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第十二章 アナザーI.I ~背を向けたジャージ男~
第十二章 アナザーI.I ~背を向けたジャージ男~
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真子、みどり、義時が、『愛』によって
奇跡的再会を果たし、赦して、そして、
赦されていた時……、時同じくして、
また、すぐ近くで、もう一つの別の人生が
幕を閉じようとしていた。
その別の人生…、時同じくして、また、
同じ商店街に、実際いたのは、
あの石出生男である。
小学3年生の時に、真子を裏切った、
あの石出生男だ。
彼も、真子たちの奇跡的再会の日に、
なんと、同じ東京都杉並に、いた。
しかも、あの大町通商店街に。
そして、真子のことも、みどりのことも、
義時のことも、見ていたのである。
どこで、見ていたのか?
お分かりになる読者は鋭い方である。
そう。
義時が、平戸を羽交い絞めにした時に、
目の前にいた若者-第十章⑬-……、
あれが。石出生男だ。
黒いジャージ姿、義時の方をジッと
見つめる、義時と同年代位の男、それだ。
平戸を羽交い絞めにしていて、両手が
塞がっている義時が、110番を頼もう
とした野次馬…、それが石出だった。
だが……、結果として、読者は、すでに
お分かりだろうが、石出生男は、
『奇跡的再会』に加わらなかった。
単なる傍観者のまま終わり、当事者に
ならなかった……、いや、自ら、
背を向けたのだった。
もし、彼が加われば、『いすみ市にいた
4人の再会』になっていたのに……。
だが、弁護のつもりではないが、
彼も、あの『奇跡的再会の場』に加わろう
とは、したのだった。
でも、彼には勇気がなかった。
そして、何より、『愛』を信じられ
なかった。
彼は、『愛』を拒絶し、認めなかった。
だから、そのまま、後退し、暗闇に
吞み込まれ、自分のところへ行くため、
脱落して行った。
~ここからは、死の直前の石出生男の
回想である~
自分は、今日の夕方、いや昨日の夕方に、
パチンコ店を出た。
正午過ぎからずっとパチンコ店で、
過ごしていた。
タバコを手に、騒がしい店内で、
パチンコ台に向かう…、ストレス解消
には、一番だ。
最近、色々な面で、全くウマくいって
ない。
バイト先の先輩……。
大学の単位……。
生活費の工面……。
で、何より、死活問題、女だ……。
すぐに、自分のモノになると思っていた。
あの女は……。
だが、中々の相手だった。
だから、だ。
ま……ノコノコついてくるあっちが
悪いのだが……。
手荒いことをしたのだが。
別に、大したことじゃないのに。
あの堅物が!!
今じゃ、自分が、追い詰められている。
イライラすることばっか、だ。
パチンコに、足が向かって、当然だ。
駅の近くのパチンコ店を出て、
荒んだ気分で、アパートへ戻ろうと、
歩き出す。
すでに、空は暗い……。
いつもの商店街をフラフラと歩く。
夜空も財布の中身も心も寂しいもんだ…。
のに…‥ケッ!
幸せにしてるクソらめがッ!
「飲むぞッ!」と、アパートへの家路を
急ぐ。
飲んで、吸って、現実は見ないに、限る。
だが……。途中で、スゴイ現場に出くわ
した。
それで、急いでいたのに、
つい立ち止まってしまった。
いや、違う。
足が、あの場から、動かなくなって
しまった、正直に言えば。
テレビの警察特集の番組で見るような
現場だった。
冴えないリーマン野郎が、若い美人を
追っていた。
それを、通りすがりの『目立ちたがり屋』
が取り押さえて、警官……自分と同じ位の
女刑事に、引き渡す。
そんな『捕物』を最初から最後まで、
見た。
……言えるのは、刑事にしとくのは、
もったいない、だ…。
かなり、良い女だった、あの刑事。
見物しながら思った。
「イケてる女だな。バーとかにいて、
刑事だと知らなかったら、誘うな」。
が、指輪をしている、か…。
ま、そんなこと、自分には関係ない。
今まで、男がいるヤツに手を出した
ことは結構あるし、『人妻』ももらった
こともある。ってか、女たちも、その
シチュエーションに燃えるもんだろ。
こんな女も夜は……と考えながら刑事を
見ていたが…。
そんな思考は、すぐに砕かれた。
あの女刑事の一言で!
