スキル盗んで何が悪い!

大都督

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第29話 三人との出会いを

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 翌朝。
 外はまだ薄暗く、外を歩く商人も少ない。
 洞窟まで距離があるため、教会を早めに出ることを前日から決めていた。

「では、行ってきます」

「行ってくるニャ~」

「二人とも、気をつけるのよ」

 エベラの見送り。
 ミミも起きて来たのだがまだ眠かったのだろう。エベラに抱っこされた状態で少女は眠っている。

「はい」

「ニャ!」

「に~に……。ね~ね……。いってらっしゃい」

「行ってくるニャ。ミミはまだ寝とくニャ」

 ミミの頭を優しく撫でるプルン。
 数回ミミの頭を撫でてるうちに、すーっと寝息が聞こえてきた。

「す~す~」

「もう寝てるね」

 見送るエベラに手を振り、馬車が出る場所に移動する。自分達が帰るのは数日後を予定としている。

「洞窟行きの馬車ってどれかな?」

「朝一の馬車があるはずニャ」

 馬車が集まる広場。
 そこには数台の馬車が並んでいる。
 朝も早いが、多くの商人や冒険者の姿が見れる。

「えーと、アレだニャ」

「ん? あれ」

 プルンが指差した馬車には、既に数人の人が集まっていた。
 馬車の持ち主が大きな立て札を掲げ、馬車の行き先を周りに見える様にしている。
 馬車に近づくと、そこには見覚えのある三人の姿があった。

「あっ!」

「ニャ!? リッコ達ニャ!」

「プルン!」

「ミツも一緒か!?」

「リックさん、リッケさん、どうも」

 この三人は以前自分の初依頼を受けた時、たまたまオーガと出会ってしまった冒険者。
 その場で共にオーガを討伐した三人だ。

「三人とも何方へ?」

「何寝ぼけてんだ。俺達はこの馬車に乗る為にここに居るんだよ」

「なら、ウチ達と一緒ニャ」

 ポンと胸を叩くプルン。

「えっ? プルンさん、この馬車は洞窟行きですよ? ウッドランクは行っても入る事はできませんよ」

 勿論ウッドランクの者がモンスターを討伐しては行けない訳ではない。
 だが、冒険者ランクではウッドランクではモンスターの討伐依頼は受ける事はできない。
 それはまだ未熟な冒険者を危険なモンスターの相手をさせる事は死を近づけるからだ。
 よって、モンスターの討伐はランクアップのブロンズランクからが普通、洞窟もベテランが同行であっても冒険者のウッドランクが洞窟に入る事は禁止されている。

 
 
「あれじゃない? 近くの薬草採取依頼とか受けてるとか」

「にしてもよ。移動のために馬車使ったら依頼報酬貰っても損してるんじゃないか?」

「そうですね? 二人とも何の依頼受けたんですか?」

 三人とも自分達が洞窟へ行くとは思っていないのだろう。
 冒険者ギルドの依頼としてこの馬車に乗ると思っているようだ。

「いや、依頼は受けてませんよ。それに、ちゃんとランクアップしましたから洞窟には二人とも入れると思いますよ」

「そうニャ。もうウチら二人ともウッドランクじゃ無いニャ」

 プルンは首にかけていた冒険者カードを三人に見せた。

「「「……えっ!」」」

「ど、どうしてお前らがブロンズに……」

「な、何で! 二人とも冒険者になったばかりって言ってたじゃない!?」

 プルンが見せた冒険者カードに近づいて見るリックとリッコ。
 自身の胸元によってくる二人に、若干プルンが恥ずかしそうに頬を染めている。

「まぁ、ミツ君は解らないでもないですけど……」

「そうよ! 何でプルンまで!」

「ニャ!? なんかバカにされてる気がするニャ」

「まぁまぁ。運が良かったんですよ」

(実際ステータスで運が高いから嘘ではないんだよ)

