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第1章
第4話 共犯ってことで良くない?
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「…な、何のことだかさっぱり分からないが…」
そもそも、お前たちバカップルのセックスに興奮したんじゃない。俺は元から興奮していたんだ!
「なんか物音がするなーと思って、ユイを先に帰して待ち伏せしてたんだよね。そうしたら委員長が出てきて驚いたんだけど…。その後エロい喘ぎ声が聞こえてきて、さらにビックリしちゃって…」
全部見られている。もう言い逃れはできないのか。だが、このまま認めてしまえば、クラス中、いや学校中に俺が変態であることが知れ渡ってしまう。
「…佐野くん。君は女子生徒とこのトイレで性行為をしていた。それは事実で間違いない?」
佐野の行為を咎める方向へ話を持っていこう。俺はあくまで自慰行為をしていただけだ。規則が厳しいこの学校で、同級生と淫らな行為をしていた佐野の方が圧倒的に不利なはずだ。
「もしかして、先生に報告しようとしてる?あ、俺、脅されちゃってる感じ?」
「いや、そういうつもりでは…」
「でもさ、委員長がオナニーしていたこと、俺がみんなに言いふらしたらどうなっちゃうのかな」
「なっっ!」
まずい。不純異性交遊は校則で禁止されているが、自慰行為は問題ないはずだ。だが、バラされたら恥ずかしいのは後者だ。
クラスメイトのたくさんの笑顔が、走馬灯のように蘇る。学級委員長がこんなド変態だと知ったら、みんなは俺から離れていくだろう。
「そんなに難しい顔しないでよ。簡単で良い方法があるよ」
「え…?」
「共犯、ってことで良くない?」
佐野はそう言うと、俺の頬に手を当て、そのまま俺の口を塞ぐように自身の唇を乗せてきた。
「んっっ……!」
心臓が飛び跳ねたかと思うと、全身が一気に熱くなり、いく筋もの汗が背中を流れた。今まで感じたことがない高揚感とともに、脳震盪のような立ちくらみが起こった。
足が言うことを聞かない。立っていることができず、その場に崩れ落ちる。
「はあ…はあ…はあ…な、なんで急にこんなことっ…」
佐野の顔を見上げると、驚きと焦りが入り混じった表情をしていた。先ほどまでの余裕が全く感じられない。
佐野の表情は恐ろしくもあり、美しかった。だが、見惚れている時間は数秒もなかった。
「えっ!!!」
いきなり佐野に腕を掴まれ、近くの多目的室に引き摺り込まれた。突然の行動と凄まじい力で全く抵抗できず、俺の身体は持ち上げられ、近くの机に押し倒された。
佐野の思うがままに俺の身体は踊らされる。自身の身体に全く力が入らず、声も出ない。何かがおかしい。
またも佐野の唇が覆い被さったかと思うと、互いの舌先が絡み合った。
「あっ…んっっはぁっあんっ」
多目的室にクチュクチュといやらしい音が響き渡る。唇が離れたかと思うと、互いの唾液が糸のように引き合い、また互いの唇を引き寄せる。
相変わらず身体に力が入らず、佐野にされるがままだ。だが、得体の知れない恍惚感が俺の芯まで支配している。
(気持ちいい…)
キスとは、こんなにも気持ちが良いものだったのか。自慰行為では感じることのできない気持ち良さだ。
遠くの方で、昼休みの終わりを知らせるチャイムが聞こえるが、互いの唇は離れなかった。
そもそも、お前たちバカップルのセックスに興奮したんじゃない。俺は元から興奮していたんだ!
「なんか物音がするなーと思って、ユイを先に帰して待ち伏せしてたんだよね。そうしたら委員長が出てきて驚いたんだけど…。その後エロい喘ぎ声が聞こえてきて、さらにビックリしちゃって…」
全部見られている。もう言い逃れはできないのか。だが、このまま認めてしまえば、クラス中、いや学校中に俺が変態であることが知れ渡ってしまう。
「…佐野くん。君は女子生徒とこのトイレで性行為をしていた。それは事実で間違いない?」
佐野の行為を咎める方向へ話を持っていこう。俺はあくまで自慰行為をしていただけだ。規則が厳しいこの学校で、同級生と淫らな行為をしていた佐野の方が圧倒的に不利なはずだ。
「もしかして、先生に報告しようとしてる?あ、俺、脅されちゃってる感じ?」
「いや、そういうつもりでは…」
「でもさ、委員長がオナニーしていたこと、俺がみんなに言いふらしたらどうなっちゃうのかな」
「なっっ!」
まずい。不純異性交遊は校則で禁止されているが、自慰行為は問題ないはずだ。だが、バラされたら恥ずかしいのは後者だ。
クラスメイトのたくさんの笑顔が、走馬灯のように蘇る。学級委員長がこんなド変態だと知ったら、みんなは俺から離れていくだろう。
「そんなに難しい顔しないでよ。簡単で良い方法があるよ」
「え…?」
「共犯、ってことで良くない?」
佐野はそう言うと、俺の頬に手を当て、そのまま俺の口を塞ぐように自身の唇を乗せてきた。
「んっっ……!」
心臓が飛び跳ねたかと思うと、全身が一気に熱くなり、いく筋もの汗が背中を流れた。今まで感じたことがない高揚感とともに、脳震盪のような立ちくらみが起こった。
足が言うことを聞かない。立っていることができず、その場に崩れ落ちる。
「はあ…はあ…はあ…な、なんで急にこんなことっ…」
佐野の顔を見上げると、驚きと焦りが入り混じった表情をしていた。先ほどまでの余裕が全く感じられない。
佐野の表情は恐ろしくもあり、美しかった。だが、見惚れている時間は数秒もなかった。
「えっ!!!」
いきなり佐野に腕を掴まれ、近くの多目的室に引き摺り込まれた。突然の行動と凄まじい力で全く抵抗できず、俺の身体は持ち上げられ、近くの机に押し倒された。
佐野の思うがままに俺の身体は踊らされる。自身の身体に全く力が入らず、声も出ない。何かがおかしい。
またも佐野の唇が覆い被さったかと思うと、互いの舌先が絡み合った。
「あっ…んっっはぁっあんっ」
多目的室にクチュクチュといやらしい音が響き渡る。唇が離れたかと思うと、互いの唾液が糸のように引き合い、また互いの唇を引き寄せる。
相変わらず身体に力が入らず、佐野にされるがままだ。だが、得体の知れない恍惚感が俺の芯まで支配している。
(気持ちいい…)
キスとは、こんなにも気持ちが良いものだったのか。自慰行為では感じることのできない気持ち良さだ。
遠くの方で、昼休みの終わりを知らせるチャイムが聞こえるが、互いの唇は離れなかった。
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