自分は、女刑事が、リーマン野郎に
言い放った一言を耳にして、大袈裟で
なく、耳を疑った。
間違いない。
あの女刑事は、ハッキリと、あの男に
言った…。
「平戸狩男さんですね。阿佐ヶ谷中央
警察署までご同行願います!」と。
そう告げられている、あのリーマン野郎
を凝視する。
「まさか……」と、呟いていた、自然と。
平戸狩男……?
ひらとかりお、ヒラトカリオ……。
同姓同名の別人か、それとも……?!
いや、アイツだ!
そうだ、アイツだ!!
この男は……!!!
信じられない!
まさか、コイツに、こんな所で……!
そう、あの女刑事は、自分を捨てて、
昔家を出て行った、父の名前を、
確かに、口にしていた!
まだ幼かった自分と母を捨てて、
ある日急に家を出て行った最悪な男の
名前を……。
小学生の頃に、何度もアルバムを、
家族に隠れて眺めたんだ…。
表札が写っていて、そこには、
自分たちを捨てて、父が身を消す前の、
家族全員の名前が刻まれていた。
自分の名前、母の名前、そして、
アイツの名前……。
平戸狩男、と。
そうだ。
小学生の頃に何度も何度も見てたんだ、
父が写ってる写真を。
忘れるわけがない!
自分たちを捨てた、憎き男の顔、特徴。
そして、目の前のリーマン野郎。
大きな共通点が、2つ。
確信する、同一人物。
そうだ、女刑事に捕まったのは、
父、いや、アイツだ!!
すぐさま、決めた。
「このまま、見なかったことにして、
行こう」。
声をかけるメリットなんて、何もない。
出て行って、警察についていく……?
あり得ない!!
アイツは、自分と母を捨てて、
出て行ったクズだ。
それに、「すみません。実は、
息子なんです」と出て行ったところで、
何の得になるよ!?
そこらの野次馬達から興味の視線、
嘲りの視線で見られるのがオチだろ、
この自分が……!!
そんなのお断りだ!!
大勢の野次馬に見られながら、
若い男に取り押さえられたアイツ。
若い女刑事に拘束され、まさに、
これから警察署に連行されるはずの
惨めな中年リーマン野郎。
「ざまあみろ!!」と、心底思った。
そうだ!!
これは、自分と母を捨てて出て行った、
天罰だ。
女刑事に捕まって、項垂れてる、アイツの
首には、やはり、大きなほくろが……。
そうだ、写真に写ってたのと同じだ。
コイツは、正真正銘、自分たちを捨てて
出て行った野郎だ。
自分は、父に背を向けて、
アパートの方へ歩き出した。
応援の警官もやって来る。
だが、もう、良い。
関係ない!!
アパートに向かおうと、その場を
離れかけた自分のすぐ近くを、
あの女刑事が駆け抜ける。
その後を、『目立ちたがり屋』で、
暇な野郎が追いかける。
本当に、暇な奴だな、コイツ。
普通、通行人が『捕物』に協力
なんかするか…?
で、今も、女刑事の後を追って…。
…そうか!?コイツ…、この女刑事
狙いか?
下心満載、暇だらけ野郎か……。
一番、嫌いなタイプだ。
で、女刑事と『目立ちたがり屋』は、
父に追われてた、若い女の所に行った。
うん?
あの女も、女刑事とは違う感じの、
良い女じゃないか!
何か『負のオーラ』的なモンを感じるが
それも良い!!
で、自分は、離れようとしていたのに、
立ち止まってしまった!
今、人生を振り返って、言うならば、
これが、自分の悪い習性だ!!
世間で言う、女癖がワルいというヤツ。
で、若い女に見とれて、立ち止まって
しまった自分の目の前で……。
なんと、あの女刑事が、若い女に、
ようするに『負のオーラ』を感じる…、
違う言い方をすれば、儚げな感じの
するあの女に、抱き着いた!!
「はッ!?刑事が、何やってんだ。
オイオイ、もしかして、この二人って、
そう言う関係なんか……!?」と思った。
それと、「にしても、こんなとこで、
やるか……、普通?」とも。
まぁ、すぐに、冷静になった。
そうだ、この女共がそうであろうが、
自分には一切関係ない!
自分は、そのまま、行こう、とした。
だが、次の瞬間!!
あの女刑事が、座り込む女に、告白
しやがった!!