「運って……またそれかよ」

「いや、あれは逆に運が悪いようニャ……」

 プルンの言う事も確かだ。

 出かける先に毎回毎回と高ランクのモンスターと鉢合わせるのは、運が良いとはとてもじゃないが言えない。

「まぁ、取り敢えず二人とも一緒に行こうぜ。ブロンズランクの冒険者が固まってれば、野盗が来たら直ぐに対応できるからな!」

「ああ、ミツは……」

 プルンは自分がアイアンランクだと言おうとしたのだが、リックは最後まで聞くことはなく、馬車に乗るための受付所まで行ってしまった。

「おっちゃん、二人追加大丈夫か!?」

「かまわねぇよ。ただ、中の椅子の席は満席だよ。追加の人は外の荷台に乗ってもらうからね。勿論代金は少しまけるけど、それでいいなら乗りな」

「ありゃ、もう満席なんだ」

「中も荷物があって6人くらいしか入れないニャ……。別にウチは荷台でもいいニャよ」

「自分もかまいませんよ」

(何か昔のアニメ映画に引っ越しの時荷台に乗ってる姉妹を見て、真似をしたかった記憶がある。爺ちゃん軽トラックを持ってなかったから叶わずだったけど)

「ミツ、プルン、二人こっち来なさいよ」

 リッコが既に馬車の中に座っており、中から二人を手招きして呼んでいる。

「えっ? でも、席が無いニャ?」

「大丈夫よ? リックとリッケが荷台に乗るから」

「「えっ!」」

 リックとリッケは声を合わせて驚きの声を出した。流石兄弟、息はピッタリだ。

「おい! こらリッコ、俺達の扱いが雑じゃねーのか!」

「何言ってんのよ、前回のお返しと思って席譲りなさいよ」

「ならお前がゆずれ!」
 
「あんた、女の子にしかも妹に荷台に乗れっての? 男として兄としても最低ね」

「ぐぬぬぬ……。こいつ日に日に性格が面倒になってくるな」

 両手をグーにしてワナワナと震えさせ怒りが見てわかる程だ。

「すみません、自分荷台のままで良いですから」

「いや、借りがあったのは確かだ。これぐらいで返せるとは思っていないけどな。まぁ、席はお前が座れや」

「そうですよ、僕とリックは荷台でも平気ですから」

 そう言ってリッケはリックの怒りを押さえながら後ろの荷台車へ乗り込んで行った。

「さっ、二人がそう言ってくれてるんだから」

「じゃ、すみません。お言葉に甘えさせて頂きます」

「おう、なんなら荷台乗りたくなったら、何時でも交代してやるぜ」

 荷台からヒョコッと手を出し、手を振りながら返答するリック。

「はいはい、二人とも早く乗って」

「ニャ、ありがとうニャ」

「悟りの洞窟方、馬車がでるぞ~!!」

「おっさん! これ以上客乗らねぇだろう、客を呼ぶんじゃねーよ!」

 既に座る場所は一杯、なのに更に客引きの声を出す御者に呼び込みをやめさせるリック。

「なーに、いざとなれば荷台をもう一つ着けるさ」

「商人魂ってすげえな……」

「ほんとですね………」

 馬車が出発し、ライアングルの街を出ると直ぐにリッコから質問が飛んできた。

「ねぇ、ねぇ、ミツ。まだ数日しか立ってないのに、何であんたランクアップできたのよ?」

「何でと言われましても。モンスター倒してギルド報告したらランクアップしました、としかい言いようがありませんね」

「だから詳しく教えなさいって!」

 自分の答え方が悪かったのか、詳しい説明を求めるリッコの声は声量が本人も気付かないうちに上がっていた。

「リッコ、あんまり大きな声は他の人に迷惑ニャ」

「あっ……ごめんなさい」

「いや、気にするな。どうせ到着までは時間があるんだ、話し声なんて気にしてたらキリがない」

 そう返してきたのは、同じ馬車に乗った青髪の冒険者、20代後半程だろうか、見た感じ性格が落ち着いている。

「横から失礼します。私は歌で旅をしておりますシモーヌと申します。もし宜しければ、そのお話聞かせて頂けませんか? 色々な話を聞くのも詩人として私の成長に繋がりますので」

 話しかけて来た緑の服を着た詩人は見た目スナフキン見たいな服装。頭には三角帽子、一本の羽を刺している、正に吟遊詩人。

 リッコの話が気になったのだろう、彼は食いつくかの様に話をかけてきた

「詩人さんですか? ならこの間出会ったキラービーとアースベアーのお話でも」

「えっ?」

 リッコは自分の口から思いもしなかったモンスターの名前が出た事に疑問的な言葉を出した。
 彼女にとって、それ以上に、えっ、の一言以上に言葉が出なかったのだろう。

(ミツが話せるのそれくらいだニャ)

