スキル盗んで何が悪い!

大都督

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第98話 姉の思い。

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 私の名はヘキドナ。
 良くも悪くも、この街で冒険者を妹達と続けている。
 妹と言っても血の繋がりなんかない。それでも私に取っては繋がりは死んじまった母親以上さ。
 血の繋がりと言えば、数日前に愚妹がひょっこりと帰ってきたことかね。
 それも情けない話。今となっては下らない言い合いであいつは出ていくように冒険者の依頼を受け、そのまま数年。
 全く、帰ってきたときには、出ていった時の勢いは何処に落としたのやら。
 最後の肉親も亡骸として帰ってきやがったよ……。
 あいつが着けていたアイアンランクの冒険者カード。
 それと、私が送った髪飾り……。
 もうボロボロに、自身が少しでも力を入れようなら壊れちまう様な形見になっちまった。
 本当に、なんの値打ちも無いしけた物さ……。

 彼女はそっとそれを大事に小さな入れ物に入れ、ベットと壁の隙間に押し込む様に入れる。 

「ふ~。疲れた……。あの兎め、本気で殴りやがって……っツ! ああもうっ! 酒でも飲んで消毒するかね!」

 大会に参加するヘキドナにも選手用の部屋を割り当てられていた。だが、彼女は試合後、治療が終わるやいなや、その部屋を覗くこともなく、自身の家へと帰っていた。

「んっ……んっ……。ふ~……。坊やには感謝しないとね……。あんた達も坊やに礼を言っときなよ……」

 ヘキドナは壁にかけられた3つのアイアンランクのギルドカード、それを見ながら前に置かれたテーブルの上にと、並々と酒を入れた後コップをことりと置く。

「明日もか……。だるい……。面倒い……。眠い……」

 試合の疲れもあったせいか、ヘキドナは一杯の酒を飲んだだけと言うのに、自身のまぶたが落ちていく感じと意識をゆっくりと眠りへと落としていく。

「すっ……ふぅ……」

 薄っすらと聞こえる外の音。
 ヘキドナはそれも気にすることなく眠りにつく……。
 
 ことはできなかった。

「アネさんアネさん! アーネーさーーーん!!」

「こらっ、シュー、姉さんに報告はアタイがするっての!」

 バタバタと部屋へと入ってくるのは、妹のマネとシューとエクレア。三人はエクレアが大会が用意した部屋には戻らないと知っていたかの様にいつものように帰ってきた。

「ちょっと二人とも、押さないでよ! キャッ!」

「シシシッ。エクレア何してるし。そんなお尻を突き出して転んだら危ないシ」

「ほら、大丈夫かい。全く足腰が弱いね。アタイを見習いな! フンッ!」

 マネは前かがみになり、そのまま地面に倒れたエクレアの腰のベルトに手を当て、それをぐっと引き寄せる。

「あいたたた。二人が押すからでしょ! もー、あっ。見てよ! 擦りむいちゃったじゃない! はい、乙女を傷つけた賠償を二人に要求しまーす!」

「誰が乙女だっての! そんなもんはツバつけとけば治るっての。ほれ、腕をこっちにかしな。アタイがつけてやる。ぺっ! ペッ!」

「シシシッ。マネはそれで確かに傷を治してるシ。エクレア、やってもらえば」

「キャー! 止めて、汚い! そんなことしたら悪化するわよ!」

「ガーンだっての!」

「まぁ、そうだよね。あれ? アネさん、寝てなくて大丈夫だシ?」

 部屋に入ってくるなり、三人の喋り声に寝ている身体を起こしていたヘキドナ。

「……ああ。今起きた」

「そうかだシ。アネさんアネさん! 聞いてだシ!」

 シューはヘキドナの寝ているベットに、その小さな身体をダイブさせる。

「ああ、解った。解ったから毛布に乗るな。あんた小さくても重いんだからさ」

「ガーンだシ!」

 ヘキドナは寝ているところを三人の騒がしい話し声に叩き起こされ、彼女の眠気も消えてしまったのでベットからおりてはテーブルへとつく。
 それでも椅子に座ってもまだ頭はぼーっとするためか、口を開こうとしないヘキドナ。
 そんな彼女を見てはシューが心配そうに声をかける。

