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第十章 対抗戦 予選
第91話 チュートリアル:仕掛け人
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『チュートリアル:対抗戦で良い成績を残そう! バトルロワイアル編』
「……え、なにここ」
転移ゲートを通ると、そこは森林とか闘技場じゃなく、薄暗い建物の中であろう場所だった。
前を見ても、後ろを見ても、薄暗い通路が伸びてるだけ。床を見ると黄色の線が中央に伸びていて、中学校の廊下を思い出した。でもここは学校じゃない。それはわかる。
「はえ~」
右には部屋へ入るドア、左には窓があるけど草木がある中庭っぽい感じ。月は無いのに外も薄暗い。こりゃやってんね。
「どういう技術だよ……ん?」
部屋の扉が開かない。取手は掴めるのに……。アレか、ゲームでよくある入れない家みたいな。入れないけどただ家ありますよーって感じの。あ、そう。
「開かないならとりあえず殴ってみるかぁ」
拳を作って殴ろうとしたけど、寸でで止めた。阿久津先生に、むやみにエフェクトを破壊するなと釘を刺されたからだ。
「超技術でも、壊れたらお終いだもんなぁ」
行く当てもなく前を歩いていく。
この薄暗くて目に悪いステージ。転移先は一人きりになるとは予想してたけど、歩けども人に合わない。
「瀬那たち大丈夫かなぁ」
リストバンドを見るとまだ二人とも生き残ってるから大丈夫なんだろうけど、ここって客観的に見れば夜中の学校見たいで恐怖体験できそうなんだよなぁ。
ほら、瀬那って怖いの苦手の部類だからさ、心配なんだよ。
俺って怖がること無いからさ、身近な人を人一倍心配しようと心がけて……。
「……怖がることは無いか」
この薄暗い建物。興味本位で見た実物の建物を改装したお化け屋敷みたいだ。ポテチ喰いながら見てた時に、ふと、怖がらせる仕掛け人は楽しいだろうなぁと思った。
「それを確めるチャンスじゃないのか今!」
耳障りな嫌な音をだしたり、唸り声をだしたり、怖い格好で徘徊したりして……!
それに今はバトルロワイアルだから実際に襲っても大丈夫なのがみそだ。
男子のガチの悲鳴や、女子の金切り声の悲鳴。臨場感ハンパねぇだろうなぁ!
そう思うとなんかワクワクしてくる!
「そう決まれば……!」
次元ポケットを目の前に開き、何かイイ感じのものが無いか物色してみる。もう何を入ってるか全然把握してない。取り出てくるものは中身が入った小銭入れや緊急用の乾パン、水が入ったペットボトルとか。
「これは……」
緊急用のテ○ガも入れてたみたいだ。エッグタイプ。緊急用のオ○ホとか意味不明過ぎて入れた頃の俺をぶん殴りたくなる。まぁ次元ポケット手に入れて舞い上がってたのは確実だ。
「これは……」
十八歳になってから使用すると心に決めたモノも出てきた。ちなみに小分けされてる。
気を取り直して再度漁って見ると、ヒョイと手に取ったのはメタリックな仮面。固定用のベルト付きで、仮面の表情も変幻自在なコスプレ仮面だ。
「いいのあんじゃん」
ハロウィンの時にツヤコさんが作った高クオリティなジャック・オーの仮面。予備で作ってて俺が預かってたのを思い出した。
そんな事を思っていると、右の角から誰かが歩いて来る音がした。
次元ポケットを閉じ、姿勢を低くしていつでも攻撃できる姿勢で構えていると、姿を現したのは――
「あれ、月野じゃん」
「萌か」
月野はガントレットを装備して警戒していたようだ。まぁ当然か。
「開始から十分そこらだが、無事の様だな」
「月野が最初のエンカウントだ。この建物めっちゃ広いかもな」
「実は階段を上がって来たんだが、マッピングスキルを見る限り広いであってるぞ」
「ふーん」