まぁ、そう言う『愛の告白』ってヤツ
ではなかったが……。
で、自分は、度肝を抜かれた!!!
女刑事が、儚げな女に謝り、
そして、あの『目立ちたがり屋』で
暇なヤツも、あの女に謝る…‥。
そんな、予想外の事態を見て、
自分は、度肝を抜かれたんだ!!
すぐに、分かったさ……!
3人が、名前を呼びあってたからな。
奥中……真子、葦田みどり、義時。
懐かしいと言えば、懐かしい名前だ。
同じ小学校だったヤツら。
そう言えば、葦田のヤツはなんとなく
分かる。威張り腐った態度っていうか、
雰囲気……。
そうか、コイツ、刑事になってたんか。
まぁ、正義のミカタって感じだった
もんなぁ、この女は!
義時も、この体のデカさ……。
コイツ、そう言えば、何かやってた
よな……、空手だったか、剣道だった
か……?
あぁ、コイツらかぁ!
じゃあ、父が追っていた女、儚げな感じ、
『負のオーラ女』が、奥中真子か。
そうだ、自分が、一番最初に捨てた女。
そして、女刑事が、葦田みどり。
父を取り押さえたのが、義時。
「商店街のド真ん中で、3人だけの
同窓会やってんのか、コイツら……」と、
心の中で呟いた。
正直言えばだが、再会を喜び、
手を取り合う3人を見ていて、
羨ましかった。
自分が、ここ最近ずっと、感じて
いない『幸福感』を味わっているように
見えた。
自分が味わうのは、タバコと女くらい
だからな……。
で、女とは、付き合うフリして、
ヤって、潮時になったら捨てて、
連絡来ても無視して、次の女捜し……の
繰り返しだったな。
今思えば、性欲とニコチンとアルコール
が、自分の全てだったか……。
あの時……。
自分は、一歩、足を出そうとしていた。
3人の方に、向かって。
だが、結局、行けなかった。
引け目ってヤツか…?
散々、女を傷つけ、弄び、捨ててきた。
そんな自分が、あの何かよう分からんが
『神聖』なオーラ溢れる、アソコに…、
あの3人の輪に、入って良い訳がない、
そう思えたんだ……!
(著作権は、篠原元にあります)
奇跡的再会を果たし、赦して、そして、
赦されていた時……、時同じくして、
また、すぐ近くで、もう一つの別の人生が
幕を閉じようとしていた。
その別の人生…、時同じくして、また、
同じ商店街に、実際いたのは、
あの石出生男である。
小学3年生の時に、真子を裏切った、
あの石出生男だ。
彼も、真子たちの奇跡的再会の日に、
なんと、同じ東京都杉並に、いた。
しかも、あの大町通商店街に。
そして、真子のことも、みどりのことも、
義時のことも、見ていたのである。
どこで、見ていたのか?
お分かりになる読者は鋭い方である。
そう。
義時が、平戸を羽交い絞めにした時に、
目の前にいた若者-第十章⑬-……、
あれが。石出生男だ。
黒いジャージ姿、義時の方をジッと
見つめる、義時と同年代位の男、それだ。
平戸を羽交い絞めにしていて、両手が
塞がっている義時が、110番を頼もう
とした野次馬…、それが石出だった。
だが……、結果として、読者は、すでに
お分かりだろうが、石出生男は、
『奇跡的再会』に加わらなかった。
単なる傍観者のまま終わり、当事者に
ならなかった……、いや、自ら、
背を向けたのだった。
もし、彼が加われば、『いすみ市にいた
4人の再会』になっていたのに……。
だが、弁護のつもりではないが、
彼も、あの『奇跡的再会の場』に加わろう
とは、したのだった。
でも、彼には勇気がなかった。
そして、何より、『愛』を信じられ
なかった。
彼は、『愛』を拒絶し、認めなかった。
だから、そのまま、後退し、暗闇に
吞み込まれ、自分のところへ行くため、
脱落して行った。
~ここからは、死の直前の石出生男の
回想である~
自分は、今日の夕方、いや昨日の夕方に、
パチンコ店を出た。
正午過ぎからずっとパチンコ店で、
過ごしていた。
タバコを手に、騒がしい店内で、
パチンコ台に向かう…、ストレス解消
には、一番だ。
最近、色々な面で、全くウマくいって
ない。
バイト先の先輩……。
大学の単位……。
生活費の工面……。
で、何より、死活問題、女だ……。
すぐに、自分のモノになると思っていた。
あの女は……。
だが、中々の相手だった。
だから、だ。
ま……ノコノコついてくるあっちが
悪いのだが……。
手荒いことをしたのだが。
別に、大したことじゃないのに。
あの堅物が!!