「……はぁ」

「アネさん、やっぱりまだ疲れてる?」

「いや……。まぁ、少しはね……」
 
 その返事に、マネが姉のためと提案を出す。

「んー。姉さん、でしたら風呂に行きませんか?」

「良いわね! 今なら臨時の大浴場が開放されてるし。行きましょうよリーダー」

「風呂か……」

「アネさんの背中はウチが流すシ!」

 寝起きに身体を動かすのもだるい。だが、彼女も女性。身なりが汚れて気にしないという事は無い。

「姉さん、それに風呂上がりにエールってのも美味いもんですよ!」

 自身のためにと色々と提案してくれる妹達を見て唇の端を上げては笑うヘキドナ。
 彼女はぐっと身体に力を入れ、椅子から立ち上がる。

「……よし、行こうじゃないか」

「「「行こうー!」」」

「じゃ、早速。姉さん行きますよ!」

「ちょっ!? マネ、何のつもりだい!?」

 マネはヘキドナを前から担いでは、自身の肩にヘキドナを抱える状態にする。
 突然自身を抱えたマネに怒気を込めた言葉を飛ばすが、マネは姉の為になると思っているのか、それとも担いでるせいでヘキドナの少々怖顔が見えてない為に気づいていないのか、ヘキドナをおろそうともしない。

「えっ? 姉さんは試合でお疲れでしょ。ですから、アタイが姉さんをこうやって背負って行きますよ」

「はっ!? 莫迦、何をいきなり、マネ止めな!?」

「はははは。大丈夫ですよ! 姉さんが重くても気にしませんから」

「誰が重いって!」

「それ行くシ!」

「「行くぞー!!」」

「あんたら、止めな!」

 そのままの格好にヘキドナはマネに担がれたまま、大浴場のある広間まで運ばれて行くことになった。
 
「ふー。到着です。姉さん、さっきからアタイの背中が痛いんですけどね」

「莫迦野郎! ここまで来るのに、めっちゃ見られて赤っ恥だよ!」

 ヘキドナはマネを止めるためと、マネの背中をバシバシと叩いては下ろすことを促すが、彼女は全くそれ程効いていないのか、気にもせず、ヘキドナを背負ったまま街中を走り続けていた。

「姉さん、注目の的ですね!」

「莫迦、意味が違うわ! ……はぁ。もう帰りたい……」

 やっと地面に降ろされるヘキドナ。
 いつもなら自身の一喝で大人しくなるマネが何か変だと思いつつも、それでもここまで来るまでに何人もの人に見られた事に赤っ恥に頭を抱える彼女だった。

「えっ!? 帰るんですか。折角来たのに」

「リーダー、とりあえずここまで来たなら、もう入って汚れと疲れ取っちゃいましょう」

「ああ……。もう、ザッと流す程度でいいや……」

 武道大会イベント時期、限定として開放される大浴場。男女共に広い浴場であり、流される湯は大量の魔石を使用しては常に綺麗な状態を維持している。
 大会期間中は24時間何時でも入れる浴場である。
 だが、維持費がとてもかかる物だけに、イベント、記念式、収穫祭等の行事事だけしか開放されない為に、めったに風呂と言う物が入れない庶民にはこの大浴場もある意味、特別なイベントなのかもしれない。
 円形の形を作り、入り口には入浴中の人々の物を盗みを防止するためと、警備の人で固められている。
 と言っても、警備するのは冒険者や近くの住民が協力しあってのことである。
 ここにはお忍びで来る変わり者の貴族以外は来ることの無い庶民用だろう。
 垢すりを売りとする者、マッサージをする者、飲み物を売る者、ここもまさに商売の場である。
 ちなみに、入場料は子供銅貨一枚、大人銅貨三枚と破格の値段。
 これが可能とするのも武道大会での賭け金が補っているからこそだろう。
 ヘキドナ達は入り口で4人分の銅貨を渡して中へと入る。
 お湯の匂いに少しワクワクしながら女風呂の方へと足をすすめた。

 女湯に入れば、そこは既に多くの人と脱衣所は賑わっている。
 子供をここぞと洗ってしまおうと連れてくる母親、警備の任務が終わって身を守る鎧を脱ぎ、豊満な胸をあらわにする女性冒険者、友達同士と一緒に来たのだろうと思われる少女達。
 若者からご年配まで、また、他種族も入れる湯があると言うことで、人族以外もチラホラと視線に入る。
 周囲の視線を集める程のスレンダーなスタイルなエルフ、一瞬男かと見間違える程の体格の良い鬼族、子供のように裸姿で足元を通り抜けるドワーフ族。
 今のヘキドナにはあまり視線に入れたくはないが兎人族も勿論いる。