「あれか、一昨日騒ぎになったキラービー大量発生の事か!」

 青髪の冒険者の隣に座っていたオレンジ色の髪の色をした冒険者、彼は食いついたかの様に話しかけて来た。

「えーと」

「おっと、すまねぇ。突然横入りしちまったな。オレはポプランってんだ、宜しくな」

「はい。じゃ、ポプランさんは冒険者なんですか?」

「ああ、これでもアイアンランクなんだぜ」

「おい、子供相手にランクを自慢するなよ」

「なんだよ、先輩冒険者として示しをつけてるだけだろ」

 ポプランの言葉に反応する青髪冒険者。
 それに対して更に反論するように声を上げるポプランであった。

「はー、すまん、俺はダスティ。こいつの一応相棒をやっている」

「なにが一応だよ。育ての親よりも何年もオレに付いてきてるくせに」

「お前が俺の行くところに付いてきてるんだ!」

「なにお!」

 ジャラ~ン

 喧嘩する二人の言葉を止めるかの様に、ギターにも似た音が聞こえてきた。

「まぁまぁ、先輩冒険者のお二人。後輩冒険者が見てますよ」

「んっ、そうだな。お前らスマンな」

 詩人の鳴らした音は二人の冒険者の湧き上がった怒りを一瞬で冷まさせてしまった。

 よく見たら詩人の出した楽器はギターではなくウクレレにも似たマンドリンだった。

「いえ、何年も一緒だなんて仲がいいですね」

「ふふっ」

「ニャハ」

「ゴホン。でー、さっきの話だけどよ、キラービーの大量発生はどうやって解決したんだ?」

「噂だと子供と爺さんが倒したって聞いたぜ」

「何と! 噂とは言え、それが真実なら是非とも歌に乗せたい! そして、真実を知りたがっている人々に聞かせたい!」

 少し大げさに反応するシモーヌ。話のネタとしては面白いのだろう。

「解りました。では、順をおってお話ししますね」

 自分は河原で起きた事を細かく話しだす。勿論その場で一緒に戦ったローゼ達のことも含めてだ。

 話し終わった頃にはリッコは口を開けたまま呆けていた。ダスティとポプランは目を閉じ、腕を組んで話を聞いている。

 シモーヌは自分の言葉一つ一つを聞きながら感動し始めていた。

「何と、少年とは君のことだったのか! そして側にいたのは元シルバーランク冒険者ゼクス殿とは! 凄い! 凄い! 凄いよ!」

「そうだな、本当のことなら凄いな」

「まぁ、話のネタとしてはまぁまぁかな」

「二人とも信じてないニャ!」

 二人の言葉にプルンが反応する。
 自分が言ったことは間違いは無い、それはフロールス家の食事の時に同じ内容を言ったからだ。
 その場に居たゼクスも嘘偽り無い事を証明し、その時ロキアを避難させる為に、その場にいなかったプルンだったが、ミツの言う言葉に嘘がないことを確信していた。

「そりゃな……。アースベアーを倒すなんて流石に話に無理があるだろ」

「ニャ! 嘘じゃ無いニャ!」

「ちなみに名前はミツだったか?」

「はい」

「お前、今何のジョブだ?」

「えっ、ジョブですか? 今はクレリックです」

 ダスティがミツのジョブを確認すると、自身の頭を掻きながら更に考える様に頭を沈めた。

「えっ!」

 ダスティと反対の反応をしたのがリッコ。
 彼女にはミツが【アーチャー】であると伝えていた。
 まさか支援の【クレリック】になっていようとは思わなかったであろう。

「……いやいや、ますますないだろう。話の中で弓でキラービーを射抜いたって自分で言ってたじゃないか」

 ポプランが話の細かいところに突っ込んでくる。
 ミツの話でおかしいと思った場所に、次々と反論の言葉を飛ばしてくる。

「はい、弓はアーチャーもやってましたから使えるんです」

「それでも普通は後衛のアーチャーから、支援のクレリックにジョブ変えはしないぞ? 普通なら、次のハンターになるもんだ」

 流石にアイアンの冒険者【ハンター】のことを知っていたのか。

(その間にシーフと忍者も入ってるんだけど、話が面倒になるから止めとこう)

