質問に対してクラスメイトの暁紗羅はそう声を上げた。暁さんはクラスのヤンチャ系女子達の中心人物的な存在で女子バスケ部に所属している。
さっきの体育の授業で玲奈にボールをパスしていたのも暁さんだ。嘘か本当かは知らないが貞操逆転前から付き合っていた彼氏とは性欲が原因で別れたという噂がある。
「そんな訳ないだろ、ローマ帝国が分裂した理由はゲルマン人の侵攻やササン朝ペルシアからの軍事的脅威に対応するためだ。次ふざけた事を言ったら暁だけ課題の量を二倍にするからな」
「詩乃ちゃんごめんって、そんなに怒らないでよ」
「教師をちゃん付けて呼ぶな」
こんな感じで授業中たまに暁さんを筆頭にヤンチャ女子達からいじられているが、これは雨宮先生が教師の中で一番若く親しみやすい事が関係していると思う。
ちなみに雨宮先生も注意自体はしているもののそんなに嫌がっている様子はない。まあ、処女をうっかり暴露させられた時はこの世の終わりのような顔をしていたが。
そんな事を考えながら授業を受けていると雨宮先生と目が合った。するとその瞬間雨宮先生は顔を赤く染めてしまう。
あっ、多分まだ昼休みの件を引きずってる感じだな。そんな事を思っているとそれに気付いたらしいヤンチャ女子達が雨宮先生をいじり始める。
「雨宮せんせー、顔が真っ赤だけどどうしたの? あっ、まさか授業中にエッチな妄想でもした?」
「明るい時間から夜のおかずを考えるのはまだ早いって」
「う、うるさい。ちゃんと授業に集中しろ」
今いじられたのは完全に俺のせいなのでちょっと申し訳ない気分にさせられてしまう。その後は特に何事もなく授業は進み説明がひと段落着いたタイミングでチャイムが鳴り響く。
それから帰りのホームルームを行いようやく放課後がやって来た。荷物をリュックサックに詰め込んで教室を出た俺が廊下を歩いていると叶瀬とエンカウントする。
「あっ、先輩じゃないですか。さっきぶりですね」
「おっ、良いタイミングで会えたな。ちょうど叶瀬に会いたかったんだよ」
「……えっ、急にどうしたんですか?」
俺の言葉を聞いた叶瀬は少し動揺したような表情でそう言葉を口にした。その顔はほんのり赤く何かを期待しているように見える。
「実は昼休み叶瀬と長々話してたせいで酷い目にあったから罰を与えようと思ってな」
「ちょっと、ぬか喜びさせないでくださいよ」
「ぬか喜びって一体何を想像してたんだ?」
「普通に考えて放課後デートか何かのお誘いとかと思うじゃないですか」
叶瀬は先程までとは打って変わり不満そうな表情を浮かべていた。
「俺が叶瀬をデートに誘うと思うか?」
「だって先輩って私の事好きでしょ?」
「それは流石に自意識過剰過ぎるだろ」
二人でそんな会話をしていると俺達の姿を見かけたらしい玲奈がこちらに歩いてくる。
「ちょっと華菜ちゃん、また潤に絡んでるの?」
「玲奈先輩こそ最近よく先輩にちょっかいを掛けてるじゃないですか」
「私は幼馴染だから良いの」
「それなら私だって後輩なので問題ありません」
玲奈と叶瀬は以前からこんな感じのやり取りをよくしていたが、貞操逆転してからその頻度が明らかに増えているのは多分気のせいではないと思う。
「幼馴染だろうが後輩だろうが絡んでくるのは程々にしてくれ」
「えー、もしかして先輩は嫌なんですか?」
「別にめちゃくちゃ嫌ってわけでは無いけど」
「じゃあ別に良いじゃん」
どうやら玲奈も叶瀬も自重する気はなさそうだ。二人とも美少女のためあんまりぐいぐい来られると下半身的な意味で不味いためもう少し控えて欲しいのだが。
「私と先輩はこれから放課後デートをする予定なのでそろそろ行きますね」
「「えっ!?」」
叶瀬の言葉を聞いた俺と玲奈は同時に声をあげた。これから放課後デートへ行くなんて話は一言も聞いてないんだけど。
「潤、華菜ちゃんと放課後デートってどういう事よ」
「それは俺が一番聞きたいんだけど」
「さっき放課後デートに誘いたいって言ってませんでしたっけ?」
「いやいや、それを言ったのは叶瀬の方だろ。記憶の捏造をするのは辞めろ」
「あれっ、そうでしたっけ? でも友達の少ない先輩はどうせこの後予定なんて何もないでしょ、だからせっかくなので私と放課後デートしましょうよ」
俺に予定がないと勝手に決めつけるなよ。まあ、実際にその通りではあるけど。
「そう言えば今日の放課後潤は私と放課後デートする予定が入っていたような」
「先輩どういう事ですか……?」
「玲奈はさらっと嘘をつくな。てか、叶瀬も簡単に信じるなよ」
やっと放課後になったというのにここ数分間のやり取りだけで無駄に疲れさせられた。
「ローマ帝国は西暦395年に西と東に分裂した事は前の授業で説明していたと思うが、何で分裂したのかはちゃんと覚えているか?」