 ヘキドナ達も自身の衣服を脱ぎ始める。
 傷は治ってもまだ疲れがあるのか、ヘキドナは自身の服を脱ぐも少し気だるさを感じていた。
 
「あっ、リーダー。身体拭く用の布は大きめと小さめ、両方を一枚づつでいいですか?」

「ああ、そうだね」

「アネさんアネさん! 風呂場で使う分の石鹸がタダで置いてるシ!」

「ああ、そうだね」

「姉さん、どうぞエールです」

「ああ、これは早いわ……。ってか、酒を浴場に持ち込むんじゃないよ」

「はーい。ゴクッ……ゴクッ!」

 エクレアから布を受け取り、エールを飲むマネを放っといて浴槽へと移動。
 浴槽へと入ると大きく作られた湯槽が4ヶ所ほど作られ、人が多くとも十分に手足を伸ばせる程のスペースはある程の広さがあった。
 高く作られた天井は円柱形に、湯にて垂れる雫を壁に逃がす造りと職人のこだわりが見える気がする。
 シューの驚く声が浴槽を響かせ、周囲の視線がチラホラと集まり少し恥をかく。
 
「うわー! アネさん、前より広くなってるシ!」

「本当だね。何だか少しづつ広くなってないかいこの浴場?」

「なんかこの大浴場も結構有名になってきたみたいで、領主様がここもドンドン人を入れたがってるみたいですよ。もっと有名になれば毎日ここ使えますね!」

「毎日風呂は面倒いっての。さー、姉さんを応援して汗かいたしお湯へ~」

「「待てい!!」」

 マネが布を肩にかけては浴槽へと向かうのを押し止めるシューとエクレア。 

「およっ? なんだい、二人してそんな怖い顔して」

「マネ、あんたそんな汚い身体でお湯に入ろうっての!? 止めてよね! 折角のお風呂を汚水にする気!?」

「そうだシ! 湯船に入る前は、ちゃんと身体洗ってから風呂に入るシ!」

「なんだよ細かいね~。そんな気にすることないっての……!?」

 細かいことは気にするなと、浴槽の中で身体を洗うつもりだったのか、二人の言葉をマネは笑い飛ばすが、そんなマネを止める人物がギロリと怖い視線を送ってきた。

「マネ……洗な。それとも私が洗ってやろうか……」

「はっ、はい……洗います……」

「ふんっ……」

 風呂場の汚れを落とすブラシを手にして怖い笑顔を向けるヘキドナ。
 そんな彼女の視線を受けては、マネは大人しくするしかなかった。

 体を洗う場所に行くと、日銭稼ぎとシュー程の背丈の子供達が背中流しの商売をしている。
 子供のお小遣い程度の銅貨を渡し、細かい所は自身でやるとして、4人は汗などの背中の汚れを落としてもらった。
 折角無料で置かれた石鹸を使おうと、頭から指先まで全身を洗い出すマネとシュー。
 飛び散る泡に鬱陶しく思いながらも、自身も身体を泡で包み込むヘキドナ。
 エクレアは何やら丁寧に自身の腕や胸、足の先までを細かいところまで洗っていく。
 女のヘキドナから見ても、エクレアはその辺の男が放っておかないと思うほどにいい女だと思う。
 まぁ、その反対に横で泡で遊んでいる二人をみては、男には縁がなさそうにも思えてくる。

「「「ふ~。いい湯だね~」」」

「……ふっ」

「ねえ、リーダーにいつ話すの……?」

「ここで話すことでもねえっての……」

「シシシッ。アネさんきっと驚くシ」

「なら、帰ってから報告でいいね」

「おうっ」

「解ったシ」

 三人の報告と言うのは賭けにて得た金のことである。
 ヘキドナに賭けた分は三人で分けるとしても、ヘキドナが自身の金でミツに賭けた分をまだ見せてもいないのだ。
 賭けた金以上の金をヘキドナが目のあたりにする際、どの様なリアクションをするのか三人は少し楽しみだった。