マッピングスキル? 有用なスキルで重宝されるやつじゃん。そんなスキル持ってたんだな。
「一つ聞くが、その手に持ってるのは?」
「ジャック・オーの仮面」
「……だれ」
「ジャック・オー。ギルティギア知らない? ソルの嫁だろうが」
「いやしらない……」
これだから陽キャは話が通じない。主人公のソルが葛藤したあげく彼女倒して、あの男が擬の彼女を創造して生まれた存在だぞ。その後のソルとジャック・オーの関係は良好で、完全にあの男のオ○ニーが成立したかたちだ。
いいぞもっとやれ。
「よっと」
とりあえず被って見た。
「どう?」
「どうって……、目が光るんだな」
「しかも目の形も自由自在だ」
巨匠ツヤコ氏。間違いなく天才だ。
「この仮面付けた俺が武器持って走ってきたら怖い?」
「武器持って迫る奴がいれば誰だって怖いだろ」
「……確かにそうかも」
なんかもう一つパンチが欲しいんだよなぁ。……分けわからん言葉話してたら怖いかな? 例えばそう、気持ちよすぎるで更に有名になってしまったFF10の造語、アルベド語とか。
「ユチオラン、ヨンシヒマ(月野さん、こんにちは)」
「……? 何を言ってるんだ」
「モキヨエベミヨフ(よしこれでいこう)」
月野の戸惑った顔を見て確かな感触を感じた。
怪しく光るジャック・オーの仮面に造語のアルベド語。それを叫びながらオーラの武器を振り回したらほら出来上がり、俺は仕掛け人だ。
ちなみになんで俺がアルベド語を話せるかと言うと、一時期俺にも痛い時期がありまして、それでハイラル文字を少々とアルベド語を少々かじってましたはい。
「っセヨソベミっセルウカ! (ってことでいってくるわ)」
「あ、萌!」
善は急げで月野を翻して廊下を走る。オーラ剣を出して剣先で床に跡を残して奔走。
進めども進めども同じような薄暗い光景。通り過ぎた階段に戻って上がり、勢いよくジャンプ。階段の踊り場に着地。それをもう一回した先の角で、気配を感じた。
「やっと味方と合流したあ~。よかったよ敵じゃなくて~」
「ここって本当に気持ち悪い場所だよね……」
フムフム。どうやら今しがた合流した様子だな。さて、どうやって驚かそうかなぁ♪
「僕の後ろに居て。ぜったいに君を守るよ」
「え、じゃ、じゃあ甘えようかなぁなんて……」
は? なんだあいつ。モブな顔していっちょ前に吊り橋効果狙ってんじゃねーよ! (僻み妬み)
「その、怖いからさ、手、握っていい……?」
「ッ! もちろんさ!」
は? なんだあいつ。モブ顔なのにいい声してんじゃねーか。しかもチャッカリ手まで握ってイチャコラか? 握ってほしいのはち○ぽなんだよなぁって思ってんだろ! なんてスケベな野郎だ!←
そんなことは許さん!
「アマンキンベコオアンダネタダっセ(下半身でもの考えやがって)」
そう言いながら仮面の目を怪しく光らせ、角からゆっくりと出る。
「――ッヒ!!」
「な!? なんだお前!!」
俺の登場で剣を構える男子。女子は怯えて後ろに隠れている。狙い通りだ。
俺はゆっくり近づく。
「セィーガオ(テ○ーダの)……」
「く、来るな!」
「来ないで!!」
闇夜に浮かぶ仮面を揺らして。
「ヒンピ(ち○ぽ)……」
「来たら攻撃するぞ!!」
「嫌だぁ。ヤダヤダぁ!」
オーラ剣で床を引き摺り脅して。
一瞬立ち止まって、そして。
「チコヒモヌジガノォオオオオオオオォォ(気持ちよすぎだろぉおおおおおおおぉぉ)!!!!」
「きゃああああああああああああ――」
猛ダッシュで一気に距離を詰める。男子は剣を構えて俺を迎撃する気だが、後ろの女子は猛スピードで逃げていった。
俺は当然苦戦する事も無く、男子に一閃。
「うぎゃああああああああ――――」
彼は退場した。リストバンドから彼の名前が消える。
「……」
正直、仕掛け人ってめっちゃ楽しいと実感したけど、何だろう、素直に喜べない……。
