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篠原

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第十七章  栄真子の新婚、新居生活  ~すべてが初めてな新妻!~

第十七章 ㊵

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長崎の名所、観光地である
『ホームテンボス』を満喫しまくった
新妻・真子は、そのまま、配偶者を
引っぱって、次の目的先へ向かう。

義時は、妻の美しすぎる、そして、
無邪気に楽しむ光景を撮りまくった。
で、早く、帰って―まだ新婚旅行初日、
到着したばかりなのに―、写真屋に持って
行き、現像してもらいたくなった!
でも、そんなこと言ったら、楽しんでて、
笑顔で、幸せそうな、妻の顔が一瞬で
変わると…それくらい推理できる。
なので、言わなかった。
それに。まだまだ、この旅先で、撮り
まくれるのだから!
帰るわけには、絶対に、いかないのだ。



で、義時は、絶対に、一人なら、
行かない・入らない・寄ろうとも思わない、
『水族館』に、妻の手に引かれて、入った。
 小学生の頃以来……だなと思う。
で、入場するとき、窓口で、受付嬢に、
「おひとり様、二千五百円です」と
言われて、驚いた、叫び声をあげそうに
なった。
一瞬、聞き間違いかと、思ったくらいだ…。
 

2500……?
たかが、魚を見るだけで。
スーパーの鮮魚コーナーに行けば、無料で
いくらでも見れるのに―生きてないけど―。
正直、自分一人なら引き返す。
あと、男友達とかと来てても、「オイ、
もったいないから…」と言うだろう。
で、絶対に、自分の分は払わない。


だが、受付嬢に、5000円を求められ、
即、「はい!」と笑顔で受け答えし、
財布からお札を出そうとしている妻には、
言えなかった。
 言ったら、どうなるか、なんとなく
分かる。
そう。彼女は、美人、優しい、そして、
今超機嫌が良い!
でも、彼女は、怒ったら最高に怖い、
そして、一度怒らせたらなかなか機嫌が
なおらない―まぁ女は全員そうだと思う
けど…―。



だから、何も言わずに、義時は、妻が
ウキウキしながら、受付嬢に、1万円札を
渡すのを見るだけ。
内心、叫びながら。
「うわぁぁ!スッゲーもったいなっ!
あれで、牛丼とかラーメンを何杯食べれると
思うんだ。
ってか、生きている魚見ても腹ふくれない
だろ。
この5000円で寿司屋行ったら、ウマい
魚を食べれて、腹もふくれるのに……」
と、思う。
義時は、そんな、男性だ。
 一方、女性の真子は。愛する男性と、
新婚旅行で、水族館に来れたことに、幸せを
感じまくっているし、彼が、そのような
ヒドイことを考えているとは、全く、想像も
していない―当然―。




水族館での時間も一瞬だった。
真子にとって……。
本当に、めちゃくちゃ楽しかったし、
壮大な『海の世界』に感動した。
 で、義時にとっても、十何年ぶりの
水族館での時間は、あっという間
だった……。
周囲の子どもたちにまじって、魚やら
アザラシやらイルカを見て、キャッキャッ
楽しむ妻を、無我夢中に撮影していたから。




そして。
遊び疲れた真子と、撮影し疲れた義時は、
新婚旅行初日のランチ―新婚旅行初食事―
へと。
 何を食べるか、ちゃんと、真子が、
詳細に決めていた。
食べるモノも、どこで食べるかも……。 