「……すっ……」

「んっ。ありゃ? ネエさん寝てるシ」

「早っ! ちょっと大丈夫なの?」

「少し寝かせてやんな。アタイ達の分も大会頑張ってくれてんだからよ……」

 疲れきった姉の顔を見ては、マネは自身が不甲斐ない思いと、申し訳ないと胸を痛めてしまう。
 そう思うのは彼女だけではない。

「ぐぬぬっ……」

「どうしたのよシュー?」

「ウチが出場できてれば、アネさんの負担も減らせたのに……」

「あ~。お前さんは初戦と、早々と対戦相手に捕まっては場外負けしてたしな~」

「相手が悪かっただけだシ! そういうマネも、二回戦で負けてるシ!」

「ぐぬぬ……。いや、鬼族は流石にアタイでも力では分が悪いよ」

「確か、えーっと、ライムだっけ? マネに勝った選手」

「ああ……。強え相手だった……。それもだ、あれだけの力を持った選手が一回戦であれだけボロボロに負けたっての……。流石獣人族の強者だっての」

「その強者の次の対戦相手がミツだシ……」

「「「……」」」

 三人が思い浮かべたのは、対戦相手のライムを一方的に攻撃を与え、勝利を手にしたバーバリの姿だった。
 頬を伝わりポタリと湯槽に落ちる滴。
 広がる波紋を見ながら、エクレアが重く口を開く。

「あの子。あんな化物と戦ったら死んじゃうんじゃない……?」

「ばっ!? 莫迦、そんなこと言うもんじゃないっての!」

「そうだシ! ミツの強さは予想以上だったシ! エクレアも見たシ!? ってか、エクレアは直接戦ってるんだからミツの強さ知ってて言ってるシ?」

「うっ……。そりゃ、その……」

「そう言えばお前さん、ミツとの戦いで煙の中でどう戦ってたの? あんたの巻き起こした土煙のせいでこっちは全然戦いが観れなかったんだからね!」

「えっ!? いや、その……。それにあの煙りはあの子のせい……」

「えっ? はっきりと言いなっての!」

「うるさいな……。あの子に攻撃仕掛けてたら、いつの間にか私も知らない内に煙の中にいたのよ。そしたら、背後に回られて場外に投げられたの!」

「「……」」

「フンッ!」

 エクレアの説明に顔を見合わせる二人。
 目をつむったままその話を聞いていたのか、ヘキドナがボソリと呟く。

「やっぱり解らない子だね……」

「アネさん、起きてたシ?」

「ああ……。なあ、聞かせておくれよ。大会のあの子の戦いをさ……」

「「「……」」」

「凄かったシ……」

「姉さん、アタイ達から見ても……。その……ミツは普通じゃないっての………」

「正直、準予選の私との戦いでは、あの子、全く本気も出してなかったのは確かですね……」

 重い口を開くように、三人はミツとシャシャの戦いぶりを説明口調とヘキドナへと伝える。

「ボックスから自身よりでかい大剣を出して、それを軽々と扱うか……。坊やには力技で押し切れそうもないね……」

「それに、まさかの攻撃魔法を使うんですよあの子!」

「は~。ダメージを与えても、自分で傷は治しちゃうシ、ボックスに武器を入れとけば、こちらとしては武器に対する対策も難しい。接近戦ではミツは拳技も使うから離れた方がいいシ」

「いや、それだと魔法が来るっての」

「うわ……。考えたら、対戦相手として相当面倒くさい相手ね、あの子……」

「あっ! そう言えばミツ、他にも弓も使うって言ってたシ!」

「げっ! 武器は剣と拳と弓、魔法は攻撃と治療魔法の両方を使えるとか、あの子ズル過ぎでしょ!」

「シシシッ。対戦相手としては面倒くさいけど、ミツがもし仲間なら相当助かるシ!」

「おいおい。何を言ってるんだい。このチームは女で作られたチームだよ。ミツが能力が高くても、ミツは男だからアタイらのチームには入れないよ」

「まあ……。そりゃね……。でも、考えたら……。あの子力はあるから、恐らく数年後はもっと強くなってるだろうし。ボックスも持ってるから金も稼げる……。知らぬ相手にご飯あげるくらい性格はいい、ってかご飯が美味かった……。あれ? あの子、もしかして優良物件!?」

「「「……」」」

「やれやれ……」

「おお! こんな近くに獲物がいただなんて!」

 ザバっと湯槽から立ち上がるエクレア。
 顔にかかった水しぶきを拭っては、マネが呆れ口調に返す。

「獲物って……。流石にそりゃミツに失礼だっての」

「んー。エクレア。多分無理だシ」

「えっ!? 何でよ?」

 茶化す喋り方ではなく、本当にそう思っているシューの口調に驚くエクレア。

「今日、ミツをパーティーに入れる入れないで、ちょっと争いがあったくらいだよ。ほら、換金場近くの爆発、あれだシ」

「ああ~。確かにいきなり爆発が起きてたね。あれってミツが関係してたのかい?」

「うん」

「よし! なら、女の武器を使って……」

 エクレアは自身の身体を指先で流れるように触り、少し前かがみになって揺れる胸を寄せては大きく見せる。
 だが、それを見てもシューの答えは変わらなかった。

「それも多分無理だシ」

「なっ!?」

「その争ってる中の人の中に、エクレアよりおっぱいが大きい女の人が居たシ」

 シューの言っている女性とは、ローゼのパーティーの1人、ミーシャのことであろう。
 あの争い場では、ミーシャの胸部を露出した服装がシューにも印象的に記憶に残っていたのだ。