「普通はそうですね。でも、支援魔法は使えた方が冒険者としては助かるのでは?」

「……」

 自分に質問しても直ぐに全うな答え方が返ってくるので、ダスティもポプランもストレートに嘘つきだとは言えない状態だった。

「おい、詩人の兄ちゃん、この話を鵜呑みになんかして歌にするなよ」

「何故でしょう? 私にはこの子達が嘘を付いてるようには思えませんが?」

 ポプランは最後までミツの話は作り話だと思い信じてはもらえなかった。だが、シモーヌは最初こそオーオーと歓喜の声を上げていたが、最後の方は声を出さずに真剣な表情をして話を聞いていた。

「ああ、多分嘘は言ってない。でも、本当の事を言ってないんだよ、きっと倒したのは元シルバーランク冒険者だったゼクス殿だろう。恐らく功績をこの新人に譲ったってところだろうな」

「そうだろうな。まぁ、時間つぶしの話のネタとして受け取ってやるがな、ほら話を他の場所で言うのは止めとけよ」

「ニャんでそう……」

「プルン、良いんだよ」

 ほら話と言う言葉に、プルンは身を乗り出したが、自分は乗り出したプルンの手を取って言葉を止めた。
 言ってることが信じて貰えないのは解る。
 もし自分が目の前にいる二人程の力があるとして、自分より年が下の冒険者がいきなり自分が倒せないモンスターを倒したと言っても、直ぐには信じきれないだろう。

「ミツ……。フンッ!」

「んっ、リッコ? さっきから黙ってるけど大丈夫?」

 プルンも納得したのだろう。
 彼女は少し怒ってるのか、何も言わず正面の二人にそっぽを向くように横を向くかのように座ってくれた。

 さっきからリッコは自分の話を聞くたびに唖然とした表情をしている。

「……うん、大丈夫」

「詩人の兄ちゃん、それよりこのオレが洞窟のなかでの活躍の方が歌にしやすいぜ」

「ほう、それは是非とも聞かせてください」

 少し場の空気が重くなってしまったのか、それを変えるようにポプランが自慢の冒険者話を切り出した。

「それは剣を振り回した時にまぐれで3匹同時に切ったことか? それとも腹が減ってイライラしたときに投げた石が偶然にもモンスターに当たったことか?」

「てめぇ! オレ様の活躍を見てなかったのかよ!」

「知るか」

「まぁまぁ。ポプランさん、是非お話をお願いします」

 それから馬車が目的の場所に到着するまでポプランの武勇伝話が永遠に続いた。

 途中の休憩を入れた時にプルンとリッコの二人が荷台にいるリック達と座る場所を交代する。
 どうやら武勇伝の話を長々と聞かされてウンザリしていたのだろう。

 前働いていた仕事場でも、酒の席でも無いのに暇があればと、上司から武勇伝を聞かされている女性従業員は凄く嫌そうな顔をしていた思い出がある。
 はっきり言って女性は男の武勇伝なんか全く興味無い。
 だからと言って男なら喜んで聞くかと思ったらそうでも無い。
 隣に座ったリックとリッケからは同じ様にウンザリとした表情が伺えた。