新妻・栄真子が、新婚旅行初日ランチに
選んでいたのは……『佐世保バーガー』
だった!
 正直、コメ派の義時は、そういうバーガー
系が好きではない。
ムダにデカいし、食べづらい。
食べようにも、コボれてくるし……。
 でも、妻の機嫌をこのまま維持させないと
『良い写真』が撮れなくなるので、黙って、
ついていく。
そして、目が、本気で、体が飛び出るんじゃ
ないかと思ったほどの、金額を、妻が
何の躊躇いもなく、支払う……時も、
必死に、冷静を保った。
必死に、黙り続けた。
さすがに、「ちょっと……。
初日からそんなに使って大丈夫?」と
言いたくなったけど、
今回の旅の、こういう会計係は、「私が
するからネ!」と、妻が、前から言って
いた。
ここで、変に出しゃばると、色々な意味で、
ヤバい……。から、やめる。
 ちなみに、会計係は真子だけど、その
お金の出どころは、双方の貯金から。
もちろん、妻だけに、出させているわけ
じゃない……男の沽券にかかわるから、
そこは、ちゃんと、皆さんに知って
もらわないと!



そんな義時だったが……。
ビックリした!
絶対に、自分じゃ来ない店で、自分じゃ
注文しない、巨大ハンバーガーを
食べながら。
 想像以上の美味だ!
まぁ、食べづらいことには変わりない
けれど。
それでも、そのマイナスをはるかに超える
ウマさ……!!
感動して、そして、美味しすぎて、一気に
食べきってしまった。
正直、まだイケる…!
あと、1個はいきたい、食べておきたい!
なので、会計係―財布のひもを握る方―に
恐る恐る言ってみた。
「もう1個頼んできて、良いかな?」
 妻は、いつもと違って、小言を言わずに、
笑顔で、「もちろんッ!」と答えて、
千円札を渡してくれた…ホッ。
  実は、最近―結婚してから―、妻の
教育・指導・監視が始まったのだ。
しかも、かなり、キツメの……。
つまり、『食べ過ぎ防止』、『食べ過ぎ
監視』だ。
少しでも、食べ過ぎると、すぐお説教。
で、次の食事の時、量がガタンと
減らされる。
 一度―もちろん式後、旅行前―、お昼、
2人で外食に出かけて。
自分は、普通だと思ったけど。
妻からしたら、相当自分は食べ過ぎだった
らしい。
 で、家での夕食、極端に、量を
減らされた。
「幼稚園児のメシか!?」と思うくらい…。
で、しかも、目の前の、妻の分は、いつも
通り。
 一瞬、何か言いたくなったけど、顔を
上げてみたら、妻の厳しい視線、無言の
「何?何か言いたいことあんの?」と言う
圧力が押し寄せてきて……、やめた。
 で、当然、満腹になるわけがない。
冷蔵庫の中を漁ろうにも、妻がいるから、
無理。
それに、仮に、妻の目を盗んで、冷蔵庫から
目ぼしいのを、『獲得』できても、問題が
2つ。
この狭いアパートの部屋の、どこで、
食べる?
妻に隠れて……。
それから、もう1つ。
几帳面な妻のことだ。
冷蔵庫から、あるモノが消えたら、絶対に
気づく。
そして、追及される……。


思案したうえで、義時は。
結婚したばかりの妻が、お風呂に入った
隙を狙って。
ダッシュで、近所のコンビニに向かって。
で、ダッシュで、家に駆け込んで。
 予想―計画通り―なら、妻は、まだまだ
風呂の中のはずだった。
女は長いから……。
 で、自分は、堂々と、そして、急いで、
この買ってきた、サンドイッチと
ロールケーキを食べれば、良かったのだ
けど……。
 予想外、計画違いで、なんと!
家―アパートの部屋―に滑り込むと、
なんと、そこには、タオルを巻いただけの
嫁さんが、怒りの表情―鬼面―で、
突っ立ていた……。
 

玄関先で立ち尽くす、義時。
その義時に、非常に冷たい笑顔で、
真子が、訊く。
「何?そのコンビニのビニール袋?」
 義時の背筋が凍り付く。


で、家の中に引きずりこまれ、尋問・詰問
された。
一瞬考えた。「忙しい君に食べてもらい
たくて、買ってきたんだヨ」で切り抜けられ
ないかと……。
 でも、そう言ったら、さらに、冷たい
笑顔で、冷酷に、「バカ?そんなの、
夕食後に、しかも夜遅くに食べるわけ
ないじゃん!」で退けられると、気づいた。