「はっ! なら、アタイの方がエクレアより胸が大きいから、女の魅力って奴があるってことだね!」

 ザバっと湯槽から立ち上がり、自身の身体を自慢するようにポージングを決めるマネ。
 それを見ては呆れる二人。

「「いや、それは無い」」

「ヒデェ!」

「マネのそれは筋肉だシ……」

「男が喜びそうな胸じゃないよね……」

「あんたら、話がそれてるじゃないか……。そう言えばシュー。私の次の対戦相手の情報はないのかい」

「んー。ごめん、アネさん。アネさんの次の対戦相手はファーマメントって奴だシ。ウチもアネさんの試合が終わって直ぐに相手の情報探しにあっちこっち調べたけど、相手の情報が一つも解かんなかったシ……」 

「何もかい……」

「うん。受付のオヤジにも聞いたけど、当日の受付で参加したとだけしか……」

「何だよ、結局何にも解ってねえじゃねえか」

「マネ、仕方ないよ。流石に出場選手の情報が聞けるのはそこまでっしょ」

「ううっ……」

「あんたがそこ迄気にすることもないさ。取り敢えず、そいつの戦いぶりも教えてくれよ」

 試合でも情報収集でも、姉の役に立てなかった事に落ち込むシュー。
 そんな彼女を見てはヘキドナは落ち込むシューの頭に軽く手をのせては、もう気にするなと言う言葉を告げては話題を変える。
 シューはそんなヘキドナの優しさに頷き、マネとエクレアも自身で見たファーマメントとスリザナの戦いぶりを説明し始めた。
 三人が思い思いと述べる感想に耳を傾け、彼女は目を閉じては次の戦いをどうするかと考えをまとめるヘキドナ。

 暫く三人の話を聞き、暖かな湯に身体を委ねては少しづつと戦いの疲れが抜けていくのを感じるヘキドナだった。

「アネさん、アネさん!」

「んっ……。ああ、また寝ちまったみたいだね……。えっ……」

 ヘキドナが話を聞いていなかったことに、シューがゆさゆさと自身の身体を揺すって、フッと意識を戻させる。
 ゆっくりと目を開けると、シューが素肌の上に前止めの無い服、下半身は布を巻いては顔を近づかせていた。
 よく見るとシューだけではなく、後ろに立つマネとエクレアも同じ格好をしている。


「あんたら、なんだいその格好は……」

 ヘキドナの質問に、二カッと笑顔を向ける三人。

「それではー、只今よりっ! 戦いでお疲れの姉さんを癒やしましょう!」

「「あいよー!」」

「はっ? ちょっと!?」

 大きめの布、バスタオルに似た物で体を隠していつの間にか長椅子に横になっていたヘキドナ。
 そんな彼女の手を無理矢理と取り、エクレアがバサッと布を取り払う。
 咄嗟のことに何だ何だと思いながらもマネは背中を押してくるし、シューは変な筒で音を鳴らしながら声を出していた。

「「ソイヤ! そいや! ソイヤ! そいや!」」

「ドンガどんがドンガどんが!」

「はい、先ずは湯船!」

「はい、湯船いきまーす!」

「うわっ! あんた達何を!」

 周囲の人達の視線も気にしないとバタバタと浴槽に近づく面々。

「「ソイヤ! そいや! ソイヤ! そいや!」」

「ドンガどんがドンガどんが!」

「はい、お座り下さい~」

 浴槽の前に置かれた椅子に座らされ、足を持ち上げられては頭から湯船へとドボンッ!