「それでそれで!」

「おう! ここからオレの連続攻撃の始まりよ!」

 喜んで聞いてるのはシモーヌだけ、隣で座っているダスティは早々に寝てしまっている。

 日も段々と薄暗くなってきた時間帯に、目的とした悟りの洞窟の場所へと到着した馬車。

「到着~、さっ! 降りた降りた」

「ふん~~~!!」

「腰が痛えなー」

 御者の声と同時に馬車が止まり次々と降りていく面々。
 途中休憩を入れてるとしても、10時間以上の馬車はやはりキツイものだ。

「やっと到着ね。見てみて、お店がいっぱいよ」

「人も多いね、まるでお祭り騒ぎだ」

「美味しそうな匂いだニャ~」

 馬車の停留所から見えるお店の数々。
 魔法で灯りをともしてるのだろうか、まるで夏の神社の夏祭りの様にお店が並んでいる。

 プルンの言った通りお店の方からは焼き串や何か饅頭屋見たいなものがチラホラと見受けられる。

「じゃーな! ルーキー共、くれぐれも無茶するなよ」

「はい、ありがとうございます」

「あばよ!」

 荷物と武器を持ってダスティとポプランは先輩冒険者らしく一言注意の言葉を残して去っていった。

「うるさい人だったけど面白かったね」

「そうかニャ」

 ポプランの武勇伝話がとことん嫌だったのだろう。プルンとリッコのポプランを見る目が少し冷めた感じに見えた。女性従業員もこんな感じだったなと何となく思い出した。

「では、皆さん私もここで。酒場にて歌を流してますのでまたお会いできれば」

「はい、自分達も宿はそこにするつもりですから、また会えるかもですね」

「それでは、また」

 シモーヌも一言挨拶を残し人混みへと消えて行った。

「ねぇねぇ。お店を見に行こうよ!」

「そうだな。腹も減ってるし早速飯に行くか」

「行くニャ行くニャ!」

「ミツ君どうしました?」

「いや、何でこんなにお店があるのかと思って」

「そりゃ大会前に洞窟に入る人が増えるからな。それに合わせて露店も増えるし……それによ……」

「ん?」

「ほら、あそこ見てみろよ」

 リックの指を指す方には数人の薄手の服を着た女性グループがいた。
 殆どが見た目は化粧をし、溢れんばかりの胸を強調した服装だ。

「踊り子さん?」

「ミツはまだまだ子供だな。あれは娼婦の姉ちゃん達だよ」

「えっ! 娼婦!」

「莫迦、声がデケえよ」

「あぁ、ごめん。でも、何でそんな人がいるの?」

「それはな、洞窟行って死ぬ思いしたとするだろ? その時経験も無いまま死ぬのも嫌だろ。そんな奴とかいろんな場所から来ている冒険者や旅人を狙ったお姉ちゃんが居るんだよ」

 生存本能と言うやつであろうか、死ぬ前に自分の遺伝子を残したい物だと前世の世界で戦時書に書いてあった事を思い出した。

 またあるスポーツの世界大会ではコンドームを配布していると聞いたことがある。
 まだ子供の頃にそれを聞いたときには驚きだった。

 娼婦の人は勿論避妊対策もしっかりしてるだろう、魔法のある世界、そんな魔法があっても変ではないだろう。

「ふ~ん、にしてはリック、随分と詳しいね?」

「おうよ、この話聞いてからランクアップに力入れたしな」

「ははっ……そうなんだ」

「なんだよ乗ってこねーな。お前男だろ、興味ねーのかよ……。もしかして女より男が趣味か?」

「違うよ、いや、後の二人がね……」

「ん? あっ……」

 少し娼婦のお姉さんにテンションが上がりすぎたのだろう、知らず知らずのうち、リックの声量が上がっており、近くの女の子二人にリックの声はだだ漏れであった。

「最低」

「最低ニャ」

 女性の冷めた目、リアルこれを直接受けてご褒美と言う人はハイレベルな人だと本当にそう思う。

「リック、ミツに変な事吹き込まないでよ。キモいわね、妹として恥ずかしいわ」

「なんでだよ! 男として教えてやってんだよ」

「まぁまぁ、二人ともこんな所で他の人の迷惑にもなりますから」

「リッケはリックと違って真面目だからそんなの興味ないわよねー」

「莫迦野郎、リッケも男だぞ! 立派な物つけてんだよ! 興味無いわけねーだろ」

「ちょちょちょ! リック、何言ってるんですか!?」

「最低ー!」

「何でだよ、皆で風呂に入ってるから知ってんだろ!」

「子供の頃でしょ!」

 喧嘩と言う物は中々割り込むことが難しい物。
 しかも内容によっては更に止めることができないのだから。

 リックとリッコの言い争いに周りの通行人も面白がってか人が増えてきた。お店の人にとっては商売の邪魔でしかないのだから、店の人からは嫌そうな視線が飛んでくる。

「こりゃ駄目だ。プルン、リッコを連れて行って二人でお店周ってて」

「……」

「プルン?」

「ミツもああ言ったのには興味あるニャ?」

「……プルン」

 少し頬を染めミツに質問してくる。

 自分はプルンの額の髪の毛を優しく少し掻き分けた。

「ニャ!」

 バチン!