今じゃ、自分が、追い詰められている。
イライラすることばっか、だ。
パチンコに、足が向かって、当然だ。
駅の近くのパチンコ店を出て、
荒んだ気分で、アパートへ戻ろうと、
歩き出す。
すでに、空は暗い……。
いつもの商店街をフラフラと歩く。
夜空も財布の中身も心も寂しいもんだ…。
のに…‥ケッ!
幸せにしてるクソらめがッ!
「飲むぞッ!」と、アパートへの家路を
急ぐ。
飲んで、吸って、現実は見ないに、限る。
だが……。途中で、スゴイ現場に出くわ
した。
それで、急いでいたのに、
つい立ち止まってしまった。
いや、違う。
足が、あの場から、動かなくなって
しまった、正直に言えば。
テレビの警察特集の番組で見るような
現場だった。
冴えないリーマン野郎が、若い美人を
追っていた。
それを、通りすがりの『目立ちたがり屋』
が取り押さえて、警官……自分と同じ位の
女刑事に、引き渡す。
そんな『捕物』を最初から最後まで、
見た。
……言えるのは、刑事にしとくのは、
もったいない、だ…。
かなり、良い女だった、あの刑事。
見物しながら思った。
「イケてる女だな。バーとかにいて、
刑事だと知らなかったら、誘うな」。
が、指輪をしている、か…。
ま、そんなこと、自分には関係ない。
今まで、男がいるヤツに手を出した
ことは結構あるし、『人妻』ももらった
こともある。ってか、女たちも、その
シチュエーションに燃えるもんだろ。
こんな女も夜は……と考えながら刑事を
見ていたが…。
そんな思考は、すぐに砕かれた。
あの女刑事の一言で!
自分は、女刑事が、リーマン野郎に
言い放った一言を耳にして、大袈裟で
なく、耳を疑った。
間違いない。
あの女刑事は、ハッキリと、あの男に
言った…。
「平戸狩男さんですね。阿佐ヶ谷中央
警察署までご同行願います!」と。
そう告げられている、あのリーマン野郎
を凝視する。
「まさか……」と、呟いていた、自然と。
平戸狩男……?
ひらとかりお、ヒラトカリオ……。
同姓同名の別人か、それとも……?!
いや、アイツだ!
そうだ、アイツだ!!
この男は……!!!
信じられない!
まさか、コイツに、こんな所で……!
そう、あの女刑事は、自分を捨てて、
昔家を出て行った、父の名前を、
確かに、口にしていた!
まだ幼かった自分と母を捨てて、
ある日急に家を出て行った最悪な男の
名前を……。
小学生の頃に、何度もアルバムを、
家族に隠れて眺めたんだ…。
表札が写っていて、そこには、
自分たちを捨てて、父が身を消す前の、
家族全員の名前が刻まれていた。
自分の名前、母の名前、そして、
アイツの名前……。
平戸狩男、と。
そうだ。
小学生の頃に何度も何度も見てたんだ、
父が写ってる写真を。
忘れるわけがない!
自分たちを捨てた、憎き男の顔、特徴。
そして、目の前のリーマン野郎。
大きな共通点が、2つ。
確信する、同一人物。
そうだ、女刑事に捕まったのは、
父、いや、アイツだ!!
すぐさま、決めた。
「このまま、見なかったことにして、
行こう」。
声をかけるメリットなんて、何もない。
出て行って、警察についていく……?
あり得ない!!
アイツは、自分と母を捨てて、
出て行ったクズだ。
それに、「すみません。実は、
息子なんです」と出て行ったところで、
何の得になるよ!?
そこらの野次馬達から興味の視線、
嘲りの視線で見られるのがオチだろ、
この自分が……!!
そんなのお断りだ!!
大勢の野次馬に見られながら、
若い男に取り押さえられたアイツ。
若い女刑事に拘束され、まさに、
これから警察署に連行されるはずの
惨めな中年リーマン野郎。
「ざまあみろ!!」と、心底思った。
そうだ!!