「ちょっ!? 止めっうわっぷ!」

「はい、続きまして、お背中をお流しします~!」

「はい、こちらへどうぞ~」

「どうぞ~!」

「プハッ! い、いや、背中ならさっき流したっ! 引っ、引っ張るな!」

 浴槽から無理矢理と出されては椅子に座らされる。

「泡、付けまーす!」

「「ソイヤ! そいや! ソイヤ! そいや!」」

「ドンガどんがドンガどんが!」

 いつ用意したのか盥に入った沢山の泡。
 それをマネとエクレア、二人してヘキドナへとぶっかける。

「わぷっ、やめっ…!」

「それでは体、洗いまーす!」

「「ソイヤ! そいや! ソイヤ! そいや! 」」

 マネとエクレア、二人してヘキドナの体に付いた泡を、手にもつ布でペシッペシッっと水音を出しながら体に叩きつける

「痛い! 痛いっ! それ叩いてる!」

「はい、それではお客様湯船へ!」

「ドンガどんがドンガどんが!」

「「ソイヤー!」」

「わっぷっ! あ、あんた達!」

 全身泡状態のヘキドナがまた湯船へとドボンッ!
 そして、また無理矢理と浴槽から出される。

「続きまして、髪、洗いまーす!」

「あいよっ!」

 先程身体を洗った同じ泡を、今度は頭に向かってぶっかける二人。

「「ソイヤ! そいや! ソイヤ! そいや!」」

「ドンガどんがドンガどんが!」

 泡だらけの頭をマネとエクレア、二人が無造作に洗い出す。

「痛たたたた! 痛いって!」

「さー! 最後にもう一回温まってーー!!」

「「「ソイヤー!」」」

「うわぁぁぁあ!」

 また浴槽前に置かれた椅子に座らされ、足を持ち上げられては頭からドボンッ。

 上がるお湯の水柱。 

「あ、あんたら……だから……」

「はい、お客様お帰りです!」

「「「ありがとうございましたー!」」」

「……何だよこれ」

 ガクッと肩を落としては、突然視界が真っ暗になっていくヘキドナ。
 そして、意識を取り戻したかの様に目を覚ます。

「はっ……!」
 
「あっ! マネ、エクレア! ネエさんが気づいたシ!」

「姉さん! 大丈夫ですか!?」

「リーダー、良かった! もう、お湯に浸かったまま寝ちゃうんだから。のぼせちゃったんだよ。本当に心配したんだからね」

「のぼせ……。夢……。……はぁ」

 先程の事は本当に夢なのかと思いながら、ゆっくりと身体を起こすヘキドナ。
 彼女はお風呂に入る前と、疲れた体にアルコールを摂取していたために、湯船でのぼせてしまいそのまま気を失ってしまったのだ。
 いつもなら身体は拭く程度の彼女達、浴槽に入る前にアルコールを摂取すると、身体がのぼせやすくなると言う危険性を知るわけがない。
 まだ頭がフラフラするヘキドナに水を飲ませては、体調が落ち着くまでその場に寝かせることになった。

「なんて夢を見ちまったんだ……」 

「アネさん、大丈夫かシ?」

 ふーっと気持ちを落ち着かせるためにと一息入れるヘキドナ。そんな彼女の顔を覗き込むように心配するシュー。

「ああ。すまないね。もう大丈夫だから帰ろうじゃないか」

「シシシッ。次来たときは、またウチがアネさんの身体洗ってあげるシ!」

「おっ、じゃーアタイは頭でも洗いましょうか!」

「私も手伝いますよー!」

「……いい。自分で洗う……」

「「「ええっ!?」」」

「フッ……」

 私は少し冷たい夜風を感じながらと、騒がしい三人の話し声に耳を傾けては、賑わう街中を歩き帰路につく。
 いつまで続くか解らないこの日々。
 愚妹の様に明日には死んじまうかもしれない生活。
 愚昧を待ち続けていた間捨てていた楽しみを、当たり前のように共に歩くこの妹達と少しでも取り戻せたらと、無意識に出てくる笑いと共に思ってしまった。

 取り敢えず、明日戦う詳細も解らない奴のことを考えるのは止めて、さっきからニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべている三人の話を聞くことにした。

「それで。あんたら、さっきからその笑みはなんだい。変なこと企んでるんじゃないだろうね」

「やだな~リーダー。私達がそんなことするわけ無いじゃない」

「シシシッ。マネ、あんまり黙ってるとネエさんに悪いシ」

「おおうっ! 姉さん、実はですね……」

 マネは部屋の隅に隠していた麻袋を取り出す。
 その中には今日の賭けにて得た金貨が麻袋パンパンに入っていた。
 ヘキドナはそれを見た瞬間、ピクリと眉を動かしては視線を三人へと向ける。
 そして、今日の賭けにてミツが大穴の数値をだしてそれが的中したこと、この袋の中身は全てヘキドナが賭けた分だと伝えられた。