「ニ"ャ!」

 プルンの額に見事にデコピンを軽く入れた。

「バーカ、変なこと言ってないで早く連れていって。お店の人からの視線がキツくなってるから」

「ゔうっっ。リッコ、行くニャ」

「ちょっと、プルン! リック! 覚えてなさいよ!」

 プルンは少し目に涙を浮かべながらもリッコの手を引っ張り人混みへ連れてってくれた。

「おー痛ぇ、あいつマジて殴りやがった」

「自業自得ですよ」

 リックの方を見るといつの間にかリッコから頬を叩かれたのだろう、真っ赤に為った頬を抑えていた。

「さて、これからどうするの?」

「時間も遅いし、今から洞窟入ってもな」

「そうだね、セーフエリアも人が混みそうだし入るのは明日からにしましょう」

「じゃ、今日の所はお店周るだけかな」

 お店を一回りし、自分達は酒場のテラス席にプルン達が通るのを待ちながら座っていた。

「ミツ君達も一緒に洞窟に入る事になったけど良かったのかい? 僕達は助かるけど」

「良いよ。戦うポジションはどうする?」

「ん? 前衛を俺とプルン 、後衛をミツとリッコ、 支援をリックの前と同じだろ 」

「うん、わかった」

 洞窟へは5人で行く事を馬車の中で決めていた。
 せっかく知り合いがいるなら一緒にパーティーを組んで行こうと話が出たのだ。

「そろそろ、二人と合流しないと」

「全く、女の買い物は長すぎるんだよなー」

「いいじゃないですか、明日から洞窟入ったら暫くは楽しめませんよ」

「リック、俺後で抜けるから後の事頼むな」

「こりてませんね……」

 路上を見れば様々な種族が歩いてるのがよくわかる。 人族、ドワーフ、厚い鱗が見えている蜥蜴人族、プルンの様な獣人族、鼠の様な小さい体の鼠人族、兎姿の兎人族、人間族よりも亜人種の数が目立つ気がする。

 そんな人混みの中を二人がやってきた。

「いたニャ」

「やっと見つかったわ」

「待ち合わせ場所を決めとけばよかったね」

「ほら、早く行くぞ」

「何急いでるニャ?」

「どうせ、綺麗なお姉さんと遊びたいからでしょ」

「ぐっ……ちげえよ! 宿が満室になったらいけねえからだよ」

「はぁ~」

「リッケ、大変だね」

「なんで兄妹でここまで仲が悪いのか……。いや、本当に仲が悪いわけじゃないんですよ」

「ハハッ、解ってるって」

 エベラの言う通り、酒場の上は宿屋となっていた。
 利用客数も多いので部屋は多く作られているようだ。
 男部屋と女部屋で2部屋取ることにした。
 明日の洞窟での作戦を決めるために一度部屋に皆で集まることになった。

「ってことでフォーメーションは言ったとおりだ。洞窟内だからな、戦闘中の足元にも気をつけろよ。後、トレインと賊窟には気をつけること」

(トレインか、ゲームの中じゃたまにあるんだよな。大量のモンスターを擦り付けて狩りの邪魔をされたりで。この世界でもあるんだな)

「洞窟内では基本他の冒険者にも気をつけないとね。下手に油断してると身ぐるみ全部持ってかれるって聞いたわ」

 作戦も決まり少し時間がたった時。

「あっ~、俺明日の為に武器研いでくるわ~、お前ら先に寝てていいぞ~」

「「「「……。」」」」

「じゃ~な~」

 そう言葉を残したリックは部屋から出ていってしまった。しかし、残された4人はリックが鍛冶屋に行ったのでは無いことは解っていた。

「最低ね」

「最低ニャ」

「あははっ……バレバレじゃんリック」

「あからさま過ぎです、それに……」

 皆が見る先にはリックの武器のショートランスが立て掛けられている。
 一体彼は何の武器を研ぎに行ったのやら……。

「せめて持っていけば……」

「莫迦だから頭に入ってないのよ」

 リッコの言葉に誰も否定的な言葉は出せなかった。
 むしろ、皆はうんうんと頷くほどだ。

「ところで二人はお店では何か買った?」

「いや、焼串とか果物を食べたくらいニャ」

「食べ歩きかい」

 喧嘩してバラバラに行動した後のことを二人に聞いてみたら、自分達と変わらず出店を梯子してた様だ。

「だって、こんなところでお土産なんて買ったら邪魔でしかないじゃない」

「言ってくれれば帰るまで持っててあげたのに」

「あっ!」

「そう言えばミツ君はアイテムボックス持ちでしたね。道理で洞窟入るのに手荷物が無いと思ったんですよ」

「しまったー、アクセサリーとか買っとけばよかった」

「あんな物邪魔なだけニャ」

「プルンはもう少しオシャレしなさいよ……。元が良いのに勿体ないわよ?」

「いいニャいいニャ。戦いの時に邪魔になるだけニャ」

「……はぁ~」

(オシャレか……)