 なぜだか知らないけど―真子からすれば
女性の理由で―早く風呂から出ていた妻に、
あの晩、じっくりと、義時は、絞られた。
 で、当然、「まぁ、反省したなら、
今夜は、特別。食べて良いよ」と
妻は言ってくれ…ず、
当然ながら、「じゃ、これは没収ね」と、
どっかに持っていかれた……。
 当然、その夜は、機嫌がめちゃくちゃ
悪くなって、結婚式数日以内のに、
相手を―夜の関係を―してくれなかった…
……。





 これが、義時のトラウマになっていた、
から。
 義時は、『佐世保バーガー』のお替りを
会計係兼監視役兼妻が認めてくれるかと、
心配だった。
 でも、即、許可がおりた。


真子も。
「新婚旅行なんだから。
今回は、大目に見てあげよう」と
思っていた。
 ここで、厳しくしたら、いつものように
締め付けたら、楽しくなるし。
それに、帰って―千葉に―から、今まで
以上に、監視・制限・取締を厳しくすれば
良いんだから、と、妻は思っていた。
 義時は、そんなことを妻が考えていて、
新婚旅行から帰ったらとんでもなく厳しい
『食事制限』が待ってることも知らずに、
ウキウキとレジへ向かっていく……。





……2人は、再び、バスの人になった。
バスで、向かう先は、平戸だ。
「帰ったらもそうだけど、こっちでも
運動させないと……」と考えた妻の
おかげ―せい―で、義時は、平戸の町を
めちゃくちゃ歩かされた―観光できた―。
まぁ、キレイな街並みだったけど。
それに、ザビエルの記念の教会にも
寄った。
 で、そのまま、なんと!
歩いてホテルまで……。
 妻は、平気な顔をしているけど、
まさか、こんなに、新婚旅行初日に
歩かされるとは、思わなかった!!!


 義時が、想像以上に、疲れているのを
見て、ホテルの前で、真子は、「やりすぎ
たかなぁ」と思ったけど。
まぁ、良いや……と思う。
これから、超豪華なディナーなんだから!


 真子がチェックインの手続きをした。
かなり汗をかいた義時に、ホテルの係員が
オレンジジュースを出してくれた。
 最高の1杯だった……。
お替りをお願いしようかと思ったけど、
フロント係と話している妻が、一瞬こっちを
見て、厳しい視線を向けてきたので……、
それは―お替り―は、やめた。



同年代のフロント係女性と話しながら、
真子は、義時の方を見て、思った。
「さっき買った、水を飲んでれば
良かったのに!
そんなに暑そうにしてるから……!
あれ、絶対に、ジュースだよね!?」
 真子は、視力が、良いのだ!
オレンジ色の液体を見逃さない……!!



2人は、部屋に案内された。
同時に、叫び声をあげる。
窓からの風景が最高過ぎる。
 そう、まるで、海の上に浮かんでいる
かのような、超豪華ホテルなのだ!


ディナーも、最高だった。
長崎牛や近海の幸をフレンチで。
お洒落で、見てるだけでうっとりして
くる。
 それに、量も、ちょうどいい。
「これなら、彼の体重的にも大丈夫」
そう思いながら、真子は、彼を見る。
 食べ慣れないのか、ぎこちない……。
でも、そんな姿が愛おしい。
それと、なんだろう?
母性本能がくすぐられる、のかな?


 そっと、真子は、アドバイスして
あげる。
まぁ、自分も、志与やみどりからの
受け売りだけど……。

 2人で、夜の海を眺めながらの
乾杯―シャンパン―は今まで史上最高に
ロマンチックだった…………。





















(・著作権は、篠原元にあります


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