「へえ……あの坊やに賭けた金がね。フッ、たいしたもんだ」

 ヘキドナは麻袋を少し見ただけで、また視線は自身の手のコップへと向けられていた。

「あれ? あんまり驚いて無いシ?」

「リーダー、解ってますか!? リーダーが賭けた金貨7枚、それがこれだけ増えて帰ってきたんですよ!?」

「落ち着きなエクレア。姉さんはアタイらと違って肝っ玉が違うっての」

「マネ、それは女のネエさんに対して全然褒め言葉になってないシ」

「こりゃ失敬」

 ヘキドナはマネのおちゃらけた会話を聞き流すように口を開く。

「いや、私もちゃんと驚いてるよ。ただこの金の金額がね……」

「んっ?」

 ヘキドナの前に置かれた麻袋、その中身が見えたままの金貨を見ては彼女は思ってしまった。
 今まで妹のティファ達を捜索するためにと、依頼をこなしては、稼いだ金のその殆どを捜索依頼のためと金を使ってきた彼女。それが数年後。
 人の探索と言うのはとても難しく、そして討伐依頼よりも金がかかる。それは目に見えた結果ではなく、情報などの目に見えないものにも金の支払い義務が発生してしまう為。
 ヘキドナは3年もの間、間を開けることなく捜索依頼を出し続けていた。口で言うのは簡単だが、生活が別に裕福と言う訳ではない彼女が継続して金を払い続けていたのは、血を飲むほどに苦しく、大変な日々を続けていた彼女自身の努力だろう。
 そして、目の前の金は正に今まで妹の為とギルドに渡してきた金額に近い量があった。
 妹達を見つけてくれたミツへと礼のつもりで賭けた金7枚。それがこんな形で帰ってくるとは。

「全く……。あの子には借りしかできないね……。これじゃ、礼が礼じゃなくなってるじゃないか……」

 ヘキドナがボソリと呟いた言葉がその場の三人に聞こえたのか、それともあえて聞かなかった振りをしたのか。三人は思い思いと、死んでしまったティファ達三人の思い出を思い出し始めていた。
 シューは親に捨てられ、毎日の生活が泥と汚水に体を汚していく日々の中、暖かなスープを差し出してくれたティファの笑みを思い出してはキツめのお酒を飲み干す。
 マネやエクレアも同様。女であるが故に女としての苦しみを味わい続けた日々。そんな中を救ってくれたのが目の前の姉と、その横に薄っすらと見える気がする、優しい笑みが印象的なもう一人の姉の姿。
 彼女達もシュー同様にキツめのお酒を一気に喉へと流し込む。 

「よっしゃー! 姉さんの勝利に祝杯をあげるっての」

「なら私、何かつまめる物作ってきますね~」

「エクレア、折角屋台が出てるシ。つまめる物は屋台で少し贅沢して買っちゃうシ!」

「んー。屋台の食べ物って美味しいけど高いじゃない。それでも? まあ、それならタレ肉とかちょっとした贅沢しちゃおうか?」

「おっ、いいねー! ほらエクレア、ならあたいから資金をくれてやるっての」

 マネは親指で硬貨を弾いては、キーンっと音を出しながらエクレアへと飛ばす。彼女はパシッとそれをキャッチ。

「……銀貨一枚……。って、あんたね、これじゃ串肉5本しか買えないわよ!」

「じゃ~ウチからも」

 シューも親指で硬貨を弾こうとしたが失敗。
 コロコロと転がり足元に転がってきた硬貨を拾うエクレア。

「……銅貨一枚……。何で金額下がるの!? これじゃ茹でた芋2個しか買えんわ!」

 やれやれと呆れながら視線を姉へと向けるエクレア。

「……はいはい」

 彼女も視線に気づいていたのか、目の前に置かれた麻袋から一枚の金貨をエクレアへと弾き飛ばす。

「おっと! 流石リーダー! じゃ、買ってくるねー」

 買い物用として使っている小さめの籠を腕にかけては、エクレアが買い出しへと外へ出る。

「マネ、シュー。二人とも一緒に行ってきな」

「えっ? 買い物くらいエクレア一人で行けるシ?」

 突然の姉の言葉に何故と思うシュー。
 マネはそんなヘキドナの言葉に、二つ返事に了承と席を立つ。

「……。解りました。ほら、シュー、行くっての。エクレアの奴がつまみ食いするかもしれないからね」

「それするの、マネくらいだシ」

 ヘキドナはエクレアを追いかけて席を離れた二人を見送り、テーブルに置かれた金の入った麻袋を手にして一つの部屋の中へと入る。部屋と言っても寝るためのベットと衣類を入れる棚が一つだけと質素な部屋。
 今はもう誰も使っておらず、たまにホコリを掃除するしか入ることのないこの場所。
 ヘキドナは棚のそこに入った大きめの木箱を取り出しては中を開く。そこには土汚れや少し血が付いた銅貨。それと数枚の銀貨が入っていた。
 彼女は手にした麻袋をそのまま中に入れる。
 蓋を占める際、内側に書かれた文字に目を通す。