勇気を出して守ると伝えた女子に真っ先に逃げられるとか、いい声の彼が可哀そうに思えた。
「……美声モブくん、グットラック」
俺はそっと、彼にエールを送った。
「……え、なにここ」
転移ゲートを通ると、そこは森林とか闘技場じゃなく、薄暗い建物の中であろう場所だった。
前を見ても、後ろを見ても、薄暗い通路が伸びてるだけ。床を見ると黄色の線が中央に伸びていて、中学校の廊下を思い出した。でもここは学校じゃない。それはわかる。
「はえ~」
右には部屋へ入るドア、左には窓があるけど草木がある中庭っぽい感じ。月は無いのに外も薄暗い。こりゃやってんね。
「どういう技術だよ……ん?」
部屋の扉が開かない。取手は掴めるのに……。アレか、ゲームでよくある入れない家みたいな。入れないけどただ家ありますよーって感じの。あ、そう。
「開かないならとりあえず殴ってみるかぁ」
拳を作って殴ろうとしたけど、寸でで止めた。阿久津先生に、むやみにエフェクトを破壊するなと釘を刺されたからだ。
「超技術でも、壊れたらお終いだもんなぁ」
行く当てもなく前を歩いていく。
この薄暗くて目に悪いステージ。転移先は一人きりになるとは予想してたけど、歩けども人に合わない。
「瀬那たち大丈夫かなぁ」
リストバンドを見るとまだ二人とも生き残ってるから大丈夫なんだろうけど、ここって客観的に見れば夜中の学校見たいで恐怖体験できそうなんだよなぁ。
ほら、瀬那って怖いの苦手の部類だからさ、心配なんだよ。
俺って怖がること無いからさ、身近な人を人一倍心配しようと心がけて……。
「……怖がることは無いか」
この薄暗い建物。興味本位で見た実物の建物を改装したお化け屋敷みたいだ。ポテチ喰いながら見てた時に、ふと、怖がらせる仕掛け人は楽しいだろうなぁと思った。
「それを確めるチャンスじゃないのか今!」
耳障りな嫌な音をだしたり、唸り声をだしたり、怖い格好で徘徊したりして……!
それに今はバトルロワイアルだから実際に襲っても大丈夫なのがみそだ。
男子のガチの悲鳴や、女子の金切り声の悲鳴。臨場感ハンパねぇだろうなぁ!
そう思うとなんかワクワクしてくる!
「そう決まれば……!」
次元ポケットを目の前に開き、何かイイ感じのものが無いか物色してみる。もう何を入ってるか全然把握してない。取り出てくるものは中身が入った小銭入れや緊急用の乾パン、水が入ったペットボトルとか。
「これは……」
緊急用のテ○ガも入れてたみたいだ。エッグタイプ。緊急用のオ○ホとか意味不明過ぎて入れた頃の俺をぶん殴りたくなる。まぁ次元ポケット手に入れて舞い上がってたのは確実だ。
「これは……」
十八歳になってから使用すると心に決めたモノも出てきた。ちなみに小分けされてる。
気を取り直して再度漁って見ると、ヒョイと手に取ったのはメタリックな仮面。固定用のベルト付きで、仮面の表情も変幻自在なコスプレ仮面だ。
「いいのあんじゃん」
ハロウィンの時にツヤコさんが作った高クオリティなジャック・オーの仮面。予備で作ってて俺が預かってたのを思い出した。
そんな事を思っていると、右の角から誰かが歩いて来る音がした。
次元ポケットを閉じ、姿勢を低くしていつでも攻撃できる姿勢で構えていると、姿を現したのは――
「あれ、月野じゃん」
「萌か」
月野はガントレットを装備して警戒していたようだ。まぁ当然か。
「開始から十分そこらだが、無事の様だな」
「月野が最初のエンカウントだ。この建物めっちゃ広いかもな」
「実は階段を上がって来たんだが、マッピングスキルを見る限り広いであってるぞ」
「ふーん」
マッピングスキル? 有用なスキルで重宝されるやつじゃん。そんなスキル持ってたんだな。
「一つ聞くが、その手に持ってるのは?」
「ジャック・オーの仮面」
「……だれ」
「ジャック・オー。ギルティギア知らない? ソルの嫁だろうが」
「いやしらない……」