 確かにリッコの服装は魔法使い特性の黒いローブに杖とデフォルト的な格好。
 だが、首にはネックレスと腕には小さな木のブレスレットを着けている。小さなところでは爪にもマニュキュアを塗っているのか、爪が少し薄ピンク色だ。
 プルンは生活が少し前まで苦しかったこともあって、最低限もなにもオシャレをしないようだ。
 フロールス家に行く時も何時も冒険に行く時と似た感じ同じの格好だったし、アクセサリーらしい物を持ってはいないのではないか。

「ねぇねぇ、さっき馬車の中で話してたキラービーの続き聞いてもいいかな?」

「いいよ」

「なんのことです?」

 先程馬車の中で話したキラービー戦の内容をランクアップ昇格までの全てを二人に説明した。

「「……」」

「で、ウッドランクから昇格できたってわけ」

「えーと、何、じゃー、ミツは今アイアンランクなの?」

「そうだよ」

 リッコの質問に応えるように自分は首にかけた冒険者カードを二人に見せた。

「アイアンの冒険者カード……間違いないみたいですね」

「もう、何聞いても驚かないと決めてたのに、やっぱりミツは驚かしてくれるわね……」

「ニュフフ、ウチもブロンズランクニャ」

「グヌヌ、あんた達とあのままチーム組んどけば私達も更に昇格できたかもしれないのに」

 頭を抱えて唸るリッコ、隣のリッケは頭を抱えて何か考えている。

「いや~、自分達も結果だけ見ると運が良かったんだよ」

「運だけで行けるか!」

 ペシ!