『ファミリー計画資金』

 これはティファがヘキドナと共に作った貯金箱でもあった。大きくなったら二人で暮らせる家を建てよう。
 それがヘキドナとティファの二人の夢だった。
 そしていつの間にか夢は膨らみ、後にシュー、マネ、エクレアと次々と増えていく家族、その皆が住める家を建てる為の資金を集めることをティファはそれを目的だと呟いていた。
 だが、その夢を達成する前にティファは死んでしまった。ヘキドナは妹と共に夢見たファミリー計画をそのまま引き継ぐことを決め、そしてゆっくりと棚の扉をしめる。
 マネ達が戻ってきた時、その手には渡した金貨分以上の食料や酒を三人は抱えていた。
 どうやら改めて三人で金を出し合って買ったのだろう。明日の試合を考えれば飲みすぎ注意なのだが、スッキリとした今の気分なら美味い酒が飲める気がすると杯を重ね続けていくのだった。

 翌日、大会選手控室にて。

「(眠い……飲みすぎた……)はぁ……」

 ヘキドナは二日酔いの自身の体に鞭を打つ思いと、何とかここまで来たのだが、正直もう帰りたい気持ちに頭痛に悩まされていた。

「はぁ……」

 体調が戻らないと、先程からため息を漏らし続ける彼女に一人の少年が近づいてきた。

「ヘキドナさん、どうされたんですか?」

「んっ……。坊やかい……。いや、ちょっとね……」

 そう言って愛想の悪い返事をしても、少年は気にしないと声をかけ続けてくる。

「体調が悪そうですね? 飲み過ぎですか?」

「うぐっ!? な、何で……」

「ははっ。いや……。顔色や頭を抑えてたのでそうかなっと……。それと以前ご馳走になったお酒の匂いが少しだけしたので」

「んっ!? す、すまない」

 匂いがすると言う言葉に、思わず少年のいる方とは別の方にと顔を背ける。
 別に恥ずかしいと思ってなかったが、未だに自身の中に羞恥心があるとも思っても見なかった。
 
「いえいえ。それよりそのままじゃ辛いでしょ? 回復薬か何かを貰ってきましょうか?」

「ああ。気持ちは嬉しいけど、悪いが今は何も腹に入れたくないんだよ……」

「そうですか……。なら自分が治してもいいですか?」

「治すって……ああ。そうだったね」

 ミツの言葉にボソリと頼むと言葉を告げるヘキドナ。
 彼の手が緑色の暖かな光を一瞬出したと思えば、自身を苦しめていた二日酔いがスッと消えるように無くなっていく。
 頭を軽く振って、頭痛も無くなったことに感謝を述べるヘキドナ。

「助かったよ坊や。でも、悪いね。あんたも試合前だってのに魔力を使わせちまって」

「いえいえ。一回の回復にはそれ程魔力を使いませんから大丈夫ですよ」

「全く、あんたって子は……」

 こんな私にもニコニコと無邪気に笑顔を向けてくれる奴なんてそうも居ないって言うのに。そう思っていると係員の声がその場に響く。
 
「そろそろ始まりますね。ヘキドナさん、体調もそうですけど、絶対に無理はせずに戦ってくださいね」

「んっ……? ああ、別に無理する気も無いさ……」

 ミツの言葉に何かと思いつつ、視線が自身の戦うファーマメントへと向けられていることに気づいては対戦相手へと視線を送る。
 すると相手もこちらに気づいたのか、こちらを見てくる。すると何をするかと思いきやペコリと頭を下げてはその場を離れていってしまった。

「……変わった奴だね」

「ははっ……そ、そうですね……」

 二日目一回戦、錬金術師のステイルとエルフのラララ、二人が係員に呼ばれては闘技場へと出ていく。
 今日の試合は、昨日以上に苦戦もするだろう。
 それは自身だけではなく周りの選手も同様に。
 特に目の前の少年の対戦相手はあのバーバリと言う獣人族。
 自身の試合よりも何故か目の前の少年の試合の方が気になってしまうのは何故だろう。
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