これだから陽キャは話が通じない。主人公のソルが葛藤したあげく彼女倒して、あの男が擬の彼女を創造して生まれた存在だぞ。その後のソルとジャック・オーの関係は良好で、完全にあの男のオ○ニーが成立したかたちだ。
いいぞもっとやれ。
「よっと」
とりあえず被って見た。
「どう?」
「どうって……、目が光るんだな」
「しかも目の形も自由自在だ」
巨匠ツヤコ氏。間違いなく天才だ。
「この仮面付けた俺が武器持って走ってきたら怖い?」
「武器持って迫る奴がいれば誰だって怖いだろ」
「……確かにそうかも」
なんかもう一つパンチが欲しいんだよなぁ。……分けわからん言葉話してたら怖いかな? 例えばそう、気持ちよすぎるで更に有名になってしまったFF10の造語、アルベド語とか。
「ユチオラン、ヨンシヒマ(月野さん、こんにちは)」
「……? 何を言ってるんだ」
「モキヨエベミヨフ(よしこれでいこう)」
月野の戸惑った顔を見て確かな感触を感じた。
怪しく光るジャック・オーの仮面に造語のアルベド語。それを叫びながらオーラの武器を振り回したらほら出来上がり、俺は仕掛け人だ。
ちなみになんで俺がアルベド語を話せるかと言うと、一時期俺にも痛い時期がありまして、それでハイラル文字を少々とアルベド語を少々かじってましたはい。
「っセヨソベミっセルウカ! (ってことでいってくるわ)」
「あ、萌!」
善は急げで月野を翻して廊下を走る。オーラ剣を出して剣先で床に跡を残して奔走。
進めども進めども同じような薄暗い光景。通り過ぎた階段に戻って上がり、勢いよくジャンプ。階段の踊り場に着地。それをもう一回した先の角で、気配を感じた。
「やっと味方と合流したあ~。よかったよ敵じゃなくて~」
「ここって本当に気持ち悪い場所だよね……」
フムフム。どうやら今しがた合流した様子だな。さて、どうやって驚かそうかなぁ♪
「僕の後ろに居て。ぜったいに君を守るよ」
「え、じゃ、じゃあ甘えようかなぁなんて……」
は? なんだあいつ。モブな顔していっちょ前に吊り橋効果狙ってんじゃねーよ! (僻み妬み)
「その、怖いからさ、手、握っていい……?」
「ッ! もちろんさ!」
は? なんだあいつ。モブ顔なのにいい声してんじゃねーか。しかもチャッカリ手まで握ってイチャコラか? 握ってほしいのはち○ぽなんだよなぁって思ってんだろ! なんてスケベな野郎だ!←
そんなことは許さん!
「アマンキンベコオアンダネタダっセ(下半身でもの考えやがって)」
そう言いながら仮面の目を怪しく光らせ、角からゆっくりと出る。
「――ッヒ!!」
「な!? なんだお前!!」
俺の登場で剣を構える男子。女子は怯えて後ろに隠れている。狙い通りだ。
俺はゆっくり近づく。
「セィーガオ(テ○ーダの)……」
「く、来るな!」
「来ないで!!」
闇夜に浮かぶ仮面を揺らして。
「ヒンピ(ち○ぽ)……」
「来たら攻撃するぞ!!」
「嫌だぁ。ヤダヤダぁ!」
オーラ剣で床を引き摺り脅して。
一瞬立ち止まって、そして。
「チコヒモヌジガノォオオオオオオオォォ(気持ちよすぎだろぉおおおおおおおぉぉ)!!!!」
「きゃああああああああああああ――」
猛ダッシュで一気に距離を詰める。男子は剣を構えて俺を迎撃する気だが、後ろの女子は猛スピードで逃げていった。
俺は当然苦戦する事も無く、男子に一閃。
「うぎゃああああああああ――――」
彼は退場した。リストバンドから彼の名前が消える。
「……」
正直、仕掛け人ってめっちゃ楽しいと実感したけど、何だろう、素直に喜べない……。
勇気を出して守ると伝えた女子に真っ先に逃げられるとか、いい声の彼が可哀そうに思えた。
「……美声モブくん、グットラック」
俺はそっと、彼にエールを送った。
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