「はい、皇帝が絶倫過ぎて国民がついていけなくなったからです」
雨宮先生の質問に対してクラスメイトの暁紗羅はそう声を上げた。暁さんはクラスのヤンチャ系女子達の中心人物的な存在で女子バスケ部に所属している。
さっきの体育の授業で玲奈にボールをパスしていたのも暁さんだ。嘘か本当かは知らないが貞操逆転前から付き合っていた彼氏とは性欲が原因で別れたという噂がある。
「そんな訳ないだろ、ローマ帝国が分裂した理由はゲルマン人の侵攻やササン朝ペルシアからの軍事的脅威に対応するためだ。次ふざけた事を言ったら暁だけ課題の量を二倍にするからな」
「詩乃ちゃんごめんって、そんなに怒らないでよ」
「教師をちゃん付けて呼ぶな」
こんな感じで授業中たまに暁さんを筆頭にヤンチャ女子達からいじられているが、これは雨宮先生が教師の中で一番若く親しみやすい事が関係していると思う。
ちなみに雨宮先生も注意自体はしているもののそんなに嫌がっている様子はない。まあ、処女をうっかり暴露させられた時はこの世の終わりのような顔をしていたが。
そんな事を考えながら授業を受けていると雨宮先生と目が合った。するとその瞬間雨宮先生は顔を赤く染めてしまう。
あっ、多分まだ昼休みの件を引きずってる感じだな。そんな事を思っているとそれに気付いたらしいヤンチャ女子達が雨宮先生をいじり始める。
「雨宮せんせー、顔が真っ赤だけどどうしたの? あっ、まさか授業中にエッチな妄想でもした?」
「明るい時間から夜のおかずを考えるのはまだ早いって」
「う、うるさい。ちゃんと授業に集中しろ」
今いじられたのは完全に俺のせいなのでちょっと申し訳ない気分にさせられてしまう。その後は特に何事もなく授業は進み説明がひと段落着いたタイミングでチャイムが鳴り響く。
それから帰りのホームルームを行いようやく放課後がやって来た。荷物をリュックサックに詰め込んで教室を出た俺が廊下を歩いていると叶瀬とエンカウントする。
「あっ、先輩じゃないですか。さっきぶりですね」
「おっ、良いタイミングで会えたな。ちょうど叶瀬に会いたかったんだよ」
「……えっ、急にどうしたんですか?」
俺の言葉を聞いた叶瀬は少し動揺したような表情でそう言葉を口にした。その顔はほんのり赤く何かを期待しているように見える。
「実は昼休み叶瀬と長々話してたせいで酷い目にあったから罰を与えようと思ってな」
「ちょっと、ぬか喜びさせないでくださいよ」
「ぬか喜びって一体何を想像してたんだ?」
「普通に考えて放課後デートか何かのお誘いとかと思うじゃないですか」
叶瀬は先程までとは打って変わり不満そうな表情を浮かべていた。
「俺が叶瀬をデートに誘うと思うか?」
「だって先輩って私の事好きでしょ?」
「それは流石に自意識過剰過ぎるだろ」
二人でそんな会話をしていると俺達の姿を見かけたらしい玲奈がこちらに歩いてくる。
「ちょっと華菜ちゃん、また潤に絡んでるの?」
「玲奈先輩こそ最近よく先輩にちょっかいを掛けてるじゃないですか」
「私は幼馴染だから良いの」
「それなら私だって後輩なので問題ありません」
玲奈と叶瀬は以前からこんな感じのやり取りをよくしていたが、貞操逆転してからその頻度が明らかに増えているのは多分気のせいではないと思う。
「幼馴染だろうが後輩だろうが絡んでくるのは程々にしてくれ」
「えー、もしかして先輩は嫌なんですか?」
「別にめちゃくちゃ嫌ってわけでは無いけど」
「じゃあ別に良いじゃん」
どうやら玲奈も叶瀬も自重する気はなさそうだ。二人とも美少女のためあんまりぐいぐい来られると下半身的な意味で不味いためもう少し控えて欲しいのだが。
「私と先輩はこれから放課後デートをする予定なのでそろそろ行きますね」
「「えっ!?」」
叶瀬の言葉を聞いた俺と玲奈は同時に声をあげた。これから放課後デートへ行くなんて話は一言も聞いてないんだけど。
「潤、華菜ちゃんと放課後デートってどういう事よ」
「それは俺が一番聞きたいんだけど」
「さっき放課後デートに誘いたいって言ってませんでしたっけ?」
「いやいや、それを言ったのは叶瀬の方だろ。記憶の捏造をするのは辞めろ」
「あれっ、そうでしたっけ? でも友達の少ない先輩はどうせこの後予定なんて何もないでしょ、だからせっかくなので私と放課後デートしましょうよ」
俺に予定がないと勝手に決めつけるなよ。まあ、実際にその通りではあるけど。
「そう言えば今日の放課後潤は私と放課後デートする予定が入っていたような」
「先輩どういう事ですか……?」
「玲奈はさらっと嘘をつくな。てか、叶瀬も簡単に信じるなよ」
やっと放課後になったというのにここ数分間のやり取りだけで無駄に疲れさせられた。
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