これは、自分と母を捨てて出て行った、
天罰だ。
女刑事に捕まって、項垂れてる、アイツの
首には、やはり、大きなほくろが……。
そうだ、写真に写ってたのと同じだ。
コイツは、正真正銘、自分たちを捨てて
出て行った野郎だ。
自分は、父に背を向けて、
アパートの方へ歩き出した。
応援の警官もやって来る。
だが、もう、良い。
関係ない!!
アパートに向かおうと、その場を
離れかけた自分のすぐ近くを、
あの女刑事が駆け抜ける。
その後を、『目立ちたがり屋』で、
暇な野郎が追いかける。
本当に、暇な奴だな、コイツ。
普通、通行人が『捕物』に協力
なんかするか…?
で、今も、女刑事の後を追って…。
…そうか!?コイツ…、この女刑事
狙いか?
下心満載、暇だらけ野郎か……。
一番、嫌いなタイプだ。
で、女刑事と『目立ちたがり屋』は、
父に追われてた、若い女の所に行った。
うん?
あの女も、女刑事とは違う感じの、
良い女じゃないか!
何か『負のオーラ』的なモンを感じるが
それも良い!!
で、自分は、離れようとしていたのに、
立ち止まってしまった!
今、人生を振り返って、言うならば、
これが、自分の悪い習性だ!!
世間で言う、女癖がワルいというヤツ。
で、若い女に見とれて、立ち止まって
しまった自分の目の前で……。
なんと、あの女刑事が、若い女に、
ようするに『負のオーラ』を感じる…、
違う言い方をすれば、儚げな感じの
するあの女に、抱き着いた!!
「はッ!?刑事が、何やってんだ。
オイオイ、もしかして、この二人って、
そう言う関係なんか……!?」と思った。
それと、「にしても、こんなとこで、
やるか……、普通?」とも。
まぁ、すぐに、冷静になった。
そうだ、この女共がそうであろうが、
自分には一切関係ない!
自分は、そのまま、行こう、とした。
だが、次の瞬間!!
あの女刑事が、座り込む女に、告白
しやがった!!
まぁ、そう言う『愛の告白』ってヤツ
ではなかったが……。
で、自分は、度肝を抜かれた!!!
女刑事が、儚げな女に謝り、
そして、あの『目立ちたがり屋』で
暇なヤツも、あの女に謝る…‥。
そんな、予想外の事態を見て、
自分は、度肝を抜かれたんだ!!
すぐに、分かったさ……!
3人が、名前を呼びあってたからな。
奥中……真子、葦田みどり、義時。
懐かしいと言えば、懐かしい名前だ。
同じ小学校だったヤツら。
そう言えば、葦田のヤツはなんとなく
分かる。威張り腐った態度っていうか、
雰囲気……。
そうか、コイツ、刑事になってたんか。
まぁ、正義のミカタって感じだった
もんなぁ、この女は!
義時も、この体のデカさ……。
コイツ、そう言えば、何かやってた
よな……、空手だったか、剣道だった
か……?
あぁ、コイツらかぁ!
じゃあ、父が追っていた女、儚げな感じ、
『負のオーラ女』が、奥中真子か。
そうだ、自分が、一番最初に捨てた女。
そして、女刑事が、葦田みどり。
父を取り押さえたのが、義時。
「商店街のド真ん中で、3人だけの
同窓会やってんのか、コイツら……」と、
心の中で呟いた。
正直言えばだが、再会を喜び、
手を取り合う3人を見ていて、
羨ましかった。
自分が、ここ最近ずっと、感じて
いない『幸福感』を味わっているように
見えた。
自分が味わうのは、タバコと女くらい
だからな……。
で、女とは、付き合うフリして、
ヤって、潮時になったら捨てて、
連絡来ても無視して、次の女捜し……の
繰り返しだったな。
今思えば、性欲とニコチンとアルコール
が、自分の全てだったか……。
あの時……。
自分は、一歩、足を出そうとしていた。
3人の方に、向かって。
だが、結局、行けなかった。
引け目ってヤツか…?
散々、女を傷つけ、弄び、捨ててきた。
そんな自分が、あの何かよう分からんが
『神聖』なオーラ溢れる、アソコに…、
あの3人の輪に、入って良い訳がない、
そう思えたんだ……!
(著作権は、篠原元にあります)
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