「あ痛っ」

 いつもの誤魔化しの言葉は流石に通用しなかったか、リッコからツッコミが飛んできた。

「では、ミツ君は支援もできるんですね」

「うん、クレリックにもなってるからね」

「すみませんが一つ、試しに回復してもらってもよろしいですか?」

「いいけど、誰も怪我してないよ?」

「かまいません、そのままリッコにヒールをかけてください」

「えっ! 私?」

「はい、その後、僕もかけますので魔力の高いリッコなら回復量が感覚で解るはずです」

 いきなり真面目な表情をしたリッケに少し驚きながらも、言われた通りリッコにヒールを試すことにした。

「う、うん、解った。ミツ、いいわよ」

「じゃ、ヒール」

「んっ」

「では次は僕が、ヒール」

 リッコの手を取りミツと同じ場所にスキルを使用するリッケ。

「ん~」

「どうですか?」

「恐らくミツの方が回復量が上ね」

「そうですか、思ったとおりで良かったです。これなら僕が魔力が切れたとしても、ミツ君がいれば洞窟内での怪我は安心ですね」

「リッケは何でミツの方が回復量が多いって解ったニャ?」

「ん~、なんとなくですかね。彼ならそうだったとしても驚かないですし」

「納得」

「納得ニャ」

「何で」

 段々皆の中では自分を同じ物差しで測っては行けないという事が慣れてきたのか免疫ができてきたのだろう。

「取り敢えずこれで洞窟内での安全度がかなり上がりました。ミツ君には戦闘状況によって前衛、後衛、支援と回ってもらいますが良いですか?」

「大丈夫だよ」

「リック抜きで話し合って良かったニャ?」

「フンッ、良いのよ、今頃ご自慢の武器を磨くのに忙しいでしょうし」

「はははっ……」

「ミツが居てくれるからモンスターの素材も取り放題ね」

「リッコ、アイテムボックスにも限界はありますからね。流石に全てを回収は無理ですよ」

「ミツのアイテムボックスは、キラービーが170匹入ったニャ。洞窟のモンスターも大丈夫だニャ!」

 ちなみにキラービーの1匹の大きさはハチと言えない程にかなりの大きさで、例えるならコモドオオトカゲ程の大きさである。

「「……」」

「もう私は何も言わないわよ」

「僕もです」

「ははははっ……ところで洞窟内は何階まで行くの?」

「私達は最初2階までと決めてたけど、ミツが一緒なら3階層以上行けるわね」

「何でミツが一緒なら行けるニャ?」

「それはですね。プルンさんの力とかミツ君の力とか関係なしに、3階層以降はブロンズランクだけでは入れない決まりなんです」

「そうよ、だから私達はセーフエリアに近い2階までのつもりだったし、別にプルンの力が劣ってる見体には見てないわよ」

「良かったニャ! ウチ頑張るニャ!」

 洞窟にも色々とルールが決められてるようだ。
 3階層以降、つまりは4階からは本格的にモンスターの強さが変わると言う目安でもあるのだ。

「なら目的は行けるとこまでにしときましょう。危険と感じたら直ぐに戻りでいいですか?」

「賛成」

「異議なしニャ」

「セーフエリアは2階おきにあります、悟りの洞窟は2階、4階、6階、8階までです」

「まっ、私達じゃ頑張って行けても4階が限界でしょうね」

「何事も経験ですよ」

「じゃ~、明日も早いし、もう寝るかニャ」

 明日の洞窟探索に更にやる気を出すメンバー。

 自分としてはまたスキルが増えることに次の日が楽しみだった。

「明日の朝にでも食料追加しとかないといけませんね」

「あぁ、食料は自分が出すからいいよ」

「えっ? でも五人分ですよ?」

「大丈夫、それは安心して良いよ。それより支援は自分とリッケがいても、皆は各自で回復薬は持っててね。いざという時に使う物だから」

(この世界の回復薬がどれくらいの効果を出すのか解らないけどね、持ってないより確実にましだろうし)

「解ってるニャ、リッケが回復できない時はミツを頼るし、それが駄目な時を考えて数回分はちゃんと持って行くニャ」

 こうして自身の槍を磨きに出ていったリックを除いて明日の細かい作戦会議が終った。

 ゼクスとの戦いで対人戦の難しさをこの洞窟でどの様に克服するか、ミツの中で自身に試練としてかせた洞窟挑戦が始まる。
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【2022/9/1 一章二章大幅改稿しました。三章作成中です】 宝くじで一等十億円に当選した運河京太郎は、突然異世界に召喚されてしまう。 異世界に召喚された京太郎だったが、京太郎は既に百人以上召喚されているテイマーというクラスだったため、不要と判断されてかえされることになる。 元の世界に帰してくれると思っていた京太郎だったが、その先は死の危険が蔓延る異世界の森だった。 そこで出会った瀕死の蜘蛛の魔物と遭遇し、運よくテイムすることに成功する。 大精霊のウンディーネなど、個性溢れすぎる尖った魔物たちをテイムしていく京太郎だが、自分が元の世界に帰るときにテイムした魔物たちのことや、突然降って湧いた様な強大な力や、伝説級のスキルの存在に葛藤していく。 持っている力に振り回されぬよう、京太郎自身も力に負けない精神力を鍛えようと決意していき、絶対に元の世界に帰ることを胸に、テイマーとして異世界を生き延びていく。 ※カクヨム・小説家になろうにて同時掲載中です。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
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蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
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俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界に転生したら?(改)

まさ
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事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

スキルを得られない特殊体質の少年。祠を直したらユニークスキルもらえた(なんで??)

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 魔法が存在し、魔物が跋扈し、人々が剣を磨き戦う世界、『ミリオン』  この世界では自身の強さ、もしくは弱さを知られる『ステータス』が存在する。  そして、どんな人でも、亜人でも、動物でも、魔物でも、生まれつきスキルを授かる。  それは、平凡か希少か、1つか2つ以上か、そういった差はあれ不変の理だ。  しかし、この物語の主人公、ギル・フィオネットは、スキルを授からなかった。  正確には、どんなスキルも得られない体質だったのだ。  そんな彼は、田舎の小さな村で生まれ暮らしていた。  スキルを得られない体質の彼を、村は温かく迎え・・・はしなかった。  迫害はしなかったが、かといって歓迎もしなかった。  父親は彼の体質を知るや否や雲隠れし、母は長年の無理がたたり病気で亡くなった。  一人残された彼は、安い賃金で雑用をこなし、その日暮らしを続けていた。  そんな彼の唯一の日課は、村のはずれにある古びた小さな祠の掃除である。  毎日毎日、少しずつ、汚れをふき取り、欠けてしまった所を何とか直した。  そんなある日。  『ありがとう。君のおかげで私はここに取り残されずに済んだ。これは、せめてものお礼だ。君の好きなようにしてくれてかまわない。本当に、今までありがとう。』  「・・・・・・え?」  祠に宿っていた、太古の時代を支配していた古代龍が、感謝の言葉と祠とともに消えていった。  「祠が消えた?」  彼は、朝起きたばかりで寝ぼけていたため、最後の「ありがとう」しか聞こえていなかった。  「ま、いっか。」  この日から、彼の生活は一変する。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

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辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